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2023-12-31 11:22

『言語の本質』中公新書(2023)

LISTEN to books #13

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『言語の本質』中公新書(2023)

 

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『言語の本質』〔本〕人|note

すべてのことばは断片である|note

なぜ「ことば」にこだわるのか|note

 

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サマリー

2023年の中公新書のベストセラー『言語の本質』では、言語の起源と進化について注目されているオノマトペの重要性が取り上げられています。また、AI技術の進歩や機械学習の言語生成についても詳しく解説されています。

『言語の本質』の要点
LISTEN to books。この本が13冊目になります。この番組では本を取り上げます。
書評するわけでもなく、本の内容を詳しく紹介するわけでもありません。
LISTEN to the voice of booksというコンセプトで、その本が何を言いたかったのか、どんなことが言いたくてこの本を書いたのか、そういうことを伝えたくて始めた番組です。
13冊目は、今井むつみさん、秋田喜美さんの書いた、『言語の本質』という本です。
この本は、2023年の中公新書のベストセラーになりました。
もう本当に、いろんな書評が出ているわけですね。
副題としては、「ことばはどう生まれ、進化したか」。
なぜ人だけが言語を持つのか、という帯も付いているわけですが、彼らが注目したのがオノマトペですね。
ワクワクとか、モフモフとか、ムクムクとか、こういうのがオノマトペと言いますけれども、オノマトペこそが言語の起源だということを言うんですね。
これは、言語学の世界を知らないと
ある意味当たり前じゃないかというふうに思う人もいるし、ああそうなのかと思う人もいるし。
この本の書評をした人の多くは、オノマトペに注目して、オノマトペ面白いねっていう話を言うんですが。
これはもう、間違いなく正しいんですが、
実はこれまでの言語学っていう世界は、むしろそういう言葉を実際に使う場面ではなくて、
言語の構造ですね。文法とか言語の構造ですね。こういうのを構文論と言うんですけれども、むしろ言語の構造にばっかり注目をしてきたんですね。
例えば、日本語と英語とタガログ語。言語、言葉はみんな恣意的に違うのに、言語の構造は共通すると。なんでだろうっていうね。
こういう疑問から、言語学の世界では構文論と言いますが、構文論の世界が非常に発達して、なのでむしろそういう、
人間には、いろんな言語が生まれるんだけども、構文は共通すると。ここには何か構造があるんじゃないかと。
普遍言語という言い方をした人もいます。有名な言語学者ですけどね。普遍言語なんて言い方をした人もいます。
こういう捉え方が強かった。それを持っているから、みんな言語習得ができるんだと。
これは結局、他の動物は言語が習得できないわけですね。なんでホモサピエンスだけが言語を習得するのかと。
高度に抽象的な言語を習得するのか。しかもいろんな言語が存在するのはなぜか。こういうことから、何か持っているんだという発想になったんですが、
これは実は転倒していたわけですね。発想がひっくり返っていたわけです。
そうではなくて、この『言語の本質』という、今井むつみさんと秋田喜美さんが書いた本は、それはもうひっくり返すんだと。
逆なんだということですよね。むしろ子供が、赤ちゃんが言語を習得していくプロセス。
そこに言語の起源があり、本質があるんだ。
言語の構造なんていうのはむしろ後からできるんだっていうね。そういう話になってきたんですね。
これは実は、この2人はこのオノマトペに注目してそれを分析することでね、言語学の世界にそういう、本質的な問いかけを投げかけたわけです。
これは言語学の中では全然、主流の考え方では
なかったんですね。
それがまあだから、言語学者ってのは意外とね、構造主義に走ったんですね。
これに対する違和感を私はずっと持ってきてて、いやそうではないだろうと。
私の中では、言語学は構文論、言葉と言葉の抽象的な関係ね、構造ですね。
構文論という世界と、それから言葉と物。
例えば犬は犬、ドッグは犬、ドッグはドッグ。
こういう物と言葉、記号を結びつける意味論の世界。
