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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第65回を迎えました。累計の再生回数が30万回を突破いたしました。
パチパチありがとうございます。
ポッドキャストランキングにも入るようになってきまして、どこから見つけてくださったんでしょうね。
たくさんの方に聞いていただいて、たくさんの人に向かって配信しているというよりは、図書室で隣に座った人が趣味が合いそうだったから話しかけている、みたいな気持ちでしゃべっています。
声を張らないっていうか、ささやき声なのも図書室だからです。
さてさて、今夜のお便りをご紹介します。
ペンネームたけのこさんからいただきました。
パトヤンさんこんにちは。
週の真ん中の水曜日が前はあまり好きではありませんでしたが、パトヤンさんのおかげで好きな曜日になりました。
ありがとうございます。
私はしばらくお付き合いしている人がいなかったのですが、最近仕事や趣味を通じて人と会う機会が増えてきました。
でも好きってなんだっけなと考え込んでしまい、なかなか前の自分のように人のことを好きになれません。
何か恋愛に前向きになれる本があれば教えていただきたいですといただきました。
リクエストありがとうございます。
人を好きになるってどういう感じだっけって、忘れますよね。
なんかデニムが好きとか、ポテトチップスのなんとか味が好きとかはすぐ思い出せるのに。
人を好きになる感覚って、ちょっと間が空くと結構時間がかかる気がします。
今日の勝手に貸し出しカードは、本村ひろしさんの歌集、シンジゲートにしました。
この本はですね、歌人の本村ひろしさんが31年前に慈悲出版で出版した単歌集で、ボロシのデビュー作なんですね。
それがこの度、つい最近真相版で出版されたということで、先日見漏れでも本村さんにインタビューをさせていただきました。
こんなふうに本をいろんなところで紹介していると、誰が一番好きなんですかとか、
どの作家さんの文章が一番好きですかとか聞かれることがあるんですけど、
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いつも私は誰が一番とは言いがたいですねとかってはぐらかしてしまうんですけど、
昔からすっごく好きで、この人と結婚したいと思ったのは本村ひろしさんだけですね。
このポッドキャストの第1回も本村ひろしさんのダンカニューも紹介していたんですね。
匂わせじゃないや、こういうのなんて言うんだろう、バレバレっていうやつですね。
インタビューの人生なんかであまりこうしこんどうしないタイプではあって、
この人好きだから会ってみたいからとか、もしすごい本当はファンだったとしても、
ファンなんですとご本人に言ったことはないかもしれないですね。
タレントさんとか俳優さんとか作家さんにお会いしたこともたくさんあるんですけど、
すごい好きなんですよとか、自分がどう思ってたかとかあまり言ったことはないんですけど、
今回はバリバリこうしこんどうしてブッキングしていただいたというか、
高校生、大学生ぐらいの頃かな、20年ちょっと前に本村さんの歌やエッセイにキュンとしていた頃を
お話を伺いながらすごく思い出しました。
今日はそんな真珠芸と一緒に皆さんと読みながら胸キュンを取り戻す練習をしていきたいと思います。
真相版じゃないオリジナルの方の真珠芸ともちろん思っていたんですけど、
でも社会人になってからどうだろう、読み返した、何度も読んだみたいなものではなかったし、
今回インタビューのために読み返してゼロから読む感じかなと思ったら、
結構覚えてる歌があったんですよね。
例えばちょっと覚えていた歌を読みますね。
持ってるの、私が誰かわかってる。
ブーフーウーのウーじゃないかな。
ブーフーウーのウーじゃないかなってめっちゃいいですよね。
同じページに乾燥機のドラムの中に教養のシャツもある。
音聞きつつ眠る。
乾燥機のドラムの中に教養のシャツもある。
音聞きつつ眠る。
同棲しているのか、どっちかの家に転がり込んでいるのか、
酔ってるの、私が誰かわかってるっていうのも何だろう、
レストランとかで言ってるっていうよりは、
同棲してる、あるいは狭い部屋で一緒にいて、酔ってるのって聞いてるって感じがしますよね。
