『非営利組織の経営』の出版背景
この本が14冊目になります。
この番組では本を取り上げます。
書評するわけでもなく、本の内容を詳しく紹介するわけでもありません。
Listen to the voice of booksというコンセプトで、
その本が何を言いたかったのか、
どんなことが言いたくてこの本を書いたのか、
そういうことを伝えたくて始めた番組です。
14冊目 Peter Drucker 非営利組織の経営を取り上げたいと思います。
この本は、非営利組織で働く者にとっては、
特に非営利組織の経営や運営に関わる人にとってはもうバイブルですね。
これを読まずして、非営利組織の経営に関わっては困るというぐらいの本だと思っています。
もちろん、非営利組織について書かれたものは、
最近はだいぶ増えてきたんですが、
これが書かれたのは1990年ですけれども、
この当時はそういった本はほとんどなかったんですね。
Peter Druckerもこの本の中で書いています。
企業について書かれたものはあるし、企業の経営論は結構ある。
Peter Drucker自身がそういったものを書いてきたわけで、
そういった本はあるわけですが、
非営利組織の経営について書いた本はほとんどないと言いながら書いてるんですね。
Peter Drucker自身がもう80歳になろうとする、
その1990年に書かれた本なんです。
非営利組織、英語で言うとNonprofit Organizationということになるわけですけど、
Nonprofit Organization、要するに企業と政府と非営利組織、
世の中にある組織はもうこの3つに大別されるということなんですね。
なので、実は企業でない、そして政府部門でない人は、
ほぼ間違いなく非営利組織に属しているということなんですね。
しかもPeter Druckerはここでいろんなことを言ってるんですけれども、
例えば学校、大学、病院など、あるいは、
非営利組織と営利組織の違い
例えば音楽教室を経営しているとか、塾を経営しているとか。
これも状態によりますけれども、
営利組織と非営利組織の境界線は結構そうはっきりしたものじゃないんですね。
やっぱりグラデーションになってるわけで、
非営利組織の中でもやっぱり営利追求に軸足を置いている組織もあれば、
営利組織といわれる企業の中でもかなり非営利組織的な運営をしているところもあれば、
そういう意味では境界線はそう明確に引けるわけではないと思うんですが、
ただ学校法人とか、いわゆる企業以外は基本的にやっぱり非営利組織だということなんですね。
このドラッカーが言っていることは、
要するに企業の経営論と非営利組織の経営論は根本的に違うんだという、
そういう話なんですね。
これはまさに企業のマネジメント論を書いてきたドラッカーが言うわけなので、
間違いないとも言えるんですが、
ドラッカー主義者になることもなく、ドラッカー信者になることもないので、
冷静に読めばいいと思います。
ドラッカー自身もこの本自体は、
やっぱり非営利組織の経営について書かれた本がない中で模索しながら書いている。
そういう意味では企業との違い、政府部門との違いをどう表現するかということを、
かなり試行錯誤もしながら、模索しながら言葉を作っている。
そういう感じの本なんですよね。
だからなおさらいろいろと参考になるところがある。
一生懸命言葉を紡ぎ出している感じがしますね。
私は大学、しかも大学の中で学長という仕事を足掛け12年ほどやってきて、
2つの大学でね、やっぱり非営利組織の中で生きてきたわけです。
企業に勤めたことはないわけですね。
よくあるのが、やっぱり企業のマネジメント論を振りかざす人がいるんですが、
これはもう大きな間違いで、例えば大学には理事会というのがあって、
そこに企業をずっとやってきた、経営を知っているんだという顔をした人がいたりするわけですね。
あるいはそういう人を、今は私立学校の経営は厳しくなっているので、
そういう企業の経営に長けた人を呼んできたりするわけですね。
そうするとその人が企業のマネジメント論を語るわけですね。
