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さて今回はですね、お手元の資料をもとに、02 ボッティチェリの普及の名作「ヴィーナスの誕生」について深く見ていきたいと思います。
資料には基本情報から構図、色彩、それに背景にある意味までかなり詳しく書かれてますよね。
このルネサンスを代表する作品から、あなたにとって一番グッとくるポイントをね、一緒に探っていければなと。
ええ、まさに正規ルネサンスの幕開けという感じの作品ですよね。資料にもありますけど、1485年頃にテンペラでカンバスに描かれたもので。
テンペラでカンバスですか?
はい。サイズがまた172cm×278cmと結構大きいんですよ。
大きいですね。
ええ、当時のキリスト教以外のテーマとしてはかなり異例の大きさです。フィレンツェのウフィッツ美術館にありますね、今は。
なるほど。ではまず何が描かれているか、基本的なところから見ていきましょうか。やっぱり中心はヴィーナスですよね。
そうですね。
大きな貝殻の上に立ってて、神話だと海の泡から生まれたんでしたっけ?
ええ、そうです。そのキュープロストーの浜辺に流れ着く場面ですね。
で、この片足に重心をかけるポーズ、コントラポストでしたっけ?
ああ、そうです。コントラポスト。これは古代ギリシャ・ローマ彫刻の影響が見て取れますね。
古代彫刻?
ええ。ただ、ボッテチェリが目指したのは単なる写実じゃないんですよ。むしろ意図的にデフォルメして理想化された、この世のものじゃないような美そのものを描こうとしたと。
なるほど。
ヴィーナスが片手で胸を、もう一方で下腹部を覆ってますけど、これも感能性というよりは純粋さとか精神的な高貴さ、そっちを強調してるんじゃないかと資料では解釈してますね。
ああ、単に隠してるんじゃなくて意味があるんですね。精神性ですか。で、そのヴィーナスの左右にも人物がいますね。左側は…
西風の神ゼフロスですね。
ゼフロス。奥さんのクローリスと一緒に。
ええ、まあ春の女神フローラとも言われますが、抱き合って薔薇の花びらを散らしながら風を送っている。
うわあ華やかですね。
で、右側を見ると今度は季節の女神ホーラの一人が。
ホーラ。
ええ、春らしい花の刺繍が入った綺麗なローブをヴィーナスに差し出そうとしてる。
着せてあげようとしてるんですね。
そうです。この左右の人物配置が全体としてシンメトリックで調和の取れた感じを出してるんですね。安定感というか。
その構造を引き立てているのがやっぱり色彩かなと。資料でも柔らかなパステルカラーって書いてあります。
まさにその通りです。ヴィーナスの肌の色、草芸色って言うんですかね。
ええ。
あと輝くような金赤色の髪。それからホーラの衣装の白地に淡いピンクとか緑の花の刺繍。
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綺麗ですね。
背景の海も青と緑で、空も薄い水色とかピンクとか全体がこう明るくて温かみがあってちょっと夢みたいな雰囲気じゃないですか。
確かに。なんかこう強い影とかはあまりない感じですね。
そうなんです。光と影の対比はかなり控えめですね。それがまた幻想的な効果を高めてる。
肌のあの滑らかな感じとか髪の毛の繊細な描写とか衣装も軽やかそうで質感の表現もすごいですよね。
ええ。テンペラでこれを得らく技術本当に驚異的です。
で、この絵画にはやっぱりルネサンスの人文主義。
ああヒューマニズム。
はい。つまり古代ギリシャローマの文化とか美学をもう一度見直そうという時代の空気がすごく色濃く出てますね。
資料によると依頼主はメディチケの人ロレンソディ・ピエル・フランチェスコじゃないかと考えられてるみたいです。
やっぱりメディチケ。当時のフィレンツェではこういう古代神話を通して美とか愛とか知性とかそういう理想を表現するのが流行ってたんですか。
ええそうみたいですね。
なるほど。単に神話を描いただけじゃなくてそういう時代の知的な背景もあるわけですね。
でもちょっと気になるのは資料にもありますがこのビーナスの姿っていくら精神性を強調しているとはいえ当時のキリスト教が中心の世界から見たらかなり大胆じゃないですか。
異教の神様をしかも等身大以上の裸で描くっていうのはその辺の緊張感みたいなものはどうなんでしょう。
いやそれは非常に重要なポイントですね。まさにそこにこの絵の革新性と複雑さがあるんですよ。
一方でその古代文化への憧れとか理想化された美しい絵の純粋な探求がある。
でも他方でそれが当時の宗教的な価値観とどう折り合いをつけるのかあるいは対立するのかっていう問題意識もあったはずです。
ボッチセリ自身あの後年はサボナローラの影響で作風がかまったとも言われますしね。
ああそうなんですか。
だから彼の他の多くの異教的な神話画が失われてしまった中でこのビーナスの誕生が現存していること自体がある意味奇跡的でそれがまたこの作品の価値を高めてるんですよね。
なるほど。単に美しいだけじゃなくてそういう時代の葛藤みたいなものも背景にあると。
ボッチテリのあのプリマヴェーラ、春と並んで有名なこの作品。技術もそうですし象徴的な意味合い、構成への影響力、どれをとってもルネッサンス美術の頂点の一つと言われる理由が資料を読んでみてよくわかりました。
そうですね。この作品が追求したのは単なる神話のストーリー描写を超えてルネッサンスっていう時代がこう生み出そうとした普遍的な美の理想。
人間性と神性がこう融合したようなそれそのものだったのかもしれないですね。あえて現実をそのまま描くんじゃなくて理想の形を作り出した点にその確信があるように思います。
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さて、ボッチテリのビーナスの誕生。構図から色彩、そして背景にあるルネッサンスの精神まで資料から異常な側面を見てきました。
知ることで見方が深まる。まさにそういう作品ですね。
本当に。
最後にですね、あなたに一つちょっと考えてみてほしい問いを投げかけたいと思います。
このビーナス像は純粋さとか精神的な美しさの象徴とされる一方で非常に大胆な異境的なテーマの表現でもあるわけですよね。
はい。
この精神性と異境性、一見するとちょっと反するかもしれないこの2つの要素が、この1枚の絵の中であなたにはどう響き合ってどう共存しているように見えますか。
この問いがね、また作品との対話を深めるきっかけになったら嬉しいです。