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2026-10-10 23:15

#122 塔和子さんの至極の詩たち / 塔和子詩集『日常』朗読解説その6

今回は、塔和子さんの詩集『日常』

ハンセン病であるために生まれた詩もありますが、
病にかかわらず、誰もが過ごすような何てことない日常の中に潜む大事なことを詩にしてくれています。日常をこのように受けとめられるとどれだけ豊かな人生になるのでしょうか。

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サマリー

塔和子詩集『日常』から「身を細くして」「ため息」「確かさ」「豊かさ」を朗読し、約束を守り信念を貫く生き方について語ります。便利なテクノロジーが人を孤立やエゴイズムへ向かわせる一方、自分が人生で何を約束したいのかを定める大切さが論じられます。「ため息」では、遊んでいる表面的な満足の裏にある後悔と寂しさを取り上げます。「確かさ」と「豊かさ」では、日常の手触りと未来の不確かさ、虚無に傾きそうな心を、今ここにある喜びへ傾ける詩の力が語られます。

「身を細くして」──約束と信念
次はね、身を細くしてっていう 詩になります。
約束は縄より強い 婚約
契約 果てはデートの約束まで
子供も大人も約束という虹の重さを測れば同じだ 約束は真っ白い雪のように清潔だ
もし守らなかったらこの雪はびしゃびしゃと溶けて汚れてしまう それはどんなことがあっても真っ白い雪のまま終わらせなければいけない
私はある約束をした その一点を見つめて
それを成し遂げることだけを思って 日々
身を細くして生きている 雑事の縄に縛られながら
より堅い思いに美しく 売れてっていう作品です。
最後美しくなって売れて? そうそう熟していくっていう意味で売れて。
これ今回のこの刺繍の中で一番好きですね私 約束というか
誓いと言ってもいい言葉なんですけど このことは
ある意味命でも大事なものでございまして
このことのために 生きてるんですね
これはいいですね なんか人間の魂の気高さみたいなものを感じますね
じゅんぱーくんのね うーんこれがいいですね
揺れてますね
今やっぱこういうふうに生きれる時代じゃなくなってきてるんだよな でも本当はこういうふうに
生きないといけないんじゃないんだろうかって思ってるんですよね 僕はね
今約束なんてもんはもうコロコロね 破られて当たり前の世界になってるっていうかね
この真っ白い雪はね もう汚し当たり前のところになっちゃってるんですよね
なんか約束に溢れすぎてる気がする こっちこっちでいろいろこう
契約なんだろうな いろんなところに申し込んだり契約したりとか なんかそういうもので溢れすぎてて
なんかそれが約束 だからその何
なんていうのかな 埋もれちゃうっていうか
その気高さみたいなものが埋もれちゃうっていうか
じゅんさんの語りをもうちょっと聞きたい
なんか やっぱ
戦前と戦後で
心って変わっちゃう わけじゃないですか
戦争のためにあれほど
信じてやってたけれどもコロッと戦争はダメだみたいな感じに切り替わっていくとね
その人間の信念はどこにあるんだってことになってくるんですよ
ねえ 人間じゃない感じなんですよもう
流されるがまま 孫徳のまま
でも本当の人間っていうものはね
ある信念を貫いて生きる その信念ってものがここでいう約束のことなんですよ
それはどんなことでもよくて でも自分が信じたものを
自分に嘘をつかず 生き抜くっていうかな
そういうことを 取り返したい感じがしてるんですよね
本当にでもどんなことでよくて
これ 東和子さんはこれ 私はある約束をした
ある一点を見つめてそれを成し遂げることだけを思って日々身を細くして生きている
このある約束は何かって書かれてないけれども これもうわかるじゃないですか
なんかねえ この弟のためにみたいな感じがちょっとしてくるじゃないですか
あるいは何かこの詩を書くことなのかもしれないんですけど
でもいずれもなんかその辺なのかなかも伝わってくるんですけれども
