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第16回 歴史のバトン【戦国編】第10走者 マシュー・ペリー(2/3話)
2026-07-05 08:02

第16回 歴史のバトン【戦国編】第10走者 マシュー・ペリー(2/3話)

ペリーの第2話

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00:07
こんばんは、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。 ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
前回は、長く心地よい太平の眠りについていた江戸の町へ、突然姿を現した巨大な黒船の艦隊と、それを率いる老軍陣、ペリーの姿を見てきましたね。
重い寿命の激痛に耐えながら、アメリカという国の未来と部下たちの命を背ってやってきたペリーは、カタクナに閉ざされた日本の扉を開けるため、あえて冷徹な侵略者という悪役の仮面をかぶって、浦賀の海へと迫りました。
黒船の出現によって、ひっくり返ったような大騒ぎになった江戸の町。
しかし、ペリー自身もまた、船の上で張り詰めるような緊張感の中にいました。
彼は、日本側にこちらの本気度を伝えるため、あえて徹底的に強気な態度を取り続けました。
最初のうち、様子をうかがいに船の周りに集まってきた日本の小さな役人たちに対して、ペリーは決して姿を見せようとはしませんでした。
もっと身分の高い、国の最高責任者でなければ私は絶対に会わない、と、艦長室の奥に引きこもって、大物としての威厳を演じ続けたのです。
さらに、もしも要求を受け入れないようであれば、この巨大な大砲が火を吹くことになるだろうと、江戸のすぐ近くまで船を進めてみせ、幕府の役人たちを激しく揺さぶりました。
しかし、その冷酷な仮面の裏側で、ペリーは日本という国を非常に冷静に、そして深い敬意を持って観察していたのです。
ここで、言葉の通じないはずの両者をつないだのは、意外にもオランダ語というヨーロッパの言葉でした。
日本が長年、オランダとだけ貿易を続けていたことを事前に調べて知っていたペリーは、わざわざオランダ語が話せる優秀な通訳を連れてきていたのです。
日本語からオランダ語、そして英語へとつなぐ丁寧なリレー通訳によって、両者の緊迫した対話が始まりました。
船に乗り込んできた日本の役人たちは、誰もが非常に礼儀正しく、着ている衣服は驚くほど美しく仕立てられていました。
そして何より、彼らはアメリカの最新の大砲や蒸気機関の仕組みを目の当たりにしても、ただ怯えるのではなく、通訳を介して鋭い眼差しでその構造を熱心に観察し、次々と的確な質問を投げかけてきたのです。
この国の人々は決して無知で野蛮な存在などではない。むしろ信じられないほど高い知性と、新しいものを恐れずに吸収しようとする驚くべきエネルギーを秘めている。
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日本語からオランダ語、そして英語へとつながれる丁寧な通訳の言葉を聞きながら、ペリーの胸に浮かんだのは深い驚きと確かな経緯でした。
大統領からの手紙を渡し、一度はアメリカへと引き上げたペリーは、翌年、さらに多くの軍艦を率いて再び江戸の海へと戻ってきました。
今度こそ、日本の扉を開くための正式な約束を取り交わすためです。
横浜の海岸に特設された立派な応接所で、ペリーと幕府の最高責任者たちによる国を賭けた大交渉が始まりました。
ペリーは、アメリカが誇る最先端の文明の力を、プレゼントとして次々に日本側に披露しました。
それは、実際に人を乗せて走ることができる小さな本物の蒸気機関車や、一瞬にして遠く離れた場所へ言葉を伝えることができる電信機など、当時の日本では誰も見たことがない魔法のようなテクノロジーばかりでした。
それを見た日本の役人や物資たちは、子供のように目を輝かせ、汗をかきながら機関車にしがみつき、その仕組みを熱心にメモに書き留めていきました。
その姿を見たペリーは、確信しました。
この国は、門を開けば瞬く間に強大な国へと成長するだろう、と。
厳しい交渉の合間には、黒船の上で盛大な宴会が開かれました。
アメリカの音楽が響き渡り、最高級の料理と強いお酒が振る舞われると、それまで緊張した趣で睨み合っていた両国の男たちの心は少しずつ解きほぐれていきました。
お酒が進むにつれ、日本の役人がペリーの肩を抱き寄せ、私たちは国こそ違えど、同じ人間の心を持っているのだと熱く語りかける場面さえありました。
二つの言葉の間を必死に走り回り、男たちの生の感情をそのまま届けた通訳たちの存在があったからこそ、国境を越えた奇妙で強い信頼関係が、男たちの間に確かに芽生え始めていたのです。
言葉の壁を乗り越え、オランダ語を巧みに挟んだ通訳たちの命がけの奮闘もあり、両国の交渉はいよいよ最終局面を迎えました。
互いの知性とプライドをぶつけ合った激しい議論の末、ついに歴史を大きく変える約束が交わされることになります。
それこそが日米和親条約という、日本が200年以上の長い眠りから目覚め、世界へと向けて初めて門を開くことを決めた歴史的な条約でした。
日本側は、アメリカの船が困った時に立ち寄れるように2つの港を開くことを約束し、ペリーもまた、遭難した日本の船乗りたちを国を挙げて手厚く保護することを誓いました。
大統領から託された重すぎる任務を、一発の大砲も放つことなく、平和的な話し合いだけで見事に成し遂げたのです。
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条約の書類にサインを得た時、ペリーの胸を拒来したのは、大きな達成感と、それ以上の深い安堵感でした。
これでようやく、我が国の船乗りたちの命が救われる。実力でいけば日本をねじ伏せることもできたかもしれない。
しかし、一人の犠牲者も出すことなく、この誇り高き東洋の島国と新しい友としての関係を築くことができた。
張り詰めていた緊張の糸が解けた瞬間、ペリーを襲ったのは、長旅と病によって限界を迎えていた凄まじい体の疲労でした。
しかし、彼の表情は、どこか穏やかな満足感に満ち溢れていました。
冷徹な侵略者という悪役の仮面を塗り捨てた彼の瞳には、横浜の美しい海と、
未来へ向けて歩み出そうとする日本の武士たちの凛と引き締まった姿が優しく映っていたのです。
大役を果たした四隻の黒船は、江戸の町に新しい時代の夜明けの風をたっぷりと残し、静かに日本の海を離れていきました。
さあ、歴史的な大任務を成功させたペリーは、この後アメリカへと帰国し、どのような晩年を迎えることになるのでしょうか。
それはまた次のお話、今夜のお話はこれでおしまいです。
国と国との大きな荒波の中で、悪役を演じながらも、相手への敬意を忘れずに平和な対話を貫き通したペリーの、深く堅くなな誠実さにそっと思いを馳せながら、
今夜はどうか全ての緊張を解き放って、暖かい波に揺られるように、ゆっくりと深い眠りについてくださいね。
それでは、おやすみなさい。
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