1. 世界から見る日本
  2. #38 合法と禁止のあいだでーア..
2026-10-15 50:05

#38 合法と禁止のあいだでーアムステルダムと横浜・黄金町から考える性風俗と働く人のことー

合法と禁止のあいだで——アムステルダムと横浜・黄金町から考える性風俗と働く人のこと


性風俗は、社会の中でどのように扱われてきたのでしょうか。

オランダ・アムステルダムの飾り窓地区「デ・ワレン」と、かつて多くの売春宿が集まっていた横浜・黄金町。二つの街の歴史をたどりながら、日本とオランダで性風俗がどのように管理され、そこで働く人たちがどのような立場に置かれているのかを考えます。

日本の売春防止法と風営法の違い、働く人の雇用形態や社会保障。そして、性風俗関連の事業者を新型コロナ対策の給付金から除外したことをめぐる最高裁判決。

合法か、違法か。それだけでは見えてこない、社会のルールと働く人の権利、そして私たちが見たくないものをどう扱ってきたのか。

アムステルダムと横浜の街を手がかりに、性風俗と社会の関係を考えます。

==

番組内でお知らせしたリンク先


▼黄金町マリア 八木澤高明氏著

https://x.gd/pV9Nn


▼ちるぬるをさんXアカウント

毎度、手ぬぐい🐈‍⬛ (@知古文庫)

@washclothNeco

https://x.com/washclothNeco


▼横浜メリードキュメント映画

https://www.youtube.com/watch?v=HnKR12MLRAA


==

【主な出典】
・警察庁「令和7年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」(2026年4月)
https://www.npa.go.jp/news/release/2026/080423huzokukankeitoukei.pdf
・法務省 売買春に係る規制の在り方検討会 取りまとめ報告書(案)
https://www.moj.go.jp/content/001468916.pdf
・売春防止法の条文(法務省 検討会 参照条文)
https://www.moj.go.jp/content/001458889.pdf
・オランダ司法省研究機関WODC委託 性労働者の社会的立場の調査(2018年)
https://repository.wodc.nl/bitstream/handle/20.500.12832/2351/2834_Volledige_Tekst_tcm28-349936.pdf?sequence=2&isAllowed=y
・アムステルダム市「エロティックセンター」のページ
https://www.amsterdam.nl/zorg-en-ondersteuning/sekswerk-amsterdam/erotisch-centrum/


最高裁判決(令和7年6月16日)は、「裁判所 裁判例検索」で「持続化給付金」と検索してください。
そのほかの参考資料と、今回の内容のまとめは、後日noteの記事に掲載します。


==

🌍 『世界から見る日本』は、海外の視点から日本社会を考えるポッドキャストです。

世界から見た日本はどう映るのか?他国と比べると何が違うのか?

文化・歴史・制度の違いを通して、より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有する番組です。

🎧 ナビゲーター:ゆき海外在住歴30年以上/現在オランダ在住

番組を気に入っていただけたら、是非

▼ 番組フォロー

▼ ★評価

▼ ご感想・メッセージはこちら【https://docs.google.com/forms/d/15K64W9CBo6cQVqMv6AkyJOZasjBggB1zs82bucYhKBA/edit?hl=ja】

▼ X(旧Twitter)【https://x.com/YukikoTatebaya2】

SNSで #世界から見る日本 をつけて感想投稿をいただけたら、必ず返信します!

=======

🎨 番組ロゴ制作


偶像ラジオ:[https://open.spotify.com/show/40YAaFoF1XMZpBlf7sYED2?si=XBvglrQ9RQu-M-KayhoxuA]

Xリンク:[https://x.com/kokonosankaku]


======

BGM: Flint: Peach Jam &トーマス大森音楽工房2026年ヤドフェスサマージャンボリー、ヤドロクさん楽曲制作


黙れヤドロク:https://open.spotify.com/show/0nkwHwGwCPl2SkJT0lNS0Y


ヤドロクさんXリンク:https://x.com/YadonoRock



感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

アムステルダムの飾り窓地区と横浜・黄金町を手がかりに、性風俗を合法化・規制・禁止する社会のあり方を比較する。オランダでは自治体の許可制や無料匿名の検査、性労働者団体がある一方、偏見や観光、社会保障の課題が残る。日本では売春防止法と風営法のもとで、営業は規制されながら存在し、黄金町の取り締まり後も働いていた人々の行方という問いが残った。雇用契約や個人事業主としての扱い、コロナ給付金をめぐる最高裁判決、売春防止法見直しを通して、営業の合法性と働く人の権利・生活保障は分けて考える必要があると語る。後半では、リスナーから届いた日本人の政治参加や国民性についての便りを紹介する。

