ダメバイスと相槌
MAYO
Beside the Seaside プロデューサー兼 家業アトツギの永野真代です。
MISAKI
アートディレクター兼デザイナーの 髙橋 美沙紀です。
MAYO
東京と茨城の海沿いの街との 二拠点生活をしている私たちが、
人生のA面、B面、C面について あれこれと語る、言語化雑談番組です。
今日は、【“ダメバイス” 3部作】
MISAKI
前編中編後編みたいな。
ダメバイスって言うんだね。 初めて知ったんだけど。
MAYO
アクセントの話? ダメバイス?
MISAKI
違う違う違う、ダメバイスという 言葉自体をさ、初めて聞いたから、
アドバイスの対義語みたいな感じ?
MAYO
そうそうそう。
あのー、そこの定義から、じゃあ。
ダメバイスは私が作った言葉なんだけど、
でも、あのー、前にさ、 クソバイスっていうのが流行ったじゃない?
MISAKI
確かに。
MAYO
で、あんまりその言葉連呼したくないなと思って、 ダメバイスって言ってます。
定義は一緒で、まずアドバイスは、 助言や忠告だよね。
で、転じて、言われた側にとって役立つもの。
その反対なので、言われた側にとっては役に立たないもの。
もしくは求められていないものを、 ダメバイスで定義付けました。
MISAKI
なるほどね。
MAYO
で、今週から3週にわたって、 ダメバイスにまつわる話をしたいです。
MISAKI
はーい。
MAYO
で、第1部は聞き切る力っていう話なんだけど、
ダメバイスについて考えるに至ったきっかけなんだけど、
MISAKI
なるほど。
MAYO
話してるときにすぐに、「わかるー!」とか、
あー、はいはい、っていう人があんまり好きじゃなくて。
で、私はそれをしないように、なるべく気をつけているんだけど、
で、もちろん私も言ってしまうことはあるんだけど、気をつけてて、
ところで、なんで私あれ好きじゃないのかなーと思って考えたら、
なんだろう、私が言われたときに思うのは、
いやいや、私が全部言い切らないうちに、「わかるー!」って言ってるのって、
なんでわかるの?っていう話で。
毒親かサイコパス彼氏ですか?みたいな。
私、何を知っていて、まだ話してもない話を、
何を知ってて、「わかるー!」とか、
あー、はいはい、っていうの?っていう謎からまた生まれた感情。
なので、私は聞き切ろうって、ちゃんと最後まで聞き切った上で、
あ、そうなんだって思うようにしたってことなんだけど、
その返事そのものが、あいづちそのものが、すごくダメバイスに近い、
求めてませんけどっていうことなので、
はっと思いついたりしたんですね。
それに、このBCsideでも何回か喋ったことがあるけど、
知的謙虚さっていうところにもやっぱりつながるかなーって思ってて、
知的謙虚さの定義をもう一度言うと、
私は他者の意見を尊重しているか、
私は自尊心と知性を分離できているかとか、
相手の意見を聞いた上で、自分の意見を修正する意思があるかとか、
そういうことが要素としてあるんだけれど、
そういうものを持ってる持ってないで多分変わるよね。
そういう聞く姿勢、聞き切る姿勢みたいなのって関わってくるなーと思うので、
私が日頃気をつけていることですっていう。
聞き切る姿勢の重要性
MISAKI
なんか、冒頭の話聞いてさ、この前のさ、
お前らしくないじゃんみたいな、
MAYO
そうそうそう。
MISAKI
その時の反応にも似てるなーなんて。
MAYO
そうなの。
相槌って一見、助言でもなんでもないんだけど、
でも分かるとかって賛同というか賛意じゃないですか。
その賛意求めてませんっていう意味では、
ちょっとダメバイスの一種でもあるのかなーと思って。
MISAKI
本当、人のこと言えないからあれなんだけどさ、
相槌にさ、そこまで意思を持ってないっていうかさ。
気をつけようと思った。
リズムを、会話のリズムとか、
会話全体のリズムを崩さないために、
分かってもないのに、分かるとか言っちゃう時あるかも。
MAYO
あるよね。特に女子トークあるよね。
あるよねー。
私も覚えがあるので、なんでさっきから全然強く言えないんですけど、
気をつけようと思ってる。
MISAKI
聞き切るか。
できてるのかな?できてない気もするな。
聞き切るって、
私難しいなって思ったのが、
聞き切って理解したつもりなんだけど、
結局自分の意見に寄せちゃうみたいな。
あってさ、指摘されてさ。
MAYO
指摘されたことあるんだ?
MISAKI
うん、その時はすごく落ち込んで、
過去に何回も言われたトラウマが発動したからっていうのもあるんだけど、
またやっちゃったと思って。
難しいよね。
人の意見をそのまま齟齬なく受け入れるのがすごく難しいなっていうのを、
最近思い知ってるところ。
MAYO
齟齬なくって言うと相当ハードル高いじゃない?
だってその人と私は違うからさ、
1ミリの齟齬なく受け止めるのは難しいから、
私はこういうふうに受け取ったけど、
大体合ってる?みたいな確認作業をするだけでもまた違うかもね。
MISAKI
そうかもね。
それが即座にまた返せたらいいんだけどさ、
その時は分かった感じになっちゃうんだよね。
すごい理解できてる私って思っちゃってさ。
でもよくよく紐解いてみると、
分かってない上に結構自分の、
その意見に対して自分の意見を補完しただけだな、みたいな。
あったりするね。
MAYO
そこに自覚的であるだけでもだいぶ違うんじゃない?
