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湧き水のほとり エフエム八ヶ岳をお聞きの皆さん、各種インターネットからお聞きの皆さん、
ご機嫌いかがですか。開運小天です。 ここからの15分間は、聞く読書の番組
湧き水のほとりの時間です。 児童文学や昔懐かしい物語、
さまざまな文号の短編などを、少しずつ読ませていただきます。
美味しいお水を召し上がりながら、 一息ついてくださいね。
本日は、渡邊温の作品、 「薔薇の女」を読んでいきます。
作者の渡邊温は、1902年、明治35年8月26日、 函館の西側にある北海道上磯郡で生まれました。
セメント騎士をしている父が、日本各地へ赴任するのに合わせて、
両親、そして二人の兄とともに、 何度か引っ越しをしながら幼少期を過ごしました。
慶應義塾高等部卒業後は、横水製紙が編集長を務めていた、 「新青年」という雑誌の編集助手として白文館で働き、
兄の渡邊圭介とともに、 江戸川アランポーの作品の翻訳を行ったこともありました。
出版社の都合で、江戸川アランポーの名義ではあったものの、
実際のところ、有名な「黄金虫」や「モルグガイの殺人」は、 渡辺恩の翻訳で日本へ紹介されました。
自身も推理作家としていくつかの作品を残しましたが、
主に編集者として働いており、 谷崎淳一郎のもとへ原稿の最速に訪れた帰り道、
乗っていたタクシーが踏切で貨物列車に衝突した事故により、 28歳でお亡くなりになりました。
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それでは渡辺恩の短い作品「薔薇の女」を読んでいきましょう。
どうぞ。
渡辺恩 作 薔薇の女
馬車はベラクルスへ向けて走っていた。
お客は私と商人のパリロ氏と牧場主のラメツ氏と医師のフェリラ氏と、 そしてそのほかに全く得体の知れぬ二人連れの男女が乗っていた。
男はツバヒロ帽子をまぶかにかぶり上着の衿を深く立てて、 女は長いまつげのまっ黒な眼だけを残してすっぽりと河童をかぶっている。
二人ともいかにも世をしのぶ風情である。
女の耳のあたりにはすばらしく赤い薔薇の花が一輪とめてあった。
バランカで一休みして馬車は再び走り始めた。
空は美しく谷合いの風は新鮮であった。
突然パリロ氏がその二人連れの方をめくばせしながらフェリラ氏にささやいた。
「ご存知ですか?」
「そう、夫人の方ならば。ロジータフェレスと申される公爵夫人です。
数日前、エグザの橋のあたりで二人の男が彼女のために血闘をして、その一人は死にました。」
「やれやれ。」
「して、相手はどうなりました?」
「たぶん今一緒にいる男がそうでしょう。三賊みたいな奴ですなあ。」
医師はそこでギョッとした。
医師はこの街道筋がおいはぎの倉窟だったという事実を思い出したのにちがいない。
そしてそう言われてみれば、なるほどひどく氷乾そうな体つきをしているその見知らぬ男の顔をまじまじと眺めたのであった。
と、たちまち男の顔に不吉な影が浮かんだ。
「しかし、一概に三賊などといっても、中にはなかなかギリ深い奴もいるものですよ。」
と医師はあわてて目をそらしながらそんなことを言い出した。
「たとえばあの有名なザバタスのごときですなあ。私はなんとかして彼と一度出会ってみたいものだとさえ思います。」
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すると見知らぬ男は口をはさんだ。
「ドクトル、ベラクレスへ着く前にあなたはキャッツと会うことができそうですよ。」
「それは素敵だ。」と医者はその男に言った。
「私はいろいろと彼の噂を聞いています。このあいだもプエブラの新聞にこんなことが出ていました。
なんでもザバタスがあるとき留めた馬車の中に有林公爵夫人とグアスコの草上とが乗っていたのだそうですが、そこでザバタスが一体どんなことをしたとお考えです。」
「そう。」と男は首をかしげた。ザバタスはまず草上に向って、
「坊様、あなたの良き祝福を下さいませ。」と言ったのです。
もちろん草上は彼の望むものを授けてやりました。
ザバタスはそれからそのすべての宝石を差し出している公爵夫人に対して、
いとも因縁に帽子を脱ぐとさて、
「いやいや、奥様、何卒宝石はおしまい下さい。
そして叶いますことならば、あなたのお主の花をいただかせて下さいませ。」
と言ったものです。公爵夫人はすぐにそのはなはだ優しい願いを入れられました。
でザバタスは彼女の手にキスをしたのです。
決してその指輪には触れることなく、
実にザバタスこそは紳士の手本として我々の学ぶべき人間です。
「馬鹿げた話を。」と牧場主が言った。
なぜと言ってそれからその馬車が少しばかり走り始めた時に、
山賊の一人が行き席切って駆け戻ってきたのです。
そうして公爵夫人を捕まえて、
お館があの女の指輪をもらうのを忘れたから、
改めてもらって来いと言いつけられたと言って、
とうとう指輪を奪って帰りました。
これを見てもザバタスは立派なろくでなしであることがわかるじゃありませんか。
失礼ですが。」と見知らぬ男は言った。
ザバタスは全く彼の部下のしたことを預かり知らなかったので、
やがてそれを発見するに及んで、
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その無礼感をくびり殺してしまった上、
指輪は公爵夫人へ送り返したという事実を、
なぜあなたはお考えくださらないのですか。
何ですって、そんなことをどうして君は知っているのです。
私がそいつをくびり殺したからさ。
あ、あなたがザバタスなんですか。
当人はおののき怯えて叫んだ。
いかにも私こそ彼自身です。
と見知らぬ男はようすぶっておじぎをした。
医者も牧場主もあきんども青くなって、
そうこうとして馬車から降りて行った。
そして最後に私が降りかけた時、
私はむつまじげなささやきを聞いた。
あなたはなぜあんなでたらめをおっしゃったの。
僕はお前とたった二人っきりで、
この楽しい旅がしたかったのだよ。
発出は1927年、昭和2年、
時事新報を掲載。
渡辺恩作、バラの女でした。
それでは一曲お聞きください。
開運商店作詞、スノ作曲で、
レンギ草のじゅうたん。
歌はスノです。
どうぞ。
六歳まで住んでいたのは
道路沿いの小さなお家
東側に山があって
古い大きな木が密集してた。
木にはいくつもの蔦が絡まって
その橋が下へ垂れ下がって
男の子たちはみんなたっさんごっこをしてたの。
私も混ざって一緒に遊んだ。
五連蛇ごっこをするときは
いつも私はモモレンジャー。
モモレンジャーになれるって
すごいことなんだよ。
知ってた。
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一緒に遊んだ男の子たちの名前は
覚えていないけど
あの子たちの記憶にもきっと
五連蛇のじゅうたんは
広がっているはず
ほら蜂が飛んできたから気をつけて
カラスのエンドをしびびって呼んでたよね
あれを鳴らすのうまいんだよ
もちろん葉っぱ一枚目で黄色が咲いたら
教えてあげた
お聞きいただきありがとうございました。
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お送りしましたのは海雲商店でした。
この後もFM八ヶ岳でお楽しみください。
本日もいい塩梅に過ごせますように。
またお会いしましょう。