00:01
スピーカー 2
ダイアログカフェ。筋書きのない対話から新しいアイディアと自分自身に出会う場所。この番組は様々なテーマで楽しみながらお届けします。
スピーカー 1
今日は目次郎まで来ました。目次郎で企業変革のジレンマ、構造的無能化はなぜ起きるのかという名調を書かれた宇田川元一先生にお話をお伺いしに目次郎まで来ました。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
先生は経営学の先生ということなんですけど、今回まさにテーマにされていることって、構造的な企業が抱える課題、いろんな企業が陥りやすい課題みたいなことを研究される、いろいろケースを研究されるみたいなアプローチなんですか?
スピーカー 1
もともとはですね、実は全然そういう感じじゃないんですよ。自分の研究論文って学科医師になっているものとか読んでもらうと結構抽象度が高い理論研究者なんですよ。
だから自分がいろんなケースみたいな話で言うと、実際アドバイザー先としても何社も関わっている会社があるし、それ以外にもいろんな形で関わりがあるわけですよね。
そういうふうな事象を見るときに、基本的には自分は理論的仮説があって、それでこうかなっていうのをなんとなく考えるわけですね。それってでもどういうことなんだろうっていうので、いろんなパズルのピースをずっと集めて、こうかな、ああかなみたいな感じで行き来している感じですね。
スピーカー 2
なるほど、そうなんですね。確かに今回の著書の前にも2冊あるんですけれども、そちらもロジックを積み上げていってらっしゃって、事例は差し込まれてはいるんですけれども、結構読みながら確かにこうなるよね、確かにそうだよね、こういうの見たことあるな、みたいなものの結構説得力があるというか、事例からだけ言うと、当てはまるケースだけ集めてきたんじゃないのとか、
確かにこの時代は、抽象化したらこういうことが言えたかもしれないけど、前提条件違ってたら違うかもしれないなとかっていうふうに感じるような経営の本とかっていうのも、時代によって変わっていくっていうか、流行りみたいなね。今の時代、日本型経営がすごくもてはやされる時代もあれば、シリコンバレーは素晴らしいとか、
スピーカー 1
そういう時代による変性みたいなのがケースだと出てくるなって感じがするんですけど、結構ロジックって普遍的なものがあるなと思うので、そういう意味でもすごい今回の著書も納得感あったなっていう。
03:05
スピーカー 1
ありがとうございます。なんかちょうど昨日ある方と話してた時に、そんなどんなふうに考えてるんですかみたいなことを聞かれたんですけど、基本的に私学説研究をしてきたので、学説って当然その理論が出てくる背後に、それが元になっている理論があるわけですよね。
自分なりにこういう系譜だよねっていう理解を作るのは、一つのそういう理論研究とか学説研究みたいなもののやり方なんですけど、私の場合は元々組織理論、ワイクっていう人の研究からスタートしていて、それをたどっていくとある人にたどり着くみたいなので、
こっから今度逆に分岐していくと、そうすると今度はセラピーの世界にも分かれていくわけですよ。その分岐した先で例えばナラティブセラピーとかで、そういう対話実践みたいなのがあって、実践やってる人たちはどんな人たちなんだろうって言って、
北海道のベテルの家っていう精神障害ケアのコミュニティにたどり着くみたいな、そうするといとこみたいな関係で、掃除系で同じような現象が起きてたりとかするので、だから私の本ってあんまり経営の用語だけで経営を語ってないっていう特徴がたぶん気づかれる方もいらっしゃると思います。
たぶん経営学の話も出てきますね。例えば今回の企業変革のジレンボでもクリステン戦の話も出てくるし、ポーターとかも出てくるんですけど。
え、田中さんポーターとか読んでるんですか?
スピーカー 2
そりゃ読むわ。
スピーカー 1
そりゃ読むよみたいな。だって大学で経営戦略論を教えてるしみたいな。でもポーターはちょっともともとは経済学系の人だけど、クリステン戦が元にしてる理論は、例えばこれとこれで、それが元になっているのが実はワイクでみたいな。
そしたら全部繋がっていって、それの幹があって枝があって、この出来事ってこの枝がここの部分にくっつくなみたいな感じで、それで全体を作っていくって感じがする。
スピーカー 2
なんかその枝葉がめっちゃ長くて広くてね。
そうだとすると、結構この著書これだけのしっかり緻密に積み上げられた感じがするんですけど、大変だったんじゃないですか?