相槌の賛意と影響
MISAKI
言われたから自覚するようになっただけだよね。
多分それをちゃんと言ってくれる人っていないんじゃない?あんまり。
なんか気になってても、
単純に人が離れていく、そういう人は離れていくっていうだけでさ、
あの人、ちょっと違うかもしれないと思って。
MAYO
なるほどね。
MISAKI
ありがたいよね。そういう言ってくれるっていうのはすごくありがたいなとは思った。
MAYO
愛だよね。ミサキさん愛されてるってことだよね。
MISAKI
でもそれもさ、理解できなかったんだけどね、最初は。
MAYO
そっか。
私がなんでこれを思うようになったかっていうと、
ダメバイス的相槌に気づいたかっていうと、
仕事のシーンと子育てのシーンがリンクするところがあって、
メディア業界って、結構頭の回転が早い人が多くて、
パッていったらパッて返せる人が割と多いんだよね。
MAYO
そんな気がしていて、私は少なくともそういうふうに思っていて、
まだ私が言い切ってないのにパッて言い返されることって多くて、
頭の回転早い人たちだなと思ったんだけど、
多分それが染み付いちゃってて、いざ自分が子育てするときに、
子供ってすごく当たり前なんだけど、自分の意思表示をするのに時間がかかるんだよね。
語彙だって少ないし、気持ちだって整理するのに時間がかかるし。
うんうんって聞き切るのに30分くらいかかったりするわけ。
あれも、「おかあさんといっしょ」全部終わってるけどまだ喋ってるみたいなこととかは、
往々にして、やばい、ご飯作らなきゃみたいな。
私まだちょっと残業、この後しなきゃいけないのにとか気になってると、
まだ子供が喋り切ってないのに、詰まるとこはこういうこと?みたいなふうに勝手にまとめて、
で、子供もなんか、うーん、消化不良だわ、みたいな時もあって、
なんかダメだ、良くないって思ったんだよね。
MISAKI
なるほど、そっか。
MAYO
なんかパッて返すことがすなわち良いことじゃないし、
MISAKI
優しい。超嬉しい。
MAYO
いやでもなんか、子育てにおいてはやっぱり聞き切るってすごく大事だなと思って。
聞き切った時と聞き切ってない時の子供の態度が全然違うの。
MISAKI
うーん。
MAYO
すまんと思うぐらい違くって。
だからなるべく聞き取ろう、聞き切る、聞くじゃなくて聞き切ろうと思ったんだよね。
MISAKI
だからか、なんかね、マヨさんと話しててすごく実感したのが、
ちゃんと聞き出そうと待ってくれるじゃない。
MAYO
ほんと?
MISAKI
それってすごくありがたくて、特に頭の回転がそんなに早くないというか、
普通な立場からするとね。
MAYO
ミサキさんが?
MISAKI
私が、うん。
でもさ、私すごく、
それこそ、俺子供と話してるみたいなんだけどって言われたことがあって、
だからその紐解いてあげたりとかさ、聞き切るっていう意味だよね。
だから結論から先に言ってよっていうような、
効率的な話し方を求められるのがあんまり、
すごいそれに悩まされた時期があって。
で、それが結構ね、なんだろう、プレッシャー?
もうハラスメント?
なんかその、圧力に感じてしまったことがあって、
だから私すごい、なんか1秒で話せとか、
あ、1秒じゃない、「1分で話せ」とかさ。
MAYO
あったねー。
MISAKI
あったじゃない、本とかでも。
もう苦手、嫌いと思って、効率化やだと思って。
っていうエピソードを思い出した。
MAYO
そうだったんだ。
MISAKI
余裕が、みんな時間がないのかね、余裕がないのかね。
MAYO
だと思います。
すいません、過去の自分を代表して、
今もそうなんだけど、今もバタバタしてるから、
聞き切れない時があって、
その時の消化不良感を感じると、
あ、またやっちゃったって思う。
MISAKI
あ、何かそっか、合点がいった。
話す技術も大事なんだけど、
聞く技術、
阿川佐和子さんみたいなこと言ってるけど、
MAYO
阿川佐和子さんってそういうこと言ってるんだ。
MISAKI
わかんない、ごめんね。
MAYO
本当にまた雰囲気で…
でもそんな気もするよね、確かに。
MISAKI
なんか本出されたでしょ、そういう。
MAYO
そうね、インタビューの術じゃないけどね。
MISAKI
そうそう。
人に必要なのは話す技術より、
そっちの何か心持ちなんじゃないかっていうのを、
最近書店のラインナップを見てると、
そう感じる時が結構あるよ。
MAYO
なるほど。
3部作にして1部作目から、
全然ダメバイスな話してないじゃんっていう感じがするかもしれないけど、
私の中では、
この聞き切るっていうのって結構基盤かなと思って、
1部作目にしてみました。
MISAKI
なるほど。
話す人が話す本質をつかむっていう感じかな、正しく。
MAYO
そうかも。
MISAKI
そこがたぶん握れてないと、
アドバイスの方向性もずれるから、
MAYO
ダメバイスだよねみたいな。
そうそう。
あとダメバイスしてくる人に限って聞き切ってないなっていうのもあったりするから、
いずれにしろ、基盤かなと思ってお話ししてみました。
第1部、完。
MISAKI
完。
MAYO
番組では皆様からもお悩みやエピソード、トークテーマを募集しています。
メールアドレス、bcside2@gmail.comです。
MISAKI
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた次回。