2024-09-30 11:28

「メディアは死んでいた」 ③ 執念の取材【戦後史開封特別編】

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 取材を続ける中で、阿部雅美は、鹿児島県や福井県でも若いアベックが蒸発、失踪していたことを知る。
 おぼろげながら、ある国の関与が頭に浮かんでくる。そして、遂に決定的な事実を突き止める。
 新潟県柏崎市で、ある日突然、若い男女が姿を消していたのだ―。

【原作】 阿部雅美『メディアは死んでいた―検証 北朝鮮拉致報道』
【語り手】柳亭市好
【制作】 産経新聞社

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「戦後史開封」は、戦後日本の政治史、外交史、エンタメ・服飾芸能史などの様々な出来事を再取材、現代の観点で再構成するドキュメンタリー番組。埋もれていた逸話、報道されていない事実にも光を当てて戦後日本を振り返ります。

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サマリー

このエピソードでは、北朝鮮による日本人拉致事件に関する取材の過程が語られています。安倍政宗氏は、富山、福井、鹿児島における失踪事件の調査を通じて、当時の常識と真相のギャップに迫っています。

取材の開始と疑念
第3話 執念の取材
産経新聞社がお届けする音声ドキュメント
北朝鮮による日本人拉致事件
原作 産経新聞出版 安倍政宗
メディアは死んでいた 検証 北朝鮮拉致報道
2018年5月28日 初版発行
制作 産経新聞社
案内役は私、話科の劉邸一光です。
取材を続ける中で、安倍は、
鹿児島県や福井県でも若い安倍区が蒸発、失踪していたことを知る。
おぼろげながら、ある国の関与が、
頭に浮かんでいく。
そしてついに、決定的な事実を突き止める。
新潟県柏崎市で、ある日突然、若い男女が姿を消していたのだ。
工業がひどく遅れた国で作られた、いくつもの異流品。
やや違和感のある日本語。
訓練を積んだような男たち。
富山での取材結果を整理すると、
全てが一つの方向を、北を指し始めたように感じた。
北朝鮮のことである。
無論、他の様々な可能性にも思いを巡らせたが、
どんなに想像をたくましくしても、
それ以外の可能性は思い浮かばなかった。
勝手な思い込みではないのか。
何度も自問したが、足で集めた事実からの自然な推測だった。
特別な取材をしたわけではない。
現場の聞き込みや、目撃者、被害者の証言を集める取材は、事件記者のウロハだ。
次々に湧く疑問を解きながら、取材さえすれば、
記者であれば誰でも同じ結論に行き着いたはずだと、今も思っている。
ただし、現地取材では、北朝鮮という国名は一度も耳にしなかった。
富山の調査と揺れる常識
北朝鮮の犯行だと、
しかしそれは、今だから言えることだ。
弁護するわけではないが、警察は隠蔽していたわけではない。
日本人を襲って、船で北朝鮮へ連れ去るなどという事案は、
戦前戦後を通じて、一見も明らかになっていなかった。
全くの想定外だった。
拉致事件を振り返る際に、大事なことは、
拉致が周知のこととなっている、今の常識ではなく、
当時の常識で事件を見ることだと思う。
富山の取材を通じ、私は、
ひょっとしたら、あのまま連れ去られたケースがあるのではないかと思うようになった。
東京に戻ると、福井と鹿児島でも、
アベックが蒸発していることを新聞記事で見た。
アベックが蒸発していることを新聞記事で見た。
東京に戻ると、福井と鹿児島でも、
アベックが蒸発していることを新聞記事で見た。
現地自在で、その事実を確かめた。
富山、福井、鹿児島。
日本海東シナ海の浜に記された3点を、
どう線に結ぶのか、結べるのか。
いずれも、20代の若い男女のデート中の出来事である。
家出、心中、事故。
一般事件の可能性は極めて薄い。
1978年7月から8月の40日ほどの間に、