スピーカー 1
めちゃめちゃ大変でした。めちゃめちゃ大変本当に。
そうなんですよ。ちょっと研究の話ばっかり恐縮なんですけど、研究者の後輩が僕の今回の本を読んで、あ、宇田さんがその20年ぐらい言ってきたことがやっとわかった。そういうことだったのかみたいな。
06:08
スピーカー 1
なるほど。
っていうぐらい、いろいろパーツパーツで結構依存症の話も入っているか、無事回復の話も入っているし、普通は繋がらないんですけど、その繋がりがやっとわかりましたみたいなことを言ってくれましたね。
スピーカー 2
その議論もそうですけど、ケースも結構入れていらっしゃるので、やっぱりその読んでいる人たちが、特に会社に所属している人は、生々しく思い当たるところが非常にいっぱい出てきて、
しかもおっしゃられているように、明確じゃなくて本当に複雑に絡み合っているから、一人一人はすごく真面目に日々の仕事をやっているので、だけどうまく回っていかない、この本質の課題って何なのかって単純じゃないゆえに、やっぱり苦しんでいる部分がすごくあると思うんですけど、
それを理論ですごく丁寧に整理されていらっしゃるので、ものすごく読みやすいですし、実感がめちゃめちゃあって。
大企業20年のいろいろ思い当たることがあれやらこれやら。
スタートアップとかですらもやっぱり規模が大きくなってきたら、同じこの構造に陥ることっていうのはあると思うので。
スタートアップって何か一つ成功すると、最初は複雑性の中から生まれてくるんだけれども、それをすぐみんなカタカ、カタカ、カタカって言うのね。
社内に人もあんまりいないし、どんどん採用したいんだけれども、優秀な人がバンバン採用できるわけじゃないから、若くて新卒の人をたくさん採用して、
その人たちにあんまり教育しなくてもできることをやらせようみたいな方向にスピードを急ぐと、上げるためにだいたいそういう発想になる。
最初のある程度プロダクトがマーケットにはまってうまくいきそうだっていうところまでは、いかにもスタートアップ、イノベーターっぽい人たちが集まってワイワイやって試行錯誤しながらできるんだけど、
これがハマるってなった瞬間、量を追求、量とかスピードを追求し始めると複雑なもののまま拡大できないんで、結局やっぱすごい単純化しようとカタカして細分化して、それをどんどん回そうってなっていくと、
09:11
スピーカー 2
私たちがもともと持っていたスタートアップらしさはどこへ行ったのっていう感じにどんどんなっていって、でもいずれやっぱ新しい事業を立ち上げなきゃみたいな、
どこの会社も生まれてきて、でも新規事業やれる人いないとか、あれ大企業と同じようなことを言ってるみたいな、だからね、どの組織でもある程度はやっぱこれ発生する、だからまさに構造的課題だなっていう感じが。
そういう意味では本当に規模を問わずに、どんな組織という形態を取ったところでは起こり得るようなことをテーマにされてると思うんですけど、そもそもこれをテーマ、研究テーマにされようと思ってた背景というか、どういったところから?
スピーカー 1
そうですね、いっぱいあるんですけど、まず著作っていう観点での流れでいうと、一冊目他社と働くっていう本がありまして、これは企業の社会の中に対話とかナラティブっていう考え方が、
僕はそうですね、2007、8年くらいからその辺ってもしかしたら大事なんじゃないかってことに気づき始めてフィールドワークをしたりとかして、学んできたことをなんとか世の中に届けたいなって思いで書いたのが他社と働くなんですね。
スピーカー 2
それはなぜ対話が大事だなって、結局2007年とかでかなり早いタイムかなと思うんですけども、生まれたんですか?