性風俗を社会はどう扱うか
世界から見る日本へようこそ。
世界から見る日本は、海外の視点から日本社会を考えるポッドキャストです。
世界から見た日本はどう映るのか。他の国ではどうなのか。
文化や歴史、生徒の違いを通して、日本の当たり前を少し外側から見直し、
より良い日本へのヒント、リスナーの皆さんと一緒に考える番組です。
お相手は海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダをつなぐ事業開発サポートをしている私、ゆきです。
今回のテーマは、少し意外に思われるかもしれません。
それは売春と性風俗についてです。
きっかけはですね、今年に入って、日本で売春防止法の見直しに関するニュースを見かけるようになったことです。
そして収録の数日前には、東京吉原の総ブランド責任者らが、売春防止法違反の疑いで逮捕されたというニュースもありました。
実は私自身、今回このテーマを調べるまで、日本の性風俗についてほとんど何も知らなかったんです。
もちろん、日本にそういう産業があることは知っています。
でも、そこで働いている人たちはどんな立場で働いているのか、社会保険はどうなっているのか、
法律では何が禁止されていて何が認められているのか、
そして街の中ではそうした仕事をどう扱ってきたのか、
こう考えてみると、私はほとんど答えられませんでした。
そこで調べてみると、売春や性風俗そのものの良し悪しよりも、別のことが気になってきたんです。
性風俗というと、意見が分かれ、どうしても向き合いにくいテーマです。
では、社会はそれをどう扱うのでしょうか。
法律で禁止するのか、規制するのか、街からなくすのか、
あるいは存在を認めた上でルールを作って管理するか、
そして働く人たちの行為や生活は制度の中でどのように位置づけられているのか。
今回注目したのはアムステルダムの飾り窓地区であるドゥワルと横浜のコガネ町です。
どちらも長い間生産業と深く関わってきた街ですが、選んだ道は大きく違いました。
アムステルダムは売春を合法として認め、見える形でルールの中に置く道を選びました。
コガネ町は大規模な取り締まりで売春店が見えなくなり、アートの街へと変わりました。
この2つの街を並べると同じ問いが浮かびます。
社会は西風族をどう扱ってきたのか。
そして見えなくすることとなくすことは本当に同じなのでしょうか。
そして後半にはありがたいことに再びお便りをいただきましたので紹介したいと思います。
まずはCMをお聞きください。
大晦日、あなたの言葉が音楽になる。
ヤドベス2026ガチンコライトクラブでは、10月1日から11月15日まで歌詞を募集中。
今年一番の一曲、書いてみませんか。
アムステルダムの合法化と飾り窓地区
さてここからが本編です。
今回は2つの街を歩くようにオランダと日本を比べていきます。
1つ目はアムステルダムのデュヴァレ、いわゆる飾り窓地区Red Light Districtとも言います。
そして2つ目が横浜のコガネ町です。
まずはアムステルダムから行きましょう。
デュヴァレとは風俗店、ストリップクラブ、成人劇場が集中している場所、飾り窓地区を指し、アムステルダムでも古くからある地区の一つです。
港に近く、昔から船乗りたちが集まる場所で、そこにパイシュンも根付いてきたと言われています。
つまりアムステルダムはかなり長い時間をかけてパイシュンが存在する街と付き合ってきたわけです。
こう道路に面したガラス張りのドアが並び、部屋の中には赤いランプが灯っています。
そのことから英語ではRed Light Districtとも呼ばれています。
オランダで大きな転機になったのが2000年10月1日です。
この日オランダではパイシュン宿の営業禁止が解除されました。
パイシュンという行為そのものがそれまで全面的に禁止されていたわけではありません。
禁止されていたのはパイシュン宿を営業したり、パイシュンの場所を提供したりすることでした。
2000年の法改正ではその禁止を解除し、自治体の許可制の下で営業を認めることになりました。
つまり、パイシュンを自由にするというより、存在することを認めた上でルールの中に置くという方向に進んだわけです。
そしてその背景には、成人が本人の意思で行うパイシュンは合法として扱う一方で、
本人の意思に反するパイシュンや未成年者のパイシュン、人身取引などには厳しく逮捕するという考え方があります。
