世界から見る日本へようこそ。
世界から見る日本は海外の視点から日本社会を考えるポッドキャストです。
番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有します。
海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダをつなぐ事業開発サポートをしている私、
ゆきが文化、歴史、制度の違いを通して日本の当たり前を外から見直す番組です。
テーマは少し重いのですが、避けて通れないテーマです。
世界の兵役事情、そして最後には日本を誰が守るのかという問いを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
私が兵役ということを初めて意識したのは、大学2年生の時のバックパックの旅で行ったベトナムででした。
ちょうどベトナムの北にあるハノイ湾のボートツアーで一緒になったのが、
イズラエル人の女の子で、見た目は私と変わらない、同じような年齢の女の子に見えたのですが、
どこから来たの?何をしてるの?という何気ない会話の中に、
彼女は、私はこの間兵役を終えたから就職活動をする前に少し旅に出ようと思ってって言ったんですね。
当時のおバカな大学生の私は、え?女性で兵役なの?イズラエルは?と思ったのが強く印象に残っています。
そうなんですね。一般常識かもしれないんですけれども、当時はそれを知らなかった私は、
イズラエルは女性も兵役がある国の一つなんだ、ということに気づかされた出来事です。
加えて、このエピソードを配信しようと思ったきっかけは、8月3日に報じられた一つのニュースでした。
それは、デンマークで約1600人の若者が入隊したというニュース。
デンマークはロシアのウクライナ侵攻を受けて、これまで4ヶ月だった兵役を約3倍の11ヶ月に延長した国です。
そしてその入隊書の中には、なんと19歳のイザベラ王女の姿もありました。
彼女はスラーヘルスにある兵舎で、ごく普通の徴収兵の一人として訓練を始めています。
実は私が暮らすオランダでも似たようなことが起きています。
2026年、今年の1月にですね、王位継承第一位のアマリア王女が予備役兵の基礎訓練を終了し、号長をという階級に昇進しました。
そしてその1ヶ月後には、なんと54歳のマキシマ王姫でもが陸軍に入隊し、射撃やロープ登りといった本格的な軍事訓練を受けました。
北欧やオランダの王室がなぜ今次々と軍服を着ているのか。
今日はこのデンマークのニュースを起点に、ヨーロッパでの女性の兵役参加、そして意外と知られていないアメリカの足元の変化。
そして最後に、私たちの日本の自衛隊が置かれている現実まで、誰が国を守るのかという問題を深掘りしていきたいと思います。
まずヨーロッパから見ていきましょう。ポイントは女性の参加です。
冒頭に話したデンマークですが、このデンマーク政府は2年前の2024年3月、18歳以上の兵役期間を4ヶ月から11ヶ月に延長し、女性も徴兵対象に含めることを発表しました。
当初は今年の2026年から実施予定でしたが、ロシア・ウクライナの緊張が続いていることと、それに対応するための急激なNATOの防衛費の目標達成というこの2つの動きを受けて前倒しにされて、去年の2025年7月1日から女性も徴兵対象にし、11ヶ月の兵役期間があるこの新制度が始まっています。
デンマークの兵役は基本的に志願制です。志願者が定員に満たない場合のみ、抽選で強制所有されるという仕組みです。
とはいえ、去年の新規入隊者のうち、地図に4分の1近くを女性が占めました。
最初の5ヶ月は射撃や応急処置といった基礎訓練、その後の6ヶ月は無人機操縦、ドローンなどの実践的な任務に就くようです。
デンマークの国防陣の大佐はある取材に対し、東を見てほしいと、ロシア側から見た安全保障情勢として、NATOが何もしなければロシアが何を実行できるかという問題だと語っています。
長平成の強化は、NATOへの、もしもの時にすぐ動ける軍隊を今のうちに用意しておくという位置づけなのです。
そして皆さん、ヨーロッパで最初に男女平等の長平成を導入した国がどこかというのは知っていますか?
これは北欧のノルウェーで2015年のことでした。
ノルウェーって皆さんどんなイメージがありますかね?