スピーカー 1
えっとですね、学術的な話と自分の経験が重なってるんですけど、自分の父親経営者だったんですね、小さい会社の経営者で、結構バブルの時に銀行に載せられちゃって、すごい借金を作ってしまって、でも父親がガンで亡くなってしまったんで、私その亡くなった後配線処理したんですけど、
そういうのもあって、組織って研究で言っているほどシンプルじゃないっていう感覚がすごくあったんですよ。
いわゆるメインストリームの経営学って、これをやるべきだ、あれをやるべきだって結論が出てくるし、結構ロバストにデータを集めて実証していくとかっていうことが流行りなんですね、サイエンスにしていくって流行りなんだけど、なんか違うと思うよみたいな感じがしていたんですね。
違うと思う、もうちょっとなんか世の中複雑だし、世界っていうのは多元なものじゃない、多元的じゃないかと思った時に、ヨーロッパの研究に出会うんですね。ヨーロッパの組織論研究って割と哲学系なんですよ。社会学とか哲学がベースになってて、経済学じゃないんですよね。
12:06
スピーカー 1
そうすると、そこで一回ポストモダンの思想に出会って、ポスト構造主義とかリオタールとかミシェル風光とか読むわけですよ。我々って主体のない世界で言説というものに実は作られた主体なのだみたいなこととかを、そういう中で感じるのはこの世界はまやかしだと。
この世界に真実など何もないみたいな、そういう無限の相対主義みたいなものに自分自身も陥っていくし、俺自身もその頃、最初所属してた大学が結構大学改革の時期だったんですね。
そういう中で、僕は現場で働く人間なわけですよね。そうすると、本部からなんとか戦略とかなんとか改革みたいなのでいろいろ来るし、そういうのに対してすごく戦略って言葉を使ってるのが、自分の仕事には意味がないって言われてるような感覚がしたわけですよ。
お前は何も考えてない現場でただ仕事してるだけの人間だろっていう感じ。考えている我々がちゃんとそれを考えたことを実行しなさいみたいな、そういう責め気合いを感じたわけですね。
まだ若かったんで過剰にそういうふうに反応したところもあると思うんですけど、戦略っていう言葉に対しての違和感みたいなものが結構出てきて、そしたらヨーロッパの研究の中でクリティカルマネジメントスタディーズっていう、サハ系の研究ですよね。
戦略っていうものの概念が実は1960年代に経営学に入ってきて、60年代というのは歴史的に見ると、創業経営者じゃなくてNBAの人たちがパイナンスを学んで、現場がよくわからない人が組織を統治するための一つのロジックとして軍隊のメタファーを使うようになった。将軍と兵卒。
スピーカー 2
そこで戦略って概念が出てくる。実はその前は政策って言ってたんですよ。ポリシーだったんですよ。それがストラテジーに変わるんですね。60年代くらい。
スピーカー 1
そういう話を聞いて、いろいろ批判的になっていくわけですよ、自分が。すごいいろんな怒りみたいなものとか、自分のそれまでのライフヒストリーに対する怒り。世の中のどうにもならない力に翻弄された自分とか自分の家族に対する怒りとか。
そういうものっていうのをクリティカルマネジメントスタディーズっていうものを表現していくのだろうかって思ったんですけど、なんか虚しいなって思ったんです。ある時に。なんか怒ってばっかりで。実際に組織で上のほうの人たちって苦労があると思うんですよね。現場の人間も苦労がある。
15:09
スピーカー 1
それをこれはおかしいって言ってても、結局力比べになって何も変わらないじゃないかっていう気がして、その批判を越えたその先に何か自分なりに研究の道、研究者人生をかけるものがないだろうかと思った時に、ガーゲンっていう人の本を読んで、この世界っていうのは確かにポストモダンの思想とかポスト行動主義の思想でいいかもしれない。
っていうように言語っていうものによって作られているけれども、ならばその言語っていうものを変えていくことによって社会っていうものを少しずつ変えていくことができるのではないか。
だから批判的な視点を受け入れながらも現実の中でどうしていくのかっていうところの実践の思想に出会ったんですよね。
