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今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。
ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
とば不死身の戦いを経て、幕末の大きなうねりが一つの区切りを迎えました。
今夜からは新しい章の幕開けとして、乱世を駆け抜けた群雄・武将シリーズをスタートいたします。
その記念すべき第一章者は、美濃の間虫という恐ろしい異名を持ち、
一筋縄では行かない地貿と野心で一刻を乗っ取った下国城の代名詞、
斉藤道さんの物語です。
第一話をお届けしますね。
戦国の世がまさに始まろうとしていた頃、山城の国、今の京都に一人の男が生まれました。
幼名を松並将吾郎といい、後に未知像となる男です。
若い頃の彼は、ただのしがない油売りでした。
京都の町角で、マスを使わずに小さな油壷の口へ一文銭の穴を通して油を注ぎ込むという、
目を見張るような大道芸を見せては客を集めていました。
一筋の油すらこぼさない完璧な手先と、客の心を瞬時につかむ鋭い観察眼。
男は単なる商人に止まるつもりなど妄当なく、
その胸の奥底には、いつかこの乱世を自らの手で這い上がってみせるという、
燃えるような野望を静かに秘めていたのです。
やがて油売りとして身を立てた男は、持ち前の知恵と度胸、
そして巧みな弁説を武器に、美濃の国、今の岐阜県へと足を踏み入れます。
当時の美濃は、守護である時氏の権威がすっかり衰え、
家臣たちが主導権を争う泥沼の混乱に陥っていました。
まさに力ある者が勝つという、下国城の風が吹き荒れていたのです。
男はこの光輝を見逃しませんでした。
美濃に入った男は、まず寺に入って人脈を広げ、
言葉巧みに有力な武士である長石の家臣へとくぐり込みます。
そこで見事な働きを見せて信頼を勝ち取ると、
言葉や知略を自在に操り、次々と上の立場へと駆け上がっていきました。
油売りで見せたあの寸分の狂いもない集中力と、
人の心理を巧みにつく洞察力は、
武士の世界という過酷な生存競争の中でも遺憾なく発揮されたのです。
やがて名を変え、力をつけた男は、
美濃の守護台である斎藤家の名席を乗っ取ることに成功します。
これが歴史にその名を刻む斎藤道さんの誕生でした。
しかし、彼の野心がこれで満たされることはありませんでした。
道蔵の視線はすでに、さらに高い場所、
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美濃の一国をすべて自らの支柱に収めるという、
途方もない野望に向けられていたのです。
美濃の守護台である斎藤家の名を継いだ道蔵は、
いよいよその牙を本格的に剥き始めます。
当時の美濃を治めていたのは、名門、時氏でした。
しかし、当氏とその弟との間で深刻な家徳争いが起こり、
国の中は二つに割れて乱れていました。
道蔵はこの対立を巧みに利用します。
自らは力のある弟のそばにつき、
巧みな軍略と暗躍によって兄の派閥を追い詰めていきました。
道蔵の戦い方は、力任せの正面突破だけではありませんでした。
裏工作や偽の噂を流して敵の結束を崩し、
時には密かに毒や刺客を使って敵対する有力者を排除するなど、
手段を選ばない冷徹さを見せたのです。
仲間だと思っていた人物であっても、
自らの野望の邪魔になると判断すれば躊躇なく排除していきました。
その容赦のないやり口、一度狙った獲物は決して逃がさず、
背後から忍び寄って一瞬で毒を流し込むような冷酷さから、
人々は恐れを込めて彼のことをミノの魔虫と呼ぶようになりました。
毒蛇のように恐ろしい男という意味です。
やがて道蔵は自分が担ぎ上げていた時氏の弟さえも用済みとばかりに追放し、
ついにはミノの本当の主であった守護魔でも国外へ追い払ってしまいました。
一回の油売りから始まり、武士になり、家臣を倒し、
ついには一国の主へと上り詰めたのです。
これこそが、能力さえあれば身分が低くても頂点に立てるという、
戦国時代の下国情を象徴する出来事でした。
しかし、力と裏切りによって手に入れたミノの国は決して安泰ではありませんでした。
追放された毒蛇を助けようと、隣の国である尾張、
今の愛知県から強い勢力がミノへと攻め込んできたのです。
その勢力こそが、織田信長の父である織田信秀でした。
道蔵は、自らが築き上げた稲葉山城、今の岐阜城の旧春な山に立てこもり、
尾張の大軍を迎え撃つ準備を整えます。
戦国の乱世をそのちぼを一つで泳ぎきってきたまむし道蔵と、
尾張のオスである織田家との命を懸けた壮絶な知恵比べが始まろうとしていました。
尾張の織田の武器で率いる大軍勢が怒涛のごとく押し寄せてくると、
道蔵は自慢の知略を存分に発揮します。
敵を稲葉山城の深くまで引きつけておき、
油断したところを狙って山の上から一気に吸収をかけるという鮮やかな戦術で尾張軍を大混乱に陥れました。
見事に対象を収めた道蔵でしたが、
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この激しい戦いを通じて力と力で争い続けることの危うさも痛感したのです。
そこで道蔵は戦うのではなく結ぶという新たなる手を打ち出します。
尾張の織田家と和睦を結ぶため、愛する娘の能姫を、
信秀の息子である若い織田信長の元へ訪がせる決断をしたのです。
当時の信長は奇抜な見なりや常識外れの行動から、
うつけ者、つまりボケた若者と呼ばれ、周りから嘲笑われていました。
しかし道蔵は噂だけで人を判断するような男ではありません。
富田の聖徳寺という寺で、道蔵は密かに娘婿となった信長と対面を果たします。
道蔵は最初、部屋の院から信長の姿を観察していました。
派手でだらしない格好をして現れた信長を見て、
噂通りのたわけか、と一瞬嘲笑いかけます。
ところが対面の場に凛とした清掃に着替えて現れた信長の眼光は、
鋭い刃物のように澄み渡り、立ち振る舞いには圧倒的な威厳が満ち溢れていました。
その姿を目にした瞬間、道蔵の背筋に冷たい旋律が走ります。
道蔵は深く感嘆し、家臣に向かってこう漏らしたと伝えられています。
我が子たちは皆、あのうつけの門前に馬をつなぐことになるだろう。
自分をしのぐ真の怪物が、次の時代を切り開くために現れたのだと悟った瞬間でした。
己の野心のために毒蛇のように生き抜いてきた道蔵は、
信長の中に新しい日本の未来を見出し、静かにその夢を託したのかもしれません。
斉藤道さんのお話、第1話はこれでおしまいです。
油売りから一刻の虫へと昇り詰め、
うつけ者と呼ばれた若き天才と運命の出会いを果たした道蔵。
次は一体どのような物語が待っているのでしょうか。
今夜はどうぞ、温かい布団の中でゆっくりと体を休めて、
素敵な夢の世界へ旅立ってくださいね。
それでは、素晴らしい夢が見られますように。
おやすみなさい。