そして許可を出すのは国ではなく自治体です。
ですからオランダではパイシュンが自由というわけではありません。
合法ではあるけれど自治体ごとにルールがある、そういう仕組みです。
では、そこで働く人はどのように守られているのでしょうか。
一つの例が健康面です。
オランダの地域保険機関であるHEYHEYDAYでは、性労働者を対象に性感染症の検査を無料、匿名で行っています。
身分証や住所、保険証がなくても検査を受けることができ、仕事用の名前を使うこともできます。
そして重要なのは健康を守る機関と取締りをする機関が分けられているということです。
この人は税金を払っているのか、この店は許可を持っているのかということを調べるための検査ではありません。
さらにオランダには、性労働者による性労働者のためのPROUDという団体もあります。
性労働者の権利を守り、労働環境の改善を目指す団体です。
例えば、仕事上のトラブルや法律について相談に乗るほか、現場で聞いた声をもとに、政治やメディア、社会に対して性労働者の立場から意見を伝えています。
つまり、性労働者を保護されるだけの人として扱うのではなく、この仕事をしている人たち自身がどういう制度が必要なのかを考え、声を上げるという仕組みがあるわけです。
もちろんPROUDが全ての性労働者を代表しているというわけではありません。
ホランダ政府もPROUDは数ある関係団体の一つだとしています。
そしてもう少し歩いていくと、デュヴァレンの旧教会、アウドギャークの前にはベル、ベルという女性のブロンズ像があります。
これは、性労働者の女性によって設置されたもので、世界中の性労働者への敬意を表す意味を持っています。
観光客でにぎわうアムステルナムのど真ん中に、しかも教会の前に性労働者として働く人への敬意を示す像がある。
私はここがなんともホランダらしいなーって思いました。
ただし合法になったから全てうまくいっているという話ではありません。
ホランダ司法省の研究機関FAOデイセイの委託で、研究会社プロイヤーアンドインタラバルが行った2018年の調査では、性労働者が事業用の銀行口座や保険を利用する際に困難を経験する問題も指摘されています。
法律で認められていることと社会に受け入れられることとは別の問題なんです。
社会の中で見える存在になっても偏見は残ります。
さらにアムステルナムには観光の問題もあります。
飾り窓地区のデュヴァレットには、2020年末の報道ではおよそ250の窓があるとされ、今も多くの観光客が集まり、窓の前で写真を撮る人も少なくありません。
観光客にとっては珍しい風景でも、そこで働く人にとっては仕事場です。
私も仕事で日本人出張者の対応をすることがあるのですが、10年くらい前まではしょっちゅう、ゆきさんちょっと飾り窓地区に連れてってくれない?と頼まれることもありました。
見に行く側を案内した私は、窓の向こうの人にとってそこが仕事場ということをどこまで意識していただろうか?って今は思います。
アムステルナム市は観光による迷惑行為や人身取引、資金洗浄への懸念からデュヴァレットのあり方を見直してきました。
その一つがエロティックセンターの計画です。デュヴァレット、飾り窓地区の窓の一部を別の場所に移すという計画です。
ところがこれには正労働者自身からも反対の声が出ました。見えない場所に追いやられるのではないか?という懸念です。
そして2026年、今年の6月、アムステルナムの新しい連立政権は計画されていた大規模なエロティックセンターを進めない方針を示しました。
認めて管理するという道を選んだオランダも、25年以上経った今、どこでどのように見える形で存在させるのか?という問題をまだ模索しているわけです。
ここまで聞くと、日本よりオランダの方が進んでいるのでは?と思う方もいるかもしれません。
私も調べる前はどこかそんなイメージを持っていました。でも本当にそうなのでしょうか?
日本の売春防止法と黄金町の変化
ここからは視点を日本に移してみましょう。まず法律の大枠だけを押さえておきます。
日本には売春防止法という法律があるのを皆さんご存知ですよね。
これは1956年、だいぶ昔ですね。1956年に制定され、1957年に施行され、刑事罰を含む規定は1958年から全面的に施行されました。
この法律では売春を次のように定義しています。
