生成AI活用元年の振り返り
デジタル時代の国語教育を語ろうにようこそ、パーソナリティーのKasaharaです。
この番組では、ICTを活用した国語の授業実践に関する話題を中心に、
Google for Education認定トレーナーと認定コーチの資格を持つ私、Kasaharaが、
教育にまつわる様々な話を配信していきます。
職員室のスタッフ同士で行われる教育談義のようなものだと思って、ゆるっと聞いてください。
12月もいよいよ下旬に入り、あっという間に1年が終わりますね。
振り返ってみると、2024年は、生成AIが一気に学校現場に広がって活用が広まった1年でしたね。
思えば、リーリングDXスクールの生成AIパイロット校の成果発表会が行われたのが、2月の下旬だったことを考えると、
今年1年でだいぶ色々な知見が溜まってきたように思いますね。
以前にもお話をしましたが、私はある雑誌で今年度は生成AIの連載を半年書いていたりしますが、
それもやっぱり今年が生成AI活用元年だからこそなんだろうなぁというふうに思います。
そうそう、12月19日発売の教職研修という雑誌でも、生成AIと教育に関する記事を今回寄稿させていただきました。
管理職や管理職を目指す方向けの雑誌ではあるのですが、内容としては現場の誰にとっても意味のある投げかけを書いたつもりであるので、
もし機会があればお読みいただけると嬉しいです。
生成AIとデジタルステザンシップ教育の観点から書いています。
そんな生成AI活用元年に作文の授業について考える宿題をいただいているので、
作文授業への生成AIの影響
今回はそのことについて今のところの考えを少し話してまとめてみようかなというふうに思っています。
ぼんやりと使ってきたこれまでを振り返ってみて、何かいいアイデアが出てきたらいいなぁと思いながら、着地点を決めないでちょっと話してみようかなと思っています。
さてここからが本題ですが、生成AIが登場したことによって作文の授業がどれだけ影響されると皆さんは思いますか?
もうすっかり知れ渡っていると思いますが、とにかくどんな質問に対しても生成AIは文章を出力してくれるわけですから、
何の工夫もなく感想文だけ書かせる、レポートだけ書かせるみたいな授業は、生成AIの出力した文章をコピペされておしまいみたいなことに今はなっちゃってるわけですよね。
ただ、それって結局授業をしている方の工夫のなさの問題なんじゃないかなと、辛辣な言い方になってしまうけれども、自分は思っていますね。
生成AIの問題じゃないですよね。生成AIがなくたって、多分オンラインの何か情報をコピペして出しますよね、それは。
じゃあ、そもそもICTを使うのが良くないみたいな話にそこから飛んじゃうケースも結構あるので、
うーん、でもそれって本末転倒な感じがしますよね。
個人的には作文の授業の一番大切なことは、生徒自身が書きたいと思う課題をいかに設定するかだと思っています。
書くことの必然性がないものを書かせることにはやっぱり無理があるんじゃないかなと思うし、そういうことをやらせようとしても結局生成AIに投げておしまいみたいなことになっちゃうんだろうなというのは思っています。
もちろん40人がいたら40人が思わず書きたいと思うようなそんな課題って早々思いつかないです。
また、高校の授業だと難しくてもやっぱりここまでは粘って考えてほしいなぁということもいっぱいあるので、
必ずしも生徒の中から自発的に出てくることばかりをお題設定としてできるわけではないっていうのも事実なんですよね。
でも、できるだけいろいろな設定を考えて子どもたちの中から書きたいというものが出てくるような設定をするのは、授業者として頑張らなきゃいけないことなんだろうなというふうには思っていますね。
ただ逆に考えると、こういう難しい課題設定についてアイデア出しを生成AIに相談するっていう使い方は一つありますよね。
教科書のこういうテーマについて、今の子どもたちの興味関心のある何か面白いお題はないかなみたいに聞いてみるんですよ。
例えば、高校の教科書だと必ず出てくる科学論のお題をChatGPT40に聞いてみると、以下のようなお題をくれるんです。
あ、耳で聞いてもやや理解難しいと思うので、概要欄に内容を貼っておくのでぜひ目で見て確認してみてください。
お題、未来を変える科学誰のもの。条件、最近話題になった科学技術や発明、AI、自動運転、遺伝子編集、宇宙開発などの中から一つ選び、この技術は本当にみんなにとって良いものなのかを考えてみてください。
その技術が解決しようとしている社会の問題や期待されている効果についても調べた上で、恩恵を受ける人と不利益をこむるかもしれない人がいるなら、その理由も考えてみましょう。
そして、自分ならその技術をどう生かしていくべきかと思うか提案してください。
まあ、これは一発で出力されたわけではなく、何度かやり取りして出力されています。