フィオールドとか自然が多いとか思われるかと思うのですが、このノルウェーという国は北海、北の海ですね。
北海などで取れる石油や天然ガスの輸出が非常に盛んな、世界有数の資源国、産油国とも言えますね。
ヨーロッパ諸国の多くに、多くの天然資源や石油を供給している国です。
ちょっと話が脱線してしまったのですが、お隣のスウェーデンも2017年に長平成を再開し、男女ともに対象としています。
だからデンマークはノルウェー、スウェーデンに続く3カ国目の男女平等長平国ということになります。
北欧では女性が軍務に就くことはもはや珍しいことではなくなりつつあるんですね。
ロシアと直接国境を接していないヨーロッパの経済国ドイツでも変化が起きています。
今年の1月から新しい軍事サービスの制度が始まり、18歳になる男性には兵役に就く意思があるかどうかを答えるアンケートと健康診断への参加が義務付けられました。
ただし、「志願したくない!」と答えても今の段階では強制されることはありません。
でもそれと同時に、これは将来的に長平が必要になった際の名簿作りにもつながっています。
ドイツ政府は2035年まで現役26万人、予備役20万人という目標を掲げていますが、
もしこの志願制だけでは必要な人数を集めきれなかった場合、法律には部分的な長平制に踏み切れる規定があらかじめ盛り込まれているんです。
ただし、これを実際に発動するには、連邦議会が改めて採決を行う必要があります。
まずは、アンケートと健康診断だけを義務化し、それでも人が集まらなければ、議会の判断で強制的な長平に切り替えられる仕組みということです。
こう見ると、第二次世界大戦で日本とともに敗戦国となったドイツさえもこのような動きを見せているのはとても興味深いと思いますし、
やはりヨーロッパが直面している危機感を強く感じます。
そして冒頭でお話ししたオランダです。制度としての長平は現在停止されていますが、王室が自ら軍服を着るという行動には大きなメッセージが込められています。
アマリア王女は2025年9月から国防大学で2年間の予備役プログラムを開始し、今年の1月に基礎訓練を終了しました。
オランダ王室で女性として初めて予備役の訓練を受けた人物です。
そして母親であるマキシマ王妃も今年の2月54歳という予備役入隊の年齢制限ギリギリで陸軍で軍事訓練を受けました。
王室の声明はこう述べています。
もはや私たちの安全保障は当然のものとみなすことはできない。
北欧の少女たちが銃を持ち、オランダの王妃までもが訓練場でロープを登る。
これがヨーロッパの2026年の現実です。
ヨーロッパのお話の後には少しだけアジアにも触れておきたいと思います。
日本の鄰国、韓国です。
韓国では18歳から35歳の男性に兵役義務があり、期間は陸軍で18ヶ月、海軍で20ヶ月、空軍で21ヶ月。
みなさんがよくご存知のBTSのメンバーもサッカーの孫文明選手も人気絶頂の時期に例外なく入隊しています。
2026年現在、韓国も少子化による兵員不足に直面していて、
10ヶ月の短縮兵役か、36ヶ月の職業軍人かを選べる制度が議論されていますが、女性の徴兵は見送る方針が続いています。
北朝鮮という脅威と向き合う韓国は、ヨーロッパとは全く違う理由で今も徴兵制を手放せずにいるんですね。
ここで日本にとって本当は一番身近なはずの国に目を向けたいと思います。
それはアメリカです。
日本の安全保障は日米同盟という形でアメリカに大きく依存しています。
だからこそその党のアメリカの足元で何が起きているかは他人事ではありません。
アメリカは1973年のベトナム戦争終結以降、徴兵制を廃止し、完全志願制の軍隊、いわゆるオールボランティアフォースに移行しました。
しかし1980年以降、18歳から25歳の男性には選抜徴兵登録、セレクティブサービスへの登録が法律で義務づけられています。
これは実際に徴兵されるわけではなく、あくまでも文字ものっときのための名簿登録です。
とはいえ、これまでの登録は本人が自分で手続きする仕組みだったため、うっかり忘れる人も多いようで、2024年時点で登録率はおよそ81%にとどまり年々低下していました。
そこで、去年2025年12月に成立した国防権限法によって大きな変更が加えられました。
今年の2026年12月までに、18歳になった男性を政府が自動的にこの名簿へ登録する仕組みに切り替えるというものです。
本人が手続きをしなくても、政府が持つデータをもとに自動的に徴兵代表者として登録される。
これまでの志願性のアメリカのイメージからすると、静かながらも大きな一歩です。