集中して起きている。
現場が海岸の近くである。
付近に、北朝鮮不審船の目撃情報がある。
過去に、北朝鮮工作船が密入国した地点に近い。
取材で集めた事実、情報から、記事にできると考えた。
しかし、残念ながら、一旦記事掲載は見送られた。
柏崎市の発見とエピソード
富山、福井、鹿児島の3県とも、
既に報じられている、というのが理由の一つだった。
私は、どこにも報じられていない、
埋もれた事件を掘り出すことができれば、
記事が掲載される可能性があると考えた。
精算は全くなかったが、
日本海に沿った警察署に、片っ端から電話で問い合わせた。
お宅の館内で、若いアベックが蒸発していますよね。
どこもないと答える中、
新潟県の柏崎警察署だけは、教えられないという。
この回答の仕方は、蒸発した事件があった、ということだ。
私はすぐに柏崎市に向かったが、
柏崎警察署のガードはことのほか堅かった。
家族の強い希望で、非公開なのだから話すわけにはいかない、
の一点張りだった。
無論、地元市にも一切報じられていなかった。
縁もゆかりもない土地。
海辺に近い民家、商店を手当れ次第に訪ね歩いた。
海岸からいなくなった若い男女、知りませんか?
誰一人知らなかった。
海岸からいなくなった。
手詰まりだった。
しかし、非公開ではあっても、
息子娘の身を案じる家族が何もしないはずがない。
友人知人を頼りに探し回ったに違いないのだ。
だとすれば、当時、人口8万人余りの柏崎市内でも、
少なくとも50人、あるいは100人近い人たちが
そのことを知っているのではないだろうか。
突然いなくなった男女、誰か知りませんか?
大きく爽快た上り旗でも持って、
朝の通勤通学の時間帯に、
柏崎駅前に立っていれば、
知っているという人が現れるかもしれなかった。
それを実行せずに済んだのは幸運としか言いようがない。
上り旗作りの手順を考えながら乗り込んだタクシー運転手に、
その日、何十回目かの同じ質問を繰り返した。
海岸からいなくなった若い男女、知りませんか?
バックミラー越しに睨みつける運転手に、
東京の新聞記者であることを告げると、
タクシーは急にスピードを上げ、
羽田が転在する郊外へ向かって走った。
ここだよ。
下ろされた民家の標札に、羽水家とあった。
後に、北朝鮮から帰国し、
現在は翻訳家として活動している羽水家カオルさんの実家だった。
羽水家さんのお父さんとお母さんは、辛労から疲れ切って見えた。
どうしてうちが分かったんですか?
突然の来訪に少し驚かれたようだったが、
今で真摯に取材に応じてくれた。
新潟事件の概要は次の通りだ。
1978年7月31日。
夏休みで、東京から柏崎市の実家に帰省中だった。
中央大学3年、羽水家カオルさんがグループ交際をしていた奥戸ゆき子さんと、
海岸へデートへ出たまま戻らなかった。
当時、カオルさんは20歳、ゆき子さんは22歳。
デート中の20代の若い男女だった。
奥戸ゆき子さんは、
デート中の20代の若い男女だった。
富山、福井、鹿児島のケースとそっくりなのだ。
これは音声ドキュメント、北朝鮮による日本人が知事権のシリーズ第3話です。
皆様から番組の感想をぜひ聞かせてください。
メールアドレスは、u-service at sankei.co.jp
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この作品は、元産経新聞、社会部記者、安倍政美による著書
メディアは死んでいたを再構成したものです。
案内役は、劉邸一光でお送りしました。
第4話、巨峰と言われたスクープ
安倍は、拉致事件を暴く歴史的な記事を書きます。
しかし、待ち受けていたのは、世間の思いもよらぬ反応でした。
では、次回
あなたは拉致をいつ知りましたか?
平安時代、千年前に書かれた日本最古の長編小説
源氏物語
源氏物語は難しい古典ではありません。
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