桜の多様性とソメイヨシノの普及
はい、今回も始まりました。草とか石とかのラジオ。このポッドキャストは、自然界で好きなもの、気になるものについて深掘っていく番組です。よろしくお願いします。
さて、今回は僕、Jasonが一人で喋る回なんですけれども、テーマはサクラでございます。
この配信がされるのが3月になると思うんですけれども、3月下旬頃から4月にかけて、日本全国いろんなところでサクラが咲いているんじゃないかなと思います。
皆さんはサクラって聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか? 僕はサクラって聞くと花見とか日本を代表する植物だなぁみたいな、そんなイメージがあったりするんですけれども、
今回、サクラについて調べてみようと思ったのはですね、以前京都の北山の方にあります京都不立植物園に行きまして、そこは植物園って言っても温室だけじゃなくて、敷地内にいろんな植物が植えてあって、それを見ていたんですよね。
その中でサクラの品種見本園というのがありまして、そこに行ったのが4月ぐらいなんですけれども、本当にいろんな種類のサクラが咲いていたんですよね。
それは日本を代表するサクラのソメイヨシノだけじゃなくて、大島桜とか山桜、江戸彼岸桜とか、本当にいろんな種類のサクラがパッと見ても種類が違うし、その種類の名前が札として書けてあって、本当に違う種類なのかなって思ったんですけれども、
中には我々が普段見ているのとはちょっと系統が違う寒日桜っていう沖縄とか南方の方でよく育っている桜があってですね、これなんかは花の色がすごい独特のピンクで、花の向きが下向きに開花するみたいな、明らかに普通の桜と違うものもあるなって、そんなものもありましたね。
細かい園芸編集でいうと、八重桜的なものもあるし、色も形も本当に多様で、サクラって言っても本当にいろんな種類があるんだなっていうことを思ったんですね。
僕もこれまで桜並木を見て、確かに綺麗だなっていうことは思っていたんですけれども、桜について深掘ってみると、実はいろんな面白いことがわかるんじゃないかっていうことを思って、今回改めて桜について詳しく調べてみました。
まず最初に、桜の種類がたくさんあるという話をしましたけれども、世の中には生物の分類の仕方はいろいろありまして、生物学で一般的に用いられている種の概念で分類しますと、日本には10種類の桜しかないんですよね。
日本に分布している桜の種類は、山桜、大島桜、霞桜、大山桜、豆桜、高根桜、長寿桜、江戸彼岸桜、三山桜、寛飛桜というこの10種類があるんですけれども、どうですかね、みなさんこれのどれくらいまで知っているんでしょうか。
さらに細かい栽培品種というと、もっとたくさんあるんですけれども、その中でも一番有名なのはソメイヨシノという品種で、日本で多分誰もが知っている超有名な桜の品種ですよね。
こちらは江戸時代に江戸彼岸という桜と大島桜という種類が交雑したものの中から選抜した品種というふうに言われています。
これは江戸のソメイ村という村で始まった栽培品種と言われていますけれども、ヨシノというのは奈良県の桜の名所であるヨシノにちなんだ名所で、有名なブランド名を利用した商品名と言っていいのかなと思います。
このソメイヨシノの特徴としては、まず木が大きく育つスピードが速いということですね。
一般的な日本で持生している山桜とかは、開花できるほど多くの花が咲くまで10年以上かかるらしいんですけれども、ソメイヨシノの場合は5年ぐらいで見栄えがするぐらいのサイズに成長するというその生育の速さがあります。
あとソメイヨシノは花が一斉に咲くという特性があるんですよね。
山桜とかは花がバラバラのタイミングで咲いたり、花が咲くときに赤い若葉も広がっているので、木全体が赤っぽく見えてちょっと綺麗じゃないんですけれども、ソメイヨシノは葉が出てくる前に花が一斉にバーッと咲いて、その後に花が散ってから葉が出てくるというスタイルなので、花が一斉に出てくるときはとても綺麗に見えるということですね。
日本では江戸時代とかでは、結構庶民の中でも桜の下で花見をするという文化が出てきたみたいなんですけれども、その中の理想的なスタイルとしては満開の桜の木の下で飲食ができれば嬉しいみたいな、そんな感じだったみたいなんですよね。
