家族たちの再会
第8話 再会
産経新聞社がお届けする音声ドキュメント
北朝鮮による日本人拉致事件
原作 産経新聞出版 安倍政美著
メディアは死んでいた
検証 北朝鮮拉致報道
2018年5月28日 初版発行
制作 産経新聞社
案内役は私 話科の劉邸一光です。
産経新聞は1997年2月
横田恵美さんが北朝鮮に拉致された事実を報じた
アベック三組 謎の蒸発の記事から17年が経っていた
安倍は、かつて取材した家族たちと再会する
17年前と違い、今度は各市が後追い報道をした
日本側が韓国側から少女拉致の情報を得ていることが確認できたようだ
産経が恵美さん拉致疑惑を報じて
約1ヶ月半が過ぎた
97年3月25日
東京竹芝の小さなホテルに被害者家族たちが集まった
とんでもない事件に巻き込まれなければ
息子夫婦、娘夫婦や孫たちに囲まれて平穏な日々を送っていただろう
純朴な人たちばかりだった
様々な事情で参加を見送る家族もいたが
福井の千村靖さんと浜本福江さん
鹿児島の市川修一さんと増本隆子さん
新潟の羽生池香織さんと横田恵美さん
そして、欧州滞在中に
淀号犯の妻たちに拉致されたことが後日判明する
兵庫の有本恵子さん
被害者7人の親族が顔を合わせた
家族たちは内緒で集まったわけではない
25日に家族会を結成することは
産経が10日も前に記事で大きく告知していた
引用する昭和52年11月に
北朝鮮の工作員に拉致された可能性が濃厚な
新潟市の横田恵美さんや
新潟、福井、鹿児島で起きた
いわゆるアベック拉致事件の被害者家族が
25日に東京都内で連絡会を結成し
政府などへ陳情活動や情報交換を行うことになった
家族たちは初対面がほとんどだったが
すぐに打ち解けたまりたまった
積もり積もった思いを語り合った
私は3組のアベックの家族たちと
18年ぶりの再会だった
こんな日が来るとは思ってもいなかった
あの時のあの時は会話は弾んだが
長い間力になれずに来たことに
申し訳ない気持ちでいっぱいだった
メディアの影響
誤解を恐れずに言えば
家族たちはみな明るく見えた
なぜか出席した方々の著書から引用させていただく
辛さや悲しみは
同じ境遇に置かれている人たちに話したり
逆に相手の話を聞いたりすることで
随分と和らぐものです
同時に会が発足して
具体的な活動の方向性が見えてきたことで
勇気づけられる思いがしました
発砲塞がりの状態ではなくなり
光が見えてきたのです
蓮池徹さんの著書
楽観 引き裂かれた24年
それまで家族の方々は横のつながりもなく
息子や娘
妹が行方不明のまま
生死がわからないことだけでも苦痛なのに
心を傷つけられるような噂にも
耐えなければならなかったのです
これからはみんなで励まし合って
何とか家族が再会できるようにしましょうと話しました
横田崎江さんの著書
恵み お母さんがきっと助けてあげるから
今後東京での活動が増えるだろうと
最終的に関東在住の横田茂さんが代表職に就いた
家族会の結成を機に
それまでひっそり暮らしてきた
拉致被害者家族の父や母が
街頭に立って署名活動を始めた
〇〇の父 〇〇の母と
息子や娘の名前を書いたたすきを肩からかけて
道行く人に声をかけるのは抵抗がある
勇気がいった
一時間でたった一人の署名しかもらえないこともあった
看板を蹴飛ばされたこともあった
ビラを受け取ってもらえないこともあった
私もそうした切ないシーンに何度か出くわした
しかしもう心ない風評に対しのんでいた頃の
弱い家族ではなかった
応援してくれる人たちが現れたのだ
後に全国に広がっていく
支援・救援活動の先駆けは
家族会結成と前後して
新潟市で穂島春則氏の手で発足した
横田恵美さん 拉致救命北京人会だった
各市のこうした支援組織が一体となり
本日まで拉致被害者家族を支え続けている
それが救う会
すなわち北朝鮮に拉致された日本人を救出するための
全国協議会に形を変えていった
新聞協会賞という
新聞・通信・放送の信用と権威を高めるような
活動の推進を目的として設けられている賞がある
編集部門は日本新聞協会加盟各社から申請のあった
記事・写真・映像を
全国市やブロック市の編集局長たちが
検査して受賞者を決める
マスメディア業界では権威ある賞とされている
原則過去1年の報道が対象となる
が17年を隔てた2件のスクープとして申請した
そして拉致報道は新聞協会賞を受賞した
受賞理由はこうある
日朝間の歴史的暗部の一端を掘り起こして
一石を投じたこのスクープは
第1報から17年にわたる粘り強い追跡取材により
日本政府に外交的解決を促した報道として
高く評価され新聞協会賞に値する
巨峰語法の汚名はやっと注がれたが
選考過程で強く異を唱えた新聞社もあったそうだ
これがどうして協会賞なのか
当時まだこうした認識の編集幹部や記者が
大手新聞社にも少なからずいた
これは音声ドキュメント
北朝鮮による日本人拉致事件のシリーズ第8話です
皆様から番組の感想をぜひ聞かせてください
メールアドレスは
u-service at sankei.co.jp
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この作品は元産経新聞社会部記者
安倍政美による著書
メディアは死んでいたを再構成したものです
第9話北朝鮮が拉致を認めた日
拉致問題がようやく動き出します
では次回あなたは拉致をいつ知りましたか