私もなんかその2つが相まっているものなのかなっていうふうに受け取りましたよ
夫のことと詩のことが
そこが和子さんを作ってるっていうかね 東和子さんっていう人を作ってる感じがするから
それは雑事の紐に縛られながらって
だからそのもう雑事嫌だからもう あなたと離婚するわみたいな
なんで私があなたの世話しないといけないのよ もう私も離婚するわみたいなことになりかねないわけですけれどもね
でも そういうことで本当にいいんだろうかって
山下さんの離婚したいわって気持ちもね あると思いますよ じゃあわかんないですけどね
でも人間誰しもそういうふうに思っちゃうことはあるけれども
でもそれで本当にいいんだろうかって
まあそれは別にその僕が 離婚がダメだかって言いたいわけじゃないんだけど
なんだろうなぁ 自分は
人生で何を約束したいのか っていうね
うん
そうね なんていうのかな 情報が溢れているから 自分が何をしたいのかっていうところとか
見定まらずにというか 選べずにというか
あっちフラフラこっちフラフラみたいな感じ でも生きていけちゃう世の中になっている気がして
そうね
便利さが生む孤立とエゴイズム
でもそこの芯がね しっかりと立つと
その生がより その命がよりこう生きてくるっていうか なんかね
そうですね
だんだんだんだんね こういうね自分の
何かこう 信念中かな
そういうものが本当になくなっていってると思うんですよ
これいろんな人がそういうふうに語ってくれてると僕は思っていて
それがまあまあ増していってると思ってて
例えばテクノロジーの発達自体ももうそれで
昔は食事するにしてもやっぱり役割分担して
まず巻き終わるところからスタートするわけですよ
一人で生活することが本当に文字通りできない時代がある中で
今もうスイッチ一つでご飯が炊けちゃうわけじゃないですか
そして配達までしてくれるわけじゃないですか
洗濯だってあんな一つ一つ洗うのがもうボタン一つで完了するわけじゃないですか
換装まで含めて
もう一人で生きていけるようになっちゃったんですよ
だからそうなるとね
近所の付き合いもそれはなくなるしね
どんどん自分一人で生きていけるじゃないかっていうね
勘違いを引き起こすんですよ
どんどんエゴイスティックになっちゃうんですよ
こういう感じ
これと信念がどう繋がってるか
自分でもちょっと飛躍してるかもしれないなと思いながら
なんかでも同じ感覚があるんだよな
そんな遠くない感じがしますよ
同じ穴の中にある感じ
エゴイスティックになっていくっていうことは
自分のことだけ考えたらいいってことになるし
自分の存続だけで動いていくっていう考えになっちゃうというかね
ことが強まっていく感じがあって
でも本当はそうじゃないですよね
うまく言えないんだが
いいですよね
なんかこういうの
次いきますか
これ全部の詩を読んでるわけじゃないんですけどね
いくつかピックアップしてるんですけど
でも結構半分以上は読んでる気がします
次ね
「ため息」──遊びの裏の後悔
ため息っていう作品ですね
これも僕ちょっと好きですね
読みますね
怠け者の私は一日中テレビの前に寝転んで
夫に話しかける
こんな遊んでばかりいて
何の通用も感じないなんてねえ
そして自分に怠け草をつけてしまった
自分を恨む
これは仕事をして心よく疲れるより
よほど苦しいことだ
それでもなおかつ遊んでいる自分をつまんでみた
するとそれは薄い薄い
表皮のところだけ満足していて
私の体は後悔と寂しさで
いっぱいのため息ばかりであった
っていう作品です
いいな
いいですね
いいですね
あの感覚をそう表現してくれるのか
いいですね
父さんもこういうのがあるんですね
というか出前なんですけどね
人間誰しもこういうのがありまして
こういうことにまずそもそも後悔を感じなかったりするところから始まるんだけれども
ある時その後悔みたいなものをやっぱり感じ始め
でこういうことが重なり重なっていって
変わってくるんですよね人ってね
なんで見たって面白いな
面白いところだけで
ちょっと次いきますか