対象、この対象は対象の対に償う方の対象ですね。対かと同じ意味の対象です。対象を受け、または受ける約束で不特定の相手方と成功することとしています。
そして売春防止法の第三条では何人も売春をし、またはその相手方となってはならないと定めています。
ここだけを聞くと、売る側も買う側もどちらも罰せられると聞こえませんか?
私はそう解釈しました。
ところが売春という行為そのものに直接刑罰を課す仕組みにはなっていません。
罰則があるのは路上での客待ちや勧誘、売春の場所の提供といった周辺の行為です。
そして客待ちや勧誘で処罰されるのは売る側、買う側の勧誘には同じ罰則がありません。
この不均衡がニュースなどでもよく聞いていた売春防止法の見直しにつながるお話です。
1950年代の日本は売春を単純に犯罪として処罰するよりも、売春を助長する行為を取り締まり、女性の保護や公正につなげるという考え方が強かったようです。
歴史を振り返ると、日本では長い間性売買を存在するものとして認めた上で、場所を決めて管理する方法が取られてきました。
よく小説、ドラマ、アニメなどにも出てくる江戸時代の吉原などはその典型的な例です。
幕府が区域を定め、そこで有格の営業を認め管理していました。
ところが明治時代になると制度は変わります。
1872年には、いわゆる芸小儀開放令、こうやって聞くと、え?何のこと?って思うと思うんですけど、
芸小儀は芸子さんの芸に、小婦の小に、芸子さんの子の方ですね。芸小儀開放令が出されました。
当時、優女などの女性は借金を返すために何年も働くことを約束させられ、自由に辞められないことがありました。
こうした法則が問題とされ、女性を開放する方向へと政策が変わっていきます。
ただし、この法律によって全ての女性がすぐに自由になったわけではありません。
そして戦後の1946年、GHQの指令によって、国が公認していた賠償制度、いわゆる公賞制度、公の小婦の小で公賞制度です。
この公賞制度が廃止されました。
戦後には赤線と呼ばれる地域で制売売が事実上黙認され続け、1958年の賠償防止法の全面施行で赤線は終わりを迎えました。
でも制度をなくしたからといって、制売売そのものが社会から消えたわけではありません。
制度として認めないことと、社会からなることは同じではなかった。
ここが今回何度も出てくるポイントです。
横浜市中区、K級線の日の出町駅と小金町駅の間におよそ500メートルほどの一帯があります。
ここが小金町です。
戦後、この地域ではK級線の高架下などを中心に制売売が広がり、ちょんの間と呼ばれる小さな店が並ぶようになりました。
神奈川新聞が2015年に伝えた神奈川県警の説明では、最盛期には257店舗あったとされています。
2005年1月11日、地元住民などから環境浄化を求める声が上がる中、神奈川県警がバイバイ作戦と呼ばれる大規模な取り締まりに乗り出しました。
その結果、小金町に並んでいた店は次々と姿を消していきました。
その後、横浜市は空き店舗を借り上げ、アトリエやスタジオへと改装。
2008年には小金町バザールが始まり、現在ではアーティストが集まるアートの街として知られています。
街の環境が変わることを望んでいた地元住民にとっては、以前のような光景がなくなり、安心につながった面もあったでしょう。
でも、ここで私は一つの疑問を持ちました。
店がなくなった時、そこで働いていた人たちは、どこへ行ったのでしょうか?
もちろん、街の環境を変えること自体を否定する話ではありません。
犯罪や暴力、違法な営業、人身取引などの問題があれば、取り締まりは必要です。
ただ、街から見えなくなったことと、その問題がなくなったことは同じなのでしょうか?
私が調べた範囲では、そこで働いていた人たちのその後をまとめて追うことのできる公的記録は見つけられませんでした。
一方、写真家、ノンフィクション作家の柳澤孝明さんが書いた、
小金町マリア、横浜小金町路上の娼婦たちという本は、
かつて小金町にいた外国人女性たちの姿や、その後をたどろうとする記録が収められています。
アジアや南米出身の女性たちも登場します。
詳しくは概要欄に本のリンクを貼っておきますので、関心のある方はぜひご覧ください。
ここで私が考えたのは、街の風景として知られている人と、
そこで実際に生きていた一人の人間は同じではないということです。
その人を街の名物として語ることも、歴史として語ることもできます。
