1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-03-18 10:57

#739 言語の変化:系統樹モデルと波状モデル from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/898363

主要参考文献
吉田和彦 (2024)『言語を復元する: 比較言語学の世界』東京: 筑摩書房.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

このエピソードでは、言語の変化について系統樹モデルと波状モデルの視点から解説されています。系統樹モデルでは言語の系統関係が、波状モデルでは地理的近接性による共通特徴が議論されています。

系統樹モデルの基礎
今回のエピソードのテーマは、系統樹モデルと波状モデルです。 どちらも言語の変化、言語の歴史を考える上で、非常に重要な考え方となっております。
BGMかかれい。 始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ここ、シャネルです。 系統樹モデルと波状モデル。言ってみれば、系統樹モデルというのは、言語を縦に考えていくようなイメージで、波状モデルというのは横に考えていくようなイメージです。
系統樹モデルの方からお話しすると、 こちらの方が、歴史言語学というか、比較言語学の根幹のような考え方で、ここで歴史言語学と比較言語学というのはほぼ同義語です。
比較言語学と言われると、言語を比較してるんだっていうふうにイメージされると思います。 それはそれで間違いではないんですが、比較言語学といった場合、
言語を比較するのは、 言語の系統関係を確かめるために比較するということになります。
ですので、英語と、例えばドイツ語の比較言語学とか、フランス語とイタリア語の言語学じゃない、比較言語学というのは、どちらもインドヨーロッパ語族という同系統の言語で、
さらに言うと、ゲルマン語派とかイタリック語派に属するんですよね。 そういった同系統の言語を見比べて、共通の祖先の言語に遡ろう。
ゲルマン祖語とかイタリック祖語という、 それぞれの言語に分かれる前の
共通の祖先の言語に遡ろうとするのが、そういう祖語を想定しようとするのが比較言語学です。
系統呪文を持てると言われるのは、今まさにお話ししたことで、 言語が枝分かれしていくようなイメージなんですね。
インドヨーロッパ語族と言われる言語のグループは、 その名の通りですね。インドからヨーロッパにかけて広く分布している言語の家族で、
それらの言語は一つの共通の祖語に遡ることができると想定されています。
それがインドヨーロッパ祖語と言われる言語です。 その言語の変化を木に例えるんですね。
系統呪の呪ということですが、 インドヨーロッパ祖語というのが幹ですね。
そこから枝分かれして、さっき言ったようにゲルマン祖語とかイタリック祖語に分かれて、
そこからさらにゲルマン祖語、ないしゲルマン語派から、 英語やドイツ語やオランダ語やデンマーク語とかが分かれたりとか、
あるいはイタリック祖語、イタリック語派からはポルトガル語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ルーマニア語みたいに、
話し言葉のラテン語からさらにそういう細かく分かれていったので、木と同じように
幹につながっている枝があって、そこからさらに細かい枝が繋がっていると。
方言と祖語の考察
ですので現代話されている世界中のあらゆる言語は、 枝の一番端っこの方の言語ということになります。
これは方言に当てはめて考えることもできて、 そもそも方言と言語の境というのは
難しいんですよね、線引きが。 日本語でも
その方言の階分類っていうのが あるわけですけど、
幹にあたるのは日流祖語というのがあります。 そこから
各種方言に分かれるわけですが、 例えば九州方言というのが
九州と琉球の 共通の祖語の段階があった。
九州琉球祖語というのがあって、そこから九州方言と琉球諸語に分かれたとする考えもあれば、
琉球諸言語だけの一つの祖語、 琉球祖語っていうのを想定するという考え方と、おそらく2つあるんじゃないかと思います。
いずれにせよ、 日本琉球祖語という大きい幹があって、そこから各種方言に分かれていって、
現代話されているのは 一番葉っぱの方というか、端っこの
枝の方の言語ということになります。 この日本琉球祖語というのがもしかしたら
ある祖語の 1語派という説、
可能性ももちろんあるんですよね。 例えばアルタイ祖語みたいなのがあって、そこから
日本琉球語派とか、 モンゴル語派、ツングス語派、チルク語派みたいな枝が分かれていって、
というようなアルタイ語族というものが考えられたこともあるんですが、 現段階ではまだ定説にはいたっていません。
波状モデルの意味
このように言語が枝分かれしていって、 変化していったと考えるのが系統中モデルです。
もう一つの波状モデルというのは、波状というのは要は波ということですね。
これは池に石を落としたら、中心から同心円状に波が広がっていきますよね。
そういったものをイメージしていただけたらと思います。 さっき言ったように系統中モデルっていうのは
言語が枝分かれしていって、別個の言語になっているっていうことで、同じ枝にくっついている言語っていうのは共通した特徴を持っていることがあります。
つまり言語の変化っていうのが系統中モデルで説明できることもたくさんあるんですが、
一筋縄でいかないというか、むしろ枝は違うんだけど地理的に隣接しているために 共通した特徴を持っているという場合があるんですね。
そういった系統中モデルでは説明できない言語変化を 波状モデルによって説明できるということがあります。
例えばまたインドヨーロッパ語俗の話ですけど、 インドヨーロッパの言語でインドヨーロッパ祖語の段階で
クというような、Kで書くような音が割とそのままクという発音で保持されている言語のグループと スとかシュというSに似た音に変化してしまった言語のグループとがあります。
これは大まかに言って西と東に分かれて、 西の方、古典語のラテンギリシャとかケルト、あとゲルマン、 こういった言語はクという音が保持されていて、
より東の方、インドイラン系の言語、古典語だとサンスクリットとか、 あるいはスラブ語とか、
そういった言語ではスとかシュという音になっています。 この西側のグループはクという音で、
東側のグループはスとかシュという音でという特徴は、 これは系統字モデルじゃなくて、
波状モデルで考えた方が良くて、 というのが、
さらに東の方のインドヨーロッパ語俗の言語にトカラ語という言語があります。 このトカラ語については過去にお話ししたエピソードがあるので、
それも聴いていただけたらと思います。 概要欄にリンクを貼っておこうと思いますが、
地理的に言うと、 現在の中国というか、新疆ウイグル自治区で話されていた言語です。
このトカラ語っていうのは、さっき言ったインドイラン系とかスラブ、 あるいはバルトよりもさらに東なので、
東の特徴を持っているっていう気がするんですよね。 つまり、そこでクっていう音だったのがスとかシュになってそうなんですが、
そうではなくってトカラ語は、 西側と同じクっていう発音が保持されています。
ですのでこれはインドイラン、スラブ、バルトという、 そういう一帯の地域で起こった言語変化であって、
そこからさらに周辺にあたるような、一番東端の トカラ語まではその変化が及ばなかったと、波が行き渡らなかったと考えるんですね。
まとめますと、言語の歴史や言語の変化を考えるときは、 それが系統中モデルで説明できるのか、
つまり共通の祖先の言語に遡れるから、 共通の枝に属しているから共通の特徴を持っているのか、
あるいは波状モデルで説明できるのか、 つまり隣接しているから地理的に隣接しているからそういった特徴を持っているのか、
ということを考える必要があります。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガ15でした。 またねー!
10:57

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