カナダ学会で発表した子どもの高山病研究
山ドクターの北杜らいふ、国際山岳医のペコマです。 北杜市明の町に住む北杜診療所医師のペコマが、登山の魅力、応急処置のヒント、健康の秘訣など、楽しく真面目にお伝えします。
この番組は、社会福祉法人緑寺会北杜診療所の提供でお送りします。 こんにちは、ペコマです。
先週、「研究とは何ぞや?」みたいな話をしてきたんですよ。 研究っていうのは、人類の知識の積み重ねで、それがまとまっている教科書とかっていうのは、非常に信用に至るものだよっていう、一般の、なんかね、一人の人の思いを綴った本とかとは全然違う信頼度があります、みたいな話をさせていただいたんですけれども。
というのも、カナダで学会の発表をしてきたからっていうことで、そういう話をしたんですけれども、せっかくだからね、じゃあ僕がカナダの学会でどんな発表をしたのかっていう話をちょっとだけするとともに、実はやったのはね、子どもの鉱山病についての話なんで、本当に子どもを高山、富士山とかに連れて行きたい人に対するアドバイスみたいな感じの内容のことを話せればいいかなって思っています。
学会で発表した内容は何かっていうと、うちの子が2歳の時にペルーの5000メートルぐらいの山に登っているんですね。
その時の観察から生じた、子どもの鉱山病への診断の仕方に対するアイディアみたいな話をしたんです。
子ども向けレイク・ルイス・スコアの限界
鉱山病の診断ってどうやってやるかっていうと、レイクルイズスコアっていうスコアリングする得点をつけるやり方があるんです。
頭が痛いですかとか、吐き気がしますかとか、疲れてますかとか、ふらつきますかみたいな質問に対して、0から3点で点数つけてみたいなものがあるんですよ。
その合計得点が何点以上だと鉱山病ですみたいなものがあって、それに基づいてあなたは鉱山病ですね、あなたは鉱山病じゃないですねみたいに診断できるようになってるんですけど、
子どもの場合ってそうはいかないじゃないですか。特に2歳とかだと、頭が痛いですかって聞いても答えてくれない。僕は頭が痛いですとは答えてくれないんですよ。
だから困っちゃうよねっていう話で、それを代用するためにチルドレンズレイクルイズスコアって言われている子どものためのスコアリングのやり方っていうのも一応決まってるんですね。
それどうやって決まってるかっていうと、ファシネスって言って、機嫌の悪さっていう特点があるんですよ。機嫌の悪さっていうところがすごい高得点っていうか、得点の幅が非常に広くて、他に食欲とか普段どおり遊んでるかとかそういうところにチェックしていくんですけれども、
機嫌の悪さって何っていう話で、それって結構主観的じゃないですか。その機嫌の悪さポイントが高いと思う。それで抗酸病ってなっちゃうんですけど、今回の発表においては、スコアリング上は抗酸病っていうふうに診断されるにもかかわらず、抗酸病じゃないと判断した比っていうのがあったりするんですけれども、
それは実際どういうふうに判断したのかみたいなことをお話ししたんですね。結論めいた一番重要なメッセージとしては、スコアだけを見るんじゃない、子どもを見るんだっていうのが、テイクホームメッセージとして一番伝えたかったことなんですけれども、つまりそのスコアリングの方法はあるんです。
そのスコアリングの方法にのっとって、抗酸病かそうじゃないかっていうのを見極めることができることにはなっている。
なので、もし小さい子どもを連れて行きたい、富士山とかに行きたいっていうんであれば、そのスコアリングの方法をネットで調べれば普通に出てくるので、それにのっとって点数をつけるっていうのはとても有効なことだと思います。
なので、第一ステップとしてそれを調べるっていうのはとてもいいですね。
小さい子を富士山とかに連れて行きたいなと思っている人は、チルドレンズレイクルイズスコアとか、調べればすぐ出てくると思いますので、それで点数をつけてみるっていうことをちょっとトライしてみていただくのがいいかと思います。
ただ今回言いたかったのは、そのスコアだけに惑わされないでねっていう話をメインでしてきたんですね。
なので、後半に関しては、じゃあスコアリングじゃなくて何を見るべきなのっていう話をしていこうかなと思います。
その前に1曲お聴きください。
勇気100%。
はい、いかがでしょうか。
うちの子ね、今4歳なんだけど、この曲大好きでね、なんかいつも歌っててね、こっちもね励まされる感じですね。
登山の時とかも良さそうですよね。これ聴きながら登ってたらね。でもちょっとスピードが上がりすぎて鉱山病になりやすいかな。
鉱山病にならないためにはゆっくり登るのが重要なんでね。
もっと落ち着いた曲を聴きながら登るのがいいかもしれないですけどね。
今日はね、子供を高い場所、富士山とかに連れて行くときにどうやってその鉱山病かどうか見極めようかみたいな話をしていて、
前半で話したのは、チルドレンズ・レイク・ルイズ・スコアっていう鉱山病を診断するためのツールがあるんで、それを調べてみてくださいっていう話をしたんですね。
