こんにちは。経済キャスターの笹木まなみです。 News Connect 国際欄のお時間です。
今週もマウントサイガン医科大学の山田悠史先生をお迎えしてお送りします。
テーマは、GLP-1受容体作動薬です。 糖尿病や肥満症の治療薬として、医療の現場で使われているこの薬。
日本ではマンジャロという商品が有名ですが、難用が社会問題化しています。
今日はその実態について、そして痩せるということにどう向き合っていくべきか、医師の視点から語っていただきました。
それでは本編をどうぞ。
では前回に引き続き、マウントサイガン医科大学老年医学緩和医療科の山田悠史先生にお越しいただきました。よろしくお願いします。
山田さんはニューヨークから来ていただきましたけども、
確かニューヨークって宮城の仙台と同じくらいの移動なんでしたっけ?
おっしゃる通りです。
なので、やっぱり向こうの方がちょっと涼しいんですか?
ちょっと涼しくて、私はニューヨークの夏大好きです。
私もね、実は2016から2019くらいニューヨークにいたんですけど、いいですよね。
いいんですよね。
暑すぎず、涼しいほどでもないこのね、心地いいね。
心地がいいんですよ。
そういった時にブルックリンブリッジとか歩いたりしてね、最高なんですよね。
日本はね、今お盆あたりでちょっと気温もね、30度超える日もあったりするので、
ちょっとニューヨークの夏が恋しいなというふうには思います。
本当に暑さはね、気をつけないといけないですからね。
熱中症対策ってアメリカもあるんですか?ちなみに。
ありますね。ただ、私が住んでいるニューヨークエリアって、そこまで暑くならないので問題になること少ないんですけどね。
それでも日本における国書日まではいかないですけど、暑くなる日は日中症で運ばれてくる方もいらっしゃいますので、啓発っていうのはしてますけどね。
しかもアメリカって本当に広いから、結局テキサスとかね、あっちのマイアミとかね、南の方はね、日本よりも暑い日もいっぱいありますからね。
差はあるとは思います、本当に。
さあ、ということで、今日のテーマはGLP-1受容体作動薬の乱用問題ということを取り上げていきたいと思います。
いわゆるマンジャロって日本では最近有名になってきたかなと思うんですけども、これはまずそもそもどういう薬なんですか?
そうですね、GLP-1受容体作動薬って言われてもピンと来ないと思うんですけど、
これですね、実はこの薬を投与するとですね、血糖値が上がった時に血糖値を下げるホルモン、インスリンっていうものが体の中で作られているんですけど、
このインスリンが出てくるのを助ける働きが知られていたり、あとはそれ以外にも胃のですね、動きを遅くして、それで胃が満腹になるような状態を作るのを助けたりですとか、
そもそも脳へも直接作用して、満腹感を増やすっていうようなことが知られていて、そのトータルの働きで血糖値を下げてくれたり、体重を減らしてくれるっていうような作用が知られた薬なんですね。
へー、なので体重の減少にこれ繋がるものっていう風に言っていいんですか?
そうですね。もともとは糖尿病に対する薬として承認された薬なんですけれども、これを使っていると、おっと体重がすごく落ちるぞっていうことがわかったので、これも肥満にも絶対使えるよねっていうことで、肥満に対しても研究をしてみるとびっくりするほど肥満に効いたんですよね。
そこから適応が拡大して肥満症にも使えるようになったという薬なんですね。
ただ糖尿病はもっとはるか前から病気として存在しますよね。それに対してこのGLP-1重量体作動薬も昔からあった薬っていうことでよろしいですか?
そうですね。とはいえ、承認されたのは2005年頃ですので、すごく昔からあった薬ではなくて糖尿病薬の中でも新しいタイプの薬なんですけど、肥満症に使われる10年ほど前から糖尿病には活用が広がっていた薬ではありますね。
そこからあれこれは減量目的にも効果があるんじゃないかっていう研究はどれくらいから行われて?
そうですね。そのまさに糖尿病薬として承認された頃に胎児が落ちるということが知られていたので、それから数年間研究が盛んに行われて承認されたのが、初めて承認されたのが2015年のことですので、10年くらいのタイムラグがあるんですけれども、そこから肥満症に対しても承認されて正式に使われるようになりましたね。
その2015年にそうなったのはアメリカからですか?
そうですね。
やっぱり前回のお話でもアメリカは肥満がね、特に問題の一つだっていうふうにもおっしゃっていたので、その肥満に対する研究っていうのもすごく進んでるんですかね?
