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2024-10-24 04:36

【0874】2024/10/24 煮詰まるのは前向きな状態 #ことば

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2024/10/24

サマリー

「煮詰まる」という言葉の本来の意味は、問題解決が間近で前向きな状態を指していますが、最近では誤用が広がり、行き詰まりと混同されることが多くなっています。正確な使用方法を理解するために、見解の浸透状況や具体例が紹介されています。

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おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。毎朝更新している恋の日記です。今日も最後までお付き合いください。
煮詰まるの本来の意味
昨日ラジオを聞いていたら、リモートで仕事をしていて、家族でずっと1日いっぱい家にいたら煮詰まるんですよね。
だから、図書館やカフェ、レンタル会議室などを利用するんです。と話している人がいました。
この煮詰まるは、きっと行き詰まると言いたかったのか、あるいは息が詰まると言いたかったのだと思います。
煮詰まるという言葉の本来の意味は、議論とか考えが行き詰まるじゃなくて、
むしろ、結論が出る直前の状態、問題解決が間近な状態を指すんです。
なので、家にばかりいると煮詰まるという表現は、使い方が間違っているんですね。
ただ最近は、多くの人が行き詰まるとか息が詰まるということと混じっちゃって、
煮詰まるを、進展がなくて閉塞感がある状態という意味で使うんですよね。
そういうのをよく耳にします。
正しく使うのであれば、例えば、この議論も煮詰まってきたねという、
この煮詰まってきたねというのは、解決が近づいてきたねというニュアンスを持たせた表現です。
この煮詰まるという単語は、料理に由来しているんですね。
液体を煮詰めていきますと、水分が飛んで凝縮されますよね。
議論とか話し合いが進むにつれて、余分なものが取り除かれて、確信部分がはっきりしてくる。
これを表しているんです。
正しい使い方では、解決や結論が近いという前向きな状態を表す言葉なんです。
少し前の調査になりますが、文化庁が平成25年に行った国語に関する世論調査では、
7日間に及ぶ議論で計画が煮詰まったというこの言葉、これを解決が近いという本来の意味で使う方が51.8%。
誤用とコミュニケーション
一方で本来の意味ではない、行き詰まるの意味で使う人が40%という結果が出ています。
今は10年ぐらい経ちますから、逆転しているかもしれませんね。
でも、こういう使い方は正しく使っているんじゃないでしょうか。
この計画を煮詰めていきましょう。
これは、多くの議論を重ねて結論を出していきましょうという意味で、多くの人が使っているんじゃないでしょうか。
だってそうですよね、煮詰めていきましょうって呼びかけている時に、行き詰まりましょうっていう言い方はないですからね。
煮詰めていきましょうというのは前向きな形で使うのに、
煮詰まるは結論を出せない意味として使う。
これなんか矛盾してますよね。
矛盾しているんですが、行き詰まる、立ち止まった状態、固着状態の意味で使う人が半数ほどいるわけですから、
例えば、上司が会議の進捗は?と聞いてきたとして、その時に部下がその件は煮詰まっておりますと答えた場合、どうでしょうか。
これ重大な誤解を招きかねないですよね。
使い方として、真逆の意味を持たせて使っているということになりますから、
もしも行き詰まった状態ですということを煮詰まるという言葉で使いたいとするならば、
その件は煮詰まっておりまして、もう少し時間がかかりそうですというようにちょっと補足をする。
そうすると、もし上司が正しい意味で使っているとするならば、
あ、この子は煮詰まるをそういう意味で使っているんだなということを踏まえた上で、
結論はまだまだ先なんだなということでコミュニケーションが初めて取れる。
ちゃんと意思疎通ができるという状態になります。
煮詰まるを使う時には誤解を招かないように補足するなどして注意をして使ったほうがいいですね。
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ではまた明日もお会いしましょう。
鶴岡慶子でした。
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