「スペンス」は、人の名前でした。
「おっぱいのGスポット」として紹介されることのあるスペンス乳腺。この名前は、19世紀の外科医ジェームズ・スペンスに由来します。そして、その実体とされてきた「脇へ続く脂肪の尾」を、2022年にアメリカの研究チームが336人の体で探したところ、1人も見つかりませんでした。
ただし「そんな名前は存在しない」も言いすぎです。用語そのものは、現行の国際解剖学用語集にいまも載っています。名前の話と、実体の話と、性感帯の話。混ざりやすい三つを、順番に分けていきます。
- ✅ 「スペンス」は19世紀の外科医の名前で、もともと性感帯を指す言葉ではないこと
- ✅ 用語は現行の国際解剖学用語集(Terminologia Anatomica 第2版・2019)に実在するが、意味は「乳腺が腋窩へ突き出した部分」で、性感帯の定義ではないこと
- ✅ 実体とされてきた「脇へ続く脂肪の尾」は336人を調べて1人も確認できず、用語の廃止が提案されている(まだ提案の段階)こと
- ✅ そこを性感帯として刺激し、興奮やオーガズムを測った査読研究は見当たらないこと
- ✅ それでも、脇の下に乳腺組織がある方はいて、リンパの流れも否定されていないこと
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参考文献・関連リンク
今回のエピソードで参考にした研究です。海外のもので、日本の数字ではありません。
- There Is No "Axillary Tail": Rethinking the Assumption of James Spence (2022) — Plastic and Reconstructive Surgery Global Open。米国・336名(手術患者316名+研究参加者20名)。乳房から腋窩へ連続する脂肪性の「尾」は確認できなかったと報告し、用語の廃止を提案しています。ただし提案の段階で、国際的な解剖学用語集(Terminologia Anatomica 第2版・2019)には「乳腺の腋窩突起(Axillary process/Tail of Spence)」として現在も収載されています。腋窩に乳腺組織がある方がいることや、リンパの流れについては否定していません。また、この部位を性感帯として刺激し、興奮やオーガズムを測った査読研究は、今回の調査範囲では見当たりませんでした。
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夢野アートは、夢野カナエの体験と、性科学・セクシャルウェルネスの知識をもとに、性のお悩みや快感の仕組みを明るくわかりやすく発信するブログ・ポッドキャストです。
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【ご注意】
※番組内で「研究は見つかりませんでした」「文献はありません」とお伝えしている箇所は、収録時点で私たちが調べた範囲での結果です。あとから見つかることもあります。新しい情報が出たときは、番組や記事で訂正します。
本エピソードは、性に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的診断や治療を目的としたものではありません。ご紹介した研究は海外のもので、日本の数字ではありません。測定は指でのつまみ分け・キャリパー・写真によるもので、解剖や組織学で決着がついたわけではないと著者自身が述べています。
脇や胸のまわりに、しこり・痛み・皮膚の変化など、気になる状態が続くときは、ひとりで判断せず、医療機関にご相談ください。
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