そうですね。当初はやっぱり高度な肥満がある方に対するソリューションって手術しかなかったんですよね。胃取っちゃいましょうとかですね。胃の中に風船入れて胃をもうパンパンに埋めちゃいましょうとかですね。
そういう手法で胃の要石をちっちゃくすることで食べられないから結局痩せちゃうみたいなことだったんですけど、やっぱり手術なら手術の準備もありますし、手術のコストもありますし、体の負担もありますよね。
ただでさえ肥満があって心臓にも病気を抱えているみたいな方に手術するっていうことになるので、それなりにリスキーな治療だったんですけども、それともうほぼ同等の効果を注射一本で達成できちゃうよっていうことが知られたので、
急速にその手術を置き換える治療法になってきたわけですね。
なので過度な肥満で悩んでいる方にとっては夢のような薬だっていうふうに感じられた方が多いっていうことですかね。
そういうことですね。
医師としてもこれはみたいな患者さんへのそういった体の負担が少なくてとてもいいんじゃないかっていう考え方が急速に広まっていった。
もう初めてデータが出てきた時っていうのは衝撃を与えましたよね。こんなに効果出ちゃうんだっていう。もう本当にこれで世界変わるぞとみんなが思ったと思いますね。
山田さんご自身もどうでした?それが話題になったと。
そう思いましたし、逆に言うと同時に先ほど乱用今日取り上げるとおっしゃってましたけど、悪用も同時に広がるだろうなと思いましたけど、ただこれはすごい成果だとは思いましたよね。
なので本当に届けるべき人に適切に届けばとてもいい効果を出す薬っていうことなんですよね。ですしもちろん糖尿病自体にも効果があるっていうものなんですよね。
おっしゃる通りです。
しかもアメリカというと医療費も高いので、先ほどおっしゃったちょっと安全かわからないものが横行してしまっているっていうことも問題なわけですよね。
それがちょっと日本でも平行輸入とかで危険性がありますよね。
そうですね。不純物が混じったりですとか、成分と違うものが入っているっていうことも報告されていますので、個人輸入にはそういうリスクもありますよね。
そうですよね。なので本当に山田先生としてはこの薬、本来あるべき姿で使われることっていうのをやはり訴えてはいきたいですよね。
そうですね。ちゃんとした使い方をすればすごく良い薬だと思うんですね。
こんなに肥満症を良くする薬ってこれまで知られてこなかったですし、糖尿病に対する効果も素晴らしいですし、
糖尿病の患者さんに使っていると、ただ糖尿病を良くするだけではなくて、その先にある例えば腎臓の病気のリスクを減らしますとか、
心臓を守る効果もありますとかですね。
そういう様々な効果が知られている中で、やっぱりちゃんとした使い方をすれば素晴らしい薬だと思うんですよね。
ちゃんと必要な方にこの薬を届けるっていうことがすごく大事ですよね。
今、肥満以外のところでむしろ良い効果もあるっておっしゃいましたけども、今このGLP-1重量体作動薬では、最新の研究ではどういったことにポジティブに作用するって言われているんですか?
そうですね。最近のホットトピックで言えば、糖尿病と肥満に加えて、主には肥満に関連した病気たちが多いんですけども、
例えばですね、閉塞性の睡眠時無呼吸症候群と言って、
寝てる間、呼吸があまりできなくて、ちょっと不安定になるみたいな。
おっしゃる通りです。肥満に併発しやすい病気なんですけど、この方たちは体重をうまく落とすと、空気の通り道の閉塞が解除されて、この問題が良くなるっていうことが知られているんですけど、
こういう病気を持った方たちにこのGLP-1を使うと、睡眠時無呼吸が良くなるっていうことが知られて、
米国でも2024年頃からですね、この病気に対しても使えるようになったということがあって、活用は実は別の病気にも広がっていたりするんですよね。
そうなんですね。そういった意味では有効活用すれば良いことはあるわけですよね。
ちなみに、肥満による先ほどのお話以外にも、肥満でこういったような連鎖的な病気になる可能性があることってまだまだいっぱいあるんですか?