でもその人にとっては、そこが生活の場であり仕事の場であった。
街の人がその姿をどう見ていたのか。
そしてその人自身がどんな生活を送り、何を考えていたのか。
私たちは街の風景だけを見て、その場所を理解したつもりになっていないでしょうか。
風営法と性風俗産業の現在
では、黄金町から店がなくなった後、日本の生産業そのものはどうなったのでしょうか。
ここを見るとさらに複雑です。
日本では、売春防止法によって、売春そのものが禁止されています。
ただし、売春をした人や相手方が売春をしたという理由だけで、直ちに処罰されるわけではありません。
法律では客引きや売春の圧戦、売春をさせるための場所の提供など一定の行為が処罰の対象とされています。
一方、西風俗に関わる営業には風営法という別の法律があります。
正式名称は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律です。
この法律は、西風俗関連の営業について、営業できる場所や営業方法などのルールを定めています。
さらに、風営法には西風俗関連特殊営業という枠組みがあり、
店舗型、デリバリー型の派遣型、インターネットを通じた映像配信型などが対象になります。
営業には公安委員会への届出や営業場所、広告などの規制があります。
つまり、西に関わる営業すべてが禁止されているわけではなく、一定のカテゴリーに分けられ、規制されながら存在しています。
例えば、ソープランドも風営法上の店舗型、西風俗特殊営業の一つとして規制されています。
ただし、法律が成功を提供する店として認めているという意味ではありません。
建前としては入浴などのサービスを提供する営業で、その後の行為については客と従業員の自由な関係という形になっています。
冒頭で紹介した逮捕事件も、この複雑さを考える一つの手がかりになります。
2026年10月、東京の吉原のソープランドで、女性従業員が売春をすると知りながら場所を提供したとして、店舗責任者が売春防止法違反の疑いで逮捕されました。
西風俗の営業として届出をしていることと、その営業の中で行われる行為が全て合法であることは別の話なのです。
警察庁が2026年4月に公表した令和7年風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取り締まり状況についてによると、
2025年末、西風俗関連特殊営業の届出数は、全国で34,861件、内訳は店舗型が6,474件、無店舗型、いわゆるデリバリー派遣型が22,792件、映像送信型が5,449件です。
これは働く人の人数ではなく営業の届出数です。
ここから見えてくるのは西風俗の形が変化しているということです。
昔のように特定の地域に店舗を集める形だけではなく、店舗型から派遣型、そしてインターネットを使ったサービスへと広がっています。
つまり、無くなったのではなく、見える形が変わったとも言えるのではないでしょうか。
日本では買収を禁止する法律がある一方で、その周辺に存在する産業を別の法律で分類し規制しています。
この禁止と規制と現実の存在が同時にある。
私は今回調べるまで、こういう構造をきちんと理解していませんでした。
皆さんはこのような日本の生産業の実情をご存知でしたか。
そしてここで次の疑問が出てきます。
働く人の雇用形態と社会保障
では、そこで働く人はどんな立場に置かれているのでしょうか。
政府属で働く人はどんな働く人として扱われ、労働上の権利や社会保障はどう保障されているのか。
ここが今回私が一番考えさせられたところです。
まず日本についてです。
私が調べた範囲では、政府属で働く人全体のうち、雇用されている労働者と個人で事業を営んでいる個人事業主がそれぞれどのくらいいるのかを示す公的な統計は確認できませんでした。
弁護士や業界向けの解説では、店と業務委託契約を結び、個人事業主として扱われるケースが多いとされています。
一方で雇用契約を結ぶ店もあり、働き方は一様ではありません。
ここで少し整理させてください。
例えば、会社に雇われる人というのは労働者です。
労働者というのは、一定の条件のもとで労働時間や賃金などについての法律の保護を受け、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入します。
一方、個人事業主なら原則として、自分で国民健康保険や国民年金に加入し、税金についても自分で確定申告をします。
