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アイデアを眠らせないノベーション(2013回)
2026-10-31 21:23

アイデアを眠らせないノベーション(2013回)

国連で人道支援活動に携わり、現在は国連を民間の立場から支援する国連財団の最高コミュニケーション・マーケティング責任者を務める、デイビッド・オハナさんの、2025年にオーストラリアの広告業界のイベントで語られた言葉に、イノベーションの本質を教えていただきました。


曰く、

「世界が直面する最大の課題の解決策は、国連やNGO、政府だけから生まれるものではありません。


民間企業、クリエイティブ業界、物語を伝える人、アーティスト、そして皆さんのような人々から生まれるのです」


「今、私たちが取ることのできる最大のリスクは、何のリスクも取らないことです」

「自分が得意なこと、好きなことをして、それを社会に良い影響を与えることにつなげてください」


そして、講演の最後に登壇した息子のハリーさんの言葉が刺さりました。

「自分の中にあるアイデアを、実現しないまま終わらせてはいけない。特に、それが誰かの役に立つアイデアなら、なおさらだ」


デイビッドさんは、この息子さんの言葉を、講演から持ち帰ってほしいメッセージとして紹介しました。


ここから私は思いました。

1、普通の人、誰もがイノベーター

2、パッションを社会課題につなげる

3、誰かの役に立つなら行動してみる


1、普通の人、誰もがイノベーター

デイビッドさんは、大学生時代に国連に飛び込みで電話をして、「無償で協力したい」と申し出て、その電話が世界エイズデーのキャンペーン制作につながり、同級生と考えた企画が、世界的な広告代理店を抑えて採用されたとのことです。


普通の大学生が、国連という組織を動かして、世界規模のキャンペーンを実施することにつながった。それは、一人の普通の人のアイデアこそが、イノベーションの種であるということを示しているように思いました。


私は、イノベーションは多産多死だと思っています。たくさんのアイデアがあるからこそ、その中の千に一つ、万に一つのアイデアが画期的なイノベーションにつながることになる。


会社の経営的な視点からすると、より効率的にイノベーションを仕掛けるにはどうしたらよいか? と、ついつい効率化に偏ってしまう傾向があると思います。


でも、イノベーションの本質は、進化思考における「適応と変異」の「変異」なのだとすると、計画的に変異を起こすことはできないのだと思います。


だからこそ、たくさんのアイデアの種が必要になると思います。そのためには、全人類がこぞって新しいアイデアを出し合い、それをすくい上げる仕組みがあることが、多産多死を実現するためには、とても大切なのだと思います。


そして、ハーバード大学の広中先生がおっしゃっているように、誰もが創造者として生まれてきていると思います。庭の掃除をすることも、誰かにセーターを編んであげることも、それら普通の日々の中で工夫をしている人たちは、すべて創造者、つまり、イノベーターの卵なのだと思います。


国連財団で働きながら、民間と協力して社会課題を解決する活動をされているデイビッドさんのお話は、そういう人たちこそが、社会をより良くしていく主役なのだと言ってくれているような気がしました。


2、パッションを社会課題につなげる

好きなことや、得意なことを、社会に良い影響を与えることにつなげてほしい、というデイビッドさんのお話は、みんなが持っている「パッション」を、「仲間」と共に、誰かが喜んでくれる「大義」につなげるという、イノベーターリップルモデルととても符合すると思いました。


社会課題に取り組むプロジェクトを、私は何度も実施してきていますが、社会課題という大きな壁に対して、なかなか解決策を思いつくことができない、何か聞いたことがあるソリューションにしかならない、というケースをよく見ています。


そんなときは、社会課題を中心に見るのではなく、自分の得意なことや大好きなこと、という自分のパッションのメガネから社会課題を見てみよう、というセッションをやることがあります。


それによって、社会課題が自分ごととして見えてくると思っています。

自分の大好きなことや、得意なことを、社会課題と掛け合わせると何が見えてくるのか。それは、とても小さくて、個人的な活動に見えるかもしれません。でも、それがとても大切だと思います。


