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2024-09-18 17:54

『ラストマイル』の示すものと、配信時代の総スピンアウト化と”関係性萌え”

今夜は映画『ラストマイル』について語るとともに、エンタメが総スピンアウト化していくこと、関係性推しの要素が強まっていく傾向について考察します。

勝手に貸出カードは、『脚本家・野木亜紀子の時代』です。

<来ると思います!>

・シェアード・ユニバースってなんだ?

・映画『ラストマイル』

<勝手に貸出カード>

脚本家・野木亜紀子の時代』著者:小田慶子、佐藤結衣、田幸和歌子、成馬零一、西森路代、藤原奈緒、横川良明



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サマリー

『ラストマイル』のエピソードでは、シェアードユニバースの概念が詳しく探求され、エンタメのスピンアウト化現象や関係性萌えの重要性について語られています。特に、映画やドラマにおけるキャラクター間の信頼関係や、それがファンに与える影響について考察されています。『ラストマイル』は、男女間の関係を恋愛に結びつけないユニークな脚本が特徴のエンターテインメント作品で、ネットショッピングの物流倉庫を舞台としたサスペンスが描かれています。社会の裏側に潜む人々の生活や倫理観が交錯し、仕事への矜持がテーマとなっています。

シェアードユニバースの概念
真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜に
ホッとできて明日が楽しみになるをテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
はい、184夜を迎えました。
今日もまた来ると思いますのコーナーからスタートします。
今日の来ると思いますは、シェアードユニバースについてです。
シェアードユニバースという名の下、すべてのエンタメは
スピンアウト化していくのではないか、というお話です。
三島ひかりさん主演の映画、ラストマイルを見てきたんですよ。
皆さんもご覧になったでしょうか。ものすごく面白かったし、
三島ひかりさんの開演がすんばらしかったわけなんですけれども、
その話はちょっと後でするとして、この映画が注目されているのは、
内容というよりは、脚本家の乃木昭子さん、監督の塚原あゆ子さん、
プロデューサーの新井潤子さんという3人が中心となり、
手がけた作品で、バンナチュラルとニュー404とクロスする
作品づくりになっています、というふうに先に言っていた、
先に宣伝していたところではないかなと思います。
映画やドラマの世界観を共有しつつ、発展させるシェアードユニバース
という言葉、今回初めて聞いたんですけれども、
あまり私、正直ピンときていなかったんですよ。
惹かれなかったのは、広告代理店とかBR会社が作ったっぽいな、
と思ったからでしょうか。
でも映画を見てみて、シェアードユニバースってこういうことか、
すごく納得がいって、どんどん力のあるエンタメは
そういう方向に行くのかもしれないと思いましたね。
シェアードユニバースの私なりの解釈は2つの視点がありまして、
スピンアウトの増加
今日はちょっとそんなことについて、
2つの視点から今後のエンタメの潮流に関する
私の持論を解説してもいいでしょうか。
まず1つ目は、みんなスピニングアウト化していくんじゃないか、
ということなんです。
映画本編が始まる前に予告編がたくさん流れますよね。
今回ラストマイルの前に見たのは、ディズニー映画
ライオンキング ムハサ シンバの父 始まりの物語とか、
モアナと伝説の海2とか、
映画 ムロイシンジ 破れざる者と ムロイシンジ 生き続ける者
踊る大捜査船のムロイさんをメインに据えて、
2部構成で順次公開するらしいんですね。
こういう公開の仕方も増えてますよね。
ジョーカー2、スパイダーマン4みたいな感じで、
ほとんどが何かの続編か、人気作のキャラクターにフィーチャーしたもの、
あるいはその後、ヒーローのその後を描くものか、
エピソード0的な、遡ってヒーローになる前を描くようなものとか、
全部がスピニングアウトじゃないって思っちゃったんですよ。
それを愛だなとか、決して批判的に私が思ったわけではなくて、
劇場映画ってそうなっていくんだろうなって、
すごく今回思ったんですよね。
もちろん、工業収入がある程度見込めるとか、
固定ファンがいるから、固定ファンって言い方なんでしょうね。
固定されてねえわって思っちゃいますね。
ファンがいるから出演者とか関係者を集結させやすいとか、
いろんな事情があるんだろうなと思いますけれども、
そもそもそうなっていく背景は、
劇場だけじゃなくて配信先が増えていることにあるんじゃないかと私は思いました。
NetflixとかHuluとかアベマTVとかそういうものを含めて、
あっちとこっちで違うものを配信しなくちゃとかってなると、
スピンアウトが増えてきますし、
新作もあっという間に新着タイムラインの向こう側へ埋もれていってしまうし、
関連作品でお客さん、視聴者を引っ張ってくるのが一番ですよね。
関連した新作を出せば、過去作のファンの方もちろんですけど、