このタイミングでの変更は、直前まで続いていたイランとの軍事的緊張とは直接の関係はないとされていますが、
この対イラン紛争によって、もし徴兵が必要になったら、という議論に改めて注目が集まっているような気がします。
なお、女性は現時点でもこの登録義務の対象外です。
過去には、女性も対象に含めようという法案が何度か議会に提出されてきましたが、実現には至っていません。
こう見ていくと、面白いですよね。
あの超大国アメリカでさえ、誰を同名簿に載せておくかという制度設計を静かに見直している。
日本の安全保障を支える同名国自身が、自国の兵役基盤に不安を抱えている。
これは、私たちが思っている以上に大きな意味を持つ変化だと思います。
そして、いよいよ日本です。
これまで見てきた国々と比べると、日本の状況は際立って特殊です。
日本の自衛隊には徴兵制は存在しません。
自衛隊法に基づく完全な至願制で採用されるのは特別職国家公務員という位置づけです。
問題は、この至願制がもう十分に機能していないという現実です。
2025年度末、つまり今年の3月時点のデータを見てみましょう。
これはニュースなどでも取り上げられているので、ご存知の方も多いと思うのですが、
定員24万7154人に対して実際の人員は21万7701名。
充足率は88.1%で、これは1998年度以降で最低の水準です。
特に深刻なのが、現場を支える士と呼ばれる下級隊員の階級で、
充足率はなんと60.7%にまで落ち込んでいます。
予備自衛官の充足率も約70%。
有事に真っ先に招集される即応予備自衛官に至っては50%を下回っています。
この背景にあるのは、少子化による募集対象人口、分母そのものの減少、
加えて民間企業との人材競争、そして長時間労働をはじめとする過酷な勤務環境です。
政府も産業年齢の上限引上げや入隊一時金の増額などの対策は打ってはいますが、
2026年度に防衛関係費が初めて9兆円を突破する見込みである一方、
その予算を実際に狙う人そのものが不足している。
これが今の自衛隊の姿です。
デンマークの王女が徴兵され、
オランダの王妃が銃を担ぎ、同盟国アメリカでさえ静かに登録制度を強化する中、
日本は今なお完全志願制を維持しています。
それ自体は平和主義を抱える戦後の日本の選択として尊重されるべきものです。
ただ、その制度を支えるはずの志願する若者そのものが構造的に足りなくなってきている。
これは制度の是非とは別の、もっと現実的な課題です。
ここまでヨーロッパとアメリカ、そして日本の兵役事情を見てきました。
北欧では10代の女性たちが銃を担ぎ、オランダでは王妃までもが訓練を受けています。
そして、日本の安全保障を支えるアメリカでさえ静かに徴兵登録の自動化を進めている。
ひるがえって日本はどうでしょうか。
徴兵制のない、完全志願制の国。
それは私たちが選んだ大切な価値観のひとつです。
しかし、その制度を支える自衛隊は今、充足率88.1%という過去最低の水準にあります。
そして、日本が安全保障を頼る同盟国自身も地獄の足元を静かに固め直している最中です。
日本は誰が守るのか。
これは政府だけの問いではなく、私たち一人一人が向き合うべき問いなのかもしれません。
世界の動きを知ることは決して他人事ではなく、自分たちの当たり前を見つめ直すきっかけになります。
いつか国防費の増額を求められてきたように、
同盟国から徴兵の仕組みも見直すべきだ、と求められない日が来ないとも限りません。
その時、平和主義を掲げてきた日本はどう答えるのでしょうか。
国防費を増やせば済む話なのか、それとも制度そのものに向き合わざるを得なくなるのか。
私自身そんなことも考えてしまいます。
今日は世界の兵役事情から見えてくる日本の現在地についてお話ししました。
それでは少し雰囲気を変えて、リスナーさんからいただいたお便りを紹介していきます。
お便りをいただいたのはアダムさんからです。
はい、それでは読みますね。
こんにちは。いつも楽しく敗退しております。
ワールドカップ、まさか日本とオランダが相次いで敗退するとは思いませんでした。
応援している2チームが敗退というのは寂しくもありますが、
そもそもそれほど勝ち負けにこだわってもいないので、
残ったチームが面白いゲームを見せてくれれば満足だったりもします。
さて、ワールドカップの結果に表示される国旗を見ながら、国旗の発祥について疑問が浮かびました。
中戦の戦争とかで使ってたのは王家の紋章だったと思うけど、いつから国の旗になったんだろう?
