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たまごを冷蔵庫に入れるのは、冷やすためじゃないんです。 凍るのも防ぐためなんです。はい、こんにちは。
あ、こんにちは。
今回深掘りしていくのはですね、知恵ラジチャットの企画に寄せられたエッセイなんですけど。
過去の居住地と理想の住まいに関する資料ですね。
そうなんです。最初はただの理想の物件探しの話かなーなんて思いながら読み始めたんですよ。
うんうん。
でも全然違って、なんでそういう価値観に行き着いたのかっていう、その方の人生のルーツを探るような、すごく深い内容で驚きました。
そうですよね。最初は物理的な条件の話かと思いきや、いつの間にか精神的な話にシフトしていくという見事な構成でした。
今回資料を送ってくださった方の理想の住まいっていうのが、雪が降らない海沿いの暖かい地域の平屋なんですよね。
はい。その背景にあるのが、昔の岩手県での過酷な幼少期なんです。
そう。いわゆる日本のチベットって呼ばれていた地域らしくて、さっきの冷蔵庫のエピソードなんて、ほんと極限のサバイバルですよ。
ほんとに。室内に卵を置いておくと凍って割れちゃうから、あえて冷蔵庫に避難させるっていう。
冷蔵庫が避難所ってすごいですよね。でも私ここでちょっと引っかかったというか。
と言いますと?
いや、ただ家が寒いから嫌だったっていうだけなら、暖かい場所に住みたいで終わるじゃないですか。
まあ普通はそうですよね。
なのに資料を送ってくださった方は、あえて平屋であることとか、あと決して消えない居場所っていう条件にすごくこだわっていらっしゃって、これって何でなんでしょうか?
ああ、そこはですね、お父様の御職業が大きく関わっているんです。警察官をされていて。
ああ、なるほど。転勤が多いとかですか?
その通りです。およそ3年おきに広い岩手県内を転勤されていたそうです。
3年。じゃあ幼稚園とか小学校もその度に強制的に変わっちゃう環境だったんですね。
ええ。せっかくできた友達も毎回リセットされてしまうんです。
それはきついですね。なんか日曜が来る度にせっかく作った砂のお城がザーッと流されちゃうみたいな。
ああ、まさにそんな感覚だと思いますよ。
毎回ゼロから人間喚起を作り直すってなると、そのうちもう立派なお城を作る気力自体がなくなってしまいますよね。
私もそこは非常に共感しました。
わかります。私も想像しただけでちょっと疲れちゃいます。
それに警察官舎ってスペースが限られているので、引っ越しの度にお金入りのおもちゃとか本を捨てざるを得なかったそうなんです。
うわあ、それは子供にとってはつらすぎる。
そうなんですよ。その結果として、どうせなくなるしなっていう、小学生にしてたつかんしたミニマリスト化が進んでしまったんですよね。
なるほど。だから物理的なものへの執着を手放してしまったんですね。
あ、そういえば感謝ならではのエピソードもありましたよね。
はい。下の階の方に配慮して忍者のように気配を消して歩く癖が今も抜けないっていうお話ですよね。
それです。常に息をこもって、物も人間関係もいつか手放す前提で生きるっていうのは、なんというか切ないですね。
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ええ。物理的なものとか空間に執着してもつらいだけですから、だからこそ階段の上り降りすら手放した平屋っていう、ある意味で究極に身軽な空間を理想とされているんだと思います。
物理的な家への期待を手放した結果の平屋ということなんですね。
でも中学生以降のエピソードを読むと、さらに根深い孤独感が見えてきますよね。
そうですね。お父様が単身不妊になられて、毎週末家族でその不妊先へ移動する生活が始まったという部分ですね。
はい。週末は地元にいないから、お祭りとか町内会にも参加できないっていう。
つまり、そこに住んでいるのに地域の一員になれない状態がずっと続いていたわけです。
地元への帰属意識が育たないですよね、それだと。
ええ。故郷は岩手県なんだけれども、具体的にどこって聞かれると、全部としか答えられないという言葉にその複雑さが凝縮されています。
物理的な居場所の感覚がすっかり希薄になっちゃってるんですね。あ、だからなのか。
何か気づかれましたか?
ネットワークの正解ですよ。
そうなんです。転勤とか引っ越しで大切だった場所もコミュニティも消えてしまうのを何度も経験されてきたんですよね。
だから、物理的な空間に縛られない場所を求めていると。
その通りです。自分がどこへ移動しても絶対に消滅しないネットワーク上のコミュニケーションの場というものを強烈に求めているんです。
いやー、矛盾しているようでものすごく美しい文脈ですね。過酷な環境と手放し続けてきた経験が、絶対に消えないつながりへの渇望を生み出したっていう。
ええ、本当にそうですね。
今回、ご自身のルーツをここまで深く掘り下げた素晴らしい資料を送ってくださった方、本当にありがとうございます。
ただこれ、送ってくださった方だけの特別な話じゃない気もしてきたんですよ。
ほう、というと現代の社会全体にも通じるということですか?
そうなんです。最近ってリモートワークとかデジタルノマドみたいに、場所を点々としながら働くスタイルが当たり前になりつつあるじゃないですか。
確かにそういった働き方は増えていますね。
だからもしかすると、現代の働き方そのものが物理的な地域社会への愛着を薄れさせてしまっているのかなって。
なるほど。ネットワーク上にしか消えない居場所を持たない世代が新しく生まれているのかもしれないと。
はい。果たしてそれは自由を手に入れたということなのか、それとも新たな形の孤独なのか。ぜひ資料を送ってくださった方も、この問いについて少し考えてみていただければと思います。
そうですね。私もいろいろと考えさせられました。
それでは次回の配信もお楽しみに。さようなら。