そこから初めて入った人も前の作品を見てみようということになりますし、
私もラストマイルを見る前に、
アンナチュラルとニュー404をまんまとちょっとだけ見とこうと思ったら、
すっかり見直してしまいましたけれども、
昔ならね、レンタルビデオ屋さんに探しに行かなきゃいけなかったけど、
そしてそういう話題になってる作品はほとんどみんな借りられてるみたいな感じでね。
今はネットで検索すれば、
TVerかベマかAmazonプライムかFOBか何らかで見れますもんね。
少しお金を払えば違法アップロードじゃないやつを探せるじゃないですか。
だからこういう作り方はもっともっと増えていくんだろうなと思いました。
実際出版社にいても漫画とかライトノベルもそうなってきている傾向はあります。
ランキングの上位、大きく部数を見込める詰めるのはほとんどが何らかのキャラクターのスピンアウトだったり、
続編的なものだったり、ある時期にフィーチャーしたものだったりとかって感じで、
完全なオリジナルの新作が最初から大きな注目を集めづらくなっているのは確かかなぁと思ったりしますね。
関係性萌えの重要性
さて、エンタメ鳥流の2つ目のポイントは、関係性萌え、関係性推しの要素が強まっているというところです。
アンナチュラルで言えば、みこつとしょうじ、いちはらさとみさんといちかわみっかこさんですね。
ミュー404で言うと、いぶきとしま、あやのごうさんと星野源さんの、いわゆるバディ萌えがあるわけですよね。
ロマンスと言ったりするそうなんですが、ブラザーロマンス、兄弟愛的な信頼関係みたいな感じでしょうか。
兄弟愛とロマンスの間みたいな。
ファンの同人誌みたいなものだと、同性愛的に描かれる可能性もあるなと思いますけれども、本編ではあえてあからさまに恋愛ぽくは描かれない、2人の親密な信頼関係みたいなものですね。
それはノギーさんの脚本に限らず、いろんなドラマに昔からめちゃくちゃありますよね、萌えポイントとして。
シャーロックとかスーツとか海外ドラマで言うとそうですし、オードブルーの荒垣由里さんとか戸田エリカさんとかの箱詰めとかは典型的にそういうバディ萌えみたいな感じですけれども、
みんな大好き、もて向きは反目しあっているけれども、大事な場面では信頼と愛情が垣間見えるシーンにキュンとくるってやつですね。
そういう2人の関係性を違う作品で見せるっていう高度な技がシェアアドビュニバースだと思いました。高度なお遊びですね。ファンは踊らされますよね。
ただラストマイルはあんまりそこを露骨にはやってなかったですね。2人が画面に映っていることにおーって感じはあるけれども、海外作品だともっとファンサービス的に見せたかもしれないなって思ったりしました。
韓国ドラマだと2人の主演のラブラインを演じる2人の相性の良さをケミと言ったりしますよね。
ケミストリーのケミ、恋愛者の男女のことを言うことが多いと思いますが、ケミは2人の役柄上の関係性だけじゃなくて、
ビハインドと呼ばれる撮影、舞台裏の映像だったり、SNSでのやり取りとか、そういった俳優さん個々人としての関係性にも仲の良さにも乗えたりする、キャーキャー言ったりするっていうのがありますよね。
私は最近タイのドラマをたくさん見ていて、ちょっと韓国ドラマ昇級し中と言いますか、飽きたわけじゃないんですけど、今ちょっとタイのドラマの方に興味が入ってまして、
タイの芸能界の面白さ、興味深いポイントとして、主演の2人のケミに人気があると見ると、その同じカップリングで別のドラマを作ったりするんですよ。
スピンアウトではなくて、全く違うシチュエーションで全く違う学園ものだったり、財閥ものだったり、刑事ものだったり、カップリングで推していくっていうね。
タイの芸能界は、テレビ制作会社とかテレビ局にタレントマネジメント機能があって、俳優さんはそこに所属するみたいなんですね。
フリーの方もいらっしゃるみたいですけど、この2人が受けてるってなると、局とかテレビ制作会社が同じ2人のペアですぐドラマを作っちゃえるっていうところがあるのかなと思ったりしました。
わかんないですけどね。タイだとBLドラマ、GLドラマがすごく進んでいるわけなんで、またさらにそのカップル推しがすごいんですよ。
2人でファン見をやったり、2人でCMに出たり、グッズを作ったりするっていう。
日本は芸能事務所がバラバラにあるので、2人が人気だからといって、同じ2人を続けてキャスティングするとかってなかなか難しそうですけれども、
関係性にファンがついているという感覚は少し前よりより強くなっている気はしますね。
俳優同士、メンバー同士の仲も良さや信頼関係の先に、恋愛に近いというか同性愛的な関係性を強要するような過激な関係性推しにはやや危険性を感じるところも個人的にはありますが、
本当にプライベートかどうかもおはやわからない、ややファンサービス過剰になっていくところも感じられて、
そうするとメンバーさんとか俳優さんたちのメンタルが心配になってしまいますけどね。
仲互いをしたんじゃないかとか、いろんな憶測を生んだりして。
ユニークな脚本の魅力
さてラストマイルは三島ひかりさんと岡田まさきさんのバディものとして楽しめる部分もあります。
けど、2人は男女だけど、男女の2人を恋愛に結びつけないところがまたすごくいい脚本だなと思いました。
関係性にはいろいろあるという、突きつけられたような感じもします。
