1. 【10分言語学】志賀十五の壺
  2. #843 father の th はなぜ濁る..
2026-03-17 11:31

#843 father の th はなぜ濁る?ヴェルナーの法則 from Radiotalk

https://youtu.be/RfqyNubeuks?si=Nm4Ir1ouoS22mOYK

主要参考文献
Fortson, B. W., IV. (2011). Indo-European language and culture: An introduction (2nd ed.). Oxford: Wiley-Blackwell.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

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英語でお父さんはfather ですね。father。かなり基本的な単語ですが、
ラテン語でfatherにあたる単語は pater と言います。father と pater 全然違うなという気がするかもしれませんが、
実際にね、綴りを見てみるとよく似ているのがわかると思います。
ただ、決定的に違う点があることも確かで、まず father と pater 冒頭のシーンが違いますよね。
f と p という f と p の音で違います。 もう一つ、
father の th で書く音が、ラテン語では to という破裂音に対応しています。
この2つのペアのシーンの対応は、実はものすごく奥が深いんですね。
前提のお話をしておくと、ラテン語の pater の方がより古い形で、インドヨーロッパ祖母にかなり近い形です。
ラテン語の方が古い時代の言語だということで、それはイメージしやすいと思います。
つまり、もともと pater みたいな音だったものが、英語で father になってしまっているわけですが、
後頭の p から f への変化は、グリムの法則と言われる音変化です。
まずはこちらから見ていきましょう。BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。大自慢ブラザーズバンドです。
p の音が f に英語で変わってしまった。それがグリムの法則と言われる音変化です。
実はこれは英語だけに起こった変化ではなくて、ゲルマン祖語と言われる、英語を含むドイツ語やオランダ語、
そういったゲルマン系の言語の親の言語ですね。ゲルマン祖語で起こった音変化です。
p が f に変わった。これはもうちょっと一般化して、無声の破裂音が無声の摩擦音に変化したということです。
p で書くようなプという音は、無声の破裂音です。
無声というのは声がないと書きますが、声帯の震えを伴わない音のことです。
日本語の声音とやや被る部分はあると思うんですけど、p っていうのは無声破裂音。
それに対して f の音、p というのは同じ無声音です。声帯の震えを伴わない音ですが、破裂音ではなくて摩擦音です。
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文字通りね。摩擦を起こして音を出しているシーンです。
グリムの法則というのは、無声の破裂音が無声の摩擦音にゲルマン祖語で変化したというような音変化のことなんですね。
ですので、パテルが father になっているのは、p という無声破裂音が f という無声摩擦音に変化しているということです。
同様の変化は、to と su にも見られるものです。
to っていうのは t で書かれるような音で、やはり無声破裂音。
一方、su っていうのは th で書くような音ですね。これは無声の摩擦音で、
例えば、これもまたラテン語ですけど、ラテン語で sun のことは
trace と言います。同じような発音の sun というのは
スペイン語とか、そういうロマンス系の言語で引き継がれていますけど、ラテン語で sun のことはtrace。
そして英語では three ですよね。冒頭のシーンがラテン語では to それに対して英語では
摩擦音の su という音になっています。
これも p と f の対応と一緒で、無声の破裂音が無声の摩擦音に、ゲルマンソ語では変化したということです。
同じような変化は q と f つまり k で書かれるような破裂音から h で書かれるような摩擦音っていうね、
そういったパターンの対応も観察されるんですが、いずれにせよ
無声の破裂音が無声の摩擦音に変化したというのがグリムの法則で、
ラテン語の pater が英語の father に対応している、p が f に対応しているっていうのはまさにグリムの法則で説明できるんですね。
さて次に pater と father の2つ目のシーンを見ていくと、
ちょっと問題があるんですね。というのが pater このラテン語の形が
もともとの形に近いものだとするならば、ラテン語で to の音が father の z の音に対応していることになります。
これは都合が悪いんですね。というのが先ほど申し上げました通り、
pater の to は無声の破裂音で、これは英語を含むギルマン系の言語では
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su という th の無声摩擦音に対応していてほしいところです。
トレースが 3 に対応しているのと同じように考えるならば、
pater は fa, sa になっていてほしいんですよね。ラテン語で t で出てきているところは英語で su という無声摩擦音が出てきてほしいところですが、
実際には fa, sa という濁った音というかね、専門的には有声音として実現しています。
つまり声帯の震えを伴う音ということです。 日本語風に言えば濁音ということですね。
細かいことをぐちぐち言うなぁと思われるかもしれません。 たまたま father で fa, sa となってないのは
例外的なもんで、そういったものにいちいちかまったって仕方ないじゃないかと、そのように思われるかもしれませんが、
ただこれも規則としてきちんと説明されるんですね。
それが Werner の法則と言われるものです。 Werner というのは人の名前ですが、
Werner と言われたり、Werner と言われたり、ちょっといろいろ日本語で言うときにね、揺れがあったりするんですが、
一旦 Werner の法則としてお話ししていきます。
まず、この無声破裂音が英語を含むゲルマン系の言語で、
有声の摩擦音に対応するという例外的な対応は 語中でしか観察されないんですね。
つまり語と単語の頭では観察されません。
ただ、全てのその単語の途中の無声破裂音が有声の摩擦音に変わってしまうというわけでもないんですね。
つまり全ての単語の途中の T の音がゲルマン系の言語で
ズーという濁った音になるというわけでもありません。 語中、単語の途中だという条件だけでは
この例外は説明できません。 ここで一つ重要になるのがアクセント強制なんですね。
現代英語でも強制というのがありますが、 無声の破裂音、
T のような音が有声の摩擦音、ズーというのに変わってしまうのは、 祖語において直前の音節が
アクセントを持っていない時に限られるんですね。 これはなかなかややこしいですが、パテルとファーザーを例に考えていきましょう。
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パテルっていうのは、祖語の段階ではパテールみたいに後ろの音節の方に強制があったんですね。
パテール。パーの第一音節には強制はありませんでした。 こういった強制のない音節の直後に来る無声破裂音は、
有声破裂音に変化するというのがベルナーの法則です。 パテール。
このトゥの音は、本来であれば、つまりグリムの法則にのっとれば、 スーという無声音、無声摩擦音に変化するはずなんですが、
強制を持たない音節の直後なので、 ファーザーという濁る有声音に変化したんですね。
ここから英語はちょっと右よ曲折あって、 パテールっていう風に後ろに強制があったわけですけど、
現代英語でもそうですが、ファーザーっていうのは第一音節に強制があります。 つまりアクセント強制が移動してるんですね。
さらに、ベルネルの法則によってザーという有声の摩擦音になったわけですが、
一回これが破裂音になってザーがダーという音になって、 その後もう一回摩擦音のザーに戻ったっていうザーダーザーっていうような音変化を経てるんですね。
だからここはちょっと言いややこしいんですけど、 いずれにせよ、ベルナの法則っていうのはグリムの法則で例外とされていたもの、
グリムの法則だけでは説明できなかったものに、 きちんと説明を与えたという点で非常に価値のある法則なんですね。
例外に見えたものが実は規則だったというのが非常に面白い点ではないかと思います。
今回取り上げたグリムの法則については関連エピソードがございますので、 ぜひ概要欄から合わせて聞いていただけたらと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローまだの方はよろしくお願い致します。
お相手はシガ15でした。
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