第35回の学習を始めましょう。今回の深掘りのテーマは、
「宅建試験の権利関係 第35回 債権譲渡」です。
はい、よろしくお願いします。
あの、早速なんですが、今回は、手元にある複数の抗議資料とかテキストをソースにして、
一見複雑に思える借金の権利の売り買いに関する法律ルール、これを整理していきます。
ええ、債権譲渡ですね。
そうなんです。この分野、テキストを読むと、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんって、
登場人物が次々に出てきて、なんかもう頭が痛くなるんですよね。
わかります。どうしても無味乾燥な暗記項目に見えがちですよね。
なので、今回のミッションはすごくシンプルに設定しました。
要するに、ルール上、誰が勝者になるのか、そして、なぜ法律はその人を勝たせるのか。
なるほど。法律の意図、Yの部分ですね。
はい。この視点から、あなたの中で複雑なルールをすっきりと整理していく時間にできればなと。
法律が誰を守ろうとしているかを追っていくと、実はものすごく現実的な人間ドラマの処理方法だということが見えてきますからね。
まさにその人間ドラマの部分が面白いんですよね。ということで、まずは基本の立ち位置から確認させてください。
はい、どうぞ。
そもそも、債権譲渡っていうのは、お金を返してもらう権利そのものを別の人に売ってしまうことですよね。
ええ、その通りです。
ソースにある具体例がわかりやすいので、これをベースに話を進めますね。
AさんがBさんに1000万円を貸しているとします。
はい。Aがお金を貸している債権者、Bが借りている債務者ですね。
そうです。来年の1月1日が返済日なんですが、Aさんは今すぐ現金が必要になってしまった。
そこで投資家であるCさんに、この1000万円を回収する権利を800万円で買わないかと持ちかけるわけです。
Cさんからすると、来年まで待つという時間的コストや、Bさんが本当に返してくれるかというリスクを引き受けることになりますね。
ああ、なるほど。
その代わりに、差し引きし200万円の利益を得るチャンスがあるわけです。
これが成立するのは、債権が財産の一つとして原則自由に譲渡できるという大前提があるからなんですね。
車とか時計を売るのと同じように、権利も売れると。
ええ、そういうことです。
ここまではスッと2回できるんですよ。でも、私が借金を返さなきゃいけないBさんの立場だったら、なんかちょっと嫌なんですよね。
と言いますと?
だって親切なAさんだからお金を借りたのに、ある日突然見知らぬCさんから、私が新しい債権者だって取り立てに来られるのは怖いですから。
確かに債務者としては不安になりますよね。
はい。その理解で完璧です。
では、ここから次の問題です。Cさんが全く悪くない善意の人で、譲渡が完璧に有効だとします。
Bさんの視点に立つと、ある日突然、見知らぬCさんが、私が債権を買ったから私に払えって家にやってくるわけですよね?
はい。そこで登場するのが対抗要件という法律用語です。
対抗要件?
CさんがBさんに対して、私が正当な新しい検事者だと主張し、法律上認めさせるためのルールのことです。
この対抗ってことは、日常で使う権力に対抗するみたいな、喧嘩して抗うイメージに引っ張られて、最初はテキスト読んでもピンとこなかったんですよ。
ああ、よくある誤解ですね。
でもソースを読み解くと、要するに自分の権利を他人に認めさせるための条件のことですよね?
ええ。私は正当な権利者としてあなたに要求する資格があると、公式に盾を構えるようなイメージですね。
で、ソースによれば、CさんがBさんに対して、その対抗要件を備えるためには、2つのうちどちらかが必要だと。
はい、何でしょうか。
譲り渡し人、つまり元の債権者であるAさんからの通知、または債務者であるBさん自身の承諾、このどちらかですよね?
その通りです。
ここですごく不思議に思ったんですが、なぜ債権を買い取ったCさんから、私が買いましたよって通知してはいけないんですか?
そこは非常に重要なポイントです。少し考えてみてください。もしCさんからの通知を有効にしてしまうと、どのような事態が起きるでしょうか?
