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こんにちは、英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私がその魅力を語る番組です。
おすすめのドラマや映画の紹介、見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。
7月は、ダウントン・アビーの世界を深掘りしてきましたが、このドラマを制作したプロデューサーは、ジュリアンフェローズで、彼はこれまでにも色々なドラマや映画を制作しています。
どんな作品を見たことがありますか?
これから数回にわたって、フェローズの手がけた作品について紹介していきたいと思っています。
今日は、『ギルデット・エイジ ニューヨーク黄金時代』です。
ギルデットという言葉は、金メッキされたという意味で、金メッキなので見た目は豪華で華やかなんだけど、実は中はそうでもないということなんですよね。
言葉の由来は、1873年の小説のタイトルで、アメリカのおよそ1870年代から1900年代初めの期間を表現しているのです。
この時代は、急激な経済成長や産業化、技術の革新が特徴で、それと同時に政治の腐敗や社会の不平等も目立っていた時です。
英国ドラマタイムなのに、なんでアメリカドラマなのと言われちゃいそうですが、このドラマは私、ダウン・ダービーの好きな人にお勧めしているのです。
その理由をお話ししますね。
イギリスのカントリーハウスの歴史を見ていると、ある時からアメリカとの逆のつながりが増えていくことに気がついたのです。
イギリスの社交下に入ってくるアメリカの富豪たちの存在です。
イギリスの貴族階級の人々がカントリーハウスを存続することができないほど困窮していく中に、ビジネスで大成功したアメリカの新婚夫婦雄壮の例状が花嫁としてやってくるのです。
結婚する当人たちの気持ちは別として、表面的にはウィンウィンの関係で、面白いなと思っていました。
ダウントンアビーでのグランサム伯爵夫妻はまさにこのパターンですよね。
なので、スピンオフ作品で甲羅が伯爵と結婚するまでのドラマを作ってくれないかなと思っていたら、ジュリアンフェローズはそれを別のドラマでやっていたんですよね。
それがこのギルデッドエイジなんです。
アメリカのケーブルテレビHBOでシーズン1が放送されたのが2022年、シーズン2は翌年2023年に放送されました。
ちょっとここであらすじをご紹介します。
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シーズン1の舞台は1882年のアメリカ。
物語は父が亡くなって一文なしになったマリオン・ブルックがペンシルバニアから名門・ヴァンライン家のおばたちを頼ってニューヨークに向かうところから始まります。
ニューヨークではオールドマネーといわれる古くからいる貴族的なニューヨークの社交会とニューマネーという新興富裕層の間の激しい階級闘争が繰り広げられていたのです。
特に鉄道なりきんのラッセル一家との関係が大きな鍵を握っていました。
マリアンのおばさんの家とこのラッセル家は通りを挟んで向かい合わせに立っています。
マリアンは自分の道を見つけようと奮闘していきます。
シーズン2の舞台はその翌年の1883年。
おばのアグネスが反対する中、マリアンは教師の仕事を始めたり、アグネスの妹のエイダが結婚を決めます。
ラッセル家では夫人のバーサが社交会の地位をめぐって激しい戦いを繰り広げてオペラ戦争が勃発します。
ギリスからやってきた公爵がバーサの新しいオペラハウスか、それとも社交会を牛耳っているアスター富士のオペラハウスのどっちに行くのかという公爵の取り合いが起こるんですね。
どちらが勝つのかはぜひドラマで確認してください。
社交会やビジネスのこと、政治の世界とかが華やかに描かれていて、当時のアメリカ社会の複雑な一面をすごくうまく見せてくれています。
実在の人物や出来事もたくさん登場してくるので、歴史ファンにも楽しめると思います。
どんどんと発展していくニューヨークの街で、どれだけのお金が動いているのかなというその勢いが伝わってきて、次はどうなるんだろうと一度見出すと止まらなくなります。
ダウントンアビーが歴史と伝統の上に成り立っている慎みとか上品さが出ているのと対照的に、野心やむき出しの嫉妬心が強烈です。
ラッセル家で働いていたメイドが、シーズン2では上流階級婦人となって、客として帰ってきたりするんですよね。
いかにもアメリカらしいなという展開でした。
シーズン2ではイギリスからバッキンガム公爵がやってきて、バーサラッセルは娘のグラディスを公爵婦人にしようと企んでいます。
シーズン3も既に制作が進んでいるようなので、ここではアメリカの鉄道をラッセル家の娘がイギリスのバッキンガム公爵婦人になるまでの物語なのかなと想像するとワクワクします。
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登場人物の中で私が気になっているのはジョージ・ラッセルです。
ビジネスマンとして凄く冷酷な彼ですが、プライベートでは婦人を愛し支える男です。
アメリカの社交会で、二人は同士のように手を取り合って登り詰めていこうとしています。
そしてもう一人はマリアンの友人で、アグネスの秘書とかジャーナリストをしているペリーです。
ダウントアビーでは階級感の対比を上手く描いていましたが、このドラマではペリーを通して人種観についても触れています。
ペリーの実家や彼女の仕事のやり方、そしてニューヨークだけじゃなくてペリーが取材に行った南部での出来事とかも出てきて、色々な視点からのアメリカの姿が見えてきてとても面白いです。
主人公のマリアンを演じているのがルイーザー・ジェイコブソン、彼女のお母さんがあのメリル・ストリープなんです。
すごく上品でチャーミング、マリアンの子イメージにぴったりだなと思います。
今後もさらに楽しみなドラマです。
ギルデットエイジのシーズン1のあらすじやドラマをどうやって見たらいいのかはブログでも書いていますので、ぜひそちらも読んでみてください。
次回はジュリアンフェローズが脚本を書いてアカデミー賞を受賞したゴスフォードパークです。お楽しみに。