「確かさ」──日常の手触りと不確かさ
確かさ
重量感のある家具を磨いているとき
化粧の終わった鏡台の前から立ち上がるとき
夫の湯飲みにお茶を注いでいるとき
私は確かさそのもの
生まれた時からこのように荒らされてい
ここに住んでいたように思えるのに
この家はつい5、6年前に越してきたばかり
思い違いや錯覚が支えてくれるこの気楽さ
しかし大地を踏みしめて
あることの喜びにしばし震えても
私を証明してくれるものはどこにもない
ただそうとしても正しげぬ
生の前の不明と不明の未来の深淵を
海に浮かんだ一本の千切れたものように
危うげに生きている私という作品です
なんかすごい宇宙と地面をすごく行ったり来たりするような
振り幅があるようなこういう感覚を生かしました
そうなんですよね
これどこ読むんだろうな
生の前も不明だし未来も不明だし
海に浮かんだ一本の千切れたものように
危うげに生きているっていうのが人間なんだっていうことなんですけれども
でも確かさがあるんですよ
重量感のある家具を磨いているとき
化粧の終わった鏡台の前から立ち上がるとき
夫の湯飲みにお茶を注いでいるとき
私は確かさそのものなんだって
今この瞬間は確かさそのもので
それ以外はもう不確かじゃないですか
そういう
それをこういうふうに描いてくれるのか
そうなんです
大地を踏みしめてあることの喜びにしばしば
もし震えても
まずこのあることの喜びに震えることがあるのかっていう
なかなか日常の中でその眼差しで大地を踏まわないから
そうなんです
たまには震えたいなって思いますね
震えてみたいな
確かさ
人生を生きるっていうことの手応えってものをね
どれだけ持てるかっていうね
この確かさと虚無と
両方存在するんだけれども
51対49で
もう本当にどっちに傾くかってことで
なんか全然違う感じがしてて
それがなんかね
壊れてる気がするな
本当に確かさを見失っていくと
人を破壊していくっていう方に
行きかねない
どうせみんな死ぬんだからみたいなね
壊してもいいでしょみたいなことになってしまうし
そこに抗っていくのがこの確かさな気がするんですよね
「豊かさ」──ある方へ傾ける
ちょっとじゃあ最後豊かさっていう作品で終わりましょうね
豊かさ
何か大きなものに手を合わせたくなる
一宮の静かな幸せ
この幸せがいつまで続くのか
夫の病気
私の気流につけ込まれる嫌な予感を
いつもうっすらと心の隅に持っていて
ちょっと何かがあれば
おもちゃのように壊れる幸せと知りながら
今この時は
嫌なことを何も思わず
大地のように豊か
そして私は小鳥のように
身軽くなって生きている
っていう作品です
これもいいですね
何かさっき言ってくれた49対51
感じがグラグラ
ちょっと傾けばいろんなものが不安とかね
背負ってるものが押し寄せてくるけど
ちょっとだけこの
あるの方に
虚無とか死とかないとかじゃなくてね
ちょっとだけあるの方に傾けて
その時点で味わうと
豊かさが流れ込んでくるみたいな
言ってくれてるような感じがします
詩を書くことと授業への展開
本当にこういうのが
病を持った人から生まれてくるっていうね
こういうのを描きながら
51%に振っていってるっていう感じもしますよね
51%の方に振るための営みとして詩を書くっていうこととかが
旦那さんを愛するということとかが
人の力になって
51%の方に
傾けて
すごいなって思いますよね
あまりにもこのね
背負っているものの重みが
それをさらにこっちに傾けて
っていう
やってきているって
いいですね
というのが
豊和子さんの詩でございました
ねえ
いいですね
本当こういうのを読むと
やっぱ詩を書いてほしいなって思いますね
僕は自分で詩を書くから
あれですけど他の人もね
ちょっと何かいくつか
ここからピックアップして
詩の授業にもちょっと持ち込みたいと思います
そうですね
楽しんできてください
はい
そんなところですか
はい
ありがとうございました
ありがとうございました
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