つまり、正社員かアルバイトかという違いの前に、そもそも労働者なのか事業者なのかという分かれ道があるんです。
しかも、契約書に業務委託と書いてあれば、必ず個人事業主になるというわけでもありません。
例えば、お店の場所で働き、お店からの指示を受け、料金や働き方のルールもお店が決めている。
そうした実態があれば、契約の名称に関わらず、労働者に当たるのではないかという問題も生まれます。
政府属で働く人をどう守るかは、合法化・禁止化だけではなく、その人をどんな働く人として位置づけ、どう保障するのかという問題でもあるんですね。
では、オランダはどうでしょうか。
オランダの正労働者の働き方は大きく3つあります。
1つ目は、自分で仕事をする自営業者。
2つ目は、お店に雇われる雇用契約。
そして3つ目が、オプティングインと呼ばれるその中間のような仕組みです。
オプティングインは契約上雇われているわけではないけれど、税金の面だけ会社員と同じように扱う仕組みです。
お店などの事業者が報酬から所得税と年金や医療などの保険料を差し引いて代わりに治めます。
どのくらいの人がどの働き方をしているのか。
オランダ政府が法案の説明資料で引用している2014年の調査では、
正労働者の約6割が自営業者、37%がオプティングインで、雇用契約で働く人はごく少数でした。
ただしこれは2014年の調査の数字で今の割合ではありません。
ここで大切なのは、税金の手続が会社員と同じになることと、会社員と同じ保証が受けられることは別だという点です。
オランダの社会保険は大きく2つに分かれています。
1つは住民みんなが入る年金や医療などの保険。
日本で言えば国民年金、国民健康保険に近いものです。
もう1つは雇われて働く人だけが入る失業給付や病気で働けなくなったときの給付。
日本で言えば雇用保険に近いものです。
このオプティングインで差し引かれるのは1つ目だけです。
2つ目の失業給付などは保険料を払わない代わりに給付も受けられません。
自営業者も同じで2つ目の保険には入らず、病気で働けなくなったときなどの備えは自分で用意する必要があります。
つまり合法で税金も納めているからといって、そこで働く人の生活が全て守られるわけではないんです。
コロナ給付金をめぐる最高裁判決
もう1つ考えさせられる出来事がありました。
2025年6月16日、日本の最高裁判所はコロナ禍の持続化給付金や家賃支援給付金の対象から
政府属事業者を除外した国の規定について合憲と判断しました。
この裁判を起こしたのはデリバリーヘルスを営む会社で働く個人ではなく事業者の訴えです。
この会社は政府属事業者だけを対象外にするのは不公平だとして給付金を求めて裁判を起こしました。
しかし最高裁の多数意見は国がこの事業を給付の対象から外したことは憲法に違反しないと判断しました。
多数意見が理由として挙げたのはこの会社の業態です。
お客さんが指定した場所に接客する人が出向いてサービスを提供する、いわゆるデリバリー型で、
そうした業務の形から接客する人の尊厳を害する恐れを否定しがたいと述べました。
これちょっと難しいですよね。これでポッドキャストで聞いてると、え?何?って感じになるのでちょっと整理しますね。
整理をすると最高裁の多数意見っていうのはこのデリバリー型の業態には接客する人の尊厳を害する恐れがあると考えた。
そしてそのような事業の継続を国のお金で支えることはふさわしくないと国が判断しても不合理とは言えないと判断した。
最後に従って今回の給付金から除外しても憲法違反にはならない。この流れです。
わかりますか?ここで考えたいのは仕事の内容からそこで働く人の尊厳が傷つけられる恐れがあると判断することと、
実際に働いている一人一人がどのような経験をし何を感じているかということは同じではないという点です。
加えて給付金を受け取るのは事業を運営する会社です。でも事業が続けられなくなればそこで働く人たちの収入にも影響します。
政府属で働く人たちにとってもコロナ禍で仕事が減った時に公的な支援を受けられることは生活を守る上で重要だったはずです。
そしてこの判決には唯一反対意見を唱えたのが宮川みす子裁判官です。
宮川裁判官は適法に営業している事業者であれば事業の弾与だけを理由に給付の対象から外すべきではないと考えました。