でも、これなかなかすごくないですか?これだけの条件考えるって結構教材研究だと手間ですよね。
生成AIを使った新たなアプローチ
多分、こういうお題や条件を出したらコピペで書くのは難しいですよね。
まあ、生成AIにこれそのまま投げるとそれっぽいものを出してはくれるんですけど、こういうお題だと、例えば不利益を受ける人ってあたりにその子の個性って結構反映されてくるはずなんです。
自分じゃない意見は、事業者であればおそらく普段のその子の興味関心から見てもわかると思うんですよ。
で、割と不利益を受ける人っていうことに関しては子どもたちって真剣に考えてくれるっていうことが多いので、
そういうところに何か評価の基準を置いてみるだとかして工夫していくと、多分、事業としてそんなに変なことにはならないんじゃないかなって思いますね。
ここまでの課題であれば、事業者の声かけ次第ではありますが、子どもたちも考えてみたいという課題になっていると思いませんか。
逆にこういうお題であれば、生徒に生成AIならどんなコメントを出すか聞いてみて、そこから自分の発想を広げてみてもいいんじゃないというふうに、
事業者の方からAI使ってごらんというふうに声かけてもあんまり問題にならないんじゃないかなって思うんですよね。
結局、生成AIがババババーっと情報を羅列しても、その中から自分がどれを選ぶのかというところにちゃんと子どもの選択や意思決定が生まれてくるので、
そこを支援していくことが書くことの授業になるんじゃないかなと思いますし、全くそれなら授業としても不自然なところないと思うんですよね。
これはあくまで試行実験なので、あんまり細かいところを突っ込んでほしくはないんですけれども、どこまで書ければ書くことになるんでしょうね。
意外と作文を仕上げるところまでを書くことの授業のゴールにしなくてもいいんじゃないかなというふうに思っている自分もいます。
自分の授業でも実際に文章の設計図ぐらいまでを完成させたら単元としてOK、この単元はもう仕上げの文章を書くのは自分の好みだよみたいな形で終わらせてしまうようなことってあるんですよ。
書きたいことを書き出して、それを伝えたい順番に並び替えて四角化しておけば、とりあえず書く準備ができたので今回はそれでOKなんじゃないみたいな単元もやるんです。
結構アイデア出しだとかすごい難しいじゃないですか。そしてアイデア出したものをちゃんと自分の道具として整理しておくっていうこともハードルあるじゃないですか。
だから限られた授業水の中で文章をじっくり書くというところまで欲張ってしまうと、そういう発想を耕すみたいな授業の支援が甘くなっちゃうなっていうのは結構思ってたんですよ。
だからこそ、文章を書くための設計図まで書ければOK、そっから先書くかどうかは好きにしていいよっていうのはオープンエンドで終わらせるみたいな単元っていうのは結構自分はやったりはするので、
それがいいのか悪いのかっていうところの判断はお任せはしますけれども、今まではそういう単元やっちゃうと文章は出てこないでおしまいだったんですよね。
でも今回そう考えてみると、生成AIが出てきたことによってもうちょっと踏み込めるんじゃないかなって思うんですよ。
つまり、例えばこうやってアウトラインを考えた後に、文章の完成は生成AIに任せてしまうっていうこともあり得るんじゃないかなって思うんですよね。
文章を完成させるということはかなりの動力がかかること、時間がかかることを考えると、自分が書きたいと思うことができたら一旦生成AIに投げて書いてもらうみたいなことをしてみてもいいかなって思うんですよね。
もちろんそれは子供たちに丸投げでおしまいではなくて、生成AIが出力してきたものを一緒に読んでみて、自分の書きたかったことと何が違うのかなみたいなことを投げかけて一緒に考えてみたり、
なんでAIはこういう出力したんだろう、何が伝わっていて何が足りなかったんだろうみたいなことを子供と相談するのは結構面白いんじゃないかなっていうふうに思うんですよね。
結局、文章を書くときの下書き、見取図、構造図みたいなところが自分の意図したものと自分が得たい出力との間にギャップがどうしても生まれるんだみたいなこと自体が結構その作文を書く、
文章の構造を考えるっていう授業になるんじゃないかなというふうに思うんですよね。
今話していることは文章を書けるようになるということよりも、文章を書くために自分を耕すみたいなことを考えています。
書くことの指導というと、どうしても書き方ばかりに話が生きがきちなんですけれども、一応学習指導要領の指導事項を見てもそうですし、書くことの指導は発想や取材というところも含むんですよね。
その発想や取材の部分の指導をもっと掘り下げられるような、そっちに注力してもいいんじゃないかな、そういうことが生成AIでできるんじゃないかななんてことをちょっと思ったりはしています。
もちろんそれは生成AIにアイデアをたくさん出してっていうだけの話じゃないんですよね。
