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#853 【歴史言語学】音法則と語彙拡散 from Radiotalk
2026-04-21 11:23

#853 【歴史言語学】音法則と語彙拡散 from Radiotalk

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主要参考文献
Millar, Robert McColl (2015) Trask's historical linguistics. 3rd edn. London and New York: Routledge.

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サマリー

歴史言語学では、言語間の系統関係を明らかにするために比較方法が用いられます。かつては「音法則に例外なし」という考え方が主流でしたが、現代では「語彙拡散」という、音変化が単語ごとに段階的に広がるという考え方が提唱されています。この語彙拡散は、現代の言語変化を観察する上で有効な視点を提供します。

言語の系統関係と歴史言語学
2つの言語が、今は外国語同士、お互い通じないという状況であっても、もともとは1つの言語だった。
1つの共通の祖先の言語、祖語に遡れると考えられることがあります。
これはヨーロッパの言語でよく言われることで、例えば英語とフランス語とロシア語と、
これらは今では別々の言語として認識されてますが、 ものすごく時間を遡ればインドヨーロッパ祖語、
あるいはインオウ祖語という、1つの共通の言語に行き着くというふうに考えられています。
そういう共通の祖先の言語に遡れることを、系統関係にあるというような言い方をするんですね。
人でなぞらえてもいいと思うんですけど、兄弟姉妹関係にあるとか、
もうちょっと離れてたら、 いとこ同士の言語であるとか、
あるいはラテン語を親としてフランス語は娘の言語である、 こういうふうに言語の系統を考える、
遡る言語学の分野を比較言語学と言います。 あるいは歴史言語学と言って、
比較言語学っていうのはその名の通り、2つの言語を見比べて、 その系統関係を探っていくっていう分野なんですね。
ただ単に2つの言語を比較する、比べるだけで、 系統関係だっていうことがこうふわっとわかるわけではありません。
見比べて規則的な音対応というのを見つける。
それが比較方法と言われる歴史言語学の手法で、 例えば英語の摩擦音と言われる音、
Fの音、ファーとか、THのサーという音とか、
こういった音は例えばラテン語とかだと破裂音に対応してるんですね。
例えばサンという数詞を見比べたときに、 英語は3でTHの摩擦音が出てきているわけですけど、
ラテン語のサン、トレースでは2というTで書くような破裂音が対応しています。
これはサンという数字単語だけではなくて、
ありとあらゆる単語で英語の摩擦音、TH、スという発音が、 ラテン語ではトゥという破裂音に組織的に対応してるんですね。
こういう音対応を見つけることができれば、 2つの言語は系統関係にあるというふうに考えます。
この英語とラテン語の場合で言えば、 英語の方で音変化が起こったっていうふうに考えるんですね。
正確には英語のもうちょっと前の段階のゲルマンソ語という段階で、
破裂音が摩擦音に変化するという音変化が起こった。
そのために、現代では他の言語で破裂音で出てきているところに、 英語では摩擦音が対応しているとそういうふうに考えるんですね。
ここで前提となっている考え方として、 こういう音の変化、今の英語の例だと破裂音から摩擦音という音変化は、
一斉に起こって、ありとあらゆる単語に起こって例外なく起こる。
これが大前提としてあるんですね。 音法則に例外なしというふうに昔は言われたぐらい、
これは比較言語学、歴史言語学にとって非常に重要な考え方なんですね。
音法則への疑問と語彙拡散の提唱
ただ、常識的にというか、 実際、言語を日々使っている我々の感覚からすると、
そんなことってあり得るのかなという気もするんですよね。 例えば、日本語にもTの音はあって、
音変化っていうのは、このTの音が一斉に摩擦音になるっていうようなことなので、 イメージとしては、
日本語の多行の音が、今この瞬間から作業という摩擦音に変わりますみたいなことなんですよね。
そういったことが一瞬のうちに、しかも例外なく起こるんだろうか、 そんな疑問も湧いてきます。
もし音変化があったとしても、 TからTHみたいな破裂音から摩擦音の変化が、
実際あったわけですけど、その変化の過程っていうのはもうちょっと段階的というか、 ある単語では
