仕事と個人の関係で、ライフワークバランスをどうするのか、みたいな話が以前はよくあったと思いますが、面白いお話を伺いました
金沢の老舗料亭「銭屋」の二代目主人、料理人の高木慎一朗さんが、こんなことをおっしゃったそうです。
「ミックも、ストーンズとソロの両方やってるでしょ。そういう働き方が理想ですね」
(小西利行著『すごい思考ツール』より)
この一言に、私はイノベーションの本質を見た気がしました。
私はそこから3つの気づきを頂きました
1、アイデンティティは“単線”でなくていい
2、場を持ちながら、境界を越える
3、二重構造が創造の圧力を生む
1、アイデンティティは“単線”でなくていい
組織に属するか。
個人で勝負するか。
つい、どちらかを選ばなければならない気がしてしまいます。
でも、ミック・ジャガーは、
ローリング・ストーンズという巨大なバンドの顔でありながら、ソロとしても表現を続けています。
心理学者エリクソンは、アイデンティティは、「若い頃に完成するもの」ではなく、生涯を通じて再構築されるものだ。といっています。
人は一つの役割に閉じる存在ではなく、複数の自己を統合しながら成熟していく。
これは、平野啓一郎さんの、分人にも通じる考えかと思います。
つまり、
組織人である自分と、
個人としての自分は、
対立しなくていい。
むしろ、その“往復運動”の中で、
新しい視点が生まれる。
イノベーターとは、肩書きを選ぶ人ではなく、
アイデンティティを拡張できる人なのだと思います。
2、場を持ちながら、境界を越える
高木さんは「銭屋」という歴史ある場を守りながら、
世界を飛び回り、アマン京都のブランディングも手がける。
伝統を背負いながら、
外の空気を吸い続ける。
社会学者マーク・グラノヴェッターは、
「親友よりも、知人のほうが新しい情報を運ぶ。」と言われました。
強い関係(家族・親友)は、
価値観も情報も似ている。
でも、
弱い関係(たまに会う人、異分野の知人)は、
自分の外側の世界を持っている。
だからこそ、
革新的な情報はそこから来る。
閉じたコミュニティの中では、
革新は起きにくい。
一方で、場を持たない漂流者も、
深い文化は育ちにくい。
根を張りながら、
越境する。
これは、芸術家の在り方にも通じます。
ピカソがアトリエを持ちながら、
キュビスムという前例のない世界を切り開いたように。
イノベーションは、
「安定」か「挑戦」かの二択ではなく、
両方を同時に持つ構造から生まれるのだと思います。
3、二重構造が創造の圧力を生む
組織だけだと、守りに入る。
個人だけだと、持続が難しい。
でも、両方やるとどうなるか。
組織での責任が、個人の表現を磨き、
個人での挑戦が、組織に新風を吹き込む。
経営学者ジェームズ・マーチは、
組織には「活用(exploitation)」と「探索(exploration)」の両立が必要だと述べました。
既存の強みを活かすことと、
未知を探ること。
この緊張関係こそが、
進化のエンジンになる。
ストーンズでの活動があるから、
ミックのソロは尖れる。
ソロがあるから、
ストーンズも硬直しない。
これはまさに、
組織と個人の“二重駆動”。
イノベーターとは、
どちらかを選ぶ人ではなく、
両方を回し続ける人なのかもしれません。
これは、オライリーの両利きの経営の、個人版と行ってもいいかもしれません
組織か、個人か。
安定か、挑戦か。
伝統か、革新か。
どちらかに答えを出そうとすると、
思考は止まってしまう。
でも、
両方やる、と決めた瞬間に、
可能性は一気に広がる。
私も、経営者としての自分と、
一人の表現者としての自分、
両方をやり続けてみたいなと思います。
組織と個人の両方やるノベーション。
そこに、次の突破口がある気がしました。
参考:本: すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉 2024年7月20日 発行 著 者 小西利行 発行所 株式会社文藝春秋
感想
まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!