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2026/10/05 湧き水のほとり #136 牧野富太郎 「アケビ」
2026-10-10 14:30

2026/10/05 湧き水のほとり #136 牧野富太郎 「アケビ」

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サマリー

開運小天が牧野富太郎の「アケビ」を朗読し、アケビの果実の味や食べ方、薬用利用を紹介します。果実が熟して裂ける形から生まれた名称や、「山女」「山姫」などの呼び名、俳句・和歌での扱いにも触れます。普通のアケビとミツバアケビの違い、ミツバアケビがアケビ籠の材料になること、若芽の食用利用が説明されます。最後に、学名の属名が日本語の「アケビ」に由来することや、薬用植物としての扱いをめぐる研究上の変化が語られます。

アケビの果実と食べ方
湧き水のほとり
FM八ヶ岳をお聞きのみなさん、各種インターネットからお聞きのみなさん、ご機嫌いかがですか。開運小天です。
本日は、牧野富太郎の「アケビ」を読んでいきます。
それでは、読んでいきましょう。どうぞ。
牧野富太郎作 アケビ
野山へ行くと、アケビというものに出会う。
秋の景物のひとつで、それが秋になって一番目につくのは、食われる果実がその時期に熟するからである。
田舎の子供は栗の笑うこの自分によく山に行き、かつて見覚えおいたヤブでこれを取り、聞きとして喜び、食っている。
東京付近で言えば、蚊の。
筑波山とか高尾山とかへ行けば、その季節には必ず、山道でその地の人が山鳥のその実を売っている。
実の形が太く、色が人目をひく紫なものであるから、通る人には誰にも気がつく。
都会の人々には珍しいので、お土産に買っていく。
紫の皮の中に柔らかい白い果肉があって甘く良い味である。
だが肉中にたくさんな黒い種子があって、食う時それがすこぶる煩わしい。
中の果肉を食った後の果肥、それは厚ぼったい柔らかな皮。
この皮を捨てるのはもったいないとでも思ったのか、ところによればこれを油で炒め、それへ味をつけて食前に供する。
昨年の秋、箱根足の井の旅館木の国屋でそうして味わわせてくれた。すこぶる風流な感じがした。
名前の由来と古典文学
今日でもそうかもしらんが、今からおよそ百年ほど前にはその実の皮を薬剤として薬屋で売っていた。
それは肉太子という面白い名で。
ここで図が入ります。
そこで右のあけびの実だがその実の形は短いウリのようで、熟すると図に見るようにその厚い果肥が一方縦に開裂する。
はじめは少し開くが、のちにだんだんと広く開いてきて大いに口をあける。
その口をあけたのに向かってじーっとこれを見つめていると、にーっとせねばならぬ感じが起こってくる。
その形がいかにもウーメンのあれに似ている。
その形の相似で誰もすぐそう感じるものとみえ、とっくの昔にこのものを山女とも山姫ともいったのだ。
なお古くはこれを草かんむりにひらくと書いてあけびと称した。
すなわちその字を組み立ったひらくかいは女のあれを指したもので、
今日でも国によるとあれをおかいまたはおかいすと呼んでいる。
これはたぶん古くからの言葉であろう。
そして実は草ではなく鶴になっているかんぼくの頭本だけれど、
この植物は草であるというのでひらくの上へ草かんむりを添えたものである。
こんなあだ姿をしたこの実からはじめてあけびの名称が生まれたのだが、
このあけびはすなわちあけつびの縮ったもので、
つびとはほどと同じく女のあれの一名である。
しかし人によってあけびはあける肉あけみからきたと唱えている。
すなわちその実が裂けて中の肉をあらわすからだといい。
また人によってあけびはあくびから出た名だと言っている。
すなわちその実の裂け開いたのをあくび、口を開くにたとえたものである。
国によるとあけびをあくびと呼んでいるところがある。
なおあけびの語源についてはその他の説もあるが、
しかし上のあけみの説もあくびの説も何もまずいことはないがあまり平凡で、
かえって前のあけつびの方が趣があって面白くまた理屈にもかなっている。
その上すでに昔に草かんむりに開くの字を書いたり、
また山女、山姫の字を用いたりしたところをもってみれば、
その方の説を主張してもまんざら悪いこともなかろうと思う。
あけびをひとつにおめかずらとたたえ、
またおかめかずらと呼ぶのもけだし女に関係を持たせた名であろう。
実にのようにがんらいあけびは実の名であるが、
それがのちには植物を呼ぶようになっている。
しかし本当はその植物を指す場合にはすべからくあけびかずらというべきである。
この証拠はすでにいにしえからあったのである。
あけびの実はなかなかに風情のあるものであるから、
俳人も歌よみもみなこれをみのがさなかった。
昔のれんかにあけびを見て、
きょうをみれば山の女ぞあそびける。
野のおきなをぞやらむと思うに。
とよんでいる。