で僕はこれだっていうふうに思って、当時では遠隔でNBAで教えるっていう仕事を非常勤でやってたんですけども、実際の働いている現場の人とやり取りする中で、自分の言ってることっていうのがどういう意味があるのかみたいなことを考える機会もあって、
この人たちに届く言葉で何か自分は研究しなきゃいけないんだなって思うのがあったんです。そういう意味でもある種の対話ですよね。それは研究者としての自分と働く人々、自分も働く人ですけども、そういう対話っていうものをどう成り立たせるかみたいな、そういう思いが結構あったんだと思いますね。
スピーカー 2
そういった対話みたいな、複雑性みたいなものを表現したいというか、解き明かしたいみたいな、そういったところから、本のテーマとしては企業変革。企業変革っていうところに着目されたのは、これはどういう背景があるんですか。
スピーカー 1
はい。1冊目が他者と働く、2冊目は組織が変わるっていう本で、2冊目の本は実際対話の方法の開発みたいなのもあって、でもあそこの中で私最初の方に組織の慢性疾患っていう話が出てくるんですね。
だから実は3冊目に書いてあるけど、2冊目から実はちょっと登場していて、私は2冊目の本で変革の話を書いたつもりでいたんです。この考え方でいろんな場面で問題っていうものについてすぐ解決しようとするんじゃなくて、それが何なのかっていうのをみんなでいろんな角度から見て、そこで取り組めるところを見つけていけば、一歩ずつそうやっていけば変革になるじゃんと思ったんですけど、
そんな簡単な話じゃないってことは分かったっていうことですね。つまり、なぜそういうふうなことが企業の中で起きてくるのかとか、実は自分はそんなにまだ分かってないじゃないかっていう気がしたんですね。
18:13
スピーカー 1
そこの森に入っていかないと、これは変革を議論したことにならないなと思って。
一方で企業変革っていうことについての世の中の言説っていうものを見ると、やっぱりいい本ですけど、サイグサさんのV字会議の経営とか、ジョン・コッターの企業変革力で危機感を醸成するっていう話から始まるモデルですよね。
スピーカー 2
ああいうものがあるわけですよ。でも、あんなモデルで言っていることと、実際に起きていることの間にレレバンスがないって思ったんですよね。あんまり繋がっていなくないって思って。
スピーカー 1
実際、自分が見ている現場の人たちっていうのは、現場は経営層も含む現場ですね。そういう人たちを見ていて思うのは、あんなにクリアに問題が分かる人がなかなかいないし、そもそもそんなに単純でもないみたいな。
スピーカー 2
そうすると、そういう状況の中に外科手術的な変革を持っていくと、すっごい白桁状況ができてくるわけですよ。会社の中に。
企業モノドラマみたいなので、よく出てくる会社はすごく危機的状態になっているのに、社員は自分の利益を守ろうとしているみたいなところに、ちょっと不運事みたいな人がバンバン変革をしていくみたいな。
それでみんな目が覚めて、自分は本当はこういう理想のためにこの会社に入ったんだったって思い出すとか、なんかそういうエピソードが入って、非常にドラマチックで視聴者としては流品が下がる感じはするんですけど。
でもじゃあ仮にその瞬間その改革が、仮に進んだとしてその後会社が生まれ変わるのかっていうと、なんかまた同じことが起きる。まあそもそもこんなにうまくもいかないんだけど。
あとなんていうのか、別にその悪者とヒーローっていうのはそういう構図なわけでもなく、大多数が真面目に皆さん仕事をしている組織であって、何が悪いっていうのがやっぱり明確じゃないっていうか。
危機感っていうのも、どういうレベルの危機感なのかとか、どういう時間軸での危機感なのかみたいなところも、やっぱりこうはっきり解像度があるわけでもなく、しかもその危機感の話が長期になればなるほど、いつ何をやらないといけないのかっていう、やっぱり考える思考の解像度も当然上がらないみたいな中で、
21:08
スピーカー 1
なんとなくみんな万全と、何かやらないといけないよねっていう焦りとかあるんだけれども、やっぱり動き出せないっていうのは、現実と理論のなんかギャップっていうのは確かにそうですよね。