そんなエンタメ業界のあらゆる先を示したような作品でしたが、
ラストマイルはどんな話か上げていなかったので簡単にご説明します。
世界的なネットショッピングサイトの物流倉庫を舞台に起こる連続爆破事件。
大手のネットショップから届く小包みに爆弾が混じっていてという、ドキドキのサスペンスになっています。
言ってしまうとモデルはアマゾンだと思うんですが、ブラックフライデーとか大規模セールの時期になると、
倉庫で作業をする人や配達をする人たちにはめちゃくちゃ負荷がかかるわけです。
大きなお金が動く分、末端の人たちにシワ寄せがいくという、
社会の構図・筑図を大きなマーケットの裏で末端の人たちにシワ寄せがいく様子を、
今回は物流という切り口で救い取ってみせたという感じでしょうか。
社会と仕事の交錯
誰が悪ってことでもなくて、完全懲悪ではないというところが面白かったんですけど、
例えばこの映画の中で、女の子がお母さんに誕生日プレゼントのサイトで買うんですよね。
配達の人は雨の中、風の中、マンションに山盛り運び入れても、
ああ、いねえのかってなって、宅配ボックスはいっぱいで、
持ち帰る1個、届けても150円とかにしかならないっていう、
搾取する側とされる側が悪とそうじゃない人っていう、
二律対反じゃなくて、食物連鎖のように連なっているわけなんですよ。
どっちもそっち側になることがあるみたいな。
私は野読で紹介する本のほとんどをAmazonで買っていますし、
お急ぎ便を使うことも多いですし、日用品とか本だけじゃなくて、
重たいものをAmazonに限らずほぼ宅配で買っているから、
胃のあたりがヒューってなりますね。
これを聞いてくださっている皆さんも、きっと胃のあたりがヒューってなる方があるんじゃないでしょうか。
まだ見ていらっしゃらない方、もしよかったら、ぜひ劇場で見てみてください。
さてさて、この調子だと、今日は本の紹介はしないのかい?ってなっちゃいますよね。
いや、今日も勝手に貸し出しカードはお出しします。
今日の勝手に貸し出しカードは、脚本家乃木昭子の時代っていう本にしました。
これは2021年に刊行された評論本です。
逃げ恥、重犯出退、アンナチュラル、ミュー、ケモナレなどなど、
乃木さんが脚本を手掛けられたドラマについて、
リアルサウンドというメディアで、ドラマ表を執筆しているライターさん7名が書いたコラム集、評論集になっています。
当時、面白く読んだんですけども、この映画ラストマイルを見てから読むと、
さらに、このドラマにあったこの要素がラストマイルにも入ってたなぁなんていう発見がありました。
今日はこの脚本家乃木昭子の時代から紙フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
本作が従来のお仕事ドラマと一線を隠している大きな理由は、
ヒロインの成長のみを描くのではなく、あらゆる世代の働く人々の人生と仕事を描いていることにある、とあります。
これは黒木春さん主演の重犯出退について解説した章に出てくるんですけれども、
ラストマイルもまさにそういう映画でした。
基本はヒロイン三島光さん演じる船戸エレナのお仕事ドラマではあるんですけれども、
警察の人、運送会社の人、支店の人、本社の人、配達の人、それぞれにそれぞれの生活があって倫理観があって、
一生懸命働いているんだけど、それが組織とか取引先とか、社会の大きな構図の中の一つの歯車になると、そこがずれていくっていうんですかね。
何のためにやっているんだっけとか、大事なものを守らなきゃいけないものはなんだったっけっていうのを見失うことがある。
そういう話でもあるなと思いました。
仕事への矜持、近似が救われる話でもあるので、元気をもらえる感じもしましたね。
ぜひ見てみてください。
脚本家さんにフューチャーした本を私は結構好きでついつい買ってしまうんですけど、原点は何だったかなと思って、
向田久彦さんですかね、書いてらっしゃる方個人にも興味があるっていう感じになるのは、
男性の脚本家の方も好きな人は何人もいますけど、より女性の脚本家の方の方が、その人自身のパーソナリティとか考えていることに興味があるっていう感じがします。
向田久彦さんも若い頃にすごい夢中になって読んで、その大人な感じというか色っぽさに恋をしたわけなんですけれども、
最近またこういう40代とか年齢になって読み返すと、改めて繊細な表現にキュンとしたりします。
向田久彦さんについてもちょっとどっかでお話ししたいなと思ったりしました。
さて2回連続してちょっとお便りをご紹介できなかったです。
次回はお便りにお応えして貸し出しカードをお出ししたいと思っています。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
さて今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室ではリスナーの皆さんからのお便りをもとに、おすすめの本や漫画を紹介しています。
インスタグラムまた読むからメッセージをお寄せください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみー。
17:54

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