なんだけれども、そこに含まれている点数の付け方が大部分が期限の良さっていうところで診断ついちゃうっていう感じなんですよ。
スコア以外に見るべき子どもの変化
期限の良さなんて結構もう主観的でね、そんなのさじ加減一つでどうにでもなるっていう話で。
で、その期限が悪いっていうのはいろんな理由があるじゃないですか。
当然鉱山病で期限が悪いのかもしれないけれども、なんかどっか痛いところがあって期限が悪いのかもしれないし、なんか怖かったり寂しかったりして期限が悪いのかもしれないし、お腹空いて期限が悪いのかもしれないし、そもそも2歳児なんてそんなもんだっていうね。
よくわからないけど期限が悪いなんてこともあるわけで、体としても鉱山病だから期限が悪いのかどうかってやっぱり難しいんですよね。
にもかかわらずそのスコアリングではもう期限の悪さっていうところで非常に大きな点数になってきて鉱山病という診断になっていくというところです。
じゃあそのスコアリング自体はやるのはいいんだけど、本当の行動、鉱山病だから降りようって判断するのか、いやいやいけるでしょって判断するのかっていうのはそのスコアだけじゃやっぱり難しいよね。
っていうところでじゃあ何を見るかっていうと、まず一番大事なのは普段と違うのかどうかだと思うんですよね。
普段から機嫌が悪い子だったら機嫌が悪いことは普段通りなわけですよ。
なのでこの子は普段と違いそうだなっていう感覚がとても大事だと思います。
そしてその感覚を持っているのはやっぱり親とかしかいないと思うんですよね。
で例えば僕は鉱山病の専門家です、だから一緒にいたら安心ですねっていうことで、じゃあ僕は確かにスコアリングはできるかもしれない。
だけれども本当にこの子がいつもと違うのかどうかっていうのは僕には分からないわけですよ。
だから普段一緒にいる親から見て、この子は機嫌は今はいいけど普段とは様子が違う、機嫌は悪いけどこんなのいつも通りだよ、その感覚の方が重要なんじゃないかなと思います。
客観的指標とレッドフラッグ
それが一つ。
もう一つは良くなっているのか悪くなっているのか、これも重要ですね。
そのスコアリングっていうのはその時点の点は取ることができます。
ただ今良くなりつつあるとか今悪くなりつつあるみたいなことはそのスコアには反映されないわけですよ。
今は多少機嫌悪かったりちょっと調子悪そうだけど何時間か前よりは遥かに良くなってるよとか、
昨日と比べたら全然いいよっていうんだったら多分いいんだと思うんですよ。
良くなっていく気がしますよね。
逆に今の調子は同じくらいだとしても昨日と比べるとすごい悪いんだったらここから悪くなっていきそうだからやっぱりちょっと評価変わるべきですよね。
だから良くなってきているのかそれとも悪くなってきているのかっていうのもとても重要な点です。
あとはそういう機嫌の悪さみたいなね、
主観的なものだけじゃなくてちゃんと客観的な動脈血酸素フォワードって言って指にクリップつけると数字出たりするのあるじゃないですか。
ああいう数字だったりとか別にあれだけを信頼するわけにはいかないんですけれども、
そういうのも自分の行動のサポートにはなりますよね。
そういう客観的な指標っていうのを利用する。
呼吸数がいくつだろうとか心拍数いくつだろうみたいな。
一般の人はそれ測ってもなかなかわかんないかもしれないですけれども、
それをもとに医療従事者に相談するとかできると思うんで、そういう客観的指標っていうのもちゃんと使うべきですよね。
なんとなく危険が悪いんですとかっていうだけじゃなくてね、客観的な指標も使う。
あとは最後これは当たり前かもしれないですけれども、
レッドフラッグって言って本当に緊急な何か指標症状はないのかどうか。
いくら機嫌が良かったりとか客観的な数字の問題なかったりとかしても、これはダメでしょっていうものは見逃したらダメですね。
例えば意識状態が悪い。
なんかもう頭に問題が出てきちゃってるとか、チアノーゼってもうなんか青白くなってきちゃってるとかね。
四つの観察点で登山継続を判断する
そういう本当に緊急な問題っていうのが今現に起きてないかどうかっていうのは当然見逃しちゃいけないですけれども。
今言った4つ言ったんですよね。
普段と違うかどうかっていう話と、良くなってるか悪くなってるかっていう話。
それから客観的指標はどうなのか。
それからもはや深刻な問題が出てるってことはないか。
この4つとそのスコアリングを合わせて総合的に判断して、行動続けようとかそれとも停滞しよう、降りようみたいな判断をすれば、かなり正確に安全に子どもを高い場所に連れて行けるんじゃないかなと思います。
ということで、今日は僕が学会カナダで発表してきた内容をちょっと優しく、一般の人でも子どもを富士山に連れて行ったりするときにどういうことを考えたらいいのかなみたいなことをお伝えできればいいかなと思ってお話ししてきました。
それではまた次回の山ドクターの北斗ライフでお会いしましょう。
山ドクターの北斗ライフ。
この番組は、社会福祉法人緑寺会、北斗診療所の提供でお送りしました。