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おはようございます。英語の歴史を研究しています。ケアオギジク大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、割と言語学的な話題なんですけれども、
unhappyの比較級に-er がつくのは反則という話題です。
皆さん、英語を学び始めて久しいと思うんですけれども、形容詞・副詞の比較級に-er あるいは-est をつけるというのは知っていると思うんですね。
ただ、長い形容詞・副詞の場合には-er、-est ではなくて、前に-more、-most をつけるというふうに習うわけです。
これ、その元の形容詞・副詞がどれだけ短いか長いかによって、つくものが変わるということが建前なわけなんですが、なかなかこれは難しい問題があるんですね。
一般的に言われるのは、1音節後は-er、-est であると。
それによって、結果として2音節ぐらいの後になるわけですね。これは特に長くない。
ただ、もともと2音節とか3音節ですね、取り分け後にさらに-er、-est がつくと、これ4音節とかになってしまうので、
これはちょっと長すぎるということでやめて、前に-more、-most をつけるというのが一応理屈として言われていることだと思うんですね。
2音節というのは非常に微妙なところはあるんですが、3音節になると、これは-more、-most でしょうということになっています。
これが文法上の規則、原則ということになっているわけなんですね。
ですが、これでもまだ例外がある。3音節でも-er、-est というのがあるということなんですね。
表題に挙げたこのunhappyがそうです。これは不幸、不幸ということなんですが、より不幸ということになればunhappierですし、最高に不幸ということになればunhappiestということになります。
結構長くなるんですが、これは-more、-most ではなく、-er、-est の方を使うということなんですね。
これは簡単に言えば、unはあくまで否定の接答字であって、ある意味でたまたまプラスされたものであって、本体はhappyなんだと。
ハッピーは2音節なので、これは-er とか-est をつけることが可能であるという理屈で、案がついて結果として3音節語になっているけれども、それに非核球最上級がつく場合には、-er、-est が付加することは妨げないということで、規則としてはそれでわかる気がするんですよね。
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この現象について、人間の話す言葉ですから、完全にガチガチの理想形というか、矛盾がないということは考えられないので、これこれでいいじゃないかというのは一つの生き方だと思いますし、実際に英語ではこれが用いられているわけなんですけれども、よくよく考えると、原則論として考えるとちょっと変なんですね。
3音節語に-er、-est がつくということは基本的にないわけです。ということになっているわけですね。
そうすると、アンハッピーの場合は本当はハッピーである。つまり2音節語である。これにたまたま案がついてしまって3音節になっちゃっているぐらいなんだから、基本のハッピーにどうやって非核球最上級の語尾をつけるかという観点で考えて、
アンハッピーやアンハッピー-est で許してあげようというような例外規則が働いているんだといえば、そういうことだとは思うんですね。ただ原則論としてはダメということになっているので、このあたりで原則と建前という部分ですね。
ちょっとしたいさかいが生じるんですね。これ形状の問題と意味状の問題がバッティングするということなんです。これ結構面白い問題なんですけれども。まず形からいってみましょうね。
ハッピーっていうのがありますね。それにアンという接頭字がついて意味がひっくり返って、不幸なって意味になってアンハッピーになりますね。こうなっちゃうともう3音節なんです。本当はここにERをつけるってことは規則上ダメなわけなんですが、ハッピーに免じて許してあげようということでアンハッピーとなるんです。
ただこの順番だと、より不幸なって意味が出ないはずなんですよ。つまりね、ハッピーがあるでしょ。それからアンハッピーってひっくり返した。それにERですから、不幸である度合いがより強いっていうことになって、本来のアンハッピーアの意味が出るんですが、形状はですね、アンハッピーという3音節にはERをつけることはダメってことになってますので、
順番としてはハッピーにERをつけてハッピーアにして、その接頭詞としてアンをつけるという順番になると思うんですが、これでは意味が異なってしまいます。
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つまり、より幸せであるっていう状態ではない。つまり普通に幸せぐらいの時にもアンハッピー、ERっていうのは使えてしまうことになるので、形態と意味との間でですね、この接頭詞と接字の付き方の順番について、つまり形式と意味とでバッティングが生じてしまうということなんですね。
ちょっとした言語上の矛盾っていうことなんです。分かりにくかったかもしれませんので、改めて言いますが、まずですね、ハッピーにアンがついた不幸ですね、アンハッピー。
こうなると三音節になるので、ERは本当はついてはいけないんですよ。だけどアンっていうことはアンハッピーの度合いがより強いっていうことになって、これは我々は知っているアンハッピーアの意味に近いんですが、本当はこれは形状は違反なんです。
ところがですね、ハッピーにまずERをつけてハッピーアとする、よりハッピーである。これを否定するアンという形であればですね、よりハッピーであるというわけではないという意味になって、我々が知っている常識的に考えるアンハッピーアの意味とはちょっと異なってくるんです。
形式と機能がですね、少しバッティングしてしまうというような状況があるんですね。ちょっとしたパラドックスが形式と意味の間に起こっているということなんですね。なんか大したことではないと思うかもしれませんが、実は似たようなことがですね、日本語にもあるので、これを紹介しておきたいと思います。
例えばですね、小腹が空いたっていう方言がありますよね。で、腹が空いたはよくあります。で、腹がちょっと空いたっていうのもわかります。ところがですね、小腹が空くっていう言い方をするんです。つまり、腹がちょっと空いたという意味で小腹が空くっていうんですね。
だけれども、小腹っていうのは腹のどこかっていうとよくわかんないんですね。そうではなくて、小腹が空くっていうのは実は腹が空くというの全体を副詞的にちょっとだけという意味で修飾している。つまり、腹がちょっと空いたというところを小腹が空くっていう言い方をするんですね。しかも、小腹ではなく小バラなので、完全に複合語になっちゃってます。
腹との密着度がものすごく強いんです。これ実はさっきのunhappier問題と近いんですね。小腹が空いたの子っていうのは、明らかに腹と密着度が強いっていうのはわかるんですけれども、形式的にはですよ。ですが、意味的には腹が空くというのと密着度が強いんですよね。
意味と形式とでどうも引っかかるところが違うっていうことですね。unhappierも同じです。意味的には明らかにunhappyプラスerなわけなんですけれども、形としてはunたすhappierということになっているんです。
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なぜかというと、unhappyという三音節後にerがつくっていうのは本当はダメなわけだからです。こういった妙な関係っていうのが言葉にあります。他に日本語では小気味悪いって言いますよね。気味が悪いっていうのはよくわかります。ちょっと気味が悪いもわかります。ところが、小気味悪いって言うんですね。小気味って何っていう話ですね。
他に小腰をかがめるってなったのはわかりますね。腰をちょっとかがめるっていうことなんですが、小腰という部分としてはですね、体のどこなのと言いたくなるような話なわけです。それではまた。