ペプシの比較広告の挑戦
戦後史開封
永遠のライバルコカ・コーラVSペプシ
第1話 日本初の比較広告で挑戦するペプシ
かわすコカ・コーラ
コカ・コーラの関係者だけではなく
ペプシの関係者もその手口を閉ざす一見がある。
平成3年3月から放映されたアメリカのラップミュージシャン
MCハマーが出演する挑戦的なCM
それは日本初の本格的比較広告として注目され
厚生取引委員会も出動した事件だった。
この比較広告を提案したのは
当時の日本ペプシコーラ社長と個人的つながりがあったという
コピーライターの中畑隆
彼はこう説明する
アメリカではペプシがコカ・コーラの比較広告を出すことは有名で
盛んにやっていた
日本でもやろうという話が浮かんでは消えていた
そろそろいいんじゃないかという話になった
当時の社員は次のように振り返る
日本ではタブーとされていた比較広告で
マスコミの反響を煽り広告を広告してもらう
そんな戦略だったんです
ペプシを飲み歌うMCハマー
しかしコカ・コーラを飲んだ直後バラード長に
驚くファン
見かれた少年がペプシを手渡す
これだ!
彼は元気を取り戻し再び歌い出す
当拠地アメリカのペプシコ社が制作した映像に
日本語訳のテロップを付けたこのCMの反響は大きかった
在京企業5社がおよそ1ヶ月半後
業界秩序を乱すなどとして
このテレビコマーシャルの放送を中止したことで
さらなる波紋を広げた
日本コカ・コーラが放送中止の圧力をかけた
日本ペプシコーラは公営開始から2ヶ月後の平成3年5月
独占禁止法違反を理由に
公正取引委員会に妨害排除を求めた
一方でCMの内容を
テレビでコマーシャルが見られる日まで
としてそのまま新聞広告に掲載した
右下には中畑のコピー
コカ・コーラの反応と対抗策
乾いた心にはユーモア
乾いた喉にはペプシコーラ
これに対して日本コカ・コーラは
日本ペプシコーラの比較広告自体が
景品表示法違反だとする報告書を
逆に公正取引委員会に提出したという
平成元年からCMデータを蓄積
高感度調査も行っている
CM総合研究所の代表関根達夫は
日本コカ・コーラが本気で起こったと驚いた
関根は公正取引委員会の要請で
MCハマーのCMを
嫌なのに心に残るとした人は一人もいなかった
との結果が出た
高感度調査結果などの資料を提供した
公正取引委員会は結局
双方に対して警告や注意などの行政処分は行わず
一部の局はコカ・コーラの缶をモザイクで隠した
修正版を流した
ペプシは翌年さらに仕掛ける
ダイエットペプシはコカ・コーラライトの
12分の1のカロリー
とユーモアたっぷりに伝えた広告が
新聞やテレビに登場したのだ
コピーを引き続き担当した中畑はゆう
ダイエットペプシの大きな特徴は
100グラムあたり1キロカロリーで
12キロカロリーのコカ・コーラライトよりも
カロリーが少ないということだった
消費者はMCハマーのCMを面白がっていた
比較広告は受け入れられるということは分かっていた
しかしダイエットペプシの発売と同時に
コカ・コーラは比較されたコカ・コーラライトに加え
1キロカロリー未満のカフェインフリーダイエットコークを発売した
コカ・コーラライトのカロリーが
ダイエットペプシの12倍というのは事実であったが
コカ・コーラからも1キロカロリーのコーラが出たことで
広告の成果と反響
広告の焦点はぼやけてしまった
そうでなければダイエットペプシの広告の反響は
もっとすごかったはずだと関根は言う
コカ・コーラの広告には比較広告はない
テレビコマーシャルを始めたのは昭和37年
42年には主演映画若代賞シリーズがヒットしていたスター
茅山雄三がCM出演し大きな旋風を巻き起こした
時代の気持ちを反映し時代を刺激する広告で流行を作り出す
というのが日本コカ・コーラの広告戦略だ
スカッと爽やかコカ・コーラ
コーク・イズ・イット
爽やかになるひととき
多くのキャッチコピーはブームになった
コカ・コーラのCMに使われてヒットした曲も数知れない
This is a song for Coca-Cola 矢沢栄吉
Yes, I'm in love
渡辺紗直
平成13年からスタートしたノーリズムキャンペーンも
CMソングに起用された桑田恵介の波乗りジョリーとともに
大きな反響を獲得した
かつて日本コカ・コーラマーケティング
本部取締役副社長だった勝部恵都子は
当時いかに消費者にとってのコカ・コーラブランドの価値を上げるかということが
私たちの使命
そうすることによって
より多くの消費者がブランドを選択してくれます
と語った
ブランド価値を高めるという目的の前には
比較広告は浮かんでこない
何かと比べてとか
何かを基準に自分たちを評価するという感じはないですね
消費者の求めているものをきちっと提供できているかということが原点です
と勝部は言う
コカ・コーラとペプシの競争
コカ・コーラはペプシの挑戦には同時ず
一連の戦いは幕を閉じた
関根は
挑戦を受けたコカ・コーラが挑戦を見事にかわした名勝負だった
と評価する
一方で関根は
日本コカ・コーラは内心
ペプシに対して緊張感を解いていないはずだ
とも指摘する
日本ペプシコーラからサントリーにマスターフランチャイズ権が移った
平成10年以降も
ペプシがコカ・コーラに仕掛ける構図に変わりはない
サントリーは世界でもナンバーワンクラスの宣伝広告主
火種はくすぶり続けている
次回は第2話
宇宙旅行を景品に猛追するペプシ
オリンピックで存在感のコカ・コーラをお届けします
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