夕立の思い出
土が湿ったような夕立のにおい
昔のことを思い出したな
そういえばこんな道を歩いたっけ
悔しくて泣いてたんだきっときっと
ああ、あの頃とちっとも変わってないや
ああ、すりむいた膝のせいじゃないんだよ
まだ僕には失うべきものがあり
まだ見えないものがとても多いけど
まぶたを閉じ深く息を吸ったなら
忘れていた勇気を奪いに行こう
翌朝は晴れてもまた体が重い
うまくねじ込んでいい気になってたんだ
固いトーストをかじったときにひらめいた
僕がその耳だったらきっと怖くなしくはない
ああ、昨日より塞がった隙間から
ああ、人の夢をつのぞいてばかりいたよ
まだ始まりでも終わりでもないのさ
まだ僕に出来ることは少ないけど
雨が止んで星が瞬きをひとつ
傘をたたんで僕は家路を急ぐ
夢中ではしゃいでたおもちゃ売り場の隅で
あのロボットのように強くなりたくて走った
汗にまみれた僕がほこりまみれの僕が
今もそこにいるんだろう
夕立ちの匂いの中で