ソメイヨシノの場合は花が一気にバーッと咲くので、この特性から明治時代以降になると爆発的にソメイヨシノが広まったということで、現在も全国各地でこのソメイヨシノが植えられているということですね。
ただ、このソメイヨシノは結構関東の桜というイメージがあるのか、東京に対抗意識がある都市の京都とか大阪では、比較的その植えられている割合というのも少ないんじゃないかと言われています。
例えば京都の御所では全体として明らかに山桜が多かったり、これは伝統的な庭園管理をしていく中で古くから利用されている山桜が優先されたんじゃないかとか言われていますけれども、このソメイヨシノの人気というのはちょっと地域差があるんじゃないかということですね。
また、現在日本各地に植えられているソメイヨシノ並木というのもあると思いますけれども、これの多くは第二次世界大戦後に植えられたものなんですね。
というのも、戦争が終わって高度成長の時代の中でどんどん新しく街並みを整えていく中で、成長スピードが速いソメイヨシノというのは、公園とか街路樹として植えておくとすぐにいい大きさに育つので、すごい使いやすかったということみたいですね。
一方で最近は他の品種、カンザン、これは石に山って書く品種なんですけれども、これは八重崎の品種なんですけれども、病気に強かったり管理が簡単ということで使われる割合が増えてきたということも言われていますね。
このカンザンという、これは栽培品種の名前なんですけれども、これについて説明すると結構濃いピンクの桜なんですよね。
僕もこのカンザンを植物園で見て、これすごいきれいな桜だなと思ったんですけれども、これは寒さに強いということもあって海外で結構人気の品種で、ロンドンに行って桜って言うとこのカンザンがかなりメジャーな品種みたいですね。
このカンザンはソメイヨシノとかみたいな薄いピンクじゃなくて、かなり濃いピンクの桜の品種です。
この桜の花の赤色っていうのはアントシアニンという色素によってできていて、このカンザンはそのアントシアニンの量が多い品種っていうことだと思うんですね。
ところでこの桜っていうのは、最初開花始めより開花後半に向けて散り際にやっていくと、花の色が徐々に赤くなっていく特性があるんですよね。
去年、僕実はその辺にある桜の花を取ってドライフラワー的な標本を作ろうと思って、桜の花をすごい観察していたことがあったんですけれども、
桜の咲き始めの花を見ていると結構花が白いんですよね。
自分としてはちょっとピンクがかった花をドライフラワーにしたかったので、真っ白でちょっと困ったなと思っていたんですけれども、
ちょっと1週間、2週間経っていくとピンク色の花がちょっと増えていて良かったなと思った経験があるんですが、
これは紅葉と同じような仕組みみたいなんですけれども、この桜の花がかなり赤くなってきているなって思ったら、その桜はもう散り際かもしれないですね。
また、最近では関東では桜は昔はもっと色が濃くて、最近は色がそんなに鮮やかじゃない、色褪せているみたいなことが言われているそうです。
これは、花の赤くするアントシアニンの合成には低温等、紫外線の刺激が必要というふうに言われています。
一方で、最近は地球温暖化等の影響によって冬の最低気温が高くなっていることから、アントシアニンの合成に必要な低温があまりないということで、花の色が白っぽくなっている傾向にあるんですよね。
だから、最近桜の色が褪せてきているっていうのはおそらく本当なんだろうなというふうに思います。
一方で、開花する前に寒い日が続くと比較的濃いピンクになる傾向があるみたいなので、今年どういう気象になるかわからないですけれども、もし開花前寒かったら綺麗なピンクの色の桜が見れるかもしれないなと思いました。
珍しい桜の品種と桜の実の秘密
ここまで桜の花の赤色についてしゃべってきたんですけれども、桜の品種の中にはかなり変わった色の品種が他にもあるんですね。
例えばウコンという桜の品種は黄色い花を持っていたり、ギョイコウという品種は緑色の花を咲かせます。
このウコンという栽培品種は、ウコンって聞くと華麗のルーに使う香辛料の名前だなって思うかもしれないですけれども、