TからTHに変わったけど、別の単語ではTのままある程度生き延びたんじゃないかとか、 そんなことも考えられます。
今日はこの辺りを掘り下げていきましょう。 BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。 パリス・ヒルトンです。
比較言語学とか比較方法については、 過去のエピソードについて何度もお話ししておりますので、
概要欄チェックしてみてください。 その破裂音から摩擦音へみたいな、
英語で起こったような、大昔の英語で起こったような音変化っていうのは、 かつては音法則とも言われて、法則と言われるぐらい
もうガッチリしたものだったんですね。 繰り返しですけど、この音法則というのが例外なく適用されるものである。
ありとあらゆる単語で、 破裂音から摩擦音への変化が起こったっていうふうに考えていて、
それが土台となっていて、 この音法則に例外なしっていうのが、
ある意味、科学としての言語学の 拠り所みたいなところがあるんですよね。
歴史言語学、比較言語学っていうのは、 基本的にこの立場にのっとっていると思います。
つまり音法則というか音変化っていうのは、 その言語に一律に起こるものであって、
この単語では起こらないよとか、 あるいは例外が見られますよとかいうふうには考えません。
基本的にはそういう立場だと思うんですが、 ただ現実的に考えるとやっぱりそうとは言えないというか、
その一瞬のうちで音変化が起こるっていうのは やっぱりありえないんじゃないかという、
そういう気がしますよね。 その言語を話しているのは1個人ではないので、
その言語の和者、ネイティブスピーカー全員が、 破裂音から摩擦音に一瞬で取り替えますっていうのは、
やっぱりありえないですよね。 そういったことから音変化っていうのは、
じわじわと単語ごとに少しずつ広がっていくという、 そういった考え方があります。
それが語彙拡散、レキシカルディフュージョンと言われる考え方で、 これは現代で実際に起こっている言語変化を観察するときに有用な有効な考え方です。
語彙拡散の具体例と現代への応用
例えば英語で、 アとエの中間の母音みたいなのがあります。
エみたいな母音で、発音記号だと小文字のエとイを繋げたような、 猫のキャットの母音、エという母音ですね。
このエという母音の音色が、 実は単語ごとに
バリエーションがあるということが知られています。 例えば男という単語のマンっていうのは、メンみたいにかなりエに近いような発音になりがちです。
ハローメンみたいに言うのをね、聞いたことある人もいると思うんですけど、 アというよりは限りなくエに近いようなエという発音。
場合によってはメアンみたいに、ちょっと二重母音っぽくなることもあります。 いずれにせよ、男というマンというのはメンみたいにちょっと、
専門的にはテンスがある発音という言い方するんですけど、 母音が高くなったりとか二重母音とかになったりします。
ただ全てのこのエという発音が、 テンスがかかるかというとそうではないんですね。
例えばお父さんっていうダッドっていうのは、テンスあんまりかからないと言われてるんですね。 どちらかというとノーマルなエという発音です。
このテンスのあるエという発音は、 現在進行形で英語で起こっている変化で、
全てのエという発音がメンみたいに、 そのテンスのかかった音色になっているわけではなくて、
ダッドみたいに従来の発音で生き延びているものもあります。 こういうふうに単語ごとにじわじわ広がっていくという現象がレキシカリディフィージョン、語彙拡散です。
よく言われているのは微音。 MとかNの前でテンスのかかったエになりやすいと言われていて、 まさにメーンっていうのがそうですけど、
そういう音環境も指摘されたりしてるんですが、 いずれにせよこのテンスのかかったエっていうのは例外なく一斉にガラッと変化しているわけではなくて、
変化する単語もあればそうじゃない単語もあると、そういったお話でございました。 もしかしたらね、皆さんが普段何気なく使っている日本語でもこの語彙拡散というのは起こっていて、
ある単語では音が変化しているけど、別の単語では変化してないということがあるかもしれません。 それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
歴史言語学については関連エピソードがいくつかあると思いますので、ぜひ聞いてみてください。 概要欄もチェックしてみてください。
番組フォローもよろしくお願い致します。お相手はシガ15でした。
11:23

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