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2020-09-16 13:36

【第26夜】家族でも恋人でもない女友達の尊さ。「愛してる」より欲しいもの

今夜は、武田綾乃さんの話題の新作『愛されなくても別に』をご紹介します。主人公の大学生の女の子二人の会話と共同生活が、嫉妬するほど愛おしい!そうだった、面白い女友達さえいれば、私たち最強でいられたよね、ということを思い出します。

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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる大テーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
はい、第26夜となりました。今日のお便りをご紹介します。
東京都にお住まいのあんこさん、大学生の方からいただきました。
こんばんは、こんばんは。私は高校生のうちに読んでおけばよかったなとか、あの頃の感じ方が違うとか、あの時は号泣したのに読み返したらなぜか今は涙が出ないという経験があります。
たくさん本を読んでいらっしゃるバタやんさんに、大学生のうちに読んでおけばよかったと思う本があれば教えてください。
といただきました。ありがとうございます。
メッセージ、ピックアップするの私、若いこびいきですかね。
まあそうですね、嬉しいです。
大学生の頃に読んでおけばよかったなっていう本ね、そうですね。
私自身が今読んで、大学生の時に読んでたらよかったっていうよりは、今私が大学生だったらよかったのにって思う本はあります。
教養とか知識として知っておけばよかったなっていう意味で、これを今読んでおくといいですよっていうお勧めしたい本とかどこにないんですけど、
同世代だからこそわかる、その世代の感覚で今を生きてるからわかるっていうのはあるんじゃないかなと思っていて、
なのでリアルタイムその世代の人にぜひ読んでもらって感想を聞きたいという本は何冊かあるんですよ。
なんとなく言ってることわかりますか?
私すごいアイミョンが好きなんですけど、彼女の書く歌詞はすごいなって思っていて、
でも今自分自身は片思いの彼がいるとか、別れたばっかりの恋人がいたとか、
そういう歌詞の世界の現役ではないので、すごいわかるみたいな気持ちには残念ながら慣れないんですよね。
なんかちょっと客観的になっちゃうというか、分析的になってしまうというかね、
例えば空の青さを知る人だっけとか、マジですごい天才的な歌詞だなと思うんですけど、
全然好きじゃなかったホラー映画をさ、恋人と家なのかな見ててキスをしたらキャラメルの味がしたっていうのは、
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キャラメルのポップコーンなのかキャラメルラテなのかわからないけれども、
今は隣にはいなくてみたいなそういう、これは映画館じゃなくてどっちかの家でネットフリックスとかで見てるのか、
もしかしたらテレビじゃなくてパソコンで見てるのかもしれないとか、
今その25歳のこの恋愛のリアルってどんな感じなんだろうなとか、
どんどん分析的になってしまう自分がいて悲しいというお話です。
アイミョンと同世代に生まれたかったなぁと思ったり、
私の高校生大学生ぐらいの時はアムロナミエちゃんが前世紀小室ファミリーの時代なので、
あんまり歌詞に自分を重ね合わせるような曲ではなかったですし、
黒肌にして焼いてアムロちゃんになるか、白肌の広瀬良子で行くかみたいな2択しかなくて、
2択しかないっていうのは言い過ぎかな。
でもどっちも違う感じだった私とか、
アイミョンさんみたいな人が同世代だったらもっと楽に生きられたかもしれないと思ったりするわけです。
ちょっと話が本から逸れちゃいましたけど、
現役には現役にしかわからない空気感というのがあって、
それをあんこさんには大事に感じ取ってもらいたいなというお話です。
そして今日ご紹介する勝手に貸し出しカードは、
武田彩乃さんの新刊愛されなくても別にという小説にしました。
こちらは大学生2人の女の子が主人公の物語です。
2人とも同じコンビニでバイトをしていて、
1人が宮田ヒーローちゃん。
母親と2人暮らしで学費を稼ぎながら家にもお金を入れないっていう状況で、
もう1人は江永みやび。
彼女も両親は離婚していて生活費もバイトで稼いでるって感じで、
父親が犯罪者という噂もあるみたいな子なんですね。
この小説を読んだ社内の男性が、
普段あまり僕たちが接することのない貧困のっていうか、
若者のリアルな世界が垣間見えて面白かったみたいな感想を言ってたんですけど、
私はそうはあまり思わなかったっていう話をしたいと思います。
ちょっと後半に続きます。
愛されなくても別にという小説は、
お金もない、友達もいない、身寄りもない、
家族はいるんですけど頼れる感じではなくて、
バイトしかしてなくて、
議外とか将来の夢とかも特になさそうな感じの若い2人の女の子の話ではあるけど、
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底辺ということでもない気もしますし、
それが普通なんじゃないかなと思いました。
バイトばっかりしてて、でもずっとお金はなくて、
家族とはうまくいってなくて、夢とかなくてみたいなのって、
