1. おやすみ歴史ラジオ
  2. 第9回 歴史のバトン【戦国..
第9回 歴史のバトン【戦国編】第3走者:豊臣秀吉(2/4話)
2026-06-07 08:34

第9回 歴史のバトン【戦国編】第3走者:豊臣秀吉(2/4話)

豊臣秀吉の第2話

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

00:02
こんばんは、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
前回は、貧しい農民の家に生まれた秀吉が、持ち前のアイデアとスピードで信長の信頼を勝ち取り、一気に出世していく姿をお届けしました。
信長のピンチを何度も救い、ついに織田家のエースとなった秀吉。しかし今夜は、そんな秀吉の人生の中で、最も恐ろしく、最もスリリングな絶体絶命のピンチのお話です。
みのの国を手に入れ、いよいよ天下統一へと突き進む織田信長。次に信長が目をつけたのは、京都へ行くためのルートにある越前、今の福井県でした。
ここを治めていた朝倉氏という大名を倒すため、信長は大軍を率いて出陣します。もちろん、秀吉もその軍勢の中にいました。
作戦は絶好調、信長の軍は次々とお城を攻略し、誰もがこのまま楽勝で勝てるぞと確信していました。しかし歴史というものは、一番油断している瞬間に牙を剥くものです。
軍を進めていた信長の下に、一本の緊急の連絡が飛び込んできました。それは、信長にとって絶対に信じたくない、最悪の裏切りニュースだったのです。
裏切ったのは、浅井永政という若き大名でした。実はこの永政、信長の妹である絶世の美女、尾一の方と結婚していて、信長にとっては義理の弟にあたる、最も信頼していた大親友だったのです。
永政だけは絶対に裏切らない、そう信じ切っていた信長は、あまりのショックに、最初はそんな国を揺るがすような嘘をつくなと激怒したと言います。しかしニュースは本当でした。今、信長たちが戦っている福井県の浅倉氏と、裏切った滋賀県の浅井永政。
この2つの軍勢に挟まれる形になってしまった織田軍は、一瞬にして、前からも後ろからも挟み撃ちにされる最悪の罠に閉じ込められてしまったのです。戦国最強と言われた織田軍も、これには大パニックです。
退路を断たれ、全滅の危機、あの冷徹な信長でさえ、この時ばかりは死を覚悟したと言われています。ここにいては全員打ち死にだ、とにかく、わしは京都へ逃げる。信長は、わずかなお供だけを連れて、一足先に戦場を脱出することを決めました。
大将が逃げ切るためには、誰かがこの場所に残り、猛スピードで追いかけてくる敵の大軍を命がけで食い止めなければなりません。この、残された人間の生存確率がほぼゼロパーセントという、あまりにも悲惨な役割を心狩りと呼びます。
03:02
誰もが舌を向き、目を合わせようとしない絶望の会議の中、すっと手を挙げた男がいました。殿、この秀吉に心狩りをお任せください。必ずや時間を稼ぎ、心狩りを安全な場所までお逃ししてみせます。
死神のくじを自ら引いた秀吉、周りの武士たちは、猿目、出世欲に目がくらんで、ついに狂ったかと冷ややかな目を向けました。しかし、秀吉の目は本気でした。家柄も何もない自分をここまで引き上げてくれた信長を、ここで死なせるわけにはいかない。
その一年だったのです。これが、日本の歴史上で最も有名で、最も過酷と言われた撤退戦、金ヶ崎の軒口の幕開けでした。信長が命からがら京都へと走り去る中、残された秀吉の前に、数千、数万という敵の圧倒的な大軍が、地響きを立てて迫ってきます。
味方の兵士たちは恐怖でガタガタと震えていました。普通に戦えば、一瞬で踏みつぶされて終わりです。そこで秀吉は、生き残るための泥臭い心理戦を仕掛けます。秀吉が目をつけたのは、福井県の険しい山道でした。
秀吉は部下たちに命じて、山道のあちこちに偽の陣地をたくさん作らせました。木を何本も立て、夜には大量のかがり火を燃やして、遠くから見ると、あれ、織田軍は逃げずに、まだここに何万人も残って待ち構えているぞと、敵に思わせたのです。
さらに、ただ隠れるのではなく、敵が狭い一本道に入ってきた瞬間を狙って、崖の上から丸太や岩をゴロゴロと落としたり、鉄砲を一斉に打ち込んだりするゲリラ戦を徹底しました。敵の将軍たちは、クソ、サルメ、少人数だと思ったら、罠だらけじゃないか。
深追いすると全滅させられるぞと怯み、進軍するスピードがガクンと落ちました。この、敵をビビらせて足止めすることこそが秀吉の狙いだったのです。敵が警戒して立ち止まっている隙に、秀吉は部下たちに、よし、いまだ、走れと命じ、一歩一歩、京都へ向かって山を駆け下りました。
敵が気づいて追ってきたら、また別の待ち伏せポイントで奇襲をかける。これを何度も何度も、寝る間も惜しんで繰り返したのです。しかし、戦いは数日間に及び、秀吉の部下たちも限界を迎えていました。ボロボロになり、一人、また一人と倒れていく仲間たち。
秀吉自身も、何度も敵の歯がかすめ、服は泥と血でかきかきに汚れ、まさに地獄絵図のような逃走劇でした。それでも秀吉は、殿が逃げ切るまでは、絶対に死ねんと、声をからして部下たちを励まし続けました。そして、信長が京都に無事たどり着いてから数日後のことです。
06:11
信長は京都のお寺で、悲しみに暮れていました。我が身を犠牲にしてわしを逃してくれた秀吉は、きっともう、あの福井の山で討ち死にしてしまったのだろうと、大切な相棒を失ったショックで、御飯ものどを通らない状態でした。そこへ、一人の兵士がバタバタと息を切らせて部屋に飛び込んできました。
殿、伝、東吉郎様が、秀吉様が、ただいま戻られました。信長が驚いて玄関へ走ると、そこには、体中傷だらけで、今にも倒れそうなほどボロボロになった秀吉が立っていました。衣服は破れ、顔はすすで真っ黒でしたが、その目だけは力強く輝いていました。
秀吉は信長の姿を見ると、その場に崩れ落ちるように膝をつき、殿、ご無事で、何よりにございますと、かすれた声で微笑んだのです。あの冷徹で、めったに感情を表に出さない信長が、この時ばかりは周りの目が引くほど大号泣したと言われています。
信長は秀吉のもとに駆け寄ると、泥だらけの体を思いっきり抱きしめ、よくぞ生きて帰った、よくぞ生きて帰ってくれたと、涙を流して叫びました。そして信長は、自分の着ていた高価な服をその場で脱いで秀吉に着せ、さらに大量の黄金をご褒美として与えました。
何より、この日を境に、信長にとって秀吉は、ただの優秀な部下から、自分の命を預けられる唯一無二のパートナーへと変わったのです。旧死に一生を得て、誰もが不可能な大ピンチを奇跡のヒーローとして乗り越えた秀吉。
しかし、この固い絆で結ばれた秀吉と信長の前に、数年後、あの本能寺の変という、日本中を揺るがす最大の悲劇が待ち受けています。光が怖ければ強いほど、その後に訪れる影は深いもの。次回、秀吉の運命は誰も予想しなかった方向へと大きく動き出すことになります。
それでは、今夜のお話はここまで。ゆっくり目を閉じて、明日の続きを楽しみにしていてね。おやすみなさい。
08:34

コメント

スクロール