生成AIの可能性
子供が自分でアイデアの扱い方を自覚できるような手順を身につけていくときに、生成AIが何かの足場かけにならないかなぁみたいなことをちょっと考えています。
自分が書くことの授業を考えるときに思うのは、白紙の前に立ちすくんでしまう、そういう嫌な気分を味わうことがないようにしたいなぁとは思ってるんですよね。
もちろん書くことは自分の書けなさと向き合いながら、ああでもない、こうでもないと考えるからこそだんだん楽しくなって、出来上がった作品に対しても愛着が持てるようになるんではないかなとは思うのです。
ただ何の手立てもなく子供を放り出してしまって、書けないことに一人で悩ませるようなことはやりたくないなぁと思うんです。
そういう時に、もしかしたら生成AIが良い感じに一人一人の手立てになる可能性はもちろんあるんじゃないかと思っています。
大村浜先生は40人いたら40通りの書き出しなどを考えて子供たちに与えていたという逸話もありますが、自分のような凡人だとやっぱりそういうことは難しいなぁと思っちゃうわけです。
だから色々なテクノロジーの力で少しでも明治人間に近づけられればというふうに思いますね。
ちょっと話しているうちにやっぱり話がぐちゃぐちゃしてきましたね。
書くことの授業をしているのか、生成AIで書くことを教えるのかが自分の中で少し混乱しているなというふうに思います。
おそらく自分の今の生人への感覚だと、生成AIを使って書くことを教えるという問いの立て方が比較的筋が悪いんじゃないかなと思っていて、
あまりそういう方向で授業の考えを持っていってもなぁ面白くないよなぁという気がしています。
書くことを教えるとはどういうことか考えるときに、生成AIが学習剤としてどういう役割を果たしてくれるのか、
子供たちの言語活動の流れを考えたときに、今の授業で何ができていないのだろうかみたいなことを考えて、
そこの余白、窮白のところに何か生成AIの可能性を探っていく方が面白いんじゃないかなというふうに思っています。
もちろん今回紹介したみたいに、教員側が生成AIにたくさんお題をもらいながら話をブラッシュアップさせていく、
授業の題材をブラッシュアップさせていくみたいな方向というのはお手軽にまずは試せる方向としてあり得ますし、
そうやって生成AIの出力の癖みたいなところを勉強していくっていうところはとっても今の段階必要なんじゃないかなと思いますね。
使ってみないとやっぱりわかんないんですよ。
そう考えると、やっぱり新しいことを始めようとすると身につけなければいけない知識だとかスキルだとか注意点だとかはかなり多いので、
簡単に使えよって周りの先生に押し付けるのもちょっと無理筋があるんじゃないかなって思いました。
ただ生活に当たり前に入り込んでくるようになる未来はもう見えてるかなということを考えると、
学びの影響と意義
無理なく先生たちが使うためにはどうしたら良いのか、そういう道筋を作るのがある意味で生成AIみたいな新しいテクノロジーが好きで最初に飛びついた人たちの仕事になってくるのかもしれないですね。
今回の配信はいかがだったでしょうか。
本当はもう少し国語化の授業の話をしようと思ったんですが、気づいたら割と話が逸れていきました。
授業の方法よりも今の自分の関心としては、生成AIが子どもたちの学びの過程のどこに影響しそうか、どこならば役に立ちそうなのかみたいなことに興味があるんじゃないかなと思います。
やっぱり生成AIが文章を出力できてしまうということが国語化としてはインパクトが大きいですよね。
パッと見てわかりやすい変化なので、気になる先生たちは多いのだろうと思います。
実際やっぱり子どもたちが生成AIで課題を書いて出してしまうという事案はもう発生しているので、そういう状況に直面している先生たちからすればどうしたものかなというふうに思うのは仕方ないと思います。
一方で、そういう状況が起こった時に、道具として使うなと言っても、自分の目の前から問題としては消えるかもしれないですけど、その子どもに対しては何の問題解決にもなっていないし、成長にも繋がっていないんですよね。
この辺りがやっぱり難しい。
2025年、ここが一つの踏ん張りどころになるんだろうなと思います。
新しいことを始めようとすると負担は大きいので、無理をすることはないとは思うんですけれども、できることからコツコツ触ってみる。
まずは遊んでみるということが重要だというのは、ICTや他のテクノロジー全般に入れることですね。
今ならまだ失敗しても、いろいろなことをやり直せる、そういう時期なんじゃないかなと思います。
だから少しでもチャレンジする人が増えたら良いなと思っています。
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この番組は毎週月曜日に1回配信されます。
次回の配信もお楽しみに。
ではまた。