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今、防災が気になる 流域治水とは:流域思考とは
2026-07-06 11:06

今、防災が気になる 流域治水とは:流域思考とは

慶應義塾大学 名誉教授 岸由二(きし・ゆうじ)さん

いま旬の話題にクローズアップ!当事者や専門家にインタビューし、ニュースの深層に迫ります。
※RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で放送したものです。

田畑竜介 Groooooow Up

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サマリー

本特集では、慶應義塾大学名誉教授の岸由二氏を招き、「流域治水」の考え方について解説します。流域とは、雨水が集まる地形全体を指し、地球上の全ての地面がどこかの流域に属すると説明。この流域の概念を理解することが、地球環境問題や防災、特に水害対策において不可欠であると強調しています。

はじめに:防災と流域治水
日々お伝えしているニュースや話題の中から一つのテーマに絞って、専門家や当事者に話を聞く週替わりの特集コーナー
Weekly Close Up。いつか来るかもしれない。これから大雨の季節だからと分かってはいるけれど、ついつい後回しにしてしまうこと。
防災の準備です。水、ストックありますか?我が家の避難場所、どこだっけ?防災グッズ、何がある?そう思った今が確認するタイミングかもしれません。
RKBラジオは今日1日、この田畑隆介グローアップ、そしてトイトイトイ、さえのワッフル、中谷ひとし、下田文雄の夜直し堂の4つの生ワイド番組が、それぞれのカラーで様々な角度から防災を取り上げます。
このグローアップでは、1週間。今、防災が気になる。流域治水とは?というテーマでお送りします。
今日はその流域という考え、流域志向とは?についてです。
慶応義塾大学名誉教授、岸祐治さんです。
岸さん、おはようございます。
おはようございます。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
流域志向とは何か
岸先生は、生き延びるための流域志向という本も出されておりまして、この流域志向というものがどういうものか、そしてどう防災に役立つのかというのを、今日はお話を伺いたいと思うんですが、まずこの考え方ってどういうものなんですか?
流域ってご存知ですか?そこから聞いたことがある。流域っていうのは、雨の水を集めて川とか湖とか水系を作る地形のことなんですけども、これみんなどこかで聞いたことがあるんだけど、大きな辞典も間違ったことを書いてるし、小中高大、日本では全く教えませんので、知らないんですよ、みんな正確な定義を。
簡単に言うと、降った雨の水は必ず低いところに集まって川になったり池になったりしますよね。その川に水が集まる範囲をその川の流域、その池に水が集まる範囲をその池の流域と言います。
この流域の地形っていうのは実は雨が降る大地は必ずどこかに集まるので、必ずどこかの流域なんです。だから地球の上の雨が降っている地面はすべて流域という地形で区分されているんですね。細胞みたいなものです。だからちくま川の流域とか川辺川の流域とか、川には一個一個その領土で水を集める流域があります。湖にもあります。
ということは多分流域っていうと自分が住んでいる川の近くっていう狭い範囲で思い浮かべた方もいると思うんですけど。
そうじゃないです。全く違うんです。
ずいぶん遠くの山の上まで分水界で囲まれた窪地が全部流域ですから、実は流域でない場所って分水界以外はないので、基本的に全部流域の中です。どこにどっかの流域です。どこでも雨が降っているときにはそこに集まる水でだけ被害が起きる。
基本的には自分がどこの水系どこの流域に住んでいるかってことを知ることが重要ってことですかね。
そうです。だから福岡市で大雨が降っていますって聞いても福岡市のどこに住んでいるかによって水の被害って全く違うんです。
福岡市の中のどこの流域にいるかによってどこの流域の上流にいるのか中流にいるのか下流にいるのか下降にいるのかによって全く違う。
流域ってそういう概念。まだ全く広がっていないので、特に日本ではほとんどまともに教育で扱っていない。
大きな書店が出している国語辞典なんかは毎年とはのきなみ間違った定義をしていますから、勉強しないといけない。
僕の本を読んでいただくのが一番いい。
流域志向の重要性:環境問題と水の関係
おっしゃるとおりです。先生、なんでこの流域志向が必要なんですかね。
今、地球温暖化だとか生物多様性の危機だとかいうので大騒ぎしてますよね。
