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今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。 ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢でちょうね。
前回は、大逆襲の娘というどん底の運命から、自らの強要と覚悟で徳川の恩馬に大抜敵されたおふくの決意をお話ししました。
江戸城へ上ったおふくは、実の親からも愛されず、広いお城の中で孤独に震えていた少年、 竹千代を命に変えても守りぬくと誓ったのでしたね。
しかし、おふくの前に立ちはだかる現実は、想像以上に冷酷で厳しいものでした。 竹千代が成長するにつれて、城内の空気はあからさまに弟の国松の肩へと傾いていきました。
身の母親である老江代様は、体が弱くて言葉が少し不器用な竹千代をすっかり見限り、 容姿が美しく頭の回転も早い弟の国松ばかりを熱心に可愛がります。
お城の中で暮らす家来や女中たちも、権力を持つお母さんの顔色を敏感に察知していました。
次の三代目の将軍になるのは、兄の竹千代様ではなく、弟の国松様に違いない。 今のうちに国松様と老江代様に取り入っておいた方が身のためだそんな計算高い噂話や冷たい視線が、
毎日をふくと竹千代の耳に突き刺さります。 食事の席でもお祝いの席でも、常に真ん中に呼ばれてチヤホヤされるのは弟の国松でした。
竹千代はいつも部屋の隅の暗い場所で、 ただじっとその光景を寂しそうに見つめることしかできませんでした。
おふくは、そんな竹千代の小さな肩を抱きしめるたび、 悔しさと危機感で胸が張り裂けそうになっていました。
もしもこのまま国松が後継になってしまえば、徳川の、 そして日本のルールが根本からひっくり返ってしまいます。
これまでの歴史が証明している通り、長男を差し置いて弟を後継に選んだ家は、 ほぼ例外なく身内同士の激しい血みどろの争いを起こし、滅びの道を歩んできたからです。
せっかく家康様が命がけで作り上げた、戦のない平和な江戸の世。 それが、親の偏愛という小さな理由のせいで、
またあの恐ろしい戦国時代へと逆戻りしてしまうかもしれない。 おふくの胸の中の危機感は日に日に焦りへと変わっていきました。
さらに事態を悪化させたのは、竹千代の父親である二大将軍、 徳川秀忠の態度でした。
秀忠は気まじめな性格でしたが、妻である尾絵代様には頭が上がりません。 尾絵代様が毎日、国松を次の将軍にと熱心に囁き続けるうちに、
秀忠でもが次の将軍は国松にしようか、と心を動かされ始めてしまったのです。 父親までもが敵に回ろうとしているお城の中で、
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竹千代の味方はもう本当に自分一人しかいない。 おふくは夜も眠れないほどの暗闇の中でじっと考え続けました。
江戸城の中にいる人間は誰も信じられない。 尾絵代様の権力に怯え、みんなが国松様に媚びを打っている。
この絶対絶命の状況をひっくり返すには、もはや江戸城の外にいる、 あの絶対的な太陽の力を借りるしかない、おふくの頭に浮かんだのはただ一人。
江戸幕府を開いた張本人であり、今は大御所として寸布城、 今の静岡県に退いているおじいちゃんの徳川家康の存在でした。
家康様に江戸城のこの歪んだ現実を直接訴え、 竹千代様こそが正当な跡継ぎだと認めてもらう。
それしかこの戦いに勝つ方法はありませんでした。 しかしそれは同時にあまりにも危険すぎる大爆地でした。
なぜなら一人の御馬に過ぎない女性が、将軍である日でただや 御栄よ様に無断でお城を抜け出し、大御所である家康に直訴することなど、
絶対にあってはならない大罪だったからです。 もし途中で見つかれば竹千代を守るどころか、
おふく自身が反逆者としてその場で処刑されてもおかしくありませんでした。 それでもおふくの心は未尽も揺らぎませんでした。
いがば一徹から受け継いだあの頑固なまでの気骨が彼女の背中を強烈に押し 進めます。
