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がむしゃらノベーション(1786回)
2026-03-14 17:52

がむしゃらノベーション(1786回)

歌舞伎役者の 中村獅童 さんが、映画で人気を得て、歌舞伎でも主役を張れる役者になろうと必死に挑戦していた頃、十八代目 中村勘三郎 さんからこんな言葉をかけられたそうです。


曰く


「あなた、映像・映画であれだけの芝居、心で演じることができる役者なんだから。


歌舞伎で型がある世界だって、今はできないかもしれないけど、必ずできるようになるから。


型をやろうやろうとして気持ちが入らなくなっちゃうんだったら、型なんか今はどうでもいいから、


心でがむしゃらに演じられる役者、思い切ってやってくれ。」


(参考:NHKアカデミア「中村獅童(後編)」2026年3月11日放送)


この言葉の中に、私は創造の本質を感じました。

私はここから、三つの気づきを頂きました。



1、創造は「がむしゃら」から生まれる

2、「型破り」は型を極めた人にしかできない

3、イノベーターは「人の可能性」を信じられる


1、創造は「がむしゃら」から生まれる


イノベーションプロジェクトでも、ビジネス創発でも、様々なフレームや、アクセラレーションの代表的な型があって、まずはその型にはめながら議論を進めましょうとか


そのためには、まずは、その型をきちんと理解して、使いこなせるようになりたい、というようなお話を伺うことがありますが


確かに型はとても整理されていて、効率的に進めやすいとは思いますが、それをやったからといってイノベーションや、ビジネスを起こせるわけではないということに、とても似ている気がしました


哲学者 フリードリヒ・ニーチェ


「人は自分の中に混沌を持たなければ、踊る星を生み出すことはできない。」(出典:『ツァラトゥストラはこう語った』)


と言われているように、まだ整理されていない感情や衝動、葛藤こそが、新しいものを生み出すエネルギーになるので


勘三郎さんが言った「心でがむしゃらにやれ」


という言葉は、まさにこの混沌の力を信じる言葉だったのだと思いました。


私はパッションや情熱の源という言葉を使いますが、新しい物事を始める時には、もちろん型も大事です。


しかし自分の心の中にある、説明できないけれども、ほと走る思い、これがないと、新しいことはなかなか前に進められない、そんなことを


がむしゃら


という言葉で、言ってくれた、そんな気がしました


2、「型破り」は型を極めた人にしかできない


世阿弥 の有名な言葉として


「型を極めて型を破るを型破り。

型を知らずして破るを型無し。」

(出典:『風姿花伝』)


というのがありますが、

• 型を知らずに自由にやる → 型無し

• 型を極めた上で新しい表現を生む → 型破り


なので、まずは型を習得することがとても重要で、そこから守破離として、独自の型を創造していくというのが、やはり王道なのだと思います


型に縛られて魂がどこかに行ってしまってもダメだし、型を習得せずに自由にやってもいけない


両方がとても大事だということなのだと思います


そして、初めて創造はその先に訪れる、


勘三郎さんは

「型なんかどうでもいい」と言いながらも、

その先には必ず 獅童さんが、型に到達する未来 を見ていたのだと思いました


3、イノベーターは「人の可能性」を信じられる


もう一つ、私は、勘三郎さんのリーダーシップ の素晴らしさを感じました


18代中村勘三郎さんといえば、平成中村座という、江戸時代の仮設芝居小屋を再現して、客席との近さだったり、お弁当売りだったり、さらには、海外への進出など、イノベーターの真髄のような方ですが


中村獅童さんへの、この言葉が、今でも獅童さんの心に残っているということは、文字通り、型どうりの育て方というよりも、


獅童さんの 心で演じる力 を見抜いていたのかなとも思いました


つまり、ある意味、型ではなく、人の可能性 を信じた。


ビジネスの世界では、例えば、王道ビジネスモデルが一つの型とすると


それよりも、そこにいるメンバー、つまり、人に焦点を当ててみている、ということかと思います


それは、ベンチャーキャピタルが、出資先を見る際に、ビジネスモデルよりも、誰が何故やろうとしているのか?をまずは見ようとしている、そんなことにも通じるような気もしました


実はこれは、イノベーションを起こすリーダーの共通点なのかもしれないなあと思いました


ということで、一言で言えば


がむしゃらノベーション


そんな話をしています^ ^


参考:NHKアカデミア「中村獅童(後編)」2026年3月11日放送


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