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2025-03-04 13:46

#33 柴崎友香『春の庭』〜群像を描く名手

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サマリー

柴崎友香の『春の庭』に関するポッドキャストでは、物語の主人公である太郎と彼の隣人である西の関係や、洋館を巡る探求が描かれています。この小説は、さまざまな視点から語られ、群像劇の要素を持ちながら、日常生活の中での静かな出来事を掘り下げています。

小説『春の庭』の導入
tantotの時々読書の第33回です。
今日はですね、柴崎友香さんの『春の庭』という小説、こちらについて話してみようと思います。
これはですね、もう全然知らない本だったんですけど、
特価の古品屋で、ちょっと安くなっているかなと言われていて、
柴崎友香さんの本自体は結構好きだったので、こんだけ安ければちょっと買ってみてもいいかなというふうに思って買って読んでみました。
2014年に出ていて、2014年の芥川賞受賞作のようですね。
私も柴崎さんって最近読み始めたばっかりなんで、知らないんですけども、
もしかしたらこの辺が出資制作というか芥川賞受賞で世に出る作品を発表していく企画になったものなのかなぁと思ったりもします。
これ、表紙がすごく良くて、
誰だっけ?米田智子さん?
写真家の米田智子さんの写真で、窓枠に切り取られた大きな木の緑が写っているというような。
別にここに出てくる話と直接的に関係するわけではないんですけど、
なんとなく雰囲気として通じるものを感じるなぁと思う。
これ、やっぱり想定もすごい素敵だなと思います。
内容がすごく要約しづらいんですよね。
一応説明を試してみると、
主人公は太郎という男性で、太郎は普通の、
ちょっと10年前か30くらいですかね、の男性で、
世田谷っぽいところだと思うんですけど、
バスへのアパートみたいなところに住んでいる。
そのアパートは実はもうすぐ取り壊される予定なんですけど、
そのアパートの敷地内の隣に素敵な洋風の立派な家が建っているみたいなんですね。
その太郎と同じアパートに住んでいる、
太郎は1階なんですけど、2階の、ちょっと挟む階ぐらいになるような、
ここに住んでいる西っていう女性が出てくるんですけど、
ちょっとひょんなことから、太郎は西側のアパートから、
洋館の方、今は元々人が住んでないんですけど、
そこを覗き込むような姿を目撃して、
そのきっかけで、2人は知り合いになって、
たまにちょっと飲んだりするような方になったり。
太郎と西の出会い
西はなんでそんな洋館を覗き込んでいるかというと、
実はその洋館が、その昔、
CMディレクターと舞台女優が、ちょっとセンスの良い夫婦がデザインして作った洋館で、
そこを舞台にした写真集も出されていると。
西はその写真集が好きで、見ていて、この写真集を映すのはこの家だっていうところで、
なんとかして家の中を見れないかみたいなことを考えている。
こんな感じで、話としては、その洋館にある時、人が住み始めた。
きっと買ったのか借りたのかという人が住み始めて、
西がなんとかしたらその家を見たいということで、
その家の奥さんと知り合いになって、お近づきになって、
家に呼ばれるようになって、それで太郎も一緒についていくようなことがあって、みたいなところがあって、
話が少し展開して、最終的には、そこの洋館に住んでいたご家族が出て行くというので、
結局別のところに行くことになったので、出て行くというので、
彼らが使っていた家具とかを太郎が引き取ったりとか。
で、なんとなく話は、行くその後…
そうですね、なんとなくその後…
うん、なんですかね。
ちょっとその過程で、ちょっとした事件というか、ちょっとした出来事はあるんですけど、
別にものすごく事件が起きたりとか、大きな出来事があったりとかっていうわけではなく、
最後も、なんとか太郎が部屋で過ごすようなシーンで終わり。
最後の文章だけちょっと読んでみますかね。
10年前の小説なので、ネタバレも何もないかなと思いますし、
これネタバレするような話でもないなと思って。
ベランダと窓が平然と並んでいた。
同じ形の窓の中には、火が差し込んでいた。
2階の部屋は壁に、1階の部屋は畳にも、
火の当たっているところと影の境目が見えた。
何も変化するものはなかった。
音を立てるものもなかった。
火時計のように、日向と日陰の境界が動いていくだけだった。
太郎の部屋はソファーでいっぱいだった。
こんなデカいって言ったらダメなんですよね。
あの、もらったソファーが、立派な部屋にあったソファーなのでめちゃくちゃデカいんですけど、
