2026/03/09
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おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。 この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
本好きの人の間で、「粋だよね。粋すぎる。」と話題になった表現があります。 場所は三聖堂書店、神保町本店です。
覚えているという方もいらっしゃるかもしれませんが、 2022年神保町本店は建て替えのために一時閉店しました。
この一時閉店にあたって、100年先も200年先も書店という文化を残していきたい。 未来に書店を残すため、現状維持よりも挑戦を選びます。
もっとたくさんの人が本と出会い、本を楽しめる場所に生まれ変わってみせる。 神保町本店の第2章にどうぞお期待ください。とコメントしていました。
その時に掲げられたのが、「一旦しおりをはさみます。」という言葉でした。 一旦しおりをはさみます。
これ普通なら、閉店とか改装のため休業と書くところなんですが、 本屋さんだからしおりが登場して、一時休止だからしおりを挟むんですよ。
で、続きがあるからまた読めるなという、 その本の世界の言葉で未来を表現したキャッチコピーでした。
終わりではなくて、物語の途中という意味に変えてしまったんですね。
一旦しおりをはさみます。 しかもこの垂れ幕が、その形が素晴らしいんですよ。
巨大なしおりの形になってました。 つまり、本は建物、読書は営業、しおりは一時休止というようなメタファーになっていたわけですね。
本の街、人望庁らしい演出だったなと思います。 これ痺れる演出だなと思ったんです。
人望庁は世界でも有数の本の街です。 古本屋さんもあるし、専門書店もあるし、大学書店もあるし、出版社も密集しています。
私は大学時代千葉に住んでたんですけど、千葉の幕張に住んでました。 そこからよくお茶の水に行ってたんですね。
総武線1本で行けます。乗り換えなしで行けるんですね。 で、お茶の水で降りて書店街をよく歩いたものです。
その中で三聖堂っていうのは、やっぱり存在感のある、なんかシンボルマークみたいな、そんな存在でした。
だからこそ閉店します、ではなくしおりを挟むという表現が、街の文化と重なります。
あれから4年が経ちました。建て替えを経て、今月19日再開予定です。あと10日余りとなりました。
つまり、しおりを挟んでいたページをまた開く日がやってくるってことです。 かつてのコピー、一旦しおりを挟みます。
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コピーとしてここまでストーリーがつながる例って、日本の広告でもかなり珍しいんじゃないかなと思います。
コピーライターの世界でよく言われることは、いいコピーっていうのは、この3つを満たすことだって言われてるんですね。
1つ目はその場所でしか言えないこと、2つ目は説明しなくても意味が通じること、そして3つ目、感情が動くこと。
この3つを満たしていて、初めていいコピーだと言われるんですけれども、
一旦しおりを挟みますっていうのは、まさにその典型と言えるんじゃないかなと思うんです。
本屋さんだから成立しますし、誰でも意味がわかるし、未来を感じさせますよね。本当に見事です。
3月19日はしおりを挟んでいたページをもう一度開く日。
単なる店舗の再開ではなくて、本と人とのつながりが再開される。
本と前向きで粋な表現です。
2026年、この春、このしおりが挟まれたページが再び開かれて、物語の続きが始まるというわけですね。
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それではまた明日。
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