下手にドラッカー主義者だったりする人もいるんですが、
そういう人が語るドラッカーは、企業について、企業の経営について書かれたマネジメント論でありリーダーシップ論だったりするわけです。
ピーター・ドラッカーの『非営利組織の経営』の評価と活用
それはもう根本的に間違っているとドラッカー自身が言っているわけですけども、
それを知らずに語っている方は結構多いですね。
非営利組織について、非営利組織の経営について書かれた本はもう本当に、
ドラッカーの中ではこれが最初で唯一ですね、80歳になって書いたわけですから、の本です。
これをベースにしながらその後、非営利組織についての研究も進み、
本も多少出てますけどやっぱりまだまだ少ないと思いますし、
一番やっぱり原点、そしてバイブルになるのはやっぱりこのドラッカーの非営利組織の経営だというふうに思っています。
この本にはいろんな思い出が私ありまして、やっぱり大学の経営に関わる学長になるっていう、
その前からこの本は知ってたし読んでたんですけれども、
やっぱりそういう立場に立つにあたってもう一度読み直したのがこの本ですね。
私は1990年に出た古い版も持って、それも線引きまくって読んだ記憶がありますし、かなり若い時にね。
そして新たに名著集の中で再版されたものもまた改めて買って、
結局、線を引いてないページがないというぐらい線を引いて読むわけですよね。
とても参考になる本だと思います。
なので、いわゆる営利企業以外の、そして政府部門以外の公益法人、特殊法人、学校、病院、あるいはNPO。
日本で非営利組織って言うとNPOだけを指すと思う人が多いんですが、これはもう全く違うわけですよね。
やっぱり一番多いのは学校法人ですね、公益法人もそうです。
例えばオーケストラをやっている楽団とかも全部、非営利組織ですよね。
病院もそうです。社会福祉法人もそうです。
これらはもう全て非営利組織だということなんですよね。
そうするとかなり多くの人がね、非営利組織に関わっているということがわかるかと思うんです。
ところが、その非営利組織の運営と経営についてのノウハウというか、あるいは基本的な考え方とか知識を持ってない人がちょっと多すぎるという。
それでその非営利組織の運営、経営で苦しむ、悩むということが起きるんですが、そういう人にはもうぜひおすすめですね。
まずこれを読むということです。
私がよく言うのは、私は大学業界にいたので、大学の理事長、理事、学長、管理職の人はもうこれを読んでいなければ話が始まらないぐらいに思っている、
そういう本ですね。
実はこの本、私はnoteでオンラインサロンというのをやっているんですけれども、そこでやっぱり大学に勤めている人も多いので、
私立学校、私立大学の運営と経営を考えるという話をし始めているうちに、このやっぱりピーター・ドラッカーの非営利組織の経営を知ってほしいし、読んでほしいし学んでほしいと思ったので、
それについて結局、深掘りライブということでこれまでに6回やりましたね。
30分かける6回話してきました。
さらに企業と非営利組織の違いは何かということについても30分語っているんですけどね。
とにかくエッセンス、ポイントだけですけれども。
その1から6のシリーズでは、このピーター・ドラッカーの主張とかポイントを概説した上で、今、順次読み進めている感じで、ちょうど半分きましたね。
なので、12回くらいいくんじゃないかなと思っていますが、これ結構それを聞いたり読んだりした人の中ではすごく勉強になったというか参考になったという人が多いので、
ぜひ知らない方は一度調べてみるといいと思います。
ネット上でもいろんな情報が出てきますし、一番いいのは購入して読んでしまえば一番いいと思いますが、やっぱりせっかくのこういう財産ですのでね。
それこそピーター・ドラッカーは政府よりも企業よりも非営利組織の重要性がこれから高まっていくし、今でもそうなんだということで、もう80歳になってから頑張って書いたと。
そういう本ですので、こういう知的財産を活かさない手はないと思っています。
ということで、ピーター・ドラッカー『非営利組織の経営』の紹介でした。ではまた。