私の命などあの時すでに捨てたもの、竹千代様を本物の王にするためなら、 私は喜んで鬼にでも悪魔にでもなってみせる。
おふくは誰も思いつかないような命がけの隠密作戦を計画し始めました。 おふくは怪しまれずに江戸城を抜け出すため、
ある大嘘をつくことにしました。 これまで竹千代様の官僚やお城の仕事で張り詰めていたので心が疲れてしまいました。
神仏にお祈りをして心を清めるため、しばらくお伊勢参りに出かけさせてください、 そう言ってお城の城僧部に届出を出したのです。
お絵よ様や周りの家来たちは、おふくが急に弱音を吐いて旅に出ると聞き、すっかり油断しました。 あの大逆心の娘も国松様の勢いに恐れをなして、ついに逃げ出す準備を始めたか、
城内にはそんな嘲笑が流れ、おふくの外出はあっさりと許可されたのです。 しかしおふくの本当の目的地は三重県のお伊勢様ではありませんでした。
彼女が目指していたのは、その手前にある静岡県大御所である徳川家康が暮らす僧部城でした。
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お城の門を一歩出た瞬間、おふくの目は鋭く変わりました。 お伊勢参りののんびりとした旅だと思わせておける時間はごくわずか。
私が僧部へ向かっていることが江戸に知られれば、すぐに御手が放たれて連れ戻される。
そうなればすべてが終わりだ、おふくは旅の美しい着物を脱ぎ捨て、地味な男物の服に着替えると、
数人の信頼できる友だけを連れて、東海道を凄まじいスピードで走り始めました。 それはお伊勢参りの優雅な旅路などではなく、
竹千代の未来と自分の命を懸けた文字通りの命懸けの爆走でした。 怒るんだ泥道を走り、
険しい箱根の山を越え、おふくは足が血に染まっても歩みを止めませんでした。 夜になれば粗末な小屋で一瞬だけ体を休め、
夜明け前にはまた走り出す。 ただひたすらに寸布城へ家康のもとへと急ぎ続けました。
その頃江戸城では異変に気づき始めていました。 お伊勢参りにしては移動する方角やスピードが明らかにおかしい。
おふくの狙いが寸布の家康であると気づいたとき、 親よ様たちの顔色が変わりました。
あの女、何を企んでいる。すぐに連れ戻せ、 江戸からおふくを捕らえるための追手が放たれました。
背後から迫る追手の足音、しかしおふくの執念は追手のスピードを上回っていました。
ぼろぼろになりながらもおふくはついに、 家康の待つ寸布城の巨大な門の前にたどり着いたのです。
突然江戸城から見一つで現れたおふくの姿を見て、 寸布の家来たちは大騒ぎになりました。
将軍家に無断で江戸を抜け出し、 大御所様に直訴など言語道断である。
出会え、この女を捕らえよ槍を構えた兵たちに囲まれ、 おふくは冷たい床に押しつけられました。
しかしおふくは床に這いつくばりながらも、 声を限りに叫び続けました。
家康様、大御所様、斉藤と清水の娘、おふくにございます。 私の命はどうなってもかまいません。
しかし、今お聞きいただかねば徳川の天下が、 この日本が再び地の海に沈むことになります。
どうか、どうか私の言葉をお聞きください。 その必死の叫びは、お城の奥深くで静かに暮らしていた、
あの老いた虎、徳川家康の耳に届きました。 家康は部屋の奥から静かに現れ、
ぼろぼろになって泥にまみれたおふくを見つめました。 関ヶ原の戦いを勝ち抜き、戦国の世を終わらせた家康の眼光は、
老人になってもなお、すべてを見通すような鋭さを持っていました。 家康は周りの兵たちを下がらせると静かに言いました。
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おふく殿、長旅でずいぶんと汚れているが、 滞在を覚悟でここへ来たからには、
相応の理由があるのだろう。 上がって、お前の命よりも重いというその話を、
わしに聞かせてみよ、おふくはきつく唇をかみしめ、 涙をこらえながら家康の前へと進みました。
いよいよ、歴史のすべてをひっくり返す、 王母書との一対一の緊迫した面談が始まります。