結構経営学の研究って、ちょうどこないだ陰性の人と話をしてたときに、結構経営学者ってラディカルな変革みたいなものに着目しますよねっていう話に議論でなったんですよね。
で、僕やっぱり現場をずっと見ていると、5年経って見ると結構大きな変化なんだけど、じゃあ実際そこで伴奏していると本当にいろんな小さい苦労が積み重なって、ある意味で現場ではずっと失敗を積み重ねてこうやってみたら、あれここはちょっといいけどこっちはダメだったなとかっていうのをずっとやっていったら、5年経つとだいぶ違うところに来たなみたいな感じで、
スピーカー 2
だからワンショットで見ればすごく大きな変化なんですよね。だけど実際はそんな簡単じゃないっていうか、そこの中での一歩ずつ前進するみたいな感じとかっていうのは、ちゃんと描きたいというか。
うちの会社には何か構造的に機能不全に陥っているところがあるなって思い当たるものがその経営者の方とかあるっていうことですよね。
スピーカー 1
おそらくそうなんでしょうね。
スピーカー 2
そこまで言語化できるところまでもいかないような気がします。なんか大多数の企業が、でも何か動かないといけないと思ってて、いろいろやってるんだけど動かないみたいな。
この要因は何なんだみたいなところで、絡まった感じの糸をほぐす解決策を見つけたいみたいな感じなんですかね。
スピーカー 1
そういう感じは結構あると思います。特に今回の企業変革のジレンマで、明らかに読者の人たちの反応が今までのものとちょっと性質が違うんですね。
やっぱり今回特に割と経営上の責任の重い方からの反応が結構、感想をいただいたりちょっと話してくださいみたいな連絡をいただいたりすることが増えましたね。
スピーカー 2
大体みなさんそういうことをおっしゃるのは、A社っていうのはあれうちのことですよっていう。
24:09
スピーカー 2
それは大手企業の人もスタートアップ企業の人も、あるいは企業じゃない組織の人も、あれってうちのことですよって。
心当たりがめちゃくちゃある。どこでも起きるってことですよね。だからこそまさに構造的ってことだと思うんですけど。
企業変革のその言葉が表すみんなのイメージの中に、著書の中でも結構出てきてますけど、新規事業を作るっていう話。事業ポートフォリオを変えていくっていうことと一体だと思うんですけど。
あとDXみたいなのも、よくキーワードで。なぜそれが進まないかっていったときの、経営者の方がよく、経営者だけじゃないですね。みんな、うちの社員は着替えが足りないとかね。こういう人材がいないからだとかね。
ありがちな自己診断で、だから研修をやろうとか、だからコンサルを雇おうとか、なんかそういうのになりがちで、それこそわかりやすい解決策っていうか、まさに先生はそうじゃないっていうことをすごい著書の中でおっしゃってるわけですけど。
ご相談に来られる方っていうのは、そういうのも一応試してみたんだけど、うまくいかなかったなのか、うまくいく気がしないなのか、なんかそういう失敗経験みたいなのをお持ちだったりするんですか。
スピーカー 1
そうですね、コンサル嫌いの会社も結構いるじゃないですか。そういう会社の人とかから相談を受けることもありますし、あといろいろやってみたんだけど、なんか提案してくることが支援会社のサービスを売るためのものだなっていう感じがして、
それも悪くはないかなとは思うけど、なんか違う気がしますみたいな、そういうパターンとかもありますよね。あとはなんか、もうちょっとそこまでじゃない場合でも、なんかちょっと経営イシューがあるんで相談とってくださいみたいな感じで、始まるパターンもありますね。
スピーカー 2
そういう相談があったとき、どういうアプローチというか、どういう方法で問題を先生が社内で見つけに行くとか、経営者の方との対話、あるいは現場の方との対話とか、どういうアプローチをとられてるんですか。
スピーカー 1
あ、でもなんか基本的にはまずじっくり話聞くっていうことですよね。あんまりそこ、なんか自分では自分のやってることの特徴ってそんな分かんないんですけど、ただ、あのなんだろう、えっと、人間の思考って結構面白いもので、
