世界から見る日本へようこそ! グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、
皆さんは日本が世界にどう見られていると思いますか? この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有していきます。 番組のお相手は海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダを結ぶ事業開発サポートを行っている私、
ゆきです。 さて、今回は前回配信しました、オランダはなぜタイマーを黙認するのか、コーヒーショップとゴグラムルールの現実に続く後編となります。
もしまだ前編を聞いていないリスナーさんがいましたら、ぜひそちらを先に聞いて頂いてから、こちらの後編に戻って頂ければと思います。
前編は本編が28分、その後頂いたお便り、コメントを紹介しておりますので、本編だけ聞きたいという方はサクッと聞いて頂けると思います。
はい、それでは前回の復習から入りましょう。 前回はですね、大事なポイントが3つありました。
一番初めのポイントは、オランダではタイマーやハシシといったソフトドラッグと、コカイン、ヘロイン、覚醒剤といったハードドラッグを区別した製作をとっており、ハードドラッグは強く禁止されています。
二番目のポイントは、ソフトドラッグはコーヒーショップと呼ばれる場所で5gまでの少量販売、所持が許され、そしてこのようにタイマーを見える場所で管理することで、ハードドラッグの売人との接触を減らし、品質のわからない危険な路上ドラッグを避けるという公衆衛生的な役割も担っているということ。
そして三番目のポイントは、オランダはソフトドラッグをコーヒーショップでの少量販売、5gまでの所持を条件付きで黙認しているだけで、法律上は形式的には違法という微妙な扱い、これをグレーゾーンと私は呼びました。
この他にコーヒーショップはオランダ全土にたくさんあるというわけではなく、オランダ全342自治体のうちたった3割の自治体だけで認められていて、人口比で言うと3万1000人に1店舗だとか、
実際に2024年ソフトドラッグを使用したオランダ人は8人に1人だとか、タイマーの価格や使用動機、使用方法についてもお話ししました。
そして私自身、前回の配信を振り返ったところ、皆さんにもう少し深くお伝えしなければいけなかったと反省した点がありました。
それは何かというと、ソフトドラッグであるタイマーと互換意ヘロイン覚醒剤などのハートドラッグとの違いについてですね。
どのくらい人間の体にタイマーは害を与えるものなのか。
ハートドラッグと比べどのような依存症が出るのか。
これを理解しないと、なぜこんなものがオランダでは黙認されているのか、タイマーも危険でしょと思っているリスナーの方がいらっしゃるのではということに遅ればせながら気づきました。
すみません。
やはりオランダにいるとタイマーが身近なものというと語弊があるのですが、日本の状況と比べるとその存在は確かに身近にあります。
タイマーによる依存症の確率だとか、例えばアルコール、タバコなどの他の嗜好品と比べるとどうなのかとか、ちょっとそういう、ちょっとどころかそのあたりの説明が完全に欠落していたと思います。
加えて前回の配信でも、タイマーの5gの少量販売ということで5g5gと非常に強調してお伝えしていましたが、実際1回につきどのくらいの量を使用するかなど皆さんにしっかりお知らせしてなかったなと反省しました。
なので、後編の確信に迫る前にこのあたりを少し皆さんに説明できたらと思います。
それでは、後編の核心テーマである、コーヒーショップでの商量販売、5gまでの処置を条件付きで黙認し、法律上では形式的には違法という微妙な扱い、なぜオランダはこんなグレーな仕組みを考えたのかについてお話ししたいと思います。
その背景にあるのは、実は公衆衛生という考え方です。
この公衆衛生の考え方は、ざっくり言うと、どうせタイマー使用をゼロにはできないのであれば、リスクを減らし、被害を小さくするという発想です。
オランダ政府はソフトドラッグの利用者が違法指示を通じてハードドラッグのディーラーと接触することを防ぐために、管理されたコーヒーショップでの販売を許してきました。
