移動表現の基本要素
移動という動作には、実は様々な要素が関わっています。
当然移動するものっていうのがありますよね。
まあ人の場合もあれば、無生物のものもあるでしょうけど、
まず移動するもの、そして移動という動作自体も当然関わってきます。
石が落ちると言ったら、石というものが落ちるという動作を行う、そういうことですね。
あるいは男がやってくるといった場合は、男がもの、ここでは人ですけどものであって、
で、やってくるというのが動きそのものということになります。
この2つの要素は、それぞれ名詞と動詞で表されそうですよね。
石が落ちるの石、男がやってくるの男、これが名詞で表されて、動きの方は動詞で表されます。
落ちるとかやってくる、これは動詞。
実は移動という自体、イベントには、この移動物とも言えるものと、
その動作、動きだけではなくて、もうちょっと別の要素も絡んでくるんですね。
だからこそ複雑になります。
それは、揚帯と経路と言われる2つの要素です。
今回はタルミーという研究者が主張した移動表現の類型論、
どういった移動表現の種類があるかということを詳しく見ていこうと思います。
タルミーの移動表現の類型論
BGM、行けい。
始まりました4月15日のツボ。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
怒りしんじです。
このタルミーの移動表現の類型論は、かなり面白くて、
人気があるというか、ホットな分野ではあるんですけど、
あまり専門的な言い方をしても、ちょっと小難しいところがあると思うので、
敵意噛み砕きながらお話ししていこうと思います。
専門的には、動詞枠付け言語とか、付随要素枠付け言語とか、
そういった名前を付けて言語を分類したりするんですが、
そういう専門的な用語は一旦置いておいて、
世界の言語の移動表現についてお話ししていこうと思います。
さっきも言ったように、移動物、これは絶対移動表現には出てくるでしょう。
そして移動の動作自体、これも移動表現で必須で、
それぞれ主語と動詞で現れるだろうなというのがなんとなく想像できると思います。
それに加えて、様態と経路というのも関わってきます。
様態というのはマナー、経路はパスというふうにタルミーは呼んでいるものです。
タルミーの移動表現の類型論で面白いのは、
様態か経路かどっちを動詞側というか述語側で表すかというのが、
言語によって異なるということなんですね。
経路でわかりやすいのは出たり入ったりするということだと思います。
まずちょっと日本語から考えてみますと、
太郎はビルに走って入ったとか走って出て行ったとかそういう言い方をしますよね。
この入るとか出るっていうのが日本語では動詞本体で表されています。
走って入った、走って出た、入る出るが動詞本体。
そういう言語ばっかりでもないんですよね。
例えば英語は run into the building とか run out of thebuilding っていうふうに、
into とか out of みたいな前置詞でその経路というのを表していて、
動詞本体は走るというその様態の方を表しているんですよね。
つまり日本語は経路、パスを動詞本体で表すような言語です。
入るとか出るとかそういうことですね。
一方英語は様態、マナー、どういうやり方で移動したかっていうのを動詞本体で表すんですね。
それが run っていうことですね。
日本語は走って入るとか走って出るっていうふうに、
この日本語学でてけいと言われるものですけど、
走ってみたいなある意味付属的な言い方で様態を表します。
経路を動詞本体で表すのか、
様態を動詞本体で表すのかというのが、
言語は大きくこの2つのタイプに分けられます。
日本語みたいに入るとか出るみたいな経路を動詞本体に表すのは、
お隣の韓国、朝鮮語もそうですし、
スペイン語がよく代表的な例で挙げられるんですね。
スペイン語を含むロマンス諸語の言語です。
それに対して英語はマナー、様態を動詞本体に表すタイプの言語で、
ロマンス系以外のヨーロッパの言語、
ゲルマン系とかですかね。
そういったヨーロッパの言語や中国語が英語と同じタイプです。
ただ、英語にもenterみたいなのがあるんですよね。
enterっていうのはまさに日本語の入ると一緒で、
経路、パスを動詞本体で表していますが、
これは釈用なので、どちらかというと例外的。
英語は本来的に動詞本体に様態を表すタイプの言語なので、
例えばロール、転がっていくとか、スキップ、スキップしていくとか、
そういう動作の仕方ですね。
動作のやり方を含んでいるような、表すような移動動詞が英語には多いんですね。
日本語はどちらかというと、
こういった様態というのは副詞的要素というか付属的な要素で表すので、
ふらふら歩くとか、よたよた歩くとか、
こういうオノマトペ的なものも使いながら、
動詞本体ではなくて動詞の外で様態は表しますよね。
さて、動詞本体に経路を表すのか、日本語みたいに、
あるいは様態を表すのか、英語みたいに、
そういう2つのタイプの言語があるということでしたが、
移動物が動詞で表される言語
さらに面白いのが、動詞本体に異動物を表すっていうタイプの言語もあるんですね。
このタイプ、異動物を動詞本体に表すような言語は、
北米のネイティブアメリカンの言語に多いんですね。
ナバホ語なんかが例に挙げられるんですが、
ちょっとイメージしづらいと思うんですが、
英語だとrainとかsnowとかが近いかなと思います。
ここのrainとsnowっていうのは名詞としてではなくて動詞としてのrain、snowなので、
it is rainingとかit is snowingといった場合、
雨が降っている、雪が降っているということになりますが、
その雨とか雪という異動物ですね。
異動物が動詞本体に表されています。
これと同じような仕組みというか表現が、
北米のネイティブアメリカンの言語であって、
無理やり日本語にすれば、
ベタベタしたものが落ちるみたいなのを、
落ちるという一単語で言うんですよね。
このベタベタしたものという異動物の特徴が、
落ちるという動詞本体に表されます。
その主語の、異動物である主語の特徴が、
動詞にいちいち表示されるんですね。
この異動表現において、
異動物が動詞本体で表されるっていうのは、
多分あんまりないと思いますね。
数としては多くないと思います。
日本語でもイメージしづらいですよね。
日本語だと漢語がややそれに近いかもしれません。
落雷とか落石とかいうのを動詞で使って、
落雷するとか落石するといった場合、
動詞本体に雷なり石なりの情報が入っているので、
漢語を動詞であれば、
主語の情報が動詞本体にあると言ってもいいかもしれませんね。
というわけで今回は、
移動表現のまとめ
異動表現の類型論についてのお話でした。
異動表現には、
異動物と、
異動を表す動作と、
少なくともこの2つはマストというか、
必須の要素としてあるわけですけど、
それに加えて、
異動の仕方、
様態や、
異動の経路、
こういったものが動詞と一緒くたになって表されることがあります。
さらに異動物自体が動詞と一緒くたになって表されることもあって、
言語によってそれぞれ表し方が違うという、そんなお話でございました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローまだの方はよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。