まずは、自分の手のひらの中でできることを回してみる。そこから、それに共感してくれる仲間が集まってくる。そして、みんなが集まることで、みんなの困りごとがはっきりしてきて、もっと大きな活動へ広げていくヒントが見つかってくる。


そんな社会課題への取り組みは、もともと個人のパッションがバラエティに富んでいるので、とてもバラエティ豊かな活動がたくさん出てくると思います。


会社の中にいると、どうしても画一的なやり方やバイアスが染み付いていますが、個人のパッション起点、これがとても多産多死の種を生み出すには良い方法なのではないかと思いました。


3、誰かの役に立つなら行動してみる

デイビッドさんの息子、ハリーさんの言葉が本当に心に沁みました。


「自分の中にあるアイデアを、実現しないまま終わらせてはいけない。特に、それが誰かの役に立つアイデアなら、なおさらだ」


誰もが、普段の生活をしている中で、ふと違和感を覚えることは、たくさんあると思います。


でも、その場を過ぎると、すぐに忘れてしまうのが普通の生活なのかと思います。

でも、ハリーさんの言葉から、普段感じている違和感こそが、世界を良い方向に少しだけでも変えるための種が生まれている瞬間なのかもしれない、と思わせていただきました。


私はいつも、違和感や何か面白いものを見つけたときには、iPhoneのメモに書いて、「#ネタ」とタグ付けをしています。


例えば、それをYouTubeで発信するネタにしたり、講演や新しいアイデアの種として、ふとしたときに思いつけるようにしたいと思ってやっています。


このYouTubeも、こうやって日々の気づきを自分なりに整理して、自分なりに勝手に解釈して話すことで、自分の記憶に残ったり、新しい気づきの種になったりすることがたくさんあるというメリットを実感しています。


毎日やっているのも、登録者数や配信数を増やしたいというよりは、自分自身の気づきを増やしたいという目的がほとんどという感じでもあります。


そこで気づいたネタが、誰か一人でも助かることなのであれば、実際の行動につなげてみる。それが例えば、その人にさえ喜んでもらえなかったとしても、自分の中では、それを行動に移せたという納得感や満足感が生まれるのではないかと思います。


そして、ピカソやルノワールがたくさんの作品を作っていて、その中のほんの一部の作品が世の中に広く認められているということのように、自らも多産多死を心がけて、とにかくたくさん活動をやってみるということが大切なのだと思います。


そのやり方についても、どんどん失敗することで、ノウハウやスキルが知らない間に身についていくことにつながるのだろうなあとも思います。


自己満足かもしれないけど、思いついたら、行動してみる。


そんな気持ちを忘れずにいたいと思わせていただきました。


ということで、一言で言えば、

アイデアを眠らせないノベーション


誰もが世界を変えられる人であり、普段の小さなアイデアを、ほんの小さな行動につなげてみる。それがたくさん集まることで、きっと良い世界や社会につながっていく。

そんなことを思わせていただきました。


参考資料・出典

  1. デイビッド・オハナ氏の講演・インタビュー(2025年)
    B&T「United Nations CMO David Ohana Issues Rallying Call To Adland」
    https://www.bandt.com.au/united-nations-cmo-david-ohana-issues-rallying-call-to-adland-spend-less-on-ads-more-on-solving-social-issues/
  2. デイビッド・オハナ氏の公式プロフィール
    国連財団(United Nations Foundation)
    https://unfoundation.org/who-we-are/our-people/david-ohana/
  3. 国連財団の目的と活動
    https://unfoundation.org/who-we-are/our-mission/
  4. モリー・ライトさんのTED講演(2021年)
    「How every child can thrive by five」
    https://www.ted.com/talks/molly_wright_how_every_child_can_thrive_by_five
  5. 太刀川英輔『進化思考』
    変異と適応による創造性の考え方。
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09310901

6、本:一生学べる 仕事力大全 藤尾秀昭監 令和5年12月25日 出版社 致知出版社


※ハリーさんの発言は、B&Tの記事に掲載されたデイビッドさんの証言に基づく日本語訳です。

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