というわけで早速調べてみたところ、
なんと世界初の国旗はオランダ独立戦争で使われた旗だった、とのこと。
そして独立後のオランダ共和国を経て、
国民が独立の立役者オラニエ公の末裔を国家の統合の象徴として王にしたいということも初めて知りました。
括弧、世界史を学んだことがないので無視ですみません。
いえいえ、私も世界史を学んだことないんです。
ヨーロッパというと、王の絶対的な権力を国民が制限し、
民主化していったという認識だったので、こんな逆のパターンもあったというのは驚きでした。
こんな生まれ方をしたのであれば、きっと国旗も王室も国民からとても愛されているのでしょうね。
なるほど、王室の歴史は決して長くはないけれど、象徴としての王室という点では日本より先輩。
おそらく学ぶべきことも多いでしょうし、今回の訪問のように天皇家との結びつきが強いのもそういった歴史があるからかも、などと考えていました。
さて話は戻って、ワールドカップ。
これを書いている現在、ベルギーチームはトーナメント初戦を見事突破し勝ち残っています。
そこでユキさんに聞いてみたいことは、オランダの方たちはベルギーのことをどう思っているのかということです。
政治や経済のつながりはとても強い両国だと思いますが、永遠のライバルでもあり、いろいろな感情もありそう。
例えば、ワールドカップで自国が敗退したら、ベルギーを応援する人が多かったりしますか?
ユキさんがご存知の生のオランダ人感情など聞かせていただけますでしょうか?
文化的な両国の交流、影響などについても教えていただけると幸いです。
では、これからの配信も楽しみにしております。
はい、アダムさん、いつもお便り本当にありがとうございます。
すごいですよね、アダムさん。
アダムさん、ワールドカップで見る国旗からの疑問、世界の国旗がどう作られていったのかと調べていらっしゃって、
それでオランダの国旗にくっつくという、この国旗の話からもオランダのボトムアップ文化が感じられますね。
それで肝心のベルギー。
もう今年のワールドカップでは王者スペインに敗れでのベースト8ですよ。
もうベルギーすごい盛り上がってましたね。
やっぱり隣国同士の関係ってやはりお互いにいろいろ思いますよね。
すごい素敵な質問ありがとうございます。
すごく簡単に言うと、オランダ人はベルギー人のことをオランダよりも小国であることも手伝って、
若干、ちょっと言葉が悪いんですけれども、バカにしているところもあります。
例えばよく言われるのが、オランダとベルギーは地続きなので、
車で走って行って、ベルギーの国境を跨いだ途端、道路が凸凹していて、
アスファルトの質が悪い。
よって、車に悪い。
EU域内を走る長距離運転手さんは、みんなベルギーからオランダに入ると道路がスムーズで走りやすいとか、そんなことがあったり。
ベルギー人はオランダ人よりも、どちらかというと日本人よりのコミュニケーションなんですね。
オランダ人ほど直接的に物事を言うっていう人たちじゃないんです。
そうなると、何度も同じことを確認するベルギー人を、あいつらは鈍いとか、そんな風にオランダ人は言ってたりしますね。
そして、ベルギーという国はいろいろな意味で複雑なんです。
ベルギーにはオランダ語圏であるフランドルとフランス語圏のファロンの2つの言語と政治圏が存在しているんです。
各政党は言語圏ごとに分立していて、オランダ語圏の政党とフランス語圏の政党は別々の政党として活動してるんですね。
だから、連邦政府を構成するには、両言語圏の政党を組み合わせる必要があって、この調整が非常に難しい。
だから、内閣総額とかにも、例えば2010年から2011年の内閣総額には調べたんですけど、541日からもう1年以上ですよね。
かかってたり、2019年から2020年も494日という、この驚きの長さ。
こういうイメージも手伝って、遅いとか鈍いとか、そんな感じのイメージですね。
一方、ベルギー人はオランダ人のことをどう思っているのかというと、ケチとか傲慢とか生意気と思っている方もいますし、
美食の国、ベルギー人からしたらオランダの食はまずいとか、オランダ人はいつも物知り顔をしているとか、うるさいし騒々しいとか、
その一方でお互いを友好的に捉えている人たちももちろんいますよ。
でも、オランダが敗退したからベルギーを応援するっていうのは実際少なくてですね、やっぱりライバル心があるので、
どちらかというと、Mバペさんなどがいる、スター選手がいるフランスを応援している人の方が今回は多かった気がしますね。
うーん、こんな感じで答えになっていますでしょうか。
はい、お便りありがとうございました。
世界から見る日本の今回のエピソードは、いかがだったでしょうか。
今日は世界の平気事情から見えてくる日本の現在地についてお話ししました。
番組ではリスナーの皆様からのお便り、質問なども概要欄にあるお便りフォームからお待ちしております。
いただいたお便りは大切に必ず番組で紹介させていただきます。
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お相手は海外再住歴30年以上、現在オランダに住んでいるヴィキでした。
それではまた木曜日にお待ちしております。