27:12
スピーカー 1
あるところから自分の考えていることっていうのを、ある意味で論争しようとしていろんな言葉を、自分で納得を確認するために自分の言葉を発して考えを深めていくって結構あるじゃないですか。
ある種の思考のフィルターバブル化みたいなのが起きると思うんですけど、それって私から見るとこう見えますよっていうことをちゃんと言うっていうか、そういうのは自分の役割だと思ってますけど、違う角度からその問題を見るっていうか、ある意味でですね、
慢性疾患的な問題の変革っていうのは、ちょっとこの間違う場所でもその話をしたんですけども、問題が明確じゃないわけですよ。問題が明確じゃないっていうことはどういうことかっていうと、よく分かってないっていうか、よく分からないわけですよ。
分かってないって言ったら何か正解があるみたいな感じですけど、よく分からないわけですね。よく分からない場合って何をしたらいいかっていうと、よく分かんないけど一部分かっているところで解決策を考えちゃって、何か違うっていう感じになるっていうのはよくあるパターンだと思うんですけど、よく分からないときっていうのは、一回時間を止めてそれを対照化してみて、いろんな角度から見るわけですよ。
そうすると、何かこれってこういうことじゃないですかみたいなのが浮かび上がってくるわけですね。それって何なのかっていうと、研究してるってことです。
研究するっていうのも何かこうお作法の話じゃなくて、基本的にはその対象に興味を持って、興味を持っていろんな角度からいろんな視点からそのものを眺めるっていうことなんですよね。
で、それって言うはやすし、行うはがたしなんですよ。なので、何か自分は何かそういうことをやってる感じですね。独特な感じだと思いますけどね。
スピーカー 2
中にいる人が、やっぱりその俯瞰的な視点を持とうとか、しざを高く持とうっていうふうに意識しても、やっぱりその中にどっぷり入っているときに先生ほど多角的に捉えられてないのか、そもそもやっぱりすごくちょっと近視眼的になるというか、全体を見れてないというようなことなのか。
スピーカー 1
先生が相談に乗っていろんな方たちと話すときに、どういう状態に皆さん陥っていらっしゃることが多いというか、感じられますか。
30:03
スピーカー 1
いや、陥ってるってあんまり考えないようにしてます。自分は。だから、何だろう、頑張ってるっていう感じ。
だから、その人とかその組織がどういうことを頑張ってきたのか。意外にこっちは見ないんですよ、みんな。自分がやってきたことってあんまり見なくて、現在の状況を何とかしたいってすぐ時間軸として前のほうを見ちゃうんですけど、そうじゃなくて、結構やってるじゃんみたいな。
やってきたことっていうのを何をやろうとしてきたのかとか、そういうことをちゃんと見ることのほうが大事だと思います。
スピーカー 2
問題があるっていうふうに、それを探しに行くぞっていう決めつけをせずに、事実を捉えていって、うまくいったこと、その中でもちろん問題みたいなものもあったかもしれないけれども、それをあまり評価をせずに事実を分析するみたいなことが必要ってことですかね。
スピーカー 1
そういうふうに言ってもいいんじゃないかなと思うんですけど、よくですね、僕のことを、サイドサスさんとかいう方々のアプローチが外界的で、僕は内界的とか漢方医的って言われると思うけど、自分は違うと思っていて、自分はソーシャルワーカーとかカウンセラーだと思ってるんですよ。
スピーカー 2
なるほど、なるほど。
スピーカー 1
ソリューションを、結局だって漢方医だって、私漢方とか服用することもあるんですけど、漢方医だって薬を出すわけじゃないですか、最終的に。これでよくなるわけじゃないですか。だから、そういう話じゃないよねって感じがしていて、医者じゃないんですよ。
スピーカー 2
すごい面白い。自社の話を伺いながら、トヨタで研修で徹底的に問題解決手法とか最初やるの。魚骨図みたいな。魚の骨。
魚の骨、ロジックツリーのことなんですね。
それで、その課題は、本質的な課題はどこにあるのかみたいなのを探していくっていうか。なので、やっぱり問題を探しに行く、課題を探しに行く、そこに対して対処する、みたいな。
