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  2. #53 Tale - ロビン
2022-03-01 06:35

#53 Tale - ロビン

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紹介SCP-Tale

Author: C-Dives
Title: Tale - ロビン
Source: http://scp-jp.wikidot.com/robin
Year of creation:2020
CC BY-SA 3.0

SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3

©︎SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/
00:05
スピーカー 2
SCP テイル ロビン
ああ、レックス。 ええ、またちょっと考え事をね。
スピーカー 1
あのね、まだ駆け出しの頃、私と親しかった研究者がいたの。 名前はロビン。
そう、コマ鳥と同じ綴りのロビン。 とにかく当時の私たちはとても仲のいい友達だった。
スピーカー 2
どっちも財団に入りたてで、たまたま昼食の時間帯が一緒だったのよ。 私たちはお互いの論文とか達成目標とか、自分自身のちょっとしたことを話し合うのにたくさんの時間を費やした。
スピーカー 1
ロビンは自分のいる分野の第一人者になりたいけど、 まだ何をやりたいのかピンときてないって言ってた。
第一人者になりたいというだけ。 私はいつもそれは立派なことだと感じたし、
ロビンは自分の仕事に心からの情熱を注いでいたわ。 担当プロジェクトでは常に全力を尽くし、一緒に働く他の誰よりも遅くまで残業した。
私も時々一緒になって、ロビンがたった一枚の報告書を書くために書類や歴史資料をどんどん読み込む間、
スピーカー 2
くだらない話ばかりしてたのを覚えている。 彼は第一人者になる夢を真面目に追い求めてた。
ロビンはいつもとびっきり奇妙なアノマリンに割り当てられた。 私が奇妙って言うからには信じられないぐらい奇妙って意味。
私たちが普段対処しているワンダーテインメント、 芸能奇妙さとは違う。
スピーカー 1
バカみたいな話だけど、彼はいつだったか、お尻に日本人サラリーマンの幽霊が住みついた男に配属されたのよ。
いや、冗談抜きで。 何年も。
スピーカー 2
本当に月日が流れるのは早いわ。 それほど長く感じられないけれど何年も経った。
私たちの仕事はどんどん専門的になり始めた。 私は幼虫医団体の研究者になり、ロビンはより難解なアノマリンに集中していった。
私たちの歩む道はそれほど頻繁に交差しなくなって、 とうとう私はこのサイトに異動になり、ロビンはそのまま8・1に留まった。
スピーカー 1
それでも私たちはまだメールで連絡を取り合い、 毎年1回は会ってお茶なりコーヒーなりを一緒に飲もうとした。
スピーカー 2
ちょっとした楽しい伝統行事ね。 ここ数年はそういうのを実践してなかったけれど。
03:06
スピーカー 1
話がそれとはね。 そう、私たちは少し疎遠になった。
スピーカー 2
時間の進みは早くなるばかりだし、 プロジェクトはたくさんあるのに1日の時間はとても少ない。
スピーカー 1
後悔しているわ、本当に。 それで久しぶりにロビンにメールを送るつもりだったの。
スピーカー 2
でも今朝コンピューターを立ち上げたら彼のメールアドレスは無効になっていた。 私は8・1の雷座主任に連絡を取った。
アレクシス・ローズって名前の人。 なかなかいい子ね。
彼女は私の質問に答えるためだけに ひたすら献身的に面倒な手続きを踏んだ。
結局ロビンは先月に辞職して記憶処理を受けたことが分かった。
いいえ、大丈夫。 私やあなたと同じようにロビンもどういう条件で財団に参加したか分かってた。
もしかしたら私だって明日には辞めてしまうかもしれない。 そうなったらここで見たりやったりしたことの記憶は綺麗に拭い去られる。
だけど私はロビンがこう成し遂げたかどうか考えずにいられない。
成し遂げて他にやることが何もないから辞めたのかもしれない。 それとも何をやろうと成し遂げられないって思いが頭から離れなくなって辞めたのかもしれない。
スピーカー 1
それに比べて私は何をやっているんだろうって思うのよ。
私は確かに主任研究員だけど、それは年功序列だから。 それとも第一任者だから。
ありがとう。こんなしょぼくれた話でごめんね。 ロビンは友達だったから気分が沈んでるんだと思う。
彼はもういない。 私は長い間たくさんの人がやってきたり出て行ったりするのを見てきたけど、
スピーカー 2
どの出入りもこれほど大きな打撃にはならなかった。 これが上級職員の気持ちってやつかしら。
彼らが顔に大きくモザイクをかけるのはそれが理由なのかしら。 彼らの中に今の私と同じ気分になった経験がある人もいるのかしら。
スピーカー 1
オリエンテーションで友達を作ってはならないって言われるのは多分これが理由だと思うんだけど、
誰もそんな話聞いてる感じがしないわ。 だってほら、私たちがそうじゃない。
06:04
スピーカー 2
私たちは今仕事と関係ない話を交わしている。 私がロビンと話していた時と全く同じように。
その通り。くよくよ思い悩むべきじゃないわ。 どのみち取り留めもない話になり始めてるし。
少ししたらラボで会いましょう。 まずメールを1つ書き上げなくちゃ。
06:35

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