それは元々ウコンという黄色い花の品種があって、これと色が似てるよねっていうことで、香辛料がウコンという名前がちなんでつけられたみたいですね。
この桜なのにウコンとかギョイコウという品種が何で黄色とか緑の花になるかというと、
通常の桜の花びらには葉緑体がほぼないんですよね。
一方でこの二品種については花が葉緑体を少し含んでいたり、アントシアニンの量が少ないので黄色や緑色に見えるっていうことですね。
これらの品種はかなり昔から存在していたそうで、昔から変わった桜の栽培品種を選抜していくという歴史があったんだなということを思いますね。
他にも変わった品種について話そうと思うんですけれども、桜は花が春に咲くものだっていうイメージがあると思うんですけれども、
秋から冬にかけて花を咲かせる品種もあるんですよね。
普通の桜は通常花が春に咲くんですけど、花の芽は前年の夏に形成されて、その後休眠して冬を越しているんですけれども、
また暖かくなっていくと翌年の春に再び開花するっていうことなんですが、何らかの理由で秋に休眠が解除されると開花するっていうことですね。
常に秋冬にほぼ開花するよっていう品種も存在しまして、例えば冬桜っていう品種があるんですけれども、
こちらの品種を僕、たまたま愛知県の熱田神宮で見たことがありまして、冬の12月に行ったんですけれども、桜が見事に咲いている様子が見れて、
自分の体感としてはもう冬なのに、寒くなっているのに花が咲いているっていうちょっと不思議な光景が見れて面白かったですね。
この冬桜は群馬県の藤岡市の桜山公園等が名所として有名みたいなので、興味があればぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
ここで少し話は変わるんですが、日本では桜って鑑賞用に使われていると思うんですよね。
ただ世界的に見ると桜はその果実、果物を食用する木として知られているんですよね。
要は桜んぼとして食べられているっていうことです。
実際日本でも山形とか山梨とかではサトウニシキとかが栽培されていると思いますけれども、明治時代より前の日本では桜んぼってほぼ食用にはされていないんですよね。
日本では今食用とされているのは西洋ミザクラという種類をベースにした品種になるんですけれども、
これの元となるのは紀元前の800年頃にトルコ等で栽培されていた桜んぼというふうに言われています。
僕もこの間トルコに行った時に確かに桜んぼの畑があるなっていうのは見ていたんですけれども、
日本原産の桜も稀に桜んぼとして食べられることもあるんですが、
日本で鑑賞用に栽培されているソメイヨシノとかだと、食用の桜んぼよりすごい小さな小さな実がつくし、あんまりおいしくないっていうことがあるかと思います。
あと、自分はこれ調べていてびっくりしたのが、桜んぼって実が成熟していない時にその実の中に毒成分を含んでいるんですよね。
例えば、ソメイヨシノの桜んぼを食べたムクドリがですね、しばらくすると死んでしまったという事例がありまして、
その胃の中からシアン化合物という毒成分が検出された事例もあるんですね。
というのも、桜の実にはシアン化合物の全区体が含まれていて、未処理の状態で大量に食べてしまうと、
体の中で分解されて、毒性が強いシアン化水素、要は生産ガスみたいなものを作ってしまう可能性があるんですね。
ソメイヨシノの実は未成熟の場合でもパッと見かなり黒っぽくなっていたり、
もう熟しているのかなって思ってしまうような外見なんですけれども、
体に悪かったりするので、あんまり食べない方がいいかなと思います。
ここでまた話は変わるんですが、桜の花と蜜の話をします。
桜の花蜜と桜餅の葉
桜って花がたくさん咲きますけど、桜は花粉を運んでもらうために
花の中にたくさんの蜜を出しているんですよね。
たまに贈答品とかの高い蜂蜜とかで、特定の種類の花から収穫した蜜だけを作った蜂蜜を炭化蜜ということで売っていたりするんですけれども、
桜についても桜の蜜だけで作った蜂蜜というのもあって、
1回たまたま貰い物として貰って食べたことがあるんですけれども、
すごい桜餅みたいないい香りをした美味しい蜂蜜でしたね。
桜の花って満開前後の10日ぐらいで散ってしまうので、