大学生の多かれ少なかれ、そういう人が多いんじゃないかなと思いますね。
でも圧倒的にこの小説が新しいなと思ったのは、
女の子2人がお互いがお互いを救うっていう話なんですよ。
女バディモノとか言ってしまうとちょっとチンプな気もしますけれども、
愛されなくても別にというタイトルは、
別に何なのか、別に何があればいいのかっていう話ですね。
この小説は。
宮田ちゃんは母親から愛してるよって何度も言われるの。
その母親は男を家に連れ込んだのを見ちゃったことがあったりとか、
なんなら娘のお金をちょっと盗んでるんじゃないかみたいな疑惑もあったりして、
でも愛してるよって母親から言われてしまうと、
彼女は何も言えなくなってしまうんですよね。
宮田ちゃんは家を出てミヤビーと一緒に住み始めるんだけど、
ちょっと奇抜な格好した変わり者のミヤビーといることによって、
宮田は自分を取り戻していくというか、
自分の狂気を開ける人に出会えたんだなっていう感じがするんですよ、この小説。
ちょっと話がそれますけど、
少し前に作家の山内真理子さんにインタビューをさせていただいたんですね。
まだこれから見漏れにそのインタビューを掲載予定なので、
内容はあまり勝手にベラベラ喋れないですけれども、
その時にすごい印象的だったのは、山内さんはシスターフッドというか、
女同士の関係性を描きたいってずっと言ってきたんだけど、
世界は恋愛史上主義というか、恋愛物を描いてほしいと言われちゃうっていう話をチラッとされていて、
でも私はね、山内さんご自身は彼氏とか、
旦那さんとか、恋人よりも女友達、あるいは同性の誰かとの出会いによって、
自分の人格を形成されてきたと思っているっていう話をされていて、
確かにってすごい思ったんですよ。
彼氏とか夫とかも、もちろん影響はあるんですけど、
女友達あるいは女の先輩だったりとか、
仕事上で出会った人とか、そういう人の影響がでかいっていう、
この人と対話していく中で自分のいいところに気づいたり、
考え方を形成できたりしてきた部分が大きいんじゃないかなっていう気がしました。
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気が合う友達とか気心が知れた似た者同士とかってことではなくて、
人生に影響を与える同性の人生に何人か出会う誰かが、
皆さんにもいるんじゃないかなと思います。
宮火と宮田ちゃんはまさにそんな感じで、
似た者同士っていうわけじゃないんですけど、
彼女といることで自分を知れる、自分が素直になれるみたいな感じがしますね。
それがすごく羨ましいなっていう風に思える小説でした。
今日はここから紙フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
宮田はさ、木村がどういう反応したら満足だったの?
え?だってさ、正直こうなることは予想できてたじゃん。
これは主人公の宮田が知人の信仰宗教にハマっている人を救おうとして、
逆にキレられて殺されかけるっていう出来事があって、
それに対しての宮火のコメントなんですけど、
宮田は木村から感謝されたかった?
ありがとう、宮田さん。心を入れ替えるねって言ってほしかった?
そういうわけじゃないけど。
ちょっと2人の会話が続くんですよ。
宮田はやったことを責めてるわけでもないけど、どうなりたかったの?って聞いてくれていて、
それによって宮田も自分の本心に気づくみたいなくだりです。
山内真理子さんは女同士のそれ可愛い、それ私も欲しいみたいな会話を、
グルーミング的な会話っておっしゃってて面白いなって思ったんですけど、
そういうグルーミング的な会話とは違う、
心の奥底まで開くような会話ができる人と人生で何人か出会って、
それによって自分が形成されていくっていうことなのかなと思って、
さっきのはまさにそんな2人の会話だなと思いました。
恋愛や家族愛がやっぱり重視されがちですけれども、
意外と女同士、男同士もそうかな、人生にとって大きなパーツだと思いますね。
山内さんはマウンティングとかじゃない女の人2人の関係性みたいなのをたくさん描いてきていらっしゃいますけれども、
山内さんは1980年生まれなので、私にとっては同世代でわかるなって思うことがすごく多くて、
愛されなくても別にの武田彩乃さんは1992年生まれなので、
ちょっとやっぱり新しい世代の感覚の人がやってきたっていう感じがあります。
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どっちかっていうとアイミョン世代に近いですかね。
でも次の感覚の人がこうやって小説を出して話題になっているっていうことに対してとても期待感があります。
あんこさんには是非山内さんの、例えばあの子は貴族とかも女の人2人が出てくるので、
愛されなくても別に比べて読んで、どっちがどうってことでもないですけど、
ぜひ感想をお伺いしたいところですね。
今日はご質問ありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりなと出出はこんな感じで、
皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
MIMOREのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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