この野のおきなとはところすなわちよくやろうと書いてあるつる草の音、
ちかけえをいったものである。
またいがぐりは心よわくぞおちにける。
この山姫のえめる顔をみて。
とよめるうたの返しに、
いがぐりはきみが心にならいてや、
この山姫のえむにおつらん。
というのがある。
すなわち山姫はあけびをさしたものである。
また山女とだいして、
わすらおがつまぎにあけびさしそえてくれればかえる大原のさとのうたもある。
またはいくもかずかずあるが、
そのなかにしきのよんだのに、
ろうそうにあけびをもらういとまごいがある。
ろげつのくにあけびやぶえわれよりさきにことりかながあり、
りほのくにひよどりのいくかたみればあけびかながある。
またきはくのくにあけびずるひけばはのふるあきのはれ、
ちょういのくにやまのさちそのいちにあけびよまれけりがある。
またくちあけてはらわたみせるあけびかなというくがあった。
これはじぶんのせつぎんだがなるほどとながめいったるあけびかな。
おんなきゃくあけびのまえでよこをむき、
これはどうだとともだちにみせたら、
そりゃせんりゅうへいれたらよかろうとわらわれた。
アケビの種類と植物学的特徴
わがにほんにはふつうあけびににしゅうあって、
いまべつにあいのこのいっしゅがあれど、
いっぱんにはこれらをつうじてあけびといっている。
こんにちのしょくぶつがっかいでは、
そのなかのごようのものをたんにあけびとたたえ、
ほかのみつばのものをみつばあけびとよび、
かようにそれをにしゅにくべつしている。
みにのあけびもみつばあけびも、
しょくぶつがくじょうからいえば、
ともにそのつるがひだりまきをしているてんじょうとうほんで、
すなわちかんぼくがつるをなしたもので、
それはふじなどとどうかくである。
ははとうげつおちちり、しょうじょうふくようで、
ながきようへいをそないてごせいし、
はなはしがつごろにふさをなし、
おばなめばながおなじほじょうにさき、
はなにはむらさきいろのさんがくへんのみあってかべんはなく、
おばなにはおしべがあり、めばなにはめしべがあって、
このめばなはおばなよりかたちがおおきく、かつはなのかずがすくない。
アケビ籠と薬用植物としての扱い
かじつはみつばあけびのほうがそのかわのむらさきがびれいで、
かつかたちがおおきく、しょくようにはこのほうがよい。
しちゅうにうっているあけびのバスケットはどのあけびでつくるか、
つうじょうこれをあけびのバスケットというもんだから、
それをふつうのあけびでつくると思っているものがおおかろう。
しょくぶつせんもんのはくしでさえそうおもいちがいをして、
これをしょもつにかいたこっけいがあった。
しかし、このバスケットをつくるあけびはまったくみつばあけびで、
ふつうのあけびはもちいない。
みつばあけびはそのくきのもとからきわめてほそながいえだがはっしゅつして、
それがじめんをはってのびているので、
それをとりきたりかわをはいでバスケットにせいする。
ふつうのあけびにはこのほそながきえだまんがでないからもんだいにならぬ。
わがくにとうほくのしょこくにてあけびといえばそこにおおいこのみつばあけびのみで、
そこではたんにあけびとたたえる。
ゆえにしゅとしてとうほくちほうからさんしゅつするそのバスケットをあけびのバスケットとよぶのもむりはない。
ふつうのあけびのめだちのくきとわかきはとをとりゆでてひたしものとししょくようにする。
これをむしかわかしおちゃにしていんようする。
やましろのくらまやまのめいぶつなるひのめづけは、
このわかばをすいかずらのはとまぜてつけたものである。
じゅうらいわがくにのがくしゃはわがあけびをしなのつうそういちめいもくつうにあてていた。
ゆえにあけびがやくようしょくぶつのひとつになっていた。
しかるにちかごろのけんきゅうではみぎのつうそうすなわちもくつうはあけびではないということになったので、
そこであけびがはたしてくすりになるかどうかということがわからなくなってしまった。
ここにおもしろいことは、このあけびのがくもんじょうのぞくめいをあけびや、
すなわちAKEBIA、あけびやということである。
これはむろん、日本名のあけびをもととしてつくられた、世界きょうつうのぞくめいである。
そして、そのなかのあけびをばあけびやクイナータとしょうし、
みつばあけびをばあけびやロバータとしょうする。
これはがくもんじょうのつうしょうで、このなであれば世界じゅうのがくしゃにはだれにでもつうずる。
がくもんじょうにはどのしょくぶつにもこんなこうしょうがあってがくしゃはこれをしようしているのである。
あまりながくなるので、あけびのけんこれでうちどめ。
まきのとみたろう作あけびでした。
おおくりしましたのは、かいうんしょうてんでした。
このあとも、FMやつがたけでおたのしみください。
本日もいいあんばいにすごせますように。
またおあいしましょう。
14:30

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