その短い期間に蜜を蜂さんが収穫してこないとこの桜の蜂蜜ができないので、
この桜味の蜂蜜というのは結構レアみたいなんですよね。
年によっては桜の時期に雨が降ったりするとほぼ取れないみたいですね。
この桜の蜜だけをどうやったら取ってきて蜂蜜にできるのかというと、
他の花の蜜と混ざらないように桜シリーズの直前に蜂の巣箱の蜜を完全に殻にするみたいなんですよね。
この桜の花が咲いているシーズンに蜂に蜜を取ってきてもらって、
そのシーズンが終わるとこの蜂の巣箱を閉じて、
これで桜の蜜だけを出てきた特別な桜風味の蜂蜜ができるっていうことみたいですね。
この花の蜜というのは虫だけじゃなくていろんな鳥、
例えばヒオドリ、メジロ、コゲラ等も吸いに来るみたいなんですよね。
これらの鳥はその辺にいる虫も食べたりするみたいなんですけれども、
この春の時期は梅とか桜の蜜を主食にしているみたいなんですよね。
桜の満開になった時期にたくさんの桜の花が丸ごと落ちていることを見かけるかと思います。
これは何かというと雀の仕業なんですよね。
というのも、雀の場合は先ほど出てきたヒオドリとかと違って、
舌がすごい短いので蜜を吸うのが苦手で、
花を根元から切り取って蜜を吸っては捨てるっていう行動をするんですよね。
だから桜の花がばーっと咲いている場所に、
満開のシーズンなのに花が丸ごと落ちていると、
これは雀の仕業って思ってもいいかもしれないです。
ところでヒオドリとかは結構縄張り意識が強いのか、
花に来るスズメを追い払うみたいなんですけれども、
この花をちぎっては捨てるスズメから桜を守っているみたいに見えてちょっと面白いですよね。
ここまで桜の蜜とか桜んぼの話をしてきましたけど、
我々が食料として使うのは桜餅ってありますよね。
餅が桜の塩漬けにされた葉っぱに包まれているのがあると思うんですけど、
あれは大島桜という種類の桜の葉っぱが使われているんですね。
この品種は特にクマリンという桜餅の匂いの素みたいなものが多く含まれているんですね。
この葉っぱを塩漬けにすることによって分解が進んで葉が柔らかくなるし、
その桜餅の匂いっていうのはすごい出てくるんですよね。
こういう桜餅を包む用の葉っぱを専門に育てる農家さんというのが、
静岡県の伊豆半島に200件ぐらいいるそうで、
我々が普段見ている桜ってかなり大きな舌で花見ができるような桜の木かと思いますけれども、
この葉っぱを摂る用の桜というのはかなり背丈が低い桜で、
この桜畑で1月から2月に昨年伸びた枝を根元から20センチぐらい残して全て剪定するそうなんですね。
そこから伸びた枝の葉っぱを5月から8月まで手で1枚1枚摘み取って、
それを塩漬けにして漬け込んで5ヶ月ぐらい置くと桜餅に使えるというふうに言われています。
僕はこの桜餅の香りが結構好きで、他の食品でそういう香りのやつないかなって色々調べたときに、
お茶の品種で埼玉県さんが開発されたオクハルカっていう品種があるんですけれども、
このお茶の品種も桜と同様にクマリンが多く含まれている品種なんですね。
これに興味を持って買ってきて飲んでみたことがあるんですけれども、
確かにこのお茶の香りの奥の方に桜餅みたいな匂いがして、すごいいいなって思いましたね。
これ結構おすすめなんでぜひ試していただけたらいいかなって思います。
桜への日本人の愛とまとめ
最後にまとめに入っていきますけれども、今回桜について色々調べていて思ったのは、
日本人は本当に桜が好きだなっていうことですね。
桜の色んな栽培品種もたくさんあるし、気象のニュースでも桜全選みたいなものがよく言われているし、
今回桜に関する文献もめちゃくちゃあったんですよね。
普段資料が少なすぎてしゃべる内容困ることも多いんですけれども、
桜については資料が多すぎて逆にどの情報がいいのを使えばいいかなっていうのは、
そういう取捨選択が難しかったですね。
今回は主に生物としての桜や人との関わりについて紹介しました。
これから桜の季節になっていきますけれども、
今見ている桜はどういう種類なんだろうなとか、
いろいろ桜に対することを考えるきっかけになればいいなと思いながら今回しゃべっていました。
以上、草とか石とかのラジオ桜についてでした。
お聞きいただきありがとうございます。