さらにオランダでは、薬物依存を犯罪者ではなく治療や支援が必要な人として扱う公衆衛生のアプローチがあります。
政府は、学校での予防教育、早期発見、相談窓口の整備やら依存症治療、そしてどうしてもやめられない人に対しては健康被害を最小化するハームリダクション政策を組み合わせています。
このハームリダクションとは、ウィキペディアの言葉を借りると、個人が健康被害や危険をもたらす行動習慣を直ちにやめることができないとき、その行動に伴う害や危険をできる限り少なくすることを目的としてとられる公衆衛生上の実践、指針、政策を指します。
そのため、中学・高校レベルのオランダでの薬物教育プログラムが全国展開され、多くの学校で実施されています。
うちの17歳の長女にも薬物教育プログラムについて聞いてみたのですが、彼女もこれを受けていると答えてくれました。
そして、依存症になった人には、医療と福祉ネットワークを通じて治療や社会復帰の支援が提供されます。
こうした公衆衛生的アプローチは、刑罰で抑え込むのではなく、リスク要因に早く介入し、健康被害と犯罪被害を減らすという発想に立っています。
ここで、日本と大きく違う点は、ドラッグを使うこと、それ自体をゼロにするという発想よりも、
使ってしまう人が出ることを前提に、いかに社会全体のダメージを減らすかという現実路線がかなり明確に打ち出されていることです。
一方、日本はどうでしょうか。
日本の対魔取締法では、対魔の所持、使用、栽培、輸入浄土などは厳しく禁止されており、
所持・使用で最大7年の懲役、営利目的で行った栽培・輸出入の場合は、
最大10年の懲役と高額の罰金といった非常に重い刑罰が規定されています。
私は、日本の公衆衛生は、例えばインフラエンザとかの感染症や糖尿病などの生活習慣病に対しては、
とても組織的な予防・啓発を行う一方で、薬物に関しては厳しい罰則、厳罰による抑止と
社会的スティグマ、社会的偏見や差別が中心にあるように感じます。
まして、予防教育や依存症指導について、オランダほど前面に出ていないと感じる人も多いのではないでしょうか。
日本は厳しい罰則で、使用者自体を少なく抑えてきたのですが、
その分、公衆衛生アプローチ、例えば相談のしやすさだとか、治療とか教育とのバランスが課題なのではと考えています。
もちろん日本にも依存症対策や相談窓口は存在しますが、
そもそも違法薬物使用を打ち明けにくい雰囲気、
そして一度逮捕されると社会復帰が非常に難しくなるフードなどが、
公衆衛生的なアプローチを前に出しにくくしている側面があると思います。
ここにオランダとの大きな文化差、価値観の違いが見えてきます。
それでは、一旦公衆衛生という考え方から離れて、今日の本題である非犯罪化と罰則の違いを少し整理したいと思います。
まず、非犯罪化とは、ある行為を完全に合法にするという意味ではなく、刑事罰の対象から外す、あるいは軽い行政処分に留めるという考え方です。
オランダの場合、対魔の5g少量所持やコーヒーショップでの購入は、形式的には違法ですが、一定条件の下で起訴や摘発を行わないという運用によって、実質的に非犯罪化されています。
これに対して、日本のように罰則を中心とするモデルは、少量でも刑事罰の対象となり、逮捕、善化、社会的制裁という形で強い抑止力が働きます。
この違いは、単にオランダは甘いとか、日本が厳しいという軸だけでなく、どこに国家のリソースを割くか、誰を保護の対象とみなすかという価値判断の違いでもあります。
オランダは、限られた警察、地方リソースを本当に危険性の高いハードドラッグや組織犯罪に集中するために、ソフトドラッグの一部を非犯罪化し、公衆衛生、教育、治療に予算と人材を振り分けてきました。
この政策が、実際どういう社会的影響をもたらしているのか、見てみましょう。
ここからは、犯罪率、医療負担、教育コストという3つの観点から、非犯罪化と罰則モデルの違いが、社会にどう影響するかをデータを手がかりに考えていきます。
データを手がかりにといっても、正確な数値そのものよりも、どこにお金と人を使っているのかという構造をイメージしながら聞いていただければと思います。
それではまず、犯罪、治安の観点を考えてみましょう。
オランダのコーヒーショップ制度は、もともとソフトドラッグ市場を管理し、ハードドラッグの違法市場から切り離すことで、組織犯罪との接点を減らすことを狙って導入されました。
