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2026/04/13 湧き水のほとり #111 高村光太郎「美の影響力」
2026-04-18 11:16

2026/04/13 湧き水のほとり #111 高村光太郎「美の影響力」

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サマリー

この放送では、詩人であり彫刻家でもある高村光太郎の随筆「美の影響力」が紹介されます。高村は、日々の生活に追われる中で人々が忘れがちな「美」の持つ非日常的な影響力について語ります。芸術精神は、単なる娯楽や所有欲を満たすものではなく、日常生活を豊かにし、困難な状況でも乗り越える力を与えてくれると説きます。国民一人ひとりがこの芸術精神を呼び覚ますことが、現代社会において最も重要であると訴えかけています。

番組紹介と高村光太郎について
湧き水のほとり。
エフエム八ヶ岳をお聞きのみなさん。
各種インターネットからお聞きのみなさん。
ごきげんいかがですか。開運小天です。
ここからの15分間は、聞く読書の番組、
湧き水のほとりの時間です。
児童文学や、昔懐かしい物語、
さまざまな文豪の短編などを、
少しずつ読ませていただきます。
おいしいお水を召し上がりながら、
ひと息ついてくださいね。
本日は、高村光太郎が58歳の時に書いた随筆、
美の影響力を読んでいきます。
「美の影響力」本文
高村光太郎は、教科書にも掲載されていた
知恵古書の作者です。
詩があまりにも有名なため、
詩人として知られていますが、
彫刻家、画家としても多くの作品を残しています。
本日読んでいく作品は、
そんな芸術家である高村光太郎が、
日常生活を芸術の心で味わうことについて、
語っています。
聞いてください。どうぞ。
高村光太郎作、
美の影響力
非目前的なのが、美の持つ影響力の特質である。
人は毎日の生活に悩む。
毎日の生活とはすなわち、
目前処理の生活である。
人はその累積の中に埋もれて、
その生活そのものに内在する、
非目前的の一面を忘却する。
そして、やりきれない鬱跡を打ち払うために、
手っ取り早く低い娯楽や園芸物などの
爆笑とか危険感とかいうものを漁って、
一時をごまかす。
実は何にも満足が得られたのではない。
結局そういうものに馬鹿にされたような気持ちを
いつでも持っているのである。
心の底では、
馬鹿にするなと思いながら、
またつい見るのである。
見ざるを得ないほど毎日が渋く、
苦く、
乾いた目前処理の生活ばかりなのである。
人は一度美にはぐれてしまうと、
自己に内在する美意識の活動、
すなわち芸術精神そのものの存在を、
まるで捨てて帰りみず、
ただ事故以外に存在するものばかり追い求める。
芸術は物品となり、
商品となり、
そういう人たちの所有欲に応ずるように作成せしめられる。
諸が骨董の鑑賞が、
必ず価格の興味を伴うのはそのゆえである。
十万両と聞いて、
なおさら一服の諸ががよくなるのである。
値段を予想しない鑑賞に気乗り薄なのが、
諸が骨董の特性である。
純粋な芸術意識と骨董意識との差は、
そういう際どいところによく現れる。
事故に内在する美意識が活動しないから、
美に関する限り、
この世は人任せになる。
服飾の衣装は商人の手に左右され、
外情の建築は便利と思いつきとで、
勝手放題な形をとり、
広告はますます悪毒なる。
現世の目に映るもの、
耳に聞えるものが皆、
真の美とは性質を異にするもので埋められ、
しかもそれを、
美と同質のものであるかのように疑問される。
それをなんだか変だ、
とすら思わなくなる。
むしろ、どうだっていい無関心のままに、
あてがいぶちで平気でいる。
こういう状態が長く続けば、
一種の庶民的虚無主義が美満し、
迷信が力を奮い、
人心は荒れ去る。
国民各児の中に、
埋没している美意識の自主的活動を、
すなわち、
芸術精神の覚醒が、
今日の場合、
芸術界におけるどのような問題よりも緊要なのは、
それが、
国民生活の最も根本的な、
救世的意味を持っているからである。
芸術精神とは、
国民各児の外界に存在するものでなくて、
国民各児の中にあって、
毎日の目前的生活処理、
番組エンディングとメッセージ募集
そのものを、
即刻即座に、
非目前的に、
自己自ら立ち上がって、
感じ、
味わうことのできるようにさせる、
精神力なのである、
生活に苦しみ、
病に悩みながら、
その苦しみ、
悩む、
自己をもう一歩、
非目前的な世界から、
感じ、味わうことのできる境地が、
芸術の心である。
それは、
まったく生活と同一体であって、
しかも、
生活に振り回されず、
かえって生活を豊かにし、
ゆとり荒しめる、
非常な場合に、
驚き、
慌てない心を得させる、
芸術精神は、
宗教のように、
現世から解脱させるのでなく、
あくまで、
現世のままに、
見通せしめる、
味わい、
愛し、
至る所を美に化してしまうのである、
世人一般を、
この、
芸術精神覚醒に導き、
国民的美意識を、
まず、
日本国土の中に、
へんまんさせようと、
努力することが、
今日、
大切である。
あらゆる施設も、
方策も、
この方向を取らねばならぬ。
日本人は、
古来わりに、
他国人に非すれば、
芸術精神を多分に持っている民族のように思われるから、
頼まずに、
その方向をたどっていれば、
案外、
不可能でないのではないかと思われる。
あらゆる意味で、
芸術作品、
建築物、
その他を、
国民自身のものであると思わせる、
親近感に、
導く必要がある。
展覧会なども、
この建前から開催せらるべきことは、
言うまでもない。
芸術作品と、
国民とも結びつける機運を、
作り出す方策などは、
なお、
今後の緻密な研究と、
思い切った実行とも、
要する、
発出は、
1941年、
昭和16年、
文芸第9巻第2号より、
高村幸太郎作、
美の影響力、
でした。
お聞きいただき、ありがとうございました。
番組では、
皆様からのリクエストや、
感想をお待ちしております。
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お寄せいただけます。
お送りしましたのは、
開運商店でした。
この後も、
FM八ヶ岳でお楽しみください。
本日もいい塩梅に過ごせますように。
また、
お会いしましょう。
11:16

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