なんかこう、思考がすごく強いんですよね。徹底的に教育されるというか、みたいなのがあって、そのすごい著書の中でも、上手くいってるケースをまず見てみようとか、上手くいってる人を見てみて、その人がどういうやり方をやってるのかっていうことを抽出してみようみたいなところも書いてあると思うんですけども。
なんかその、仕事とかいうところからちょっと超えて、プロジェクトの状態とかを超えて、それこそ人とか組織みたいな観点でも上手くいってた時、上手くいってる人みたいな感じで見られる視点が新しいというか、なかなか確かにそういう観点で解決策を見つけ出そうっていうアプローチを
33:26
スピーカー 2
なんかありそうでしてないような、してなかったような感じがすごくしたんですよね。すごく新鮮でした。
スピーカー 1
そうですね。なんか僕はそれは、あの考え方でポジティブデビアンスっていう考え方とか、あと過去の成功体験を掘り起こすみたいなのはある意味で、デリーダーの脱構築みたいな話なんですけど、もともとはね。
なんですけど、ポジティブデビアンスに関して言うと、あれはですね、国際開発支援みたいな、そういうちょっと正確な領域はわかんないけど、途上国とかで貧困地域とかの支援の中で出てきた考え方なんですね。
スピーカー 2
たまたま私、アメリカの学会に行くために飛行機に乗ってて、私、あの特技の一つが飛行機で隣に座った人と仲良くなるっていう特技なんですよ。
スピーカー 1
そうなんですよ。で、もちろん話したくなさそうだったらそれは絶対にしないと。前提として。お互い退屈じゃないですか。だからそれで話したらたまたま隣の人がある途上国に国家支援に行くって、ポジティブデビアンスって考え方をとかって、えーみたいな、お互いにも同じ考え方を。
実際そういうところでも使われてるんですけど、あれはもともとの考え方はですね、どうもね、たどっていくと、カウンセリングの領域で、えっと、えっと、ブリーフセラピーっていう領域があって、短期解決思考療法とかって言われるんですけども、
そういう流れから出てきたもので、それは元は、元をたどると実は自分の組織論の理論の系譜のあるところ、ベイトソンっていう人にたどり着くんですけど、でもブリーフセラピーの考え方って、例えばですね、そういう本とか読むと、
いやもうなんかうつ状態で何にもできなくて、全然つらいんですよね、毎日みたいなのに対して、あ、そんなに大変なのにどうやって今日頑張ってこられたんですか、みたいな、そういう開始なんですよ。
36:00
スピーカー 1
で、そうすると、こう、違うところに光が当たるじゃないですか。その抑鬱状態で何にもできない自分から、それでも頑張った自分っていう、それも事実じゃないですか。
で、自分の今のこの、生きている、ナラティブみたいなものと違うところで、新しい、別なものを探索していくみたいなのが、それがポジティブデビアンスの考え方、元だったと思うんですね。
スピーカー 2
で、なんかそういうのとかは、だから自分の理論研究の流れの中で見つけたって感じです。
なんかすごい先生のアプローチというか、すごく愛がありますよね。
私もそう思いました。めちゃめちゃ愛を感じます。
経営戦略みたいなことをやってらっしゃる方、コンサル、私もコンサルだったんで、コンサル担当みたいな人って、正解を知っている私が、なんか正解を知らない人たちに、なんかこうすればいいんだよって教えてあげるみたいな、ここに正解があるんだよ。
なんかちょっとこう教える人と、教えられる人、うまくいかない人みたいな、そういう関係性をなんとなく感じるんですけど、なんか先生は、なんかやっぱすごい寄り添うというか、
どうやってこの人の問題を本当に、頑張っているはずなのに、なんかうまくいかない、その本当のところを一緒に探しに行きましょうみたいな、なんかそういう感じの距離感の近さを感じるんで、なんかね、すごい愛があるなって。
本当にそう私も同じことを感じていて、あとその企業の中に20年いた時に、時々その感じる違和感、あと自分も多分陥る時が時々あったと思うんですけど、その教える側、教えられる側、指導する側、指導される側、みたいな構図に、部署でもそう、部署間でもそうだし、上下でもそうだし、なんか陥りがちな気がするんですね。