太郎の部屋ってめちゃくちゃ狭いんで、
もうソファーしかないみたいな部屋になってたって感じですね。
造芸の色が部屋を埋めていた。
部屋の上に腰を下ろして部屋の奥を覗くと、
巨大な冷蔵庫が鈍く銀色に光っていた。
冷蔵庫の中にある豆腐を今日中に食べなければならないことを太郎は思い出した。
で、おしまい。
この文章、一文ちょっと見ていただいても、
なんとなく雰囲気が伝わるんじゃないかなと思うんですけど、
最後に豆腐を食べなきゃいけないみたいな話が出てくるぐらい、
すごく非禁で日常的で、
本当に等身大というか、そんなお話だなぁというふうに思います。
この本を読んで、ものすごい感動するとか、そんな感じではないんですけど、
意外と好きだなぁと思うのは、しばさきさんの絵描き方で、
しばさきさんの特徴と、僕なりに今日の出来事とかも特徴的かなと思うんですけど、
いろんな人が出てきて、軽やかにそれぞれの人の視点がいつの間にか切り替わるというか、
ある時は太郎っていう視点で描いてたと思ったら、
次の端楽に行くと西の視点で描いてたりとか、
最後実は太郎のお姉さんの視点が入ってきたりとか、
それが、何ですかね、よく視点を切り替えたら、章が変わると別の人の物語が始まるみたいな、
そういうカラッと変わるような小説であると思うんですけど、
そういうわけでもなくて、フッと変わってるみたいな。
その描き方が面白い。
当たり前のように太郎の話かと思ったら、いつの間にか西の話になってたりとか、
いつの間にか八日に住み始めた夫婦の話になってたりとか、
最後なぜかお姉さんの話になったりとかっていう感じで、
いつの間にか話が切り替わっていくっていうか、移り変わっていくっていう、
物語の展開と視点の切り替え
それがすごく印象的で、意外と語り口でないなというふうに思うんですよね。
意外と人の話とかってそんなもんなんじゃないかって気もしますね。
ある特定の人の視点に至って何か物語がずっと進むっていうのって、
一体世の中の世界というか、この世の中の真実ではなくて、
ポンポンポンといろんな人の話が何となく入り乱れながら最後、
特に別にものすごく大きなことが起こるわけでもなく、
何となく日常が終わって続いていくみたいな、
ちょっとした起伏があって、最後また日常が続いていくみたいな、
ある意味ですごく、これぞ世界の祝辞なのかもしれないなという気がします。
話しながら思うと、やっぱり春野には僕は今回初めていましたけど、
もう少し今日の出来事、映画にもなった今日の出来事とかも、
そういう意味ではいろんな視点、
もうちょっと登場人物の名前忘れちゃいましたけど、
いろんな人たちが出てきて、やっぱり誰が主人公っていうわけでもなく、
何かこう、いつの間にか違う人の視点で話が始まってきたりとか、
何かそういう話だし、いわゆる群蔵劇みたいな、
わかりやすく言うとそういうことなのかなと思うんですけど、
その群蔵がうまく表現されているし、
その一人一人の姿がうまく立ち合われて、すごくリアルに立ち合われてきて、
その人というよりは人と人の間とか、どこにある空気感とか、
何かそんなものが伝わってくるようなお話だし、
柴崎さんってそういう話が得意な作家さんなのかなと思いました。
やっぱりデビュー作かどうかは知らないんですけど、デビュー作ではないと思うんですけど、
デビュー作、著作には全てがあるみたいな話もありますけど、
そういう意味で、このアクター側賞を受賞した、
この春の庭っていう諸説も、柴崎さんの全てというか本質が、
これ実はギュッと入っている、詰め込まれた本なのかなというふうに思いました。
多分私はこの古本屋で単行本で買ったんですけど、
文庫化もされてるのかなと思うので、
柴崎ファンで興味のある方はぜひ読んでみるといいかなと。
柴崎ともかまだ読んだことないよっていう方であれば、
わざわざここから読まなくても、もうちょっと読めなくても、今日の出来事とか、
あと最近で言うと、もうちょっと最近で言うと、百年と一日とか、
あとちょうど最近ね、私もまだ読んでないですけど、出た
あれ?遠くまで歩くでしたっけ?
その辺とかを読んで、結構好きな作家だなと思ったら、
こういうちょっと前の本、戻っていくみたいな感じで読んでみるといいんじゃないかなというふうに思いました。
ちょっと少しとりとめのない話になってしまいましたが、
正直ちょっとつかみどころのない小説。
ただ読語感としては非常に悪くないというか、
そうですね、すごく気持ちよく読める小説かなというふうに思いますので、
ぜひ興味のある方は読んでみてください。
それではこの辺で、柴﨑智子さんのハルジンの件についてお話ししました。
ありがとうございました。
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