そういう経験があるわけじゃないんですけど、これ好きだなって思って、
でもこれも一語一句覚えてるっていうのがいっぱいありまして、
高校生とか大学生の頃に聞いていた歌って、歌謡曲の方の歌って、
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歌詞を一番も二番も鮮明に覚えてるじゃないですか、サビだけじゃなくて。
それと似てるなと思ったんですけど、
最近の曲は全然覚えられないとかってよく言うけど、
それは最近の曲の歌詞が昔に比べて劣ってるってことではなくて、
そちらの吸収力があの頃と違うっていうことなんじゃないかなと思ったりします。
一語一語舐めるように聞いていた、これは私のことだ、これはあの先輩のことだと、みたいな感じでね。
レンタルショップで借りてきて歌詞をノートに書き写したりしてましたからね。
それは今はメールとか返しながらスポティファイで流しっぱなしみたいな感じなんで、
覚えないよねって思ったりして。
小倉さんのインタビューの時に、若い頃の自分の歌を見て恥ずかしいとか書き直したいとか思うことあると思うんですけど、
書き直さなかったのはどうしてですかって聞いたら、こうおっしゃってたんですよ。
それは三森のインタビューにも書いてあるから言って大丈夫だと思うんですけど、
ベテランの歌手が往年のヒットナンバーを歌う時に変な節をつけて歌うじゃない、
ああなるのが嫌だっていうようなことをおっしゃっていた。
そういう人の記憶と歌がセットになっているから、
それを歌い手と言っても勝手に変えちゃいけないんじゃないかみたいなことをおっしゃっていてね、
本当その通りだなと思ったんですよ。
あるじゃないですか、昔すごく楽しみに見てたドラマの主題歌とかを、
歌番組のスペシャルでご本人登場みたいな感じで久しぶりに歌ってくれると思ったら、
なんかすごいねちっこく歌われて、あれなんか違うってなることありますよね。
あとキーが低いとかね、
お互い歳をとっていますから、キーも下げるよねって思うけど、
聞くといろいろ蘇ってくるものがありますよね。
シンジゲートの中で受話器に紙がかかっているみたいな描写があるんですけど、
受話器っていうこと自体も懐かしいし、
受話器ってグルグルしたコードがあるから、
そこに女の人の髪がたぶん乗っかってて、
それがはらりと落ちるってことなんだと思うんですけど、
スマホだとね、そのグルグルしたコードもないから、
そこに髪が引っかかるっていうこともないですね。
なんかそんなアイテムとともに、
昔の感情とか電話をかけるドキドキする感じとか思い出したりしますね。
今日はそんなシンジゲートから、私が一番好きな単歌をご紹介したいと思います。
シューバスに二人は眠る紫の織り増すランプに取り囲まれて。
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こちらでした。
シューバスに二人で乗るっていうシチュエーションがもう最近トントンないですけどね。
タクシー乗っちゃうかって感じですけど、
でもこのバスはこのままどっかに行っちゃいそうじゃないですか。
織り増すランプに取り囲まれて、
二人しかたぶん乗ってなくて、
後ろの席とかでね、そのまま銀河鉄道3・9的な感じで。
という懐かしさもあるし、
紫のランプが糸を引くようにネオンみたいに光っていて、
夜遊びの夜にカケルが流れてきそうな、
そういうボカロPV的な今っぽさも感じますね。不思議です。
この本の中の好きな歌と覚えてた歌に付箋を貼ってみたりしたんですけど、
これがなんで好きだったのか覚え出せない単歌がある一方で、
今見るとわかるってなるものもあったりして、
自分のキュンの筋肉の感覚を取り戻すトレーニングみたいな、そんな感じがしました。
ぜひやってみてください。
今日はリクエストありがとうございました。
たくさんの出会いがあるという竹の子さんに素敵な出会いがありますように。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室はこんな感じで、
皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
ミモレのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。