2026/03/26
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おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。 この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
今日は昨日の続編です。 北日本花火工業、近野義一社長の王子豊将受賞祝賀会でのスピーチをご紹介します。
王子豊将という大きな受賞の場でありながら、とても印象的だったのは技術の話ではなくて、近野社長自身が花火とどう向き合ってきたか、その姿勢に関するお話でした。
近野社長が子供の頃、大曲りの花火を家の屋根から見た記憶があるとお話をしてくれました。
おじいさまですから、二代目ですね。おじいさまと一緒に見ながら、あれは誰々の花火だとおじいさまがお話しなさるんだそうです。
一見同じように見える花火でも、それぞれに作り手の個性があるということを幼い頃に知ったんだということだったんです。
大曲りの花火は日本で一番贅沢な花火の教科書だと言ってました。
日本で一番贅沢な花火の教科書、なるほどそうだなって思いました。
そしてもう一つ、人生の中で出会った忘れられない花火についても言っていました。
花火はただ綺麗で終わらない、記憶に残る一発があるんだっていうことなんです。
花火の美しさ、花火の完成度、そして息というものを感じた花火があったと。
そしてもう一つは、ネーミングと花火のマッチング、花火の展開、もう優勝以上の作品だったというもの。
この2つの花火に出会えたこと、若い時に出会えたことが、金野社長を花火師として進む道を後押ししてくれたと。
それが一生心に残る花火として紹介されていました。
さらにとても象徴的だった言葉があります。
花火師は空を見上げる仕事のように見えるけれど、実際は工場で下を向いている時間の方がずっと長い。
毎日火薬に触れながら、私はもう少しうまく開かないかな、もう少し色が出ないかな、そんなことをずっと考え続けているという言葉です。
私は公演などでお話をするときに、花火は上を向かせる力があると言っています。
でもそうですよね、花火師は下を向いて火薬と毎日向き合っているんだなと言われてみればそうだなぁと思いました。
花火は打ち上がってしまえば数秒で終わってしまいます。
でもその数秒のために何日も何ヶ月も時間をかけます。
そしてその一瞬を見上げた誰かが綺麗だなとそう思ってくれたら、また次の花火を作れると。
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とてもシンプルでとても深い循環だなと思いました。
そして最後に語られていたのが、花火は思い通りに開かないことがあるということです。
立派な賞はいただいたけれど、明日からまた工場に戻って、もう少し綺麗に開かないかなと悩んでいくと。
打ち上げるその瞬間もうまく開いてほしいと願いながら見ると、賞をいただいてもなお、もっと綺麗に開かないかなと悩み続けていくと、その姿がとても印象的でした。
花火は空で開くものですけれども、その裏側には下を向いて積み重ねた時間と、そして誰かに届いてほしいという願いが込められているんだなって思うんですね。
今回のスピーチは技術の話だけではなくて、仕事の向き合い方そのものを教えてくれるものでした。
これから花火を見るときに、その一瞬の裏にある時間を少しだけ思い出してみたくなります。
この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。
リッスンではこの配信のテキスト版を公開しています。合わせてご覧ください。
それではまた明日。
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