家康の前に座ったおふくは、深く頭を下げた後、 江戸城の中で起きている歪んだ現実を、
一つ一つ包み隠さず打ち明けました。 身の母親である老人様が、頼りない長男の竹千代を避け、
優秀な弟の国松ばかりを出来愛していること。 父親である将軍の秀田玉でもが、その偏愛に流され、
後継を国松に変えようとしていること。 そして、お城の誰もが次の権力者に媚びを売り、
まだ幼い竹千代が誰からも愛されずに孤独の中で震えていること。 おふくは震える声にありったけの力を込めて訴えました。
家康様、お考え直しください。長男を差し置いて弟を後継に選べば、 必ず身内同士の血で血を洗う戦いが始まります。
それは家康様が命に変えて気づかれたこの平和な江戸のよう、 再び戦国の地獄へと突き落とすことに他なりません。
どうか日本の未来のために正しいルールをお示しください。 おふくの話を家康はじっと黙って聞いていました。
その顔は険しく、何を考えているのかは誰にもわかりません。 沈黙が部屋を支配し、おふくは自分の心臓の音が聞こえるほどの緊張
に包まれていました。 やがて家康は深く息を吐き、静かにしかし血を這うような重い声で言いました。
おふく殿、大逆心の娘でありながら、 よくぞそこまで徳川の、いやこの国の未来を見据えた。
お前の言う通り、後継の順番を狂わせることは国を滅ぼす毒となる。 わしが作った平和を我が子たちの偏愛で壊させるわけにはいかん家康の瞳に
かつて天下を揺るがした鋭い光が戻っていました。 安心せよ、この徳川のルールはわしの手で完全に決めてみせる。
お前は今すぐ江戸へ戻り、たけちよの傍を片時も離れず守るがよい。 家康の言葉に、おふくは床に額をこすりつけ、
あふれる涙を止めることができませんでした。 命を懸けた自分の決死のダッシュが、ついに天下の主の心を動かしたのです。
それから数日後、江戸城に孫夫から大御所である家康が急にやってくるという知らせが飛び込んできました。
12:02
突然の最高権力者の訪問に、お城の中は大慌てになります。 将軍の日でただも、お絵よさまも清掃をして家康を出迎えました。
広大な大広間に江戸城の家来たちがずらりと並ぶ中、 家康は中央の最も高い席にどっかと座りました。
その時、お絵よさまに連れられた弟の国松が、いつものように家康のすぐ近く、 神座の席へ座ろうと進み出てきました。
お絵よさまは、愛する国松を家康に見せびらかし、 褒めてもらおうと考えていたのです。
一方の竹千代は、やはり今日も家来たちから無視され、 部屋のずっと後ろの席に座らされようとしていました。
その瞬間、家康のすさまじい一括が、大広間に響き渡りました。
これ、国松、お前はなぜ、兄を差し置いてそのような神座に座ろうとするのだ。
文をわきまえよ、あまりの迫力に、国松とお絵よさまはその場で凍りつきました。
家康は、部屋の後ろの方で小さくなっていた竹千代を手招きしました。
竹千代、こちらへ来い。お前こそがこの徳川の長男であり、 次の三代目の将軍となるお方だ。
わしの隣に座るがよい。家康は、竹千代を自分のすぐ隣の神座に座らせると、 自分のお膳から最高のお菓子をとって、手図から竹千代に与えました。
そして、お絵よさまが国松に与えようとしたお菓子をぴしゃりとはねのけ、 冷徹な声でこう告げたのです。
兄は兄、弟は弟。この順上を乱す者は、たとえ我が子であっても許さぬ。
国松は家来と同じ席に下がれ、今後、江戸城の者は皆、 竹千代を次の主君として命を懸けて従うべし、
その言葉は、江戸城の歪んだ空気を一瞬で叩きつぶす絶対的な命令でした。
お絵よさまは悔しさに顔をひずませ、日でただは自分の不明を恥じてうつむくしかありませんでした。
家来たちは青ざめ、一斉に竹千代に向ってひれ伏しました。 部屋の隅でその光景を見つめていたおふくは、静かに勝利の涙を流していました。
女一人の執念が、天下のルールを完全に守りぬいた瞬間でした。 今夜のお話は、これでおしまいです。
どんなに周囲が敵ばかりでも、正しいと信じた道を命懸けで走り抜けたおふくの強い覚悟を胸に、
心地よい布団の中で、ゆっくりと深い眠りについてくださいね。 それでは、おやすみなさい。