でも、なんかそんなことじゃないというか、そういうことばかりでもないし、特にその、そういうことこの本のテーマでもされていると、新規上みたいな新しい領域に行くみたいな話になった時には、言うなればみんな初心者で、みんなで初心者で新しいところに行くわけであって、
だから誰かが教えて、誰かがリードしてっていう構図、そんな単純な構図でも行くわけがないというか、のもあるので、その陥りがちなそういう構図に対しての、ちゃんと認知するというか、あとそういうところに対しての問題意識みたいなのも、この中からもすごく感じたんですけど、例えば人事が旗を振ってとか、
39:19
スピーカー 2
いやまさにその、全然違う場所から何かを観察して、あなたここが悪いよ、なんとかだよ、みたいに言っているのって、すごくこう、何ていうのかな、まさにそれがこっちの事情をちょっと無視した、こっちから見える視点で、
伊藤先生のね、他社と働くの中にもその対岸の問題に対して、こちらから見てこれが問題ですよって、なんか言っていると、いやこっちから見えている景色と全然違うから、なんか何も分かってないみたいな、結局対立を生むんだけど、じゃあ橋を渡って向こう側に行って、同じ立場に見たら、あ、こう見えてたのかみたいな、
なんかそこ、まあこの全体を通してはね、この著書の中でも、やっぱりその立場を、何かそちら側に立つとか、同じ立場に立つみたいな視点が、何か横にも縦にも何かすごく必要だよっていう、何かそういう全体のメッセージをかじるところがあって、
先生の研究の視点とかにも、めちゃめちゃそれが通定しているものがあるなっていう。
スピーカー 1
そうかもしれないですね。
何か別に、人間に優劣とかあんまり考えないようにしているっていうのもあるかもしれないですね。
スピーカー 2
でも一方で、先生っていう立場が求められるときもあるわけですよ。
なるほど。
ときもあって、だからこそ入ってくるっていうときもあるわけですよ、言葉はね。
確かにね、それは確かに、それもそうですね。
スピーカー 1
それ自体を別に否定する必要もないとは思います。
確かに。
ただ何か、だって正直そんな分かんないじゃないですか。僕だって色々分かんないこといっぱいあるわけで。
馬鹿像踏んで鍛えられたときもあるけど、でも分かんないことはいっぱいあって、だから一緒に考える、考えようぜっていう感じですよね。
一緒に研究しようぜっていう。
なるほど。
スピーカー 2
相談がある企業に対しても基本スタンスとしては一緒に話を聞いて一緒に考えるっていう。
スピーカー 1
一緒に考えるっていう感じですね。
別に自分からソリューション提案とかって、対話やってみますみたいな、そぐらいのものですよね。
スピーカー 2
自分たちで築いていくって感じなんですよね。
スピーカー 1
そうですね。
なるほど。
42:00
スピーカー 1
なんかそのほうが良くないですか。
スピーカー 2
いやいや、怒ります怒ります。なんか、くしくも私たちの番組の名前がダイアログカフェっていうタイトルなんですよ。
対話をね。
対話をね、テーマにしてて、あんまりこれを話すっていうのをざっくりしたテーマだけ決めて、あんまりシナリオなく話すんですけど、
私たちも一緒にお話を、インタビューEになる方も含めて、こういう着地になっていくんだみたいな。
自分でこんなことを思ってたんだとか、私たちもすごいそっかって話していく中で気づかされるものがすごくあって、
それが面白いなと思って、こういうの1年半くらいこのポッドキャスト続けてるんですけど、
だからすごいなんかその先生が対話っていうのをテーマにすごく軸に中心に置かれてることにすごい共感するというか、
確かに企業経営にもこれ必要かもって思ってる感じですね。
じゃあちょっとあの今回はここまでにして、次回先生の著書にもあるその構造的無能化がなぜ起きるかみたいな話、
そしてそれをどう解決していくかというかどういうふうに乗り越えていくのかみたいな、著書の内容にも少し沿ってお話していきたいなというふうに思います。