そうですね。その他にも例えば心臓の病気ですね。心不全なんて聞いたことがあるかわからないですけど、心不全みたいな病気の症状とか、その後の余命を改善するんじゃないかとかですね。
脂肪感、肝臓に脂肪が蓄積してしまう病気ですね。これもメディアなんかで取り上げられるようになったと思いますけど、こういった脂肪感を良くするんじゃないかとかですね。
体重が重いと腰とか膝に負担がかかってくるんですけど、体重を落とすことで膝の痛みが良くなるんですね。腰の痛みが良くなるとか、そういう関節の病気にも良くなるんじゃないかというようなことも言われていますし、
実際研究が進んでいますので、こういった研究で効果がちゃんと確認されればですね、こういった病気に対してもこの薬使っていきましょうねっていう話になるんじゃないかなと思いますよね。
ですし、肥満というのはもちろん今おっしゃったような病気に繋がる可能性もあるので、人は健康でいられるならばその方がいいと思うので、
山田さんがでは思うこの薬、どのように有効活用していったらいいのか、そして肥満と我々、あとはボディーイメージとどう向き合っていったらいいのかということに対してはどのように感じますか。
そうですね。まずこの薬、ちゃんと必要な人に届けるっていうのはもちろんそうなんですけど、この薬を使っている間は確かに体重減るんですけど、
先ほども言いましたけど、やめるとリバウンドしちゃう薬なんですね。だからまずはこの薬長い付き合いになるんですよっていうことをしっかり知ってもらうっていうことが大事ですし、
プラスしてこの薬やめたらリバウンドするわけですから、やめてもリバウンドしないような体づくりを同時にしていればやめることもできるかもしれないということで、
同時並行でやっぱり粘り強くカウンセリングと言いますか、しっかり例えば栄養はこういうものをとりましょうね。運動習慣を身につけていきましょうね。
そういうことをしっかり並行でやっていくっていうことがこの薬を使う上で非常に大切だなっていうのがまず一つかなと思いますね。
なので、もし今このいわゆるマンジャロ興味ある方は、なのでただこの薬を打てばすごく劇的に痩せられるんだ、もうこれだけで大丈夫っていうふうに本当に思わないでほしいってことですよね。
そうですね。
しっかりそこは栄養面とか運動面とかトータルで考えてっていうことですよね。
でもそれでも一方で、とにかく痩せたいんだって悩んでる方もたくさんいらっしゃると思っていて、その方に対して山田先生がかけられるアドバイスってなんだと思いますか?
そうですね。まあその美しさってやっぱり人それぞれで本来はあるはずだし、あとはやっぱり健康で美しいなみたいなイメージも広がってほしいなと思うんですよね。
例えば運動習慣を取り入れること、そして汗をかくこととか、あるいは筋トレをして筋力を得ること、そういうことが美しいものだみたいなイメージは広がってほしいなと思いますし、本来ないはずですよね。
そうですよね。
例えば樹木も年齢が増えていって、年を重ねた80年経っている樹木が美しいと人が思うように、別に必ずしも人の顔についたシワが見にくいって誰が決めたんだっていう話ですよね。
樹木と同じように80年重ねた年齢が美しいみたいな捉え方があるはずで、捉え方一つで美っていろんな形があるはずなんですよね。
一遍倒で数字だけ追いかけて少なければ少ないほどいい、それで結局健康を害してしまって病気になってしまって寿命を短くするみたいなことに、現状そういうことが起こり続けているので、
健康であること、あるいは筋力を得ること、あるいはシワも美しいみたいな、その多様な美しさの捉え方みたいなものがもう少し広がるといいなと思いますよね。
ここも少しだけ日米に差があると感じていて、私は結構日本に住んでいるとちょっとでも、特に女性ですね、アンチエイジング、少しでも見た目若くいられたらっていう風潮が強いかな。
一方でアメリカは、よく歳をとっていこう、エイジウェルみたいな感じの考え方もあったかなとも思うんですよね。
そういった年を重ねる考え方について、日米の差とか最新のトピックとかありますか。
そうですね、もちろんおっしゃる通りで、アンチエイジングですね、過励をリバースしましょうみたいな、そういう研究も進んでいるので、
実際そういう見方もある中で、校舎のエイジウェルですよね。
歳の重ね方、歳を重ねることも美しいみたいな、捉え方を変えていこうみたいな動きもすごくあると思いますね。
例えば歳を重ねる中で体型が変わっていきますと、その体型に合わせた美しい衣服がありますみたいなことで、そういうビジネスを展開している、衣服の業界のビジネスなんかも出てきたりしていると思いますし、
その歳を重ねることに贖うという考え方だけではなくて、歳を重ねることの美しさに目を向けよう、みたいな動きも広がっているんじゃないかなと思いますよね。
なので、本当に肥満とまたどういう風に歳を重ねるかって結構近いような問題だと思っているので、私はもう少しそういったボディイメージしかり、多様性が日本で広がれば嬉しいなって思いますし、
このGLPは本当に魔法の薬ではないわけですよね。今お話を伺うと、その後いろいろな副作用があったり、結局またそれ以上にリバウンドしてしまう可能性というのも大いにあるというお話でしたので、
この薬については改めて適切な取り扱いというのを考えていきたいなというふうに私も山田先生のお話を伺って感じました。