給付金の目的はコロナ禍で苦境に立たされた事業者の継続を支えることなのだから政府属事業者だけを除外する合理的な理由はないという考え方です。
さらに宮川裁判官はこうしたサービスに一定の社会的な需要があることを否定できず、国のお金で事業の継続を支えることは相当だと判断し得ると述べました。
同じ問題を前にしても事業を公的に支援しないことが適切だと考えるのか、それとも働く人たちの生活を支えるためにも給付の対象に含めるべきだと考えるのか。
裁判官の間でも考え方が分かれたのです。
この判決から考えさせられるのは、政府属を法律で規制することと、そこで働く人たちの生活や権利を守ることは必ずしも同じではないということです。
社会として正労働者という仕事をどう位置づけるか、そしてその仕事に携わる人たちをどのように支えていくのか、この2つを私たちは分けて考える必要があるのではないでしょうか。
売春防止法見直しと二つの街からの問い
2026年、日本では売春防止法の見直しが動いています。法務省は3月から検討会を開き、9月17日に議論を取りまとめました。
大きな論点は、先ほどお話しした不均衡です。これまで処罰されてきたのは主にウル側の客待ちや勧誘で罰則は6ヶ月以下の公勤刑、また2万円以下の罰金です。
顔側の勧誘には同じ規定がありません。背景にはホストクラブへの借金を返すために繁華街の路上で客待ちをする女性の多き発が増える一方で顔側の男性は事実上処罰されないという批判があります。
報道によれば報告書は顔側が路上で相手をさまして声をかけたりインターネットで相手を誘ったりする行為にも規制を設けるべきだとして罰則の上限の引き上げも求めました。
ウル側の処罰は維持しつつ支援や福祉につながる体制の整備も求めています。一方で売春そのものを処罰するかどうかは慎重な検討が必要とされました。
実は2024年には保護して公正させるという売春防止法の考え方を女性の福祉側へ切り替える困難女性支援法も施行されています。ただまだ法律が改正されたわけではありません。
今日本はこの問題をどう扱うのかを制度そのものを考え直している段階です。ここまでアムステルダムとコカニチョーそしてホランダと日本を見てきました。最初はホランダは合法日本は禁止という単純な違いだと思っていました。
でも調べてみるとそんなに簡単な話ではなかったですね。ホランダは合法でも社会保障の穴や偏見が残り、街の中でどこまで見える存在であるべきかの議論が続いています。
日本は禁止でも製風俗産業は現実に存在し、そこで働く人の立場は実態によって異なります。禁止されているから存在しないわけでも合法だから問題がないというわけでもありません。
アムステルダムでは観光客に消費される街になってしまわないかという問題があります。コカネチョーでは街から消えた人たちはどこへ行ったのかという問いが残ります。そしてどちらの場合にもそこで働く人自身の声はどこまで街づくりや制度に反映されたのか。
今回2つの街を調べて私が気になったのはそこでした。どちらの国も完成した答えを持っているわけではありません。社会はこれまで様々な対応を取ってきました。どの対応にも理由があり、地域で暮らす人たちの安心や犯罪や人身取引への対応も大切です。
一方で制度や街の風景が変わったとき、そこで働いていた人たちの生活はどうなるのでしょうか。営業を認めれば全ての問題が解決するわけではありませんし、街から店がなくなればそこで働く人たちが抱えていた問題までなくなるとは限りません。
今回アムステルダムと横浜小金町を比べて私が考えたのは、西風俗を認めるか禁止するかという二択だけではこの問題は捉えきれないということです。むしろ社会の中でどうしても存在する向き合いにくいものと私たちはどう向き合っていくのか。
その時、何を守るのか。誰の声を聞くのか。誰が負担するのか。そして見えなくすることによって誰が見えなくなってしまうのか。そこまで考える必要があるのではないでしょうか。
今回私自身、西風俗についてほとんど知らなかったからこそ、法律や歴史、街の変化、そこで働く人たちの立場について調べました。
すると単に売信を禁止するか認めるかというだけではなく、社会が西風俗をどのように位置づけ、そこで働く人たちをどう扱ってきたのかという問いが見えてきました。
それが今回このテーマを通して考えたことです。
リスナー便りと国民性の話
皆さんはどう感じられたでしょうか。ここからはリスナーさんからいただいたお便りをご紹介します。
