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快食ボイス807・グルメ情報を35年をやってきて、口のないAIには負けられない
2026-06-06 13:51

快食ボイス807・グルメ情報を35年をやってきて、口のないAIには負けられない

10年以上続く人はほとんどいない

広島の飲食シーン、グルメ情報発信の世界を、僕は35年近く見てきた。
だが、10年以上続いている人はほとんどいない。
個人ブログの時代、食べログの時代、Twitterの時代、そして今のInstagramを中心としたグルメインフルエンサーの時代。
プラットフォームが変わるたびに、顔ぶれが入れ替わってきた。
でもやっていることは、本質的にまったく変わっていない。
「この店はこういう店です」という場所の情報を打ち続けるだけだ。

これはグルメ情報に限らず、情報発信全般に共通する構造だと思っているが、飲食の世界ではそれが特に顕著だ。
なぜ続かないのか。
理由は単純で、場所の情報だけを発信していれば、それは誰かに代替される。
訪れた人なら誰でも同じ情報が得られるし、より多くの人が訪れれば訪れるほど情報は分散していく。
個人が場所の情報を蓄積する構造は、もともと弱い。

プラットフォームが変わるのは、言い換えれば主戦場が変わるだけだ。
個人ブログで積み上げた人が食べログに移り、そこで積み上げた人がInstagramに移る。
毎回リセットされて、毎回また場所の情報を打ち始める。
その繰り返しだ。
中身が変わっていないのだから、同じことが起き続けるのは当然だ。
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AIがその仕組みを加速させている

これをいま加速度的に進めているのがAIだ。
いまのAIにたとえば「広島でこういう雰囲気の店を教えて」と聞いても、トンチンカンな答えしか返ってこない。
使い物にならないが、AIが使われ始めてまだ3年経っていない。
その進化の速さを考えれば、3年から遅くとも5年以内に「広島グルメAI」的なものが実用レベルに達するだろうというのが僕の感覚だ。

その学習データはどこから来るか。
Googleマップであり、食べログであり、Instagramであり、個人ブログだ。
構造化されたデータが整っているGoogleマップや食べログは、AIが最も食べやすい形になっている。Googleがすでに口コミをAIで要約して出してきているのは当然で、Geminiを開発しているGoogleが自社サービスのデータをAIに食わせないわけがない。
これはGoogleに限らない。
プラットフォーマーはみな同じ方向に動いている。

個人ブログもnoteも同じだ。
丁寧に積み上げた情報は、プラットフォームの規約上、AI学習に使われることを許諾している。
情報を蓄積すればするほど、結果としてAIの学習データになっていく。
この快食ボイスも例外ではない。
ただ僕はそれでいい、むしろ食べてもらって構わないという感覚で話をしている。

Instagramは画像中心だからテキストとしては薄いが、メタが運営している以上、画像そのものがAI学習に使われている。
どこに積み上げても、同じことだ。
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代替されない部分はどこか

ではAIに食われないものは何か。
それは自分なりの解釈と、それを支える知識の重ね合わせだ。
この店の料理を、食文化の文脈の中でどう位置づけるか。
この一皿に、どんな歴史や技術的背景が重なっているか。
体感として、その料理を受け取った経験から何が言えるか。
AIには体がない。
食べることができない。
そこだけは、今のところ代替できていない。

たとえば僕がある料理を食べて「これはあの時代のあの技法が変形したものだ」と気づくとき、その気づきの背景には、これまで食べてきたものや読んできたものや、料理人から聞いた話が全部重なっている。
それは僕の中にしかない情報だ。
AIはその情報をどこかから集めることはできても、その集め方は僕とは根本的に違う。
身体知の記憶と、テキストから抽出したデータは、同じ情報ではない。

税理士や公認会計士がAIに置き換えられると言われて久しいが、トップレベルの人間は残る。
法の趣旨や、税務調査のギリギリのラインの感覚、将来的な動向の読みは、AIには出せない。

イラストも音楽も同じ構造だ。
ボトムレベルの仕事はAIに食われる。
だが上位に入っている人間はしばらく大丈夫だろう。
グルメ情報の世界でも、まったく同じことが起きていると思う。

フリーランス向けのマッチングサービスが軒並みやられているのも、同じ理由だ。
代替できない仕事をやっているフリーランスは生き残る。
AIに代替されやすいものをやっていれば、やられる。
シンプルな話だが、自分が今どちら側にいるかを正確に把握することは結構難しい。
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それでも戦い続ける

フォロワーが増えているのに影響力が落ちている。
そういう状況が徐々に見えてきた。
フォロワー数は増え続けているが、実際の集客効果や店との関係性は薄まっていく。
AIがさらに賢くなれば、この傾向は一層進む。

情報を出せば出すほどAIの餌になる。
それは分かっている。
でも別に悲観しているわけではない。
あらゆる分野で同じことが起きているのだから、グルメ情報だけが特別に悲惨な話ではない。
問題は、その構造の中でどう立ち位置を取るかだ。
動画にするとか、速さで勝負するとか、そういうことも考えられる。
でも多分、それも全部AIにやられる。
突き詰めれば、AIに食べられない情報を出し続けるしかない。

AIには口がない。
おいしいものを食べて感じることができない。
長年、情報発信してきた人間として、口のない奴に負けるわけにはいかない。
勝てないかもしれないけれど、僕は戦い続けるつもりだ。
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