00:03
北海道の高校出身の同級生35歳が、久しぶりに昼食を共にする。
場所は東京。2人とも東京在住。結婚しているが、子供はいない。
コロナ禍前は年に数回会っていたが、およそ3年ぶりに会うことになった。
私、もう一つ頼もうか?
うん、いいよ。
すいません。
店員を呼ぶが、聞こえていない。
さっき言ってた店の話。
うん。
やっぱり、もうちょっと頑張ってみたら?
うん。
お客さんだって戻ってきてるんだろ?
カフェ開くの、お前の夢だったじゃん。
そうなんだけどさ。
嫁さんは何か言ってんの?
彼女は、続けろって言ってくれてる。
なら、かさ。
うん。
分かんなくなっちゃって。
うん。
何のために店やってるんだろうって。
うーん。
自分の好きな音楽で、自分の好きなコーヒーを、
自分の好きな人たちに楽しんでもらいたくて続けてきた仕事だけどさ。
ここ数年ずーっと大変だったし、
ここまでしてやる必要あるのかなって何度も考えた。
うん。
今だって大変だよ。
ずっと続けるどころか、来年だってどうなるか分からない。
うーん。
でも、今更他の生き方ができる自信もない。
うん。
そんなこと考えてたらさ、不安ばっかりになっちゃって。
あ、すいません。
あ、あのバサシ一つ大変だったんだな。
うん。
俺はさ、無理してまで続ける必要はないと思うよ。
思うようにしたらいい。
うん。ありがとう。
うん。
俺はお前の判断には信頼を置いてるんだ。
そりゃさ、間違うことだってあったさ。
もっといい方法があったんじゃないかって思うこともある。
でも、お前はちゃんと周りが見えているし、何より自分に正直だよ。
そんなお前の判断を俺は信頼してる。
ありがとう。
まあ、俺はお前の店も好きだから、できれば続けてほしいけどな。
それにしても、ここの料理正解だったな。
03:04
うん。うまかったな。
今度は何食べようか?
今度は、そうだな。
エスニックなんてどうだ?
エスニックか、あんまり食べないんだよな、エスニック。
トムヤム君とかか?
うん。結構いろんなのがあるんだ。
新大久保にいくつか行ってみたいところがあるんだ。
いいね。新しいところ行ってみようぜ。
うん。まだまだ食べたことないものも、行ったことない店もいっぱいあるんだ。
そんなところにどんどん行こう。
うん。俺たちはこれからも新しいところに行けるんだ。