劇作家 ベルトルト・ブレヒト の代表作コーカサスの白墨の輪 に触れて、私は、イノベーションの本質に深く迫る感覚を頂きました
講演プログラムより、翻訳家の酒寄真一さんの言葉です。
「演劇は観客にカタルシスを起こさせるものとしたアリストテレスの古典的な演劇観(劇的演劇)に対して
舞台を通して出来事を説明し、観客に批判的な思考を促す演劇(叙事的演劇)を追究し
その具体的な方法として「異化効果」という用語を生みだした。
簡単にいえば、観客にとって当たり前になっている物事に違和感を与えることで、批判的な観点を醸成する技法といえる。」
この作品の中に、私は「異化効果」という
極めて本質的なイノベーションの構造を見させて頂きました
私は3つのことを思いました。
1、常識を壊すことで、本質が見える
2、感情ではなく“思考”を動かす設計
3、あらゆるものごとを異化してみる
1、常識を壊すことで、本質が見える
本来であれば、没入させる演劇に、一歩引いた視点、言ってみれば、メタ認知的な視点を与えながら、普通のことにおける違和感を考えさせることに主眼をおくという、めちゃくちゃ新鮮な体験でした
「自分は何を当然だと思っていたのか?」
これは、まさにイノベーションにおける、日常における違和感を、そういうものだと言わずに、掬い上げて、本当にそうなんだっけと、問いを投げかけるのと同じように
この問いを産ませる構造を、舞台上で繰り広げるという、舞台のイノベーションなのだなあと、新たな体験に驚きをいただきました
2、感情ではなく“思考”を動かす設計
そういう意味では、感情よりも、思考を動かす仕掛け作りという意味で
これは、従来の演劇とは真逆かもしれないなと思いました
ある意味、ベルトルトは、体験の設計そのものを再定義したと言ってもいいのかもしれません
例えば、
•共感させるのではなく、問いを生む
•没入させるのではなく、距離を生む
•快楽ではなく、違和感を提供する
エンタメは感情に訴えるもの、という当たり前がある中で、“思考を動かすエンタメ”を作り上げる
物凄いイノベーションに出会った時に、目から鱗が落ちて、これまでと世界の見え方が全く変わってしまうような
そんな体験設計だなあと思いました
3、あらゆるものごとを異化してみる
異化するとは、一言で言うと、ものごとをちょっとだけずらして見る、と言うことかなと思います
• 毎日通る道を観光客として見てみる
• 自分の会社を初訪問者として見てみる
• 家族を“初対面の人”として見てみる
そしたら初めて、気づいていなかったことに気づけるかもしれない
本当は違和感なのに、当たり前になってしまったことに気づけるかもしれない
それは、イノベーションの始まりにつながる
そんなことを思いました
一言で言えば
異化効果ノベーション
そんな話をしています
参考:音楽劇 コーカサスの白墨の輪 原作 ベルトルトブレヒト 上演台本・演出 瀬戸山美咲 出演 木下春香 眞島秀和 一路真輝 他 主催 公益財団法人せたがや文化財団 企画制作 世田谷パブリックシアター
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