お便りはチルヌルオさんからいただきました。チルヌルオさん、初めてのお便りです。うれしい。本当にありがとうございます。
はい、じゃあ読んでいきたいと思います。
もともと勢力関係が複雑なヨーロッパの中にあって、どうやって中立を維持し続けるのか、聞きかじりの世界史しか知らないのですが、その成立については日本がいわゆる享受した中立とは違うのだろうということは思っていました。
積極的に政治に参加する…自身も国民の一人として主体性を持って意見する…という感覚が日本の人は気迫に感じます。
それは私自身もそうであり…特に議論まではしても行動はしない…という人が多いように思いますね。
これはなぜだろうと考えて…安易ですが国民性なのかもしれないなと思いました。
大上の決めたことに従って暮らしていく…貴族階級や武器に従いつつも何となく別の世界のことと捉えているのが続いているように感じます。
どうしてこうなったのかと考えると…ずっと人代以前から何か世常によって受け継がれているのかしら…年々と続く遺伝子のような気もしてきます。
国民性って何なんでしょう…変わっていくことをあまり好まないのかなとも感じます。
学生運動の頃のように変わることを訴え過激になっていた背景に対する嫌悪感など…この辺もそんなに詳しくはないのですが…やはりどこか社会と自身と少し次元のずれた場所と見ているような気がします。
単純に生活が忙しいのあるのかしら…この辺りは教育で変えていくしかないように思いますね。
ただ、国防という観点が、例えばシェルター設備を整えたり、日本のそれとはやはり考え方が違うなと感じ、所持上違うところはありますが、参考にしているところは参考にして、取り入れられるところは取り入れていきたいですね。
今回も興味深いお話でした。長文失礼いたしました。
いやいや、こんなに素敵な長文をいただきまして、本当にありがとうございます。
チリンドゥルオさんは、前に世界から見る日本でもご紹介したヤドフェスのグラフィックデザインを担当されているチコさんと私が同時読んでいた人物と同人物なんですね。
いつも世界から見る日本の感想などをXで投稿してくださる大切なリスナーさんであると同時に、デザイナーさんでいらっしゃるので素敵な手ぬぐいをデザインされたり、絵もすごく独自の世界観を持っている方です。
概要欄にチリンドゥルオさんのXを貼っておきますので、興味がある方はご覧に行ってください。
国民性って何なんでしょう?国民性とはどのようにして育まれるのか?
私はやっぱりオランダに住んでいるので、この日本の皆さんが感じる裸感っていうのが物理的な距離があるため、きっとちゃんとつかめてないと思うんですね。
だからチリンドゥルオさんのこういう日本で住んでいる人が感じる国民性の感覚だとかをお知らせしてくださるお便りは本当に貴重で、今後の配信を作る上でもとても参考になります。
この平和に関する配信については本当に多くの方からお便りやDMを頂戴したシャープ34、シャープ35です。
将来また別の角度から、そしてまさに国民性についても触れるような形での配信を考えていますので、ぜひ楽しみにお待ち願います。
世界から見る日本、今回のエピソードはいかがだったでしょうか。
今回はアムステルダムの飾り窓地区、ドゥワランと横浜の小金町という2つの街を通して、西風族を社会がどう扱ってきたのかを考えてみました。
制度の違いだけではなく、そこで働く人たちの立場や生活にも目を向けると、見えてくるものが変わってくるのではないでしょうか。
本編では小金町の女性についての本をご紹介したのですが、同じ横浜の、今度は伊勢崎町に戦後50年、勝負として立っていた横浜メリーさんという方のドキュメンタリーもYouTubeにあるんですね。
私これも見ました。こちらも概要欄に貼っておくので、もし関心がある方はぜひご覧になってください。
番組では皆さんからのお便りやご質問もお待ちしております。概要欄のお便りフォームからぜひお寄せください。
いただいたお便りは大切に必ず番組の中でご紹介させていただきます。
番組が気に入っていただけた方は、ぜひフォローをよろしくお願いします。
そしてSNSでハッシュタグ世界から見る日本をつけて感想を聞かせていただければ必ずお返事します。
お相手は海外在住歴30年以上、現在オランダに住んでいるユキでした。
それではまた次回木曜日にお待ちしております。
50:05

コメント

スクロール