もう一つが、人と人がコミュニケーションするときに、あれって言えばあれ、あれが指すものってわかるわけですよね。
これって言えばこれが指すものわかるわけですよね。
アブダクション推論と言語獲得
そういう語用論、実際に言葉が用いられる世界、プラグマティックスの世界って言うんですけども、
そこが、
実は言語の起源だっていうふうに、私はずっと思ってたんで、30年前からね。
私なりに言語学をかじったんですけど、だいぶね。
ところがそういうことではなくて、むしろ構造が先にあるというね、
いう話を言語学者の多くはするし、それがずっと主流だったんですよね。
そんな中でこの『言語の本質』っていう本は、そうではなくて、
もうそれは世界がひっくり返ってたんだと。
むしろ言語の本質は、
言語が生まれる
現場にある。
赤ちゃんが言葉を習得するプロセスにある。
その一つの典型がオノマトペだという話をするんですよね。
じゃあこのオノマトペはなぜ獲得されるのか。
なぜ共通言語になっていくのか。
という話。
それからそのオノマトペは、まだ抽象言語じゃないわけですよね。
これがなぜ抽象的な構造を持った言語に発達していくのか。
こういう問題が
あるわけですね。
この言語の本質に関わる、あるいはオノマトペが通じるということには、
実は推論、推測するの推論ですね。
この推論。人間の推論能力っていうのがね、実は深く関わってるんですね。
これを、この二人はアブダクション推論という、サンダース・パースですね。
チャールズ・サンダース・パース。
アメリカのプラグマティストですけれども、
彼の、演繹法、帰納法ではなくて、第三の推論としてのアブダクション推論というのがあるんだっていう言い方をして、
これがまた分かりにくいんですが。
そんな議論があって、このアブダクション推論こそむしろ人間の推論の方法であり、
これがあるから、オノマトペを言語として獲得していくんだっていう、
そんな話をするんですが、
これについては、
機械学習と人間の言語習得の違い
まだまだこの本は迫りきれてない。
この推論の仕組みと、それから抽象的な言語、構造的な構文がどうやって生まれるのかっていうところにはまだ迫りきれてないんですね。
実はこれはもう一つ、機械学習、いわゆるAIが言語生成すると。
チャットGPTの衝撃。
あるいはこのポッドキャストがね、音声が全部自然な言語として、
文字起こしされるっていうことが可能になった
この機械学習の領域には、
実はこの推論に関わるモデルが組み込まれたことでね、
可能になったということがあるんですね。
この推論っていうのはある意味、予測なんですね。
つまりAIは今予測をしているわけです。
つまり、言葉の意味が分かっているわけじゃなくて、
こういう言葉が
続いたら
こういう言葉が続くという予測モデルをたくさん持っているわけですね。
これをたくさんの言語から学んでくるわけです。
その予測モデルに基づいてより確かなものを言語として生成するという、
そういう仕組みになってるんですね。
この機械学習っていうのはだいぶ、言語習得のいいとこまでいってるんですが、
ただホモサピエンス、人間の、人類の言語習得の仕方と、
AIのディープラーニングによる
言語習得の仕方は違うんですね。
まだ根本的に違うんですね。
この違いをもっと突き詰めていくと、
より人間の、ホモサピエンスの言語の本質に迫れるはずなんですね。
ところがこの今井さんと秋田さんはまだまだ機械学習の勉強をしてないので、
それについては認識がまだまだ甘いと、
私は思っています。
そうすると、その機械学習は一体どこまで来たのか。
今どうして自然な言語が生成しているのか。
そしてそれはホモサピエンスの言語生成の仕方とはどう違うのか、
ということをもっともっと突き詰めて考えると、
さらにホモサピエンスの習得する言語の本質に迫れるはずだと、
私は思ってて。
その時に重要なことは、
今の脳科学と神経科学の成果を機械学習の最新の成果と付き合わせながら考えていくこと。
これがとても重要だと思っています。
だからこのベストセラーになった『言語の本質』は、
これまでひっくり返ってた世界をまともな世界に戻したんですが、
語用論が中心だというふうに戻したんですが、
まだまだ言語の本質には実は迫りきれてない
というふうに私は思っているということで。
何を言っているのか分からないかもしれませんが、
一応リンクで私の書いた文章も貼っておきますので、
この問題をさらに考えていきたいと思います。
ではまた。
11:22

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