生物多様性の危機っていうのは生態系の危機だから、どこでどういう生物が暮らすかを支える構造をどうにかするってことですよね。
それから温暖化で何が大変かというと、滑水、水がなくなる、あるいは豪雨で大水害が起こるってことですよね。
生物がどこでどう暮らすかも実は水の循環と関係があります。
滑水は水が集められなきゃ話にならないでしょ。
洪水は水が集まりすぎたら問題になる。
実は生物多様性の危機も温暖化の危機も根本は水の問題なんですよ。
温度の問題じゃなくて水の問題なんです。
じゃあ水を地表で受けるのは何ですかって必ず流域という地形なんです。
だから地球環境問題を小さい問題から大きい問題まで、日々の崖崩れからちょっとした水害、氾濫まで全部を扱う基本の概念が流域ということですね。
生き物を扱うときに細胞を知らなかったら、今の現代の医学って成立しないし、生物も成立しないでしょ。
生物のすべてが細胞でできてるっていうのを人類がはっきり認識したのはまだ200年経ってないんですよ。
約数十年、ほぼ100年ですね。
流域っていうのもそれがどっかにあるってみんな知ってるんだけど、いかに重要な概念かっていうのを人類が学ぶのはこれからです。
特に日本は今からようやく学ぶ、2020年に国土交通省が流域治水ということを言い出して、ようやくまともになりかかっています。
流域治水の実践:鶴見川の事例
その流域治水と今までの歴史、それから実際にそれをもう40年も前から実践している鶴見川という川があって、
そこのお話を一冊、高校生が読めるようにまとめたのがお手元にある、生き延びるための流域治水という本です。
防災というところでちょっと今回治水にスポット当てたいんですけども、流域志向が治水においてどう防災で役立つんですかね。
日本の法律の体系だと都市を氾濫させないためには、実は河川法という法律と下水道法という法律とこの2つでやるっていうのが基本だったんですよ。
川っていうのは帯ですよね、水の帯。河川法ってその水の帯を広げたりまっすぐにしたり、そこにダムを作ったり、川をいじくることで水害を止めなさいという法律。
下水道法も町に降った雨を水が集めて、下水道というのは道ですよね、水の。
それで川に流すとか川に流さないで溜めるとか海に流すとか、いずれもその水の流れる道をコントロールするだけで治水はできるってずっと考えてきたんですよ。
でも鶴見川のようなもう90%被害化されているようなそういう地域では、いくらお金を使っても川の改造、下水道の改造では大水害を阻止できないんですよ。
じゃあ何をしたらいいかって流域の中には水を溜める田んぼや畑や森がありますよね。可能な限りそれを残す。これは河川の法律でも下水道の法律でもないので、じゃあ流域に法律があるかってないので、流域で考えるというみんなのコモンセンスでやるんです。
それから町を作るときに開発したら補水力が落ちるから、その分小さな池を町の中に作ってください。だから町を一つの流域にするわけですよ。小さい。水溜める。で、全体の流域に被害が及ばないんです。
だから森を守る、田んぼ畑を守る、それからたくさんの池を作る、そういう工夫を河川の法律、下水道の法律と関係なしに40年間やってきたのが鶴見川の流域といって、それでギリギリうまくいっています。
それから通常の治水をする法律、下水を扱う法律以外の流域の常識、合意、連携でこれからの合意時代に対応していきましょうというのが流域の治水。で、鶴見川の場合は総合治水と言ってきたんですけど、全く同じ内容、2020年国土交通省が流域治水、言葉を変えただけで中身は全く同じです。
流域を使って治水をする。川と下水道だけではないよ。森も田んぼも畑も町も町を作って新たな、それを小さな流域にして水を貯めちゃうわけですから、ありとあらゆるそういう工夫を合流させて新しい治水対応をしていくっていうのがまだ始まったばっかりです。
流域治水の未来と協力体制
もちろん、川はしっかりやるし、田んぼは取ってもらうし、幅は広げてもらうし、必要なら護岸もするんですけども、降ってくる雨の量が予想通り増えてくるんだったら、そんなことではもういくらお金を使っても対応できないことは科学的に計算すればわかっているから流域で治水をするということですね。
河川管理者に任せるとか下水道管理者に任せるんじゃなくて、都市を作る人も森を管理する人も農業をやる人も町を作る人も全部協力しなきゃいけない。協力できるようになるというのが流域志向という思考の基本ですね。
なるほど。よくわかりました。ありがとうございます。ということでまずはこの流域志向ということを抑えた上で、明日以降は流域治水の具体的な部分をいろいろ展開していきたいと思います。この時間は慶応義塾大学名誉教授岸裕司さんにお話を伺いました。
11:06

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