えっと、私がCさんの立場で、勝手にBさんの借金買い取ったから、私の口座に振り込んでって通知できちゃうとしたら。
はい。
あ、そうか。これ完全にオレオレ詐欺と同じ構造ですね。
おっしゃる通りです。
オレだけど、Aさんから権利買ったからよろしくって適当なハガキを送りつければ、騙されて振り込んじゃう人が絶対出ますよね。
まさにそれです。世の中に偽物の債権者があふれ返ってしまいます。
うわー、それは怖い。
債務者であるBさんからすれば、見知らぬ人からの手紙を信じてお金を振り込んだのに、後から本物のAさんがやってきて、え、俺は誰にも売ってないよ、俺に返してと言われたら。
二重に支払う羽になっちゃう。それは地獄ですね。
だからこそ、法律は、権利を手放した側であるAさん本人の口から、権利をCさんに譲ったよ、と言わせることを必須条件にしているんです。
Aさん本人が言うなら間違いないだろう、とBさんが安心できる仕組みなんですね。
そうです。通知を出す権限は絶対に譲り渡し人にしかありません。あるいはBさん自身が承諾するか。偽物から債務者を守るための非常に合理的なバリアですね。
理由がわかると、もう通知は譲り渡し人から、っていうテキストの太字を丸暗記しなくて済みます。
あ、Cさんの方が早く着いた。
はい。法律は到達の戦後、つまり債務者のもとに到着した順番で決着をつけると定めています。
したがって、スタンプの日付が遅くても先に届いたCさんが勝者になります。
なぜスタンプの日付じゃなくて、ポストに届いた順なんですか。証拠としての強さはスタンプの日付にありそうなのに。
ここでもう一度、このトラブルの中心にいて、一番巻き込まれて困っているのが誰かを考えてみましょう。
えーっと、それは間違いなく債務者のBさんですよね。急に知らない人が2人も俺が債権者だって迫ってくるわけですから。
そうです。Bさんにとって重要なのは、郵便局でいつスタンプが押されたかという過去の出来事ではなく、自分がいつ誰が新しい債権者になったと知らされたかという事実そのものです。
あー、確かに。
Bさんがポストを開けて、あ、Cさんが新しい債権者になったんだなと認識した。その事実を基準に物事を進めないと、Bさんの生活が成り立ちません。
届いてない手紙のことは知りようがないですからね。
だからこそ、債務者の元へ到達した日時が早い方が優先されるのです。
完全にBさん中心のルールなんですね。最初に届いた手紙の種であるCさんを債権者として扱う。Bさんからすれば、後から来たDさんの手紙は、いやもう遅いよ、先にCさんから手紙来てるからって突っ跳ねられる。
えー、非常にスッキリしていますよね。
ただ、法律の学習をしていると必ずぶち当たる極論があるんですよ。
何でしょうか。
もし郵便配達員がCさんの通知とDさんの通知を束にして、全く同じ日、全く同じ時間にBさんのポストに入れたらどうなるんですか。いわゆる同時到達です。
理論上十分にあり得るケースですね。同時到達の場合、手紙が届いた順番ではCさんとDさんの間に優劣をつけることができません。
はい。
法律上はどうなるかというと、CさんもDさんも両方とも、Bさんに対して私が正当な債権者だと振る舞うことができるようになります。
え?ちょっと待ってください。それじゃあ、Bさんは千万円の借金だったのに、Cさんから千万円、Dさんからも千万円、合計二千万円請求されるってことですか?
いえ、借金の総額が二倍に膨れ上がるわけではありません。Bさんが本来返す義務があるのはあくまで千万円だけです。
よかった、安心しました。
ただ、その千万円の請求権をCさんとDさんの両方が持っているという特殊な状態になります。
なら、一番公平なのは五百万円ずつ分割して払うことじゃないですか。Cさんに五百万、Dさんに五百万、これで丸く収まる気がしますが。
それは一見公平に見えますが、Bさんの立場からすると非常に迷惑な話なんです。
え?そうですか?
Bさんは、もともとAさん一人に千万円を振り込めば終わるはずでしたよね。
それを、見知らぬCさんとDさんの両方と連絡を取り、別々に振り込み手数料を払い、二回に分けて手続きしなければならない。
ああ、確かに。
なぜ、悪人Aが起こしたトラブルのせいで、Bさんの負担が倍増しなければならないのでしょうか。