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2025-08-21 07:36

12. ミレー「晩鐘」

12 ミレー『晩鐘』深掘り:農民の祈りに見る、崇高な美と信仰の普遍性

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さて、今回の深掘りへようこそ。今日はですね、ジャン・フランス・ワ・ミレーの非常に有名な映画、「晩鐘」を取り上げます。
手元にはですね、この作品をいろんな角度から分析した資料を用意しています。
この何とも言えない静かさと、でも力強さを感じる作品ですよね。
その細部、どんな意味が込められているのか、象徴性、あとは描かれた時代の空気感、これを一緒に探っていきたいと思います。
一見するとすごく穏やかな農村の風景なんですけど、どんな物語が隠されているのか、ひも解いていきましょう。
まずは本当に基本的な情報からですね、作者はジャン・フランス・ワ・ミレー。1857年から59年頃に描かれた油彩画ですね。
そうですね。
で、今はパリのオルセイ美術館にあると。
はい。
様式としては終日主義、つまり見たものを理想化せずにありのまま描くスタイル。
特にミレーが属したバルビゾン派っていうのは、こういう農民の生活とか自然を主題にすることが多かったということですよね。
その通りです。パリ郊外のバルビゾン村に集まった画家たちのグループで、自然主義的な風景画とか農民画を多く描きました。ミレーはその中心的な存在の一人ですね。
なるほど。この晩商もまさにその代表作というわけですね。
そう言えると思います。
で、描かれているのは夕暮れ時ですよね。広大な畑の中で祈りを捧げている農民の夫婦。
はい。
奥に教会の銭湯がかすかに見えて。
見えますね。
なんかこう、一日の労働が終わったのを告げる鐘の音が聞こえてきそうな、そんな雰囲気があります。
足元を見ると、農具のフォークとか収穫物を入れたカゴ、あとジャガイモでしょうか、そういうものが見えますね。
そうですね。彼らの日常、その労働の跡というものがしっかり描かれています。
生活感がありますよね。
この絵のやはり一番重要な点は、その静かで軽減な雰囲気だと思うんですね。
農民たちの素朴な信仰心、それと一日を無事に終えたことへの感謝の念みたいなものが、静かにでも強く伝わってきます。
確かに。
ちょっと面白いのは、この絵がですね、一時期プロテスタント絵画として受け止められていたという点です。
え?プロテスタント絵画ですか?でも、ミレイ自身は確かカトリックでしたよね?
そうなんです。ミレイ自身はカトリック教徒でした。
ただ、この絵を最初に依頼したのが、アメリカ人のトマス・アップルトンという人で、彼がプロテスタントだったんですね。
ああ、なるほど。そういう背景が。
ええ。なので、特定の宗派を超えた、もっと普遍的な信仰の在り方として捉えられたのかもしれませんね。
ミレイ自身は、心身深かった自分のおばあさんの姿、特に祈る女性の姿に、そのイメージを重ねて描いたとも言われていますね。
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個人的な記憶も反映されているんですね。
ええ、そうなんです。
構図に目を向けると、地平線が結構低めに設定されていて、空が画面の大部分を占めてますよね。
そうですね。広大な空間を感じさせます。
その広い空の下にポツンと二人の人物が立っている。この対比が、人間の小ささと、でも同時にその存在の確かさみたいなものを感じさせるような気がします。
夕暮れの空の色合いも、本当に何とも言えない美しさがありますよね。
色彩と光の使い方は、本当にミレイの得意とするところですね。
画面全体は、土の色とか作物の色を反映した、落ち着いた茶系の色でまとめられています。
でも、その中に沈んでいく太陽の斜めの光が差し込んで、人物とか地面にすごく微妙な陰影を作り出している。
ああ、確かに。
これが単なる写実というだけじゃなくて、ある種の感傷的な雰囲気というか、物悲しさ、でも穏やかさもある、そういう独特の感情を生み出しているんだと思います。
その光の当たり方で、当たりの姿がより立体的に、そして精神的にも際立って見える感じがしますね。
男性は帽子を胸に当てて、深く頭を垂れていて、女性は手を組んで、軽剣な様子で、表情ははっきりとは読み取れないですけど、1日の労働を終えた安堵感と、祈りに集中する厳粛な感じが伝わってきます。
そうですね。
彼らの服も粗末な感じですけど、すごく丁寧に描かれていますよね。
衣服のゴワゴワした質感とか、火に焼けて土に汚れた肌の色とか、非常にリアルに描かれています。
ミレーは、農民の生活を変に理想化したり美化したりするんじゃなくて、その厳しさも含めてありのままの姿を描こうとしたんですね。
それは、当時産業革命が進んで、都市化が進む中で、ちょっと忘れられがちだった農村の生活とか、そこで働く人々の尊厳、そういうものに光を当てたいという意図があったんだろうと考えられます。
その、ありのままを描くっていう姿勢が、逆に見る人に深い感銘を与えるということなのかもしれないですね。
そう思います。
美化してないからこそ、その労働の重みとか、祈りの切実さみたいなものが、より強くつさまってくるというか。
まさに。
この作品が当時の社会に与えた影響というのは、具体的にはどういったものだったんでしょうか。
まず、写実主義の傑作として高く評価されたのはもちろんあります。
はい。
それ以上に大きかったのは、貧しい農民の日常の中に道徳的な美しさとか、ある種の創画さ、そういうものを見出した点だと思うんですね。
創画さ。
ええ。それまでの描いて、やっぱり歴史上の偉人とか、神話とか、お金持ちの市民とか、そういうのが主題になることが多かったわけです。
まあ、そうですよね。
その中で、名前もない農民が日常的に祈っている姿、それがこれほど感動的に描かれたというのは、かなり画期的だったんです。
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確かに、そう言われると。
人間の内面的な豊かさというのは、身分とか富とか、そういうものとは関係ないんだっていう、そういうメッセージを投げかけたとも言えるかもしれませんね。
なるほどなあ。深いですね。
今回は、未礼の願象を、その背景から、技法、そして意味合いまで、かなり深く見ることができました。
写実的な描写の中に、信仰心、労働への敬意、そして人間の静かな尊厳というものが見事に表現されていましたね。
そうですね。最後に一つ、皆さんにちょっと考えてみてほしい問いがあるんです。
何でしょう。
資料にもあったように、未礼は農民の生活を美化することなく描いたとされていますよね。
はい、ありましたね。
でも、私たちはこの絵を見て、しばしば深い感動とか、静かな美しさ、時には数化さ、みたいなものまで感じるわけです。
うーん、確かに感じます。
厳しい現実はありのままに描いているはずなのに、なぜこれほどまでに私たちの感情に訴えかけ、美しさを感じさせるんでしょうか。
その困難な現実の中に、美や意味を見出す未礼の視点と表現、その秘密はどこにあるのか。
ちょっとそんなことを考えてみるのも、この絵をさらに深く味わう一つの鍵になるんじゃないかなと思います。
なるほど。現実を描きながらも、なぜ美しいの感じるのか。面白い問いですね。
本日の探究にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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