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2024-09-27 09:59

意見の述べ方の基本パターン | パターンで学ぶ議論の仕方 2

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レクチャーシリーズ「パターンで学ぶ議論の仕方」(全8回)は,議論の仕方を少しずつ学び,充実した議論を行うためのスキルを高めることを目的としています。その第2回となるこのエピソード「意見の述べ方の基本パターン」では,議論をする上での重要な言葉の意味を明らかにした後,意見の述べ方の基本パターンを提示しています。そのパターンの使い方については,次回以降のエピソードで詳しく解説します。

なお,このエピソードは,私(たな)が大学の授業で使っている講義ビデオ「議論を深めるコメントの書き方」をもとに作成しました。したがって,「このビデオ」といった言い方が出てきます。ビデオでは,スライドを示しながら説明していますので,そのスライドを下に掲載します。文字起こし欄に,そこで参照してほしいスライドの番号を【スライド1】などと記載していますので,必要に応じて参照してください。

また,講義ビデオ自体も下に掲載していますので,必要に応じて参照してください。

スライド1

スライド2

スライド3

スライド4

スライド5

スライド6

講義ビデオ

参考文献

They Say / I Sayのパターンについては,次の文献を参考にしました。

G. Graff & C. Birkenstein, They Say / I Say: The Moves That Matter in Academic Writing, 6th ed., W. W. Norton, 2024.

サマリー

このエピソードでは、議論をする上で基本となる3つの言葉「議論」「議論を深める」「論点」について説明し、自分の意見を述べる際の基本パターンについて解説しています。

議論とは
【スライド1】議論を深めるコメントの書き方について説明します。
【スライド2】議論を深めるコメントの書き方(内容)
このビデオでは、次の4つについて説明します。
すなわち、まず、「議論」とは何かということ。
2つ目に、「議論を深める」とはどういうことかということ。
3つ目に、「論点」とは何かということ。
そして最後、4つ目に、議論を深める意見(応答)の書き方についてです。
【スライド3】1.「議論」とは
「議論」とはどういうことでしょうか。
私は次のように考えています。
すなわち、「人によって意見が異なる問題について、それぞれの意見を吟味し、
より多くの人が同意できるような妥当性の高い意見を見出そうとする集団的努力である」というものです。
ここで、まず重要なのが、「人によって意見が異なる問題について」議論をするということです。
逆に言いますと、人によって意見が異ならない、つまり人によっても意見が同じような問題については議論をする必要がないということです。
それから次に、議論では、「それぞれの意見を吟味する」ということが大事です。
それぞれというのは、自分の意見もそうですし、他人の意見もそうです。
そして様々な意見を吟味した上で、「より多くの人が同意できるような妥当性の高い意見というものを見出していこうとする、そういう努力だ」というんですね。
しかもそれは「集団的努力」です。つまりみんなで協力して行っていく活動である、ということです。
議論というと、勝ち負けであるとか、説得するというような、そういうことを重視する考え方もあります。
けれども、私がここで考えている議論というのは、そのようなものではありません。
自分の意見に固執せずに、何が正しいかということを追究していくような、そういう活動というふうに考えたいと思っています。
【スライド4】2.「議論を深める」とは。では次に、議論を深めるということはどのようなことなのかを考えてみたいと思います。
私は、「議論を深める」ということは次のようなことだと思います。
すなわち、「それまで考慮に入れられていなかった情報・意見・観点などを持ち寄り、様々な意見の根拠や論理を吟味して、その意見の妥当性を明らかにしていくこと」というものです。
ここで重要なのは、議論を深めるためには、「それまで考慮に入れられていなかった新たな情報であるとか、意見であるとか、観点というものを提示する必要がある」ということです。
そして、そういった新たなものをもとにして、ある「意見の根拠や論理を吟味」していきます。
それによって「妥当性」が評価できるわけですね。妥当なものであるか、そうでないかということが分かってきます。
これを様々な意見について行うわけです。そして、最も妥当性が高いものを見出していく、そういうことを目指すわけですね。
これを進めていきますと、だんだんとみなが同意できる部分というものが増えていくはずです。
最初はみんなの意見が違っても、だんだんと同意できる部分が増えていきまして、最終的に同意できない部分というのは非常に限られてくるだろうと思います。
そしてまた、最終的にその部分もなくなればですね、そのことについてはみなが同意できるようになる。そこでもう議論の必要はなくなるということです。
なお、問題によっては最後まで意見の異なる部分、論点が残るということもたくさんあります。
ただ、議論を重ねていくことによって、同意できる部分が増えていくというところが非常に重要なことです。
そして最後、どの部分では最終的に同意できないかということが明らかになるということも非常に重要なことです。
それが明らかになるだけでも、議論を深める意味というものは非常に大きいというふうに考えることができます。
【スライド5】3.「論点」とは。では次に、議論をする上で重要な概念である「論点」というものについて見てみたいと思います。
「論点」とは何でしょうか。それはすなわち人によって意見が異なるポイントのことです。
論ずべきポイントなわけですけれども、論ずべきなのは先ほど言いましたように人の意見が違うところですので、このように定義してみました。
そして議論をするときには、この論点を明確にするということが非常に重要です。
論点が明確になっていないと、お互いにいろいろな意見を言っても噛み合わない議論になってしまいます。
論点を明確にすることによって初めて噛み合った議論になり、そして生産的な結果を生み出すことになるだろうと思います。
また論点というのはいろいろあるわけですけれども、その中でも結論を左右するような重要な論点というものが非常に重要です。
いくつか論点がある場合は、できるだけそういった重要な論点について議論をするように心がけてもらいたいと思います。
意見の述べ方の基本パターン
【スライド6】4.議論を深める意見(応答)の書き方
では、このビデオの最後のパートである意見の書き方について説明したいと思います。
今まで述べてきたような議論を深めるための意見というものはどのようにして書けばよいのでしょうか。
そこで重要なことは二つあります。
まず一つ目は、They Say / I Say のパターンで書くということです。
They Say / I Say というのは何かということについてはわからない人もいるかと思いますけれども、それは次のようなことです。
すなわち、「まず他人の意見を紹介する、そしてその後にそれに対する応答の形で自分の意見を述べる」というものです。
意見を述べるときに、いきなり自分の意見を述べるということはよくあることです。
討論するときに自分の意見を言うということは重要なことですから、それで何ら問題ないと考える人もいるかと思います。
しかしここではそうではなくて、自分の意見を言う前に必ず誰か、他人の意見、ここではそれを英語でThey Say と言っていますが、彼らが言っていることということですね。
これを言って、それに対する意見、自分の意見がI Say なんですが、その意見は応答の形で述べるということが重要だというふうにここでは言っておきたいと思います。
なぜそのようなことが重要なのかと言いますと、これは先ほど言いました論点が明確になるからですね。
何について自分は意見を言っているのか、どういう点が他の人と意見が違うのか、あるいは同じなのか、そういったことを明確にするには、
まずは誰か、自分が論じたいことについて誰かが言っている意見をまず言って、それに対して自分はどう考えるのかということを言うということが非常に良い方法だと考えられます。
そして次に二つ目に大事なこと、これは応答を次の三つのパターンのうちのどれかで答えるということです。
すなわち一つは同意する、二つ目は一部同意する、そして三つ目は同意しないというこの三つのパターンのどれかということになります。
これは英語で言いますと、Yesか、OK, Butか、Noかということになります。
この自分の応答をこの三つのどれかの形ではっきりと言うということは、その意見が誰に同意していないのか、どういう意見に同意していないのかということを明確にします。
そうしますとですね、皆が同意できる部分を増やしていく、そういうことを進めていく上で非常に論点が明確になっていくわけですよね。
論ずべきところは皆が同意できないところというふうに絞られていくわけですから、論ずべきところがどんどん迫っていって効率的な議論ができるだろうと思います。
そういうことで、議論を深めるための意見の書き方で重要なことは、英語で表現しますと非常に簡単に表現できます。
すなわちまず一つ目はThey Say / I Sayのパターンで書き、自分の応答はYesか、OK, Butか、Noかのこの三つのどれかで書くということ。
これさえ覚えておけば、あとはいろんな書き方で書いていくことができます。
これで意見を深めるコメントの書き方の説明を終わります。
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