しかし一方で、長年のこのコーヒーショップが表の入り口、少量販売ができる比較的見えやすい場所での販売、表の入り口と栽培や卸が裏の違法市場というバックドア問題を抱えており、これが治安とマフィアの問題を生んでいるという指摘もありました。
コーヒーショップで少量であれば一定の条件の下、黙認されるのに対して栽培や卸というのは裏の違法市場とつながっているのではないかという、これをバックドア問題として長年オランダはこのような問題を抱えておりました。
この矛盾を解消するため、オランダ政府は現在統制されたタイマ供給チェーン実験を進めており、2025年には10の自治体のコーヒーショップが政府公認の栽培者からのみタイマを仕入れる仕組みへと移行し始めました。
これはですね、とても大きいことです。なぜなら、タイマを持っている人の非犯罪化だけでなく、供給側も含めた完全な規制市場への移行によって犯罪組織を排除しようとする試みだからです。
日本の場合、違法薬物市場は全面的に地下にあり、組織犯罪との結びつきが強いとされていますが、原罰化することによって市場が見えにくくなり、実体把握や公衆衛生的介入が難しくなる側面もあります。
ここには、見える場所で管理するオランダと、見えない場所に押し合う日本という対照的な構図が見られます。
次に、医療負担・依存症対策の観点を見てみましょう。
オランダでは、ドラッグ使用が健康に悪影響を及ぼすことを前提に、予防・早期介入・依存処置料に公的な医療や福祉リソースを投入しています。
例えば、学校での薬物予防プログラムや若者の使用を早期に察知して支援につなげる仕組みは、長期的な医療費や社会保障費の抑制を狙った投資として位置づけられています。
公的な予防プログラムには、数千万、数億ユーロ規模の予算がつくこともあり、喫煙、アルコール、ドラッグなどを一体的に扱う全国予防協定などが進められています。
これにより、病気になってから治療するよりも、リスク高度を減らして健康被害を小さくすることが、長期的な医療費削減につながると考えられています。
日本では、違法薬物使用者が医療や相談機関に自らアクセスすること自体が難しいのではないかと思います。その結果、問題が深刻化してから発覚するケースも少なくないようです。
原罰とスティグマ、偏見や差別が強い社会では、早く相談することが心理的に難しくなって、結果として、医療負担や家族への負荷が増える可能性も指摘されています。
最後に、教育コスト、社会教育の観点から見ていきましょう。
オランダの学校教育では、薬物について、使うのは悪いことという道徳的メッセージだけでなく、リスクと現実を知る、困ったときに助けを求めるという実務的な内容も含めたプログラムが導入されています。
このプログラムは、教育カリキュラム、学校規則、保護者への情報提供、早期発見の仕組みなどをパッケージとして数年かけて導入する形をとっていて、教育コストを積極的にかけるモデルといえます。
日本の学校教育でも、薬物乱用防止教室などは行われているようですが、オランダに比べると長期的、体系的なプログラムとしての位置づけだとか、保護者や地域を巻き込んだ仕組みとか、相談支援につなげる実務的ルートの提示といった面では、まだまだ発展途上じゃないのかなと私は感じます。
ここでも、教育にどこまで投資するかという社会の優先順位が、非犯罪化モデルと原発モデルで分かれているように見えます。
次に、オランダから視野を広げ、世界を見てみましょう。
オランダ以外で、実質的にタイマーを非犯罪化している国はあるのでしょうか。
非犯罪化というものは、何度も繰り返しますが、使用や少量所持を刑事罰ではなく罰金、行政処分などに留めるやり方で、完全合法化とは別物です。
オランダ以外にも、非犯罪化あるいはそれに近いモデルを採用している国々があります。
調べたところ、例えばポルトガルなども2001年以降、あらゆるドラッグの少量所持を非犯罪化しています。
ここであらゆるドラッグと聞いて、え?と思った方がいらっしゃると思います。
ポルトガルは、タイマーだけではなく、ヘロインやコカインなども含めて、自分で使う分の少量なら刑事罰をやめて、医療・福祉ルートに載せるという大胆な非犯罪化をしました。
取締りの対象は、今でも売る側、運ぶ側で、使う本人は患者として扱う方向に切り替えたというのがポイントです。
こういうふうに、所持が見つかると、治療・カウンセリングへの誘導が基本で、刑事罰は課すないという国もあるんですね。
他には、チェコ・スペイン・スイスなど一部欧州でも、少量のタイマー所持を罰金や行政違反扱いとして刑事罰を避ける仕組みをとっています。
しかし、中には、非犯罪化ではなく、合法化している国もあります。
それは、カナダ、ドイツ、マルタなど、そもそも成人のタイマー使用を合法化、
所持・自家栽培・販売を一定条件で合法化している、非犯罪化を超えて合法プラス規制市場の段階に入っている国も増えています。
カナダなんかは、2018年に全国で合法化したようで、
旬によって異なるのですが、18歳以上だったり19歳以上だったら、公共の場で30gまで所持可能とか、
ドイツは、2024年一部合法化されたようで、18歳以上であれば公共の場で25gまで所持可能、
自宅で50gまで、自家栽培は3株までと。
アメリカ合衆国でさえ多くの州で少量保持は非犯罪化、
24州以上では、成人向けの娯楽用を合法化されていて、
調べたところ、例えばカルフォルニア州では、21歳以上が公共の場で1オンス、
28.5gまでのタイマー、8gまでの濃縮物、これはだからハシシみたいなものですね。
ニューヨーク州なんかだと、21歳以上で公共の場で3オンス、約85gまで、濃縮物は24gまで合法化されています。
こうしてみると、オランダはドラッグだけのイメージが先行していますが、
世界にはタイマーを完全に合法化しているところもあり、
国によって全くタイマーへの政策が異なることがわかります。
面白いですよね。
世界各国、いろいろな考え方があるのだなと、また実感します。
世界から見る日本のリスナーの方々に伝えたいと思うことは、
いや、この方法がいいんだとか、この方法が悪いんだとか、そういった議論ではなく、
世の中にはいろいろな視点があることを共有することを目的としています。
最後に、日本人リスナーの方に向けて、3つの問いかけをして終わりたいと思います。
1つ目の問いは、薬物問題をどこまで公衆衛生の問題として考えるかです。
犯罪として強く罰することと、健康問題として早期に支援すること、
そのバランスをどう取るのが自分の価値観に合うのか、少し考えてみてください。
2つ目は、非犯罪化という考え方に対する違和感です。
それは甘い、危険だと感じるかもしれませんし、現実的なせんびきと感じるかもしれません。
その感覚の背景には、日本社会で育ってきた法や道徳の価値観が強く影響しているはずです。
3つ目は、教育と情報公開にどこまで投資する社会がいいかという問いです。
原罰モデルと比較して、オランダのように教育、予防、治療に多くのリソースを振り分ける社会は、
自分にとって住みやすいと感じるでしょうか、それとも別のアプローチが望ましいと感じるでしょうか。
私もオランダに来て初めのうちは、なかなかこのオランダのアプローチが頭では理解できていても、心がついていかない自分がいました。
やはり日本で教育を受けた者として、また周りに対魔中毒者を見ていなかったことも影響していると思います。
糖尿病という生活習慣病やインフルエンザといった感染症には公衆衛生という考え方があるのに、
対魔使用に関してはどうして別だと思うのか。正直に言うと、私はまだ答えを持っていません。
オランダの合理性もわかる。でも、日本の厳しさの背景にある守ろうとする気持ちもわかる。
だからこそ、このテーマはどちらが正しいかを決める話ではなく、自分の価値観を静かに見つめる時間なのだと思っています。
世界から見る日本とは他国を真似ることではなく、自分たちの当たり前を一度外から眺めてみることなのです。
今回の対魔のお話がその小さなきっかけになれば嬉しく思います。
世界から見る日本の今回のエピソードはいかがだったでしょうか。
リスナーの皆様からのお便り、質問なども概要欄にあるお便りフォームからお持ちしております。
いただいたお便りは大切に必ず番組で紹介させていただきます。
番組を気に入っていただけた方は是非番組のフォローおよびSNSでハッシュタグ世界から見る日本にて感想や投稿をしていただけたら必ず返信いたします。
お相手は海外在住歴30年以上、現在オランダに住んでいるユキでした。
また次回、今